王様達のヴァイキング

孤独な天才ハッカーが投資家の男性と出会い、助力を受けて自らの真の力を開花させ、やがて犯罪者としての過去を活かして凶悪犯罪に挑む、というIT成長ストーリー。「週刊ビッグコミックスピリッツ」'13年第14号から連載。ストーリー協力は深見真。

正式名称
王様達のヴァイキング
フリガナ
オウサマタチノヴァイキング
作者
ジャンル
その他職業・ビジネス
 
サスペンス
レーベル
ビッグコミックス(小学館)
巻数
既刊14巻
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あらすじ

第1巻

エンジェル投資家の坂井大輔は、ある日、驚異的なプログラミングの腕を持つ少年、是枝一希と出会う。天涯孤独でパソコンを介さないと、まともにコミュニケーションも取れない一希に投資する事を決めた大輔だが、一希は起業してまでやりたい事が見つからないと断る。愛用するパソコンと飼い犬の256がいれば満足だと言う一希に頭を抱える大輔だが、一希を観察しているうちに、一希がプログラミング中、異様なほどに頑固で負けん気が強くなる事に気づく。一希が夢中になれるのはプログラミング以外にない事を悟った大輔は、一希にプログラミングの腕を活かした仕事をするよう助言する。ちょうどその時、大輔の投資先である株式会社ゲームビットのサーバーが、不正侵入を受けたとの連絡が入る。すぐさま対応した一希は侵入者を撃退し、会社の危機を救う。株式会社ゲームビットの社長の玉山に感謝され、初報酬を受け取った一希は、大輔に見守られながら、プログラミングの腕を発揮してセキュリティが脆弱になった企業を守るという、確かな自分の居場所を見つけるのだった。

第2巻

初仕事を成功させた是枝一希は、自身のプログラマーとしての腕の使い道を自覚し、仕事に意欲を見せるようになる。坂井大輔の紹介を受けて、さっそく株式会社朝海鉄工にフリーのITコンサルタントとして営業に出向いた一希は、そこで古いウィンドウズを使っている事によるセキュリティの脆弱性を指摘した途端に、外部からのウイルス攻撃を受け、工場内の機械が動作停止してしまう事態に遭遇する。既にサービスが終了しているウィンドウズのセキュリティパッチを作成し、どうにか会社の危機を救った一希は、株式会社朝海鉄工の社長に、今後も継続してコンサルティングしてほしいと依頼を受ける。会社をあとにした一希だが、初顧客を捕まえた感慨に浸る間もなく、大輔からさまざまな企業がサイバー攻撃を受けているとの連絡を受け、慌てて坂井ビルに駆け戻る。大輔が問題視するウイルスを確認した結果、株式会社朝海鉄工を攻撃したのと同じ人間の作ったウイルスである事に気づいた一希は、海外サーバを経由して攻撃して来る犯人を突きとめようと、クラッキングを開始する。

第3巻

警察にも捜査協力を要請され、気合いの入る是枝一希は、ついに一連の事件の実行犯を見つけ出した。ところが、四人の実行犯は武器商人と名乗る者にネット上でウイルスを提供されただけだと主張し、埒が明かない。そんな中、IT業界の不正を見逃したくない坂井大輔は、わずかな手がかりから経営不振の株式会社タイラントの経営者の原田文寿が、武器商人に一連の事件を起こすよう命じた黒幕だと確信し、状況証拠を揃えて文寿への今後の融資を止めさせ、制裁を下す事に成功する。一方、警察をも顧客にした一希は、自身のライバルとも言えるほどのプログラミングの腕を持つ武器商人に興味津々で、武器商人の残した痕跡を調べる事に躍起になっていた。そんな一希のもとに、株式会社朝海鉄工の社長の息子の朝海健太郎と名乗る青年が訪ねて来る。サイバー攻撃から株式会社朝海鉄工を守ってくれた事に対して礼を言いに来たというが、実は健太郎になりすました彼こそが、武器商人こと蘇芳竜二だったのである。竜二に宣戦布告を受けた一希は、今後彼が起こすサイバーテロをすべて潰す事を誓う。

第4巻

是枝一希が住みついていたビデオ屋、レンタルLeoが、大家の意向でついに取り壊される事になった。粛々と店内の整理を進めていた一希のもとに、神崎翔太がやって来る。警視庁に勤める刑事である翔太は、コンビニのATMから不正な操作で金を引き出す容疑者の逮捕に協力してほしいと告げられる。事情を聞いた一希は、ATMのプログラムを覗くという、非日常の経験を積める事に感激するが、翔太の相棒の藤井寺絵美は、違法捜査を強行しようとする翔太に不信感を募らせる。絵美の告発で上司の衣笠真琴に尋問される事になった翔太は、一希のプログラミングの腕を実際に見せる事で、衣笠の信用を勝ち取る事に成功。ATMのプログラムを書き換え、犯人に罠を仕掛けた一希は、サイバー事件にしては珍しく、犯人を現行犯逮捕するという快挙をもたらしたのだった。事件後、衣笠に警察専属の調査員にならないかと問われた一希は、歓喜するものの、刑事事件以上の事象を扱えるプログラマーになりたいという、自身の本心を改めて確信する。坂井大輔に思いを打ち明けた一希は、坂井ビルに住まわせてもらいながら、自身の描く将来像を実現していく事を決意する。

第5巻

是枝一希は、国会議員の山田毅が不正献金を受けていないか調査する事になった。依頼人の山田の秘書、鈴村の実直さに惚れ込んだ一希は、鈴村に報いるために奮闘し、山田が暴力団のフロント企業であるホワイトレックス社から不正な金銭を受け取っている手がかりを摑む。山田に心酔する鈴村は、山田に改心するよう働きかけるが、不正の物証を摑みかけた口封じに、山田に殺されてしまう。自身が山田の不正を見つけなければ、鈴村が殺される事はなかったのではないかと思い悩む一希は、ホワイトレックス社と山田の癒着した関係性を暴こうと奮起。神崎翔太の協力を得て、ホワイトレックス社が覚せい剤を売買して得た金をマネーロンダリングしている事実を突き止めた一希は、山田こそ取り逃がしたものの、ホワイトレックス社を摘発する事に成功するのだった。そんな中、一希はホワイトレックス社のマネーロンダリングの物証を探る過程で、凄腕のプログラマー、鶴野秋の存在を知り、彼女に一矢報いた。以来、秋は一希を敵対視し、旧知の仲である蘇芳竜二と共に、一希を陥れる道を模索するようになる。

第6巻

ある日、パソコンの遠隔操作による犯罪事件を調査する事になった是枝一希は、警察のサイバー犯罪対策課に所属する丹羽久嗣とタッグを組む事になる。出会った当初、IT技術が高すぎる一希を警戒した久嗣は、これほど腕の立つハッカーが過去に犯罪を起こしていないはずがない、と一希を疑った。だが、不可能と思われる事にも果敢に挑戦していく一希を前にして、花形の捜査一課への配属が叶わずに腐っていた自身を叱咤し、一希の有能さを素直に受け入れ、協力するようになる。やがて事件の主犯格である斉藤隆と、その一味を現行犯逮捕する事で、闇サイト・ステーションにたどり着いた一希は、かつてIT技術のいろはを教わったステーションの荒(すさ)みように憤る。ステーションは日本発信のオークション形式のサイトで、今でこそ機密情報の売買や過激な性交渉など、違法や犯罪性にあふれた闇サイトになってしまっているが、昔はもっと健全な、愛すべき場所だった。ステーションが堕落した要因が、匿名ログインできるステーションの特質にあると考えた一希は、ステーションの管理者筋をあたり、さらに調査を続ける。

第7巻

逮捕者が出た事を受けて、ステーションは閉鎖された。ステーションが犯罪の温床と化した最大の原因は、匿名化ソフト「Rot」にあったのだと気づいた是枝一希は、新生・ステーションの立ち上げを狙うステーションの管理者のmosとの接触に成功。新生・ステーションで使える新たな匿名化ソフト「Grad」を開発し、mosへ直接持ち込む流れへと誘い込んだ。神崎翔太や丹羽久嗣に見守られながら、mosに指定された待ち合わせ場所に向かった一希は、そこで拉致されてmosの自宅地下室へと監禁される。Gradには、新生・ステーションを利用しようと目論む悪人達を一網打尽にする罠を仕掛けていたが、mosの自宅に着いて早々にGradへ仕掛けた罠を暴かれた一希は、mosの背後でGradの罠を見破った蘇芳竜二の存在に気づく。竜二がRotの開発者である事をも知った一希は、竜二へ敵意をむき出しにするが、助けに来た翔太らに保護されたスキに、竜二を取り逃がしてしまう。一希は、今後対峙すべき竜二対策に、これまで以上にプログラミングの能力を高め、ネット犯罪者の撲滅に注力する事を誓う。

第8巻

ある日、坂井大輔は金融庁にインサイダー取引の疑いをかけられてしまう。大輔だけではなく、坂井ビルの入居者全員に疑いの目がかかる中、是枝一希は、ふだんから世話になっている大輔に恩を返すチャンスだと意気込む。調査を進めるうちに、大輔の兄の坂井徹彦のパソコンが乗っ取られた事がそもそもの発端であると気づいた一希は、同時に、鶴野秋が犯行にかかわっている事を知り、愕然とする。以前の仕事で恨みを買った秋は、一希への報復として、大輔をターゲットに定める。自分のせいで大輔の身を危険にさらした事で発奮する一希だが、法に触れない範囲で敵を迎え撃つ事に限界を感じる。結局、秋こそ逃したものの、大輔のスマホに仕掛けられた盗聴アプリを発見し、大輔を救う事に成功した。しかし今回の事件を重く捉えた一希は、これまでに見た犯罪データをもとにコードの追跡システムを開発。警視庁の神崎翔太と丹羽久嗣にコードの追跡システムを預け、より精確な犯罪データを収集する事により、攻防性の高い仕事をしていけるよう気持ちを新たにするのだった。

第9巻

ある日、是枝一希のもとに、坂井大輔がインサイダー取引疑惑を受けた際に世話になった弁護士の桐生克典から、勤め先の北里法律事務所がサイバー攻撃され、抜き取られた顧客情報をネット上にばらまくと、脅迫されていると連絡が入る。さっそく出動した一希は、北里法律事務所にサイバー攻撃を仕掛け続ける暴雷連合と対峙するが、彼らとの戦いには攻撃性のある武器が必要だと痛感する。神崎翔太、丹羽久嗣の協力を得て、苦心して反撃型自動追跡ソフト、スナイパーを開発した一希は、見事、暴雷連合の不正を暴き、彼らの現行犯逮捕に貢献した。スナイパーにより救われた人々の笑顔を見た一希は、たとえ自分の活躍が表に出なくても、縁の下の力持ちとして確かな仕事ができればそれでいいと、自身の仕事により誇りを持つようになった。一回り成長した一希を見て、大輔が一希をもっと広い世界で活躍させたいと考えていたちょうどその頃、航空自衛隊の開発した国産無人戦闘機が、何者かにハッキングされ、爆装したまま首都圏へと変針する事態が発生。多くの国民の命が危険にさらされる中、一希に救助依頼が舞い込む。

第10巻

操作不能になった国産無人戦闘機の操縦権を取り戻そうと躍起になる是枝一希だが、パソコンの何百倍もの規模のそれを相手に、犯人の攻撃方法を想像できずに苦しんでいた。頭を抱える一希だが、応援に駆け付けた丹羽久嗣からの助言で、機体の製造段階に組み込まれた中国製のICチップの調査を開始する。中国製のICチップによる通信傍受、通信妨害に気づいた一希は、坂井大輔の協力で同様のICチップを入手し、あえて攻撃を受ける事で、犯人の出方を暴く事に成功。都庁を狙って変針した戦闘機を、都庁にぶつかるギリギリのところで抑え込んだ一希には、称賛の嵐が巻き起こるのだった。後日、衣笠真琴の報告で、今回の事件はアメリカ政府からの圧力だったのではないかという見解が強まる。激怒した経済産業大臣の蘇芳正哉の命令で、サイバーテロに対抗する特別部隊、サイバーテロ対策特別研究チームの一員として徴集された一希は、さっそく国内のショッピングサイトが次々に機能不全になる事態に遭遇。この事件について調査中に、蘇芳竜二に接触され、中国人データの入ったUSBを受け取った大輔は、データ内にある高星雷という名前にひっかかりを覚える。

第11巻

国内の主要なショッピングサイトが機能不全になって、数日が経った。実店舗を持たないネット企業の社長が思いつめて自殺した報を受けて、是枝一希は覚悟を決める。自身の目指す、守って攻めるセキュリティーを具現化するために、攻撃性の高いスナイパーを改良し、敵の攻撃を無効化しつつ、攻撃と追跡ができる新生スナイパーを開発したのだ。新生スナイパーの活躍により、中国からの攻撃を治め、機能不全になっていたショッピングサイトの操作権を取り戻した一希だが、蘇芳竜二に新たな疑問を突き付けられる。チャットで会話し、竜二が蘇芳正哉の息子である事を知った一希は、正哉が日本を巻き込んでサイバー戦争を起こそうとしている可能性を知る。正哉に連れてこられたサイバーテロ対策特別研究チームを自身の居場所としていていいものかどうかを、一希は自問し始めるのだった。一方、日本のショッピングサイトを攻撃した主犯である高星雷が、正哉と親交深い人物であると知った神崎翔太は、正哉の生まれ故郷である広島を訪ねるが、そこで突然何者かに襲われ、重傷を負わされてしまう。

第12巻

集中治療室に入ったままの神崎翔太を心配する是枝一希は、蘇芳竜二と共闘して、すべての黒幕である蘇芳正哉を倒そうと考える。改めて竜二と顔を突き合わせて、じっくり話をしてみると、異母姉である鶴野秋と共に家族に振り回されて来た背景を他人事とは思えず、一希は竜二にすっかり心を許してしまう。秋は正哉の妾の子だが、支配欲から幼い頃に正哉に強姦された過去がある。正哉の人間としての汚さを憎む竜二が秋の思いに共感し、二人は打倒正哉を掲げて、正哉に復讐するために生きて来たのである。秋と竜二の苦しみに触れた一希は、現実世界では成し得ないほどの完璧さを手に入れる事が可能なネット世界で、存分に闘おうと二人に語りかけ、共闘する気持ちを新たにした。一方の正哉は、アメリカの最高監視傍受システム、MIRAGEへの侵入に成功していた。最高位のアメリカ大統領権限を得て、MIRAGEへ侵入する事を考えた一希は、策を練るが行詰まる。見かねた坂井大輔が、竜二を連れてMIRAGEの本場、アメリカへ渡り、調査する事になった。

第13巻

渡米し、アメリカ大統領のA・J・マニングに接見した坂井大輔蘇芳竜二は、見事に大統領権限のアクセスキーを手に入れる事に成功する。二人の活躍により、MIRAGEの深部にまで侵入できるようになった是枝一希は、さっそくMIRAGEに潜り込み、蘇芳正哉の息のかかった高星雷がMIRAGEに侵入して来る時を待ち、彼の動向を探り始めた。やがて、正哉が星雷に依頼していたのは、アメリカがかつて実験に失敗して封印した極秘プロジェクト情報の収集だった事が判明し、一希は震えあがった。それは、ITの力でテロリストを判別し、遠隔操作で人間が手を汚さずに、自動的に敵を射殺できるという、プロジェクトGALの情報だった。プロジェクトGALとMIRAGEを手に入れた正哉は、神の目と神の脳を手に入れたに等しい。一歩間違えれば、サイバーテロ対策特別研究チームでこれら殺人兵器の日本版を作らされていたかもしれないと青ざめる一希のもとに、悲報が入る。正哉が、次代の総理大臣になる事が確実となったのだ。なんと正哉は、MIRAGEで得た情報を使って、対抗候補者達を辞職へと追い込んでいたのだった。

第14巻

蘇芳竜二鶴野秋は、口もきけないほど落胆していた。総理大臣になる事が確定した蘇芳正哉は、もはや誰にも裁かれる存在ではなかった。これから、どんな方法であっても正哉を破滅に追いやる事はできないと打ちひしがれる二人に、坂井大輔が妙案を出す。それは正哉から、彼の持つIT能力を根こそぎ奪い、是枝一希を頼らずには世界征服できなくしてやろうというものだった。まず大輔は、MIRAGEに侵入した高星雷を、アメリカ国防情報局を使って現行犯逮捕させる事に成功。最も信頼していた相棒である星雷を失った正哉は、大輔のシナリオ通り、さっそく一希に自身の思い描く最高の殺人システムを作るよう依頼する。サイバーテロ対策特別研究チームのメンバーと共に、正哉の望む遠隔殺人兵器を開発する振りをしながら、一希は正哉逮捕に向けて、水面下で計画を練り始めるのだった。そんなある日、フィリピンから日本へ銃の密輸が行われ、日本人ジャーナリストが射殺される事件が起きる。国を揺るがす一大事であるため、警視庁公安部が一希の力を借りに坂井ビルを訪れた。

第15巻

警視庁公安部の赤城は、フィリピンからやって来た武装組織、PSAFが、近々国内で開催されるサミットで大規模テロを起こす可能性を示唆した。是枝一希が開発した新システム「デウス」を使って犯人を捕らえてくれる事を期待する赤城だが、サミット当日、デウスの監視の目をかいくぐり、リーダーのカルロ・アオキを筆頭としたPSAF戦闘員達が会場に乗り込み、各国首脳に銃をつきつける事態が発生。アオキに取り込まれた日本人中学生の島田結翔がデウスに侵入し、アオキにサミット会場の警備情報を漏らしている事を知った一希は、結翔に犯罪から手を引くよう説得を試みる。やがて一希の言葉を信じ、PSAFからの脱退を図った結翔は警察に保護され、結翔を欠いて脆弱化したPSAFのテロ行為を治める事にも成功したが、すべてが丸く収まったわけではなかった。まだ中学生の結翔とその家族は、ネットに個人情報をさらされて、一生日陰者として過ごさなくてはならなくなったのである。結翔の所業にもっと早く気づいていれば、彼は罪を犯さずに済んだ。そう考えた一希は、結翔のようなネット被害者を出さないために、これまで以上にIT能力を高めていく事を心に誓う。


単行本の装丁

本作『王様たちのヴァイキング』は、コミックスの本体表紙に毎回さまざまな特典が用意されている。たとえば第1巻は是枝一希坂井大輔たちが暮らす「坂井ビル」の間取り、第2巻は一希の履歴書などといった、設定資料的なものを見ることができる。その他、第3巻の「坂井大輔インタビュー」や、第6巻の一希撮影による256のミニ写真集、第11巻のキャラクターたちがインターネットショッピングサイトで購入を考えているものを一覧にした「ほしいものリスト」など、非常にバラエティに富んだ内容になっている。

メディアミックス

Twitter

本作『王様たちのヴァイキング』独自の試みとして、登場人物のTwitterアカウントがある。アカウントは256坂井大輔加藤剛の3キャラクターが所持しており、256のアカウントは『王様たちのヴァイキング』の公式アカウントとして、大輔と剛のアカウントはキャラクターが発信しているという設定で投稿が行われている。そのため、実在の大輔と剛がキャラクターの紹介や作品の宣伝をしているような、現実と作品世界がまじりあった感覚で各々のツイートを楽しむことができる。

評価・受賞歴

本作『王様たちのヴァイキング』は2014年、第18回文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品となり、2015年にはマンガ大賞2015で第9位を受賞している。

登場人物・キャラクター

是枝 一希 (これえだ かずき)

驚異的なプログラミングの能力を持つ少年。年齢は18歳。誕生日は1995年2月21日。好きなものはパソコンと数字、愛犬の256。水が苦手な事から、風呂嫌い。父親とは早くに死に別れ、母親といっしょに父親の男友達の真木徹也と暮らし始めたが、母親が真木と再婚後に蒸発。それからは真木と二人暮らしだったが、真木が急死して天涯孤独の身になった。真木の経営していたビデオ屋、レンタルLeoに住みついていたが、真木の死を受け、レンタルLeoの取り壊しが決まり、困惑しているところを坂井大輔に拾われた。高校は中退しており、アルバイト先のコンビニも3回クビになったのは、過集中してしまう性格で、人とのコミュニケーションがうまくに図れないためである。凄腕の天才ハッカーだが、その腕を使ってやりたい事を模索した結果、是枝一希自身にはプログラミング能力しかない事を悟り、複雑で多様化されたIT業界で、サーバーへの不正侵入者などを撃退するビジネスを確立した。ハンドルネームは「zer0」で、0はアルファベットではなく数字のゼロ。現在は警視庁のコンピュータ犯罪捜査官を務めている。母親には「私の小さな天才くん」と呼ばれていた。

坂井 大輔 (さかい だいすけ)

エンジェル投資家の男性。年齢は40歳。ベンチャー企業へ個人投資をし、投資先にポストを用意してもらって事業に参加するスタイルを得意としている。不安定なベンチャー企業を投資先に選ぶという事はストレスにもなっているが、それを続けているのは、TRASH.inc時代の戦友である御手洗昴の死を重く受けとめ、才能あふれるが不器用な人達を支えたいという、強い気持ちがあるため。早稲田大学在学中から付き合っていた小林あかりと結婚したが、35歳の時に離婚。27歳でTRASH.incを起業し、2年後にTRASH.incを20億円で売却した。それからは、億単位でのビジネス世界で生きるようになった。是枝一希の才能を早くから見抜き、根気よくコミュニケーションを取り、一希なりの仕事の仕方を発掘させる事に努める。極度の寂しがり屋で、カフェも一人で入れない。つねに人の気配を感じたくて、自宅の数フロアをオフィスとして貸し出している。職場兼自宅の坂井ビルに帰ると、安心感からパンツ一枚の姿になってしまう。実家は藤ノ屋旅館を経営しており、経営不振に陥った際、兄と共に自らリノベーションに乗り出し、見事に経営を持ち直させた。甥の坂井勇生には「大ちゃん」と呼ばれ、懐かれている。

神崎 翔太 (かんざき しょうた)

警視庁刑事部捜査二課に所属している男性。家族構成は、両親と妹が一人。特別捜査係特殊知能犯の担当者で、役職は巡査部長。ネットゲームが大好きで、睡眠も忘れてやり込むほどはまっている。コーヒー好きだが、愛飲しているのは練乳がたっぷり入った激甘コーヒー飲料。ITの専門用語ばかりを並べ立て、言葉が通じないもどかしさから暴れる是枝一希に最初は辟易していたものの、徐々に一希のプログラマーとしての才能を信用し、IT関連の捜査協力を依頼するようになった。戦隊ヒーローにあこがれて警察官を志したほどの熱い性格ながら、口より先に手が出てしまうところがある。取り調べ中に容疑者の顎の骨を砕いてしまう不祥事を起こした事があるが、それは容疑者が財界との有力なコネクションを持っていたために罪に問われず、不起訴になってしまったやりきれなさから暴行しただけで、本来は非常に正義感にあふれた好人物である。警察の古い体質を壊して正しい世の中を創り出したいという野望を持っている。勤務中はスーツ姿だが、私服はラフで今時の若者風。

蘇芳 竜二 (すおう りゅうじ)

経済産業大臣である蘇芳正哉の息子。シリコンバレーで起業している。誕生日は1990年4月8日。凄腕のプログラマーで、裏社会でブラックハッカー達から絶大な人気を誇るウイルス製作者でもある。株式会社朝海鉄工へのサイバー攻撃を阻止された事から是枝一希に興味を持ち、彼のプログラマーとしての腕に惚れ込んだ。以来、株式会社朝海鉄工の関係者、朝海健太郎になりすまして一希に会いに行くなど、執拗に追い回すようになった。女好きだが、才能があれば男女関係なく熱意を向けるタイプ。シュレディンガーの飼い主で、つねにペットフードを持ち歩くなど、動物は大事にしている。愛猫家でハンドルネームは「laughingcat、笑い猫」だが、サイバー犯罪の協力者を募る時は「武器商人」と名乗る事もある。日本で生まれ育ったが、髪を金色に染め、海外に生活の拠点を移してかなり経つ。異母姉の鶴野秋の事を大事にしている。正哉の人間としての汚さを嫌い、正哉のために人生を狂わされた秋と共謀し、正哉の地位や権力をすべてを奪い、苦しめてやろうと考えている。

加藤 剛 (かとう つよし)

是枝一希の昔からのパソコン仲間の男性。年齢は26歳。一希とは高校生の時に、パソコンの部品狙いで近くの工場の廃品置き場を漁っていた時に知り合った。一希とは、近所に住んでいるという事もあり、非常に仲がよく、年齢差から弟のように感じている。つねに一希の処遇を心配して実家で食事をさせるなど、保護者目線で世話を焼く事も多い。実家は加藤製菓で、雷おこしを販売している。パソコンオタクのため、スーパーコンピュータが作りたくて弥生電機工業に入社したが、SEではなく営業マンとして勤務している。見た目がいかつく、よく食べる事から、一希には「ゴリラ君」と呼ばれている。見た目に反して涙もろい人情家でもある。

鶴野 秋 (つるの あき)

経済産業大臣である蘇芳正哉の娘。母親は広島伊達会の幹部の女性だったが、正哉が妊娠させた事から、正哉の妾となった。正哉と共に上京した母親が正哉を裏切ろうとした際、見せしめとして強姦された事から、正哉を破滅させる事を誓う。誕生日は1990年4月5日で、クラッキングの才能に秀でている。株式会社ゲームビットへヒマつぶしにサイバー攻撃を仕掛けた際、是枝一希に防御され、鶴野秋自身の持つ18台のパソコンを破損させられた事から一希に一目置くようになる。使用しているプログラミング言語は「スカラ」で、比較的少ないコード量で綺麗に自分の考えを表現できるところが気に入っている。ネット上では「ヴァルキュリア」を名乗っており、異母弟で打倒正哉の意思のもとに共闘宣言している蘇芳竜二には「ヴァル」「女王様」と呼ばれ、目をかけられている。カクテルが作れるため、ソムリエとしてバーに勤めた経験がある。規則正しい機械音の中にいる事に安らぎを感じ、つねに多くの機械に囲まれながら眠りに就く事を習慣としている。愛煙家。

丹羽 久嗣 (にわ ひさつぐ)

警視庁サイバー犯罪対策課に所属している男性。神崎翔太とは警察学校の同期だが、剣道の試合でつねに翔太に負けていたため、一方的にライバル視している。かなりの強面で、高身長で体幹もしっかりしているため、暴力団担当刑事に間違われる事も多い。理系だという理由だけで、サイバー犯罪対策課に配属された事に憤りを感じており、前線で活躍する刑事課に活躍の場を奪われる日々をいつも憂えている。警察学校時代は成績優秀で、花形の捜査一課配属を熱望していたため、現在の業務が苦痛で仕方がない。修行の一環と思って耐えていた中、パソコンを楽しそうにあやつる是枝一希に出会い、丹羽久嗣自身の考え方に疑問を持ち、それからは与えられた役目に真摯に向き合うようになった。一希がmosに拉致され、拷問された事件以後、サイバー犯罪対策課の裏方的なポジションである匿名掲示板巡回見張り役に配属され、現場に出る事はなくなった。その後、衣笠真琴にサイバーテロ対策特別研究チームの一員に抜擢され、一希と共に奮闘する日々を送っている。

衣笠 真琴 (きぬがさ まこと)

警視庁刑事部捜査二課に所属する女性。年齢は35歳。警視庁から出向して来たキャリア組で、捜査二課では管理官のポストに就き、その優秀さから、将来の捜査二課長の最有力候補と噂されている。サイバー事件は新種の知能犯を生み出す温床と考え、危険視している。悪しき男社会である現在の警察を憂いており、柔軟かつ繊細な女性の視点こそが、警察には必要であると考えている。神崎翔太が連れて来た是枝一希のプログラミングの腕を見るなり、一希の有能さを理解し、それからはサイバー絡みの刑事事件の数々の解決法を一希に尋ねるようになる。サイバー犯罪の事例によくかかわるようになってから、蘇芳正哉に指名されてサイバーテロ対策特別研究チームのリーダーを務めるようになった。正哉が日本を電子戦闘国にしようとしている事を坂井大輔に聞いてからは、大輔や一希と共に正哉を危険視しするようになった。

藤井寺 絵美 (ふじいでら えみ)

神崎翔太の部下で、相棒でもある刑事の女性。警視庁刑事部捜査二課に所属し、特別捜査係特殊知能犯の担当者を務めている。捜査二課には人員不足のため異動して来た。ショートヘアで声が大きく、男勝りな性格をしている。レスリング経験者で体術にも長けており、是枝一希に暴力を振るおうとした小沢を投げ飛ばし、一希を助けた事がある。先輩である翔太が容疑者の顎の骨を砕く不祥事を起こした事を知ってから、翔太の行動に対して不信感を抱くようになったが、古い体質の警察社会を正そうと奮闘する翔太の志に触れてからは、翔太を信頼するようになった。大の犬好きで、256の事を撫でまわしてかわいがっている。

蘇芳 正哉 (すおう まさちか)

経済産業大臣およびサイバーセキュリティー担当大臣を務めたのち、日本の総理大臣に就任した男性。お飾りの名ばかり大臣ではなく、サイバー方面にも明るく、能力も非常に高い。坂井大輔とは、国際ハッキング競技会で初顔合わせとなったが、大輔の優秀なハッカーは数万人の兵士と同価値だという言葉に共感し、賛同の意を示した。インターネットが核兵器を上回る破壊力を持つようになった現状を的確に捉え、日本を世界最強の電子大国にする事を目標にしている。高校時代は苦学生で、出身地である広島の造船所でアルバイトをしていたが、そこで広島伊達会と共謀して麻薬の密輸で莫大な資金を手にし、政界入りを果たした。妻は代々続く政治家の娘で、彼女とのあいだに蘇芳竜二を授かり、広島伊達会の幹部の女性を寝取り、妾とした彼女とのあいだに鶴野秋を授かった。権力と独占欲で秋の家庭を壊した事から、秋と彼女に共感した竜二に破滅を望まれている。高校時代の同級生で、造船所で共にアルバイトや密輸に手を染めた高星雷には、厚い信頼と友情を抱いている。

唐沢 周平 (からさわ しゅうへい)

株式会社ヘッジホッグの社長を務めている男性。小柄な体型で、気さくな性格の涙もろい人物。是枝一希の才能を目の当たりにするたびに、素直に感動している。坂井大輔のおかげで今の自分がある事を十分自覚しており、大輔に心の底から感謝して尊敬している。会社を立ち上げてから、不安定なベンチャー企業に勤めている事を理由に彼女に振られて以来、仕事一辺倒の生活が続いた事から、未だに彼女がいない。

西 ミノル (にし みのる)

株式会社ヘッジホッグに勤めているプログラマーの男性。非常に毒舌家であるが、仲間思いの優しい性格の持ち主。一度仲間と認識した是枝一希に関しても、彼の失敗を見るたびに、叱咤激励している。

南雲 亮 (なぐも りょう)

株式会社ヘッジホッグに勤めているプログラマーの男性。まじめな性格で社会性もあり、是枝一希のコミュニケーション下手な一面を見ても、うまく取り成している。口や態度の悪い仲間達がもめ始めた際も、両者のあいだに割って入って冷静に仲裁している。一希のプログラマーとしての才能にいつも素直に感心し、その勉強量の多さに一目置いている。

渡部 裕助 (わたなべ ゆうすけ)

株式会社ヘッジホッグに勤めているプログラマーの男性。石川県の出身で、未だに方言が抜けていない。会社で唯一方言でしゃべり、ふだんから加賀弁を使っている。ひょうきんな性格で、社内のムードメーカー的な存在。彼女ができては職場に連れて来て、仲間達に自慢しているが、長く続いた事がない。

256 (にごろ)

是枝一希の愛犬。大型犬のバーニーズマウンテンドッグ。年齢は9歳。もふもふした黒い毛が特徴で、人懐っこい事から一希の友人達にも広く愛されている。散歩は苦手で、長い距離を歩く事を嫌っている。一希の足音が聞こえただけで喜んで出迎えに行くほど、一希に懐いている。名前は、プログラマーがよく使う「2のべき乗」に由来している。もともとは是枝一希の母親が男性にプレゼントされた子犬だったが、それが一希に託されて、現在に至っている。

是枝一希の母親 (これえだかずきのははおや)

是枝一希の生みの親。夫と死に別れたあとに献身的に世話を焼いてくれた夫の友人、真木徹也と再婚したが、浮気性な事から真木と結婚後も自由奔放にさまざまな男性とデートを繰り返し、最終的には蒸発してしまう。一希の事は大切に思っており、一希が学校でいじめられている事を知った時も、激怒して学校に乗り込もうとした。若々しくてかわいらしい見た目で、天真爛漫な性格の持ち主。いつも元気いっぱいで、真木の家を出て行った日も、同じように明るい態度で幼い一希に接した。一希の事はその才能を好意的に捉え、「私の小さな天才くん」と呼んで非常にかわいがっていた。

玉山 (たまやま)

株式会社ゲームビットの社長を務めている男性。プログラミングの仕事中は、作業に没頭するためにヘッドホンをつけて、誰にも邪魔されない環境を作っている。粗野な性格で非常に口が悪く、坂井大輔の投資を受けて起業したが、大輔に対しても辛辣な言葉を投げかけている。大輔は玉山の口の悪さを、吠えれば吠えるだけ作品がよくなると、笑って受け流している。会社をサイバーテロから救ってくれた是枝一希に心から感謝しており、自身の持つ携帯ゲーム機をプレゼントした。そのゲーム機は一希にとって初報酬同等の価値があるため、使用される事なく大事に一希の部屋に飾られている。ダウンロード式のゲームが大好き。社員には「玉さん」と呼ばれて親しまれている。

高城 (たかぎ)

加藤剛の学生時代の先輩だった男性。九州に住んでいた。享年28歳。剛と共にロボット研究会に所属し、寝食忘れて共に作業した仲。学生時代からパソコンに強く、プログラマーとして活躍していた。非常に優しい性格で、学生時代から自分が抜けるとチームメンバーが困ると思うあまり、オーバーワーク気味だった。勤め先でもつねに仲間のフォローを忘れずに仕事に従事していたが、過労がたたって亡くなった。一人娘の高城麻友にはよく懐かれており、仕事でパソコンに向かう姿もよく見せていた。そのため、高城が仕事で使うパソコンのパスワードを麻友が覚えており、その事が高城の死後、高城の同僚の仕事を助けるのに一役買った。

高城 麻友 (たかぎ まゆ)

高城の一人娘。加藤剛の事をゴリラと呼び、懐いていた。父親が過労死した事に関しては、忙しくて家にいないだけだと思っている。高城が仕事でパソコンに向かう姿をよく見ており、高城麻友が高城のパソコンのパスワードを覚えていた事で、高城の同僚の仕事を助けるきっかけになった。

加藤 孝平 (かとう こうへい)

加藤剛の弟。大学に通っている。お洒落で細身の、今風の若者らしい服を身につけている。是枝一希のコミュニケーション下手に理解を示す事はなく、剛が一希となかよくしている事に心から敬服している。

朝海 (あさみ)

株式会社朝海鉄工で社長を務めている中年の男性。坂井大輔の知人で、大輔の紹介で是枝一希にIT方面のコンサルティングを依頼する事にした。古き良き時代の社長さながらの雰囲気を漂わせている。パソコンに詳しくないため、まだ若い一希の事を最初は小馬鹿にしていたが、ITの専門家としての才能を垣間見て、敬意を払って接するようになった。一人息子の朝海健太郎には、関西に研修に行かせるなど、跡取りとして期待している。

朝海 健太郎 (あさみ けんたろう)

株式会社朝海鉄工の一人息子。作業着の似合う、実直そうな性格の持ち主。職場の女性と社内恋愛の末に結婚した。父親の命令で関西に研修に行くなど、着実にキャリアを積み重ねるが、会社が蘇芳竜二にサイバー攻撃された時に研修中で出かけていたために、竜二が是枝一希に会いに行くために、自身になりすまされた事がある。竜二の小学生の時の同級生で、当時太っていた竜二がいじめられていた際、いじめっ子とのあいだに入ってかばっていた。しかし竜二は自分をかばう朝海健太郎に気味の悪さを覚えており、竜二が会社を標的にサイバー攻撃をしたのは、健太郎の結婚祝いと称した嫌がらせであった。

原田 文寿 (はらだ ふみとし)

株式会社タイラントを経営している男性。表面上は坂井大輔に敬意を示しているが、実際は大輔の事をITバブルに乗っかった運のいいだけの人間だと見下し、反旗を翻す機会をうかがっている。経営不振の中、各所でサイバーテロが起きている事態を鑑み、苦肉の策としてクラッキングされない安全性を売りにしたSNSサービスの展開を始めた。地味なサービスをより際立たせて見せるために、蘇芳竜二に依頼してライバル会社にあたるIT企業にサイバーテロを仕掛けさせた。この件に関して、物的証拠を残さなかったため警察に逮捕される事はなかったが、大輔に状況証拠を摑まれて融資を受ける事ができなくなり、破滅の道をたどる事になった。

小林 あかり (こばやし あかり)

坂井大輔の元妻。早稲田大学の卒業し、現在は外国人と再婚してフランスに住んでいる。再婚相手とのあいだに娘が一人おり、いっしょに買い物に出掛けるなど、現在の家族とは非常にいい関係を築いている。一般財団法人の理事を務めており、評論家としての顔も持っている。中年の女性ながら昔と変わらない美貌を持ち、離婚したあとも大輔をからかう事に生きがいを感じるなど、茶目っ気がある。大輔の仕事に対する貪欲さと情熱を評価する一方で、付き合いきれないと判断して別れを切り出した過去がある。既に交際していない時期であったにもかかわらず、TRASH.incが経営難に陥った際、消費者金融の借金がすごい金額に膨れ上がり、途方に暮れていた大輔を叱咤激励した。現在も事あるごとに大輔の愚痴を聞き、檄を飛ばしている、大輔にとっては頭の上がらない存在。

喜多川 弘之 (きたがわ ひろゆき)

起業家の男性。以前は坂井大輔と共にTRASH.incで仕事をしていた事がある。既婚者で、娘が一人いる。大輔とは早稲田大学在学中からの付き合い。大学在学中からパソコンに興味を持ち、電機メーカーに就職した。ほかの起業家達が大輔を尊敬している事にジェラシーを感じている。大輔に御手洗昴と手塚圭吾を紹介し、TRASH.incを増員して事業拡大へと導いた。

御手洗 昴 (みたらい すばる)

TRASH.incのエンジニアを務める男性。TRASH.incに勤める前は、喜多川弘之と同じ電機メーカーに勤めていた。弘之の後輩にあたる。非常におとなしい性格で、プログラミングを得意としている。プログラミングの方法に強いこだわりがあり、大きな組織の歯車になりきれずに電機メーカーを自主退社した過去がある。弘之の紹介で坂井大輔と出会い、TRASH.incのエンジニアになった。つねに仏頂面で、言葉が足らないために無愛想な人間に見られがちだが、実際は情にもろく、パソコンを使って人に感謝される事に生きがいを見出している。TRASH.incが経営難に陥った際は、家賃分の給料をもらわずに済むようにと、自主的にTRASH.incに住み込みで働くようになった。猪野秀樹の投資を受け、TRASH.incが20億円の値がつき、大手企業に売却されたあと、御手洗昴自身も起業するが経営不振に陥り、それを苦に飛び降り自殺した。

手塚 圭吾 (てづか けいご)

TRASH.incのエンジニアを務める男性。早稲田大学出身で、在学中に髪を剃り、それからは剃髪スタイルを貫いている。喜多川弘之の後輩で、就職浪人していたところを弘之にスカウトされ、TRASH.incのエンジニアを務めるようになった。物腰が柔らかく、優しい性格をしている。TRASH.incが経営難に陥った際、家賃分の給料をもらわずに済むようにと、自主的にTRASH.incに住み込みで働くようになった。TRASH.inc解散後は弘之と共に起業し、現在も共に働いている。

桐生克典 (きりゅう)

北里法律事務所に勤務する弁護士の男性。長野県出身。坂井大輔の兄、坂井徹彦の中学時代の同級生で、大輔と同じ高校に在学中は、生徒会長として活躍した。学生時代から頭脳明晰で勇敢な性格な事から、みんなに一目置かれる存在だった。弁護士を目指したきっかけは、高校3年生の時に工場勤務していた父親が、仕事中に健康被害に遭い、働けなくなって退職を余儀なくされた事から。巨大な歯車の小さなパーツは、不当に解雇されても悲鳴を上げる事すらできない世の中に憤りを感じて、社会的弱者を守るために奮闘している。大輔や徹彦とは今も家族ぐるみで仲がいい。

坂井 勇生 (さかい ゆうせい)

坂井徹彦の息子。プログラミングが趣味で、天才的プログラマーの是枝一希の仕事ぶりを見て以来、すっかり惚れ込んでしまった。好奇心旺盛な小学生で、コミュニケーション下手な一希を前にしても物おじしなかった。顔や雰囲気が、叔父の坂井大輔にそっくりで、初対面で一希をとまどわせた。大輔とは通じるものがあるのか、とても仲がよく、「大ちゃん」と呼んで懐いている。中学生の姉の坂井美生がいる。

A・J・マニング (えーじぇーまにんぐ)

アメリカの大統領を務めている男性。NFLで大活躍した元アメフト選手で、アメリカではアイドル的な存在。まったくスキャンダルがなく、完璧な政治家。ファーストレディーは某大富豪の令嬢。しかし気が多く、現在は政策秘書のビアンカ・モレーノを愛人にすべく必死に口説いている。

mos (もす)

闇サイトのステーションの管理者をしている男性。非常に疑り深く、慎重な性格をしている。mosはネット上で使用している名前で、本名は不明。是枝一希とは現実世界での面識こそないものの、ステーションを通して、ネット上ではかなり古くからの知り合いである。現実世界では音楽関係の仕事をしており、一般的な家庭を築き、よき父親を演じて幼い娘を溺愛している。ステーション運営を通じて知り合った闇社会を生きる者たちと、誘拐や人身売買等の犯罪に手を染める裏の顔を持っている。スマートフォンを使った課金制の陣取りゲーム、TWOLANDに熱中している。Gradの開発を依頼した事をきっかけに一希と対面し、誘拐および拷問に及んだが、神崎翔太、藤井寺絵美、丹羽久嗣によって現行犯逮捕された。

高 星雷 (かお しんれい)

中国人の男性。中国最大手のサイバーセキュリティー会社の、技術部門の責任者を務めている。名ばかりの役職ではなく、自身も相当腕が立つプログラマーで、業界では高星雷にあこがれている人間も多い。高校卒業まで日本に在住していた過去を持ち、高校生当時は蘇芳正哉と同学年だった。正哉とは高校生の時に同じ造船所でアルバイトに励み、共に苦学した経験から特に仲がよく、高校卒業後に中国へ戻ってからも親交は続いた。造船所でのアルバイト中に広島伊達会にリンチされ、片目にやけどを負って現在もその傷が生々しく残っており、彼のトレードマークとなっている。正哉の頼みで、黒海を率いて日本国内のショッピングサイトを次々に機能不全にする事態を引き起こしたが、是枝一希の開発した新生スナイパーに屈し、以来、一希には相応の敬意を払っている。正哉の頼みで、MIRAGEに潜入を試み、成功した最初の人物である。日本での名前は「高垣雷太」。

カルロ・アオキ

PSAFとPSAFの日本支部のリーダーを務めている男性。祖父が日本人の日系三世で、元軍人だった過去を持つ。軍人時代は特殊部隊に所属しており、銃撃戦が得意。接近戦には長刀を用いる事もある。フィリピンで使用していた銃を日本に密輸する際、仲間たちを先導したと思われる人物であるため、公安部の赤城にマークされている。日本で開催されたサミットで大規模テロを計画し、蘇芳正哉を道連れに自爆しようとするが、正哉に不意を打たれて、警察に囲まれて銃殺された。

三浦 (みうら)

警視庁捜査二課に所属している男性。特殊捜査係特殊知能犯担当者を務めている。是枝一希が株式会社朝海鉄工でサイバー攻撃に対処していた時期が、海外サイトに金銭の要求の書き込みがあった日時と一致している事から、一希が犯人ではないかと怪しんだ。神崎翔太と共に坂井ビルに乗り込み、一希を任意同行で取り調べる事にした。しかし大声で脅したり、一希の言い分を聞く前から一希を犯人だと決めつけた尋問をするなど、相棒の翔太にもたしなめられるような意固地な取り調べを行った。

窪塚 (くぼづか)

警視庁サイバー犯罪対策課に所属している男性。ふだんから丹羽久嗣といっしょに行動しており、久嗣と共にサイバーテロ対策特別研究チームに所属していた。紳士的で優しい物腰で、コミュニケーションが苦手な是枝一希をいつも温かく見守っている。一希のプログラミングの腕には相応の敬意を払い、一希のやるむちゃにも信頼してよけいな口を出さない。

ジョセフ・カスティーヨ

PSAFの主要メンバーの男性。現在はフィリピンで刑に服しているが、PSAF内での人気は絶大で、新時代のリーダーに最もふさわしい人物として崇められている。PSAFの司令塔に就任後、組織がより残虐性を極めるようになった事から、世界政府が釈放を危険視している人物である。

井草 公俊 (いぐさ きみとし)

国内大手レストランチェーンの株式会社イグサフーズの社長を務めている男性。自身の息のかかった社員のパワーハラスメントを傍観するどころか、井草公俊自身も関東地区を中心に活動する犯罪グループの暴雷連合を抱え込み、裏でさまざまな悪事を働いている。是枝一希の活躍により、暴雷連合のサイバー犯罪が暴かれた際、天野さとるおよび北里法律事務所脅迫の容疑で逮捕された。

猪野 秀樹 (いの ひでき)

日本でエンジェル投資家の活動を始めた先駆者的な存在の男性。自社ソフトをアメリカの企業に10億円で売って大成功した過去を持つ。ロンドン生まれの神戸育ちの日本人で、コロンビア大学在学中に起業した。過去の偉業にとらわれず、つねに積極的に新事業を生み出そうとする姿勢を崩さない。考え事をしていると周りが見えなくなってしまうタイプながら、仕事に関する情熱は人一倍で、ベンチャー企業が受け入れづらい日本の現状を嘆いている。TRASH.incに投資してくれる企業を探していた坂井大輔と偶然出会い、大輔の描く未来を信じてTRASH.incに2億円を投資した。

中井 巻雄 (なかい まきお)

ホワイトレックス社に勤めている男性。暴力団の一ツ橋組の関係者で、金で殺人を請け負う裏の顔を持っている。マネーロンダリングに手を染めるホワイトレックス社の重要人物で、横山から連絡を受け、山田毅の不正を暴こうとした鈴村を殺害した。鶴野秋にボットとプログラムを作らせ、人気オンラインゲーム関連のリアルマネートレーディングで、不正に得たお金のマネーロンダリングを繰り返している。

雪梅 (しゅえめい)

中国で活躍している女性議員。坂井大輔の知人で、日本国内のショッピングサイトが次々に機能不全になる事件が勃発した時、大輔が最も信頼を寄せて頼りにした人物。若手ながら軍部情報にもアクセスできる権限を持っている。優秀ながら、冗談も通じてセクシーさも併せ持っている事から、大輔のお気に入りの女性でもある。

redber (れっどばー)

闇サイトのステーションを愛用していた少年で、mosとは現実世界でも面識がある。ネット上でzer0として活動する是枝一希のファンである事を公言しており、それ故、蘇芳竜二に気に入られている。Zer0に心酔する理由は、自分と年齢が近いのにもかかわらず、すごいコードを正確に速記できるから。プログラミングの腕はかなりのもので、一希の開発したGradの罠を見破る事に成功したが、それは日頃から一希の書くコードをよく読み込んでいたためである。mosがGrad開発を依頼した事をきっかけに一希と対面し、誘拐および拷問に及んだが、神崎翔太、藤井寺絵美、丹羽久嗣によって現行犯逮捕された。

小沢 (おざわ)

是枝一希の中学時代のクラスメートだった少年。柄の悪い仲間とつるんでいたところ、一希に金を無心しようと近付いたが、偶然居合わせた藤井寺絵美に追い払われた。中学在学時に、一希の鞄に触ろうとしたところ、暴れられて頭を五針縫うケガを負った事を未だに根に持っている。

二見 (ふたみ)

かつて坂井大輔が投資した男性の一人。礼儀正しく非常にまじめな性格で、自身の仕事が軌道に乗ったあとも、大輔とは飲みに行く間柄。学生時代からの知人である鈴村を大輔に引き合わせた人物でもある。実直な鈴村の死因がアルコール中毒と覚せい剤使用と知り、山田毅に殺された事を薄々感じているが、何もできずに悔しい思いをしている。

島田 結翔 (しまだ ゆうと)

PSAFの日本支部に所属していた中学生男子。年齢は13歳で、滋賀県に在住している。家族構成は両親と姉が一人だが、父親は3年前から仕事の都合でインドネシアに単身赴任している。頭はいいが本番に弱いタイプで、中学受験で本命校に落ちて以来、父親の影響でプログラミングに没頭するようになった。PSAFでのコードネームは「フェニックス」で、PSAFではIT能力の高さを買われて重宝された。その能力は、是枝一希の開発したデウスをも翻弄するほどのものだが、子供ならではの短慮さが災いし、またインターネットカフェを身分詐称せずに利用したため、すぐに一希に身元を割り出され、警察に保護される事となった。日本の淡路島で開催されるサミットでPSAFがテロを起こすのを支援するため、カルロ・アオキと密に連絡を取り合っていたが、土壇場で残虐な殺人を強行しようとするPSAFに恐怖を感じ、PSAF離脱を決意した。一希ら警察の助けを得て、PSAFの支配から逃れる事に成功するものの、その後の人生を罪悪感にさいなまれて生きていく事になった。

田尻 (たじり)

警視庁サイバー犯罪対策課に所属している男性。役職は巡査部長。仕事の性質上、捜査二課を目の敵にしているサイバー犯罪対策課に所属していながら、捜査二課のリーダー的な存在である衣笠真琴と懇意にしている。是枝一希とは、衣笠の紹介で知り合った。是枝一希の愛用のノートパソコンが非常に古い型のものである事から、無能であると一希を馬鹿にしていたが、彼のプログラミング技術を目の当たりにしてからは一希の技術にすっかり惚れ込み、尊敬するようになった。

天野 さとる (あまの さとる)

国内大手レストランチェーンの株式会社イグサフーズに勤めていた男性。上司からの酷いパワーハラスメントにより、退職を余儀なくされた。上司からは激しい暴行を受けていた事から、妻が北里法律事務所の桐生克典に相談した。息子の太陽が春から小学校に上がる事もあり、なんとか次の仕事を探したいと考えているが、イグサフーズで受けた心の傷が癒えず、未だに布団から出る事ができずにいる。

真木 徹也 (まき てつや)

是枝一希の義理の父親。ビデオ屋のレンタルLeoを経営していた。早くに亡くなった一希の父親の友人で、是枝一希の母親と再婚して一希の父親となった。一希の母親と再婚後、彼女が蒸発してしまったため、一希と長く二人暮らしをしていた。物静かな性格ではあるが、浮気性の母親が出て行ったあと、徐々に一希にきつく当たるようになっていった。一希が10歳の時にパソコンを買い与えて、一希の才能を開花させるきっかけをつくった人物。一希が18歳の時に亡くなる。

横山 (よこやま)

山田毅の秘書を務めている初老の男性。鈴村の上役にあたる。一見、柔らかな物腰の好人物に見えるが、山田の身を守るためならば手段を選ばず、荒っぽい手も平気で使う山田の腹心。山田が不正献金を受けている物証をつかみかけた鈴村を黙らせるようにと中井巻雄に依頼し、横山自身の手を汚さずに鈴村を亡き者にした。

シュレディンガー

蘇芳竜二の飼い猫。竜二がサイバー攻撃した際のウイルスの名前として使用された。また竜二がシリコンバレーで起業した際の、企業名としても使われている。非常に竜二に懐いており、艶めかしい四肢に竜二はメロメロである。

山田 毅 (やまだ つよし)

憲民党のリーダーを務めている国会議員の男性。将来的に総理大臣になる事を期待されていたが、蘇芳正哉と総裁選で争っている最中に、不祥事が発覚して辞任の道を選び、政界を去った。裕福とは呼べない家庭で育った苦労人で、当選当初は非常に誠実な人柄だったが、金回りがよくなるにつれて、徐々に金遣いが荒くなり、ご執心の女性のいる高級店に毎夜通うようになった。金融庁の情報を流す見返りに不正な献金を受けていたが、その金銭授受の方法は、一つのメールアドレスを共有して、相手先のホワイトレックス社の中井巻雄と、メッセージを下書きし合いながら会話するという斬新なものだった。

真鍋 (まなべ)

警視庁サイバー犯罪対策課に所属している男性。ふだんから丹羽久嗣といっしょに行動しており、久嗣と共にサイバーテロ対策特別研究チームに所属していた。研究者然とした風貌からは想像できないほどちゃめっ気があり、是枝一希のコミュニケーション下手を事あるごとにからかっている。ただし、愛のあるいじりであるために一希には懐かれており、パソコンの画面を覗いて共に勉強している事も多い。一希のプログラミングの腕には敬意を払い、一希のやるむちゃにも信頼して見守る姿勢で臨んでいる。

斉藤 隆 (さいとう たかし)

無職の男性。年齢は26歳。ネット上の国産車の部品情報コミュニティーで知り合った足立透、鹿島豊、細川達也と共に、遠隔操作で乗っ取ったパソコンで要人誘拐や現金輸送車爆破、パトカー襲撃を行って世間を騒がせた。要人誘拐を計画中に、是枝一希によって現行犯逮捕され、鹿島豊と共謀して一連の事件を起こした首謀者である事が判明。中学生の時からマニアと称されるほど無線にのめり込み、その趣味が高じて、小型マイクを使った盗聴や違法コピーで小金を稼いでいた。事件を起こした際はパソコンでの遠隔操作を実際に行っており、斉藤隆自身の中に蓄積されたIT知識と自動車整備士へのインタビューからカーナビシステムの脆弱性を突き、今回の遠隔操作犯罪を思いつくに至る。事件を起こした理由は、中国のブラックマーケット相手に、日本の車の遠隔操作による犯罪実例のデモンストレーションをするためだった。

坂井 美生 (さかい みお)

坂井徹彦の娘。中学生で、やんちゃな弟の坂井勇生の面倒をよく見るしっかり者。クールな性格をしており、大人の面倒事にはかかわらないように装う器用さを持つ。家の中でもマスクをつけている事が多いが、大事な場面では礼儀を重んじてマスクを取り外す事を忘れない。社会人の成功者として、叔父の坂井大輔には相応の敬意を払っている。

足立 透 (あだち とおる)

自動車整備士をしている男性。年齢は25歳。ネット上の国産車の部品情報コミュニティーで知り合った斉藤隆、鹿島豊、細川達也と共に、遠隔操作で乗っ取ったパソコンで要人誘拐や現金輸送車爆破、パトカー襲撃を行って世間を騒がせた。要人誘拐を計画中に、是枝一希によって現行犯逮捕された。取り調べでは四人の中で一人だけ自供したが、ターゲット車に近付くために斉藤に利用されただけの一般人である事が判明した。事件を起こす際も運転手役を任されただけで、サイバーテロを起こせるようなパソコン知識は持っていない。

吉川 耕造 (よしかわ こうぞう)

元広島県警の刑事だった男性。現在は退職したが、在職時と変わらず、広島市内に居を構えている。高星雷が被害に遭った、造船所でのリンチ事件を担当していた。同事件で高校生だった蘇芳正哉と接触し、正哉がヤクザと手を組んで麻薬密輸で莫大な資金を手にした事を知り、正哉逮捕を目標に捜査していたが、妻が偽装事故で殺されるなど、正哉に敵わない事を思い知らされる結果に終わった。以来、事なかれ主義に徹底しており、正哉の弱味をにぎるために広島までやって来た神崎翔太と藤井寺絵美に、命が惜しければ深入りしない方がいいと忠告した。

鈴村 (すずむら)

山田毅の第二秘書を務めている男性。最近金遣いの荒い山田に不信感を抱き、坂井大輔を通じて、是枝一希に山田が不正な金銭を得ていないかの調査を依頼した。熱い志を持っており、インターン中に当選した山田の誠実な人柄に心酔し、彼についていく事を誓った。一希のおかげで山田が不正な献金を受けている事を知るが、現在の日本には山田のような政治家が必要だと考え、横山に相談して山田の不正をやめさせようと奮闘する。結果、横山の手にかかって殺されてしまう。いつか議員秘書から政治家になり、一度の失敗ですべてが終わってしまう日本のシステムを変えたいという夢を持っており、その志を一希は非常に尊敬していた。

中村 貴 (なかむら たかし)

大学生の男性。大学主催の学生起業家プレゼン大会を縁に、坂井大輔と知り合った。プライドが非常に高く、自身の起業アイデアを大輔に認めてもらえなかった事に立腹し、大輔を貶める事を画策する。鶴野秋に力を借りて盗聴アプリを作成し、大輔にインサイダー取引容疑がかかるように仕向けた。最後は自らの存在をアピールしたい気持ちから、大輔を罠にかけた事を自白して逮捕された。

高城 由美 (たかぎ ゆみ)

高城の妻。高城が過労死したあとは、娘の高城麻友と二人暮らしをしている。高城の後輩である加藤剛と古くから親交があり、突然死した高城の仕事用パソコンのパスワードを調べてほしいと、剛に依頼した。

赤城 (あかぎ)

警視庁公安部外事第三課国際テロ第一担当第二係所属の男性。陰ながら日本を守る役目に就いているため、「赤城」が本名であるかどうかは誰にも明かしていない。堅い職務とは裏腹に性格は明るく、ちゃめっ気がある。非常に仕事熱心で、国内にまぎれ込んだPSAFのメンバーを捕えるために、サイバーテロ対策特別研究チームで極秘開発中との噂のあるシステム、デウスを使用する事を望み、開発者の是枝一希に接近した。任務のためならば手段を選ばないタイプだが、根は涙もろい人情家である。分析力と判断力に長け、富士や空木とチームを組んで日夜行動を共にしている。

坂井 徹彦 (さかい てつひこ)

坂井大輔の兄。野心家の大輔と違い、穏やかで物静かな性格をしている。長野の実家で、年老いた父親と共に暮らしている。現在は父親から継いだ藤ノ屋旅館の新館部分を、確かな手腕で経営している。結婚しており、家族は妻と息子の坂井勇生、娘の坂井美生の三人。藤ノ屋旅館のウェブサイトから侵入した鶴野秋にパソコンを乗っ取られ、自分名義のオンライン証券口座で多額の株を売買した履歴を残され、結果、大輔のインサイダー取引疑惑を引き起こす事になってしまった。中学生の時の同級生、桐生克典とは現在も親交があり、克典には「徹」と呼ばれている。

集団・組織

ドリームチーム

警視庁捜査二課の神崎翔太と警視庁サイバー犯罪対策課の丹羽久嗣、そして警視庁との契約により、コンピュータ犯罪捜査官として活動する是枝一希の三人が協働作業する際のチーム名。初めて三人で集まって作戦会議をした日に、翔太により命名された。具体的な協働内容は、一希の開発したコードの追跡システムをもとに前科のあるサイバー犯罪者を洗い出す、もしくは前科のないサイバー犯罪者のデータ収集を行い、一希が事故現場での鑑識係的役割を担い、ネット上の犯罪者について調査する傍ら、翔太と久嗣が前線に立って犯人逮捕に尽力するというもの。攻撃に転じる際は、一希が開発した反撃型自動追跡ソフトのスナイパーを使い、ネット犯罪者を追い詰める。実際の犯罪と違ってサイバー犯罪は、犯人が現場に足を運ぶ事がなく、それ故に証拠が残りにくい事に不満を抱えた三人だからこそ発足に至った。

黒海 (へいはい)

高星雷が長を務める、裏社会で暗躍する工作用サイバー部隊。メンバーは全員中国人で、活動拠点も主に中国である。蘇芳正哉の依頼で、日本の大手ショッピングサイトをサイバー攻撃し、機能不全にした事がある。MIRAGE侵入の容疑で星雷が現行犯逮捕されたあと、是枝一希の活躍により、黒海はアメリカ政府に摘発され、一味のほとんどは逮捕されて組織は解体された。

暴雷連合 (ぼうらいれんごう)

関東地区を中心に活動する犯罪グループの一つ。総長は鷲尾威が務めている。暴力団に属さない新たな犯罪グループで、暴力団への法規制をくぐり抜けて生業を行う厄介な存在。振り込め詐欺やフィッシング詐欺などのサイバー関連の犯罪行為にも精通しており、株式会社イグサフーズの社長の井草公俊にも目をかけられている。もとは暴力集団だったが、規模の拡大と共にビジネスに暴力は不要という方針を掲げ、直接的な犯罪行為からは離れ、ネット犯罪を中心に活動するようになった。表の顔は六本木に構えた健全な高級クラブを運営している。天野さとるおよび北里法律事務所脅迫の容疑で、組織のほとんどの人間が逮捕された。

サイバーテロ対策特別研究チーム (さいばーてろたいさくとくべつけんきゅうちーむ)

国産無人戦闘機の制御不能事件を受けて、経済産業大臣の蘇芳正哉が組織した、サイバーテロに対する特別部隊。組織発足に際し、正哉はサイバーセキュリティ担当大臣も兼務する事になった。正哉が総理大臣に就任したあとも、解体されずにチームは存続している。衣笠真琴がチームリーダーを務め、坂井大輔が民間からのアドバイザー役として就任した。メンバーは10人ほどで、是枝一希、神崎翔太、丹羽久嗣、藤井寺絵美など、主に警視庁捜査二課とサイバー犯罪対策課から集められた。国内のみならず、海外からの攻撃にも対応する精鋭部隊だが、警視庁や経済産業省主催のプログラマー育成教室の講師役として駆り出される事もある。チーム名のサイバーテロ対策特別研究チームが長すぎるため、ふだんは略して「特研」と呼ばれている。

広島伊達会 (ひろしまだてかい)

西日本で一大勢力を誇る暴力団組織。当時高校生だった蘇芳正哉の意見を取り入れ、麻薬や武器を密輸して莫大な資金と人員を得た。現在も広島伊達会は正哉とつながっており、裏から正哉を支えている。

PSAF

フィリピンで発足された武装組織。社会的無政府主義者の左翼ゲリラで、反国家を標榜(ひょうぼう)し、活動資金のために武器や麻薬の密売、人身売買を行う。検査のゆるいフィリピン大使館行きの荷物に多数の銃器をまぎれ込ませて日本へ持ち込み、日本人ジャーナリストを銃殺して日本中を混乱させた。同時に日本で勧誘活動を行い、組織拡大を目指している。勧誘活動は世界中で行っており、世界各地に支部があるという噂がある。フィリピンでは麻薬捜査官を処刑するなど、活発に活動しており、先進国をターゲットに大規模なテロを計画しているという情報もあるため、国際テロリズム案件として警視庁公安部が担当し、日夜確保および制圧に取り組んでいる。フィリピン大使館のパソコンに簡単に侵入するなど、優れたIT能力を持つ。

場所

坂井ビル (さかいびる)

坂井大輔が買い取り、完全リフォームしたビル。全11フロアの壁には穴が開いており、非常に風通しのいい、アーティスティックな造りになっている。地下1階がプログラマーの仕事部屋で、2階には大輔の仕事部屋、3階にはギャラリーとライブラリーがある。4階と5階は、社員達の自室。7階は人工芝が植えられた公園になっており、野球もできる広さがある。8階と9階はシアタールームもある大輔の部屋で、最上階の10階は露天風呂付き大浴場がある。ビル内にあえて銭湯を作ったのは大輔の実家が旅館で、大輔が大の風呂好きだったため。となりには「心心」という中華料理屋がある。

株式会社イグサフーズ (かぶしきがいしゃいぐさふーず)

井草公俊が社長を務める、国内大手レストランチェーン。ブラック企業として有名で、社員へのパワーハラスメントや暴力は当り前で、組織上層部は裏で犯罪組織の暴雷連合とつながっている。

株式会社ヘッジホッグ (かぶしきがいしゃへっじほっぐ)

唐沢周平が社長を務めている、SNS関連のサービス会社。坂井ビルに会社があり、坂井大輔が投資した事によって創立され、大輔の管理下に置かれている。大輔が社会勉強のために一希を放り込んだ縁で、メンバー全員が一希のプログラマーとしての腕を買っている。

株式会社朝海鉄工 (かぶしきがいしゃあさみてっこう)

昔ながらの鉄工所。サポートサービスの終了したウインドウズを使っていたため、その脆弱性を突かれてサイバー攻撃を受けた。その際は、坂井大輔の紹介で訪れた是枝一希がオリジナルのセキュリティパッチを作る事で対処した。その完璧な対応ぶりに歓喜した社長が、一希に会社のセキュリティのすべてを依頼する事を即決した。一希がITのフリーコンサルタントとなってからの、初めての顧客である。

レンタルLeo (れんたるれお)

真木徹也が運営していたレンタルビデオ、DVD店。真木の死後は営業を停止していた。真木の死後も、是枝一希と彼の愛犬の256はかたくなに住みついていたが、道路拡張工事のために無慈悲にも取り壊しが強行される事となり、一希と256は退去を余儀なくされた。

ホワイトレックス社 (ほわいとれっくすしゃ)

表向きはオンライン証券を扱う企業だが、実態は暴力団の一橋組絡みのフロント企業である。主な収入源は広域暴力団の資金運用で、覚せい剤の売買で得た組の収入を資金洗浄し、国会議員の山田毅に金融庁の情報を流してもらうべく、その一部を裏献金している。鈴村の死後、山田とメールの下書きフォルダ内で会話していた中井巻雄が在籍している企業という事で、怪しんだ坂井大輔が是枝一希と調査した結果、会社ぐるみで不正に得た金銭をマネーロンダリングしている事が判明。その手口は、鶴野秋に作らせた一万体のボットを使い、人気オンラインゲームでのリアルマネートレーディングを粛々と行っていくというものだった。

北里法律事務所 (きたさとほうりつじむしょ)

桐生克典が勤務している法律事務所。所長をはじめ、複数名の弁護士が活動している。すべての弁護士に反骨精神があり、社会的弱者であるクライアントを守る事に命を懸け、脅迫や誹謗(ひぼう)中傷にも物おじしない屈強な組織である。天野さとるが株式会社イグサフーズにパワーハラスメント、不当解雇を受けた事件をきっかけに、暴雷連合にサイバー攻撃を受けたが、是枝一希に助けられた。以来、一希の腕を見込んで共に仕事をする仲になった。

TRASH.inc (とらっしゅいんく)

坂井大輔が起業した会社。映画のDVDやレアグッズの並行輸入サイトの運営を主な事業としていた。事業が波に乗り出してからは、海外のマイナー映画のDVD販売に特化した事業へと方向転換した。最初は大輔が会社員と兼業で運営していたが、顧客増加に伴って業務量が増えたため、専業でやっていく事を決意。友人の喜多川弘之をエンジニアとして迎え入れ、弘之が連れてきた御手洗昴、手塚圭吾も入社した。個人個人のリアルタイムな売買を成立させるために、常時パソコンに張りついていなければならないため、社員全員がつねに過剰労働気味だったが、顧客が感謝してくれる事業であったため、どんなに薄給でもリタイアする社員は出なかった。広告に資金を使いすぎたため、深刻な経営不振に陥る危機に見舞われた時期もあったが、それは消費者金融を使って資金繰りを試みたためである。エンジェル投資家の猪野秀樹に2億円の投資を受けて企業を成長させ、3年後、大手企業に20億円で売却する事を契機にTRASH.incは解散した。

藤ノ屋旅館 (ふじのやりょかん)

坂井大輔の実家が営む、長野県にある老舗旅館。十数年前に経営不振に陥った際、二棟あるうちの一つを派手にリフォームして新館とした。大輔が資金を出し、建築家に依頼して300年前の立派な梁(はり)を残したまま、生まれ変わらせたのが自慢。新館は今風の使い勝手のよさから、半年先まで満室状態である。一方、なんの手も加えられていない昔ながらの旧舘は、昭和の時代にタイムスリップしたような趣きのある旅館だが、老朽化が進んで利用客がまばらになっている。現在は旧舘を大輔の父親が、新館を大輔の兄の坂井徹彦がそれぞれ経営している。

株式会社ゲームビット (かぶしきがいしゃげーむびっと)

坂井大輔が投資した企業の一つ。創業6年目で、社員14人の小規模な会社。ゲーム専用機にこだわり、ダウンロード式ゲームソフトを製作している。ソフト本体に含まれない、追加シナリオやアイテム等の有料データを多分に含むゲームソフトを作るが、追加データが有料である事を嫌がる消費者に頭を抱えている。2本目のソフトをリリースしたばかりの時にサーバーに不正侵入され、是枝一希に助けられた。

イベント・出来事

国際ハッキング競技会 (こくさいはっきんぐきょうぎかい)

KKYシステム主催のセキュリティー技術を競う国際大会。日本で初開催され、第1回目のアドバイザーとして坂井大輔をゲストに迎えた。第1回大会では、62の国と地域から予選を勝ち抜いた28チームが集い、熱いバトルを繰り広げた。競技はコンピュータ上のサイバー空間で行われ、相手の陣地を攻撃および防御し合って戦う仕組みで、プログラミングやOS、ネットワークなどの、あらゆる分野の力が試される事になる。参加者は学生やフリーランス、会社員と多岐にわたり、スカウト陣も豪華で、政府関係者やホワイトハッカー育成企業などの、重鎮たちが多数顔をそろえる。第1回大会の優勝は台湾、2位は韓国、3位はアメリカという結果となった。

その他キーワード

デウス

サイバーテロ対策特別研究チームが極秘開発しているシステムの名称。名付け親は坂井大輔で、どんでん返しという意味の「デウス、エクス、マキナ」に由来する。是枝一希が一人で開発に携わっており、また開発権も持っている。アメリカのMIRAGEをもしのぐ監視および諜報能力を持つ事が特徴で、開発当初は蘇芳正哉の求める遠隔殺人兵器として創られようとされていたが、大輔の提案により、人殺しの道具ではなく、世界を平和に導く最高防御システムにしようという事になった。以来、犯罪やテロに関する膨大な情報を瞬時に収集する能力と、高い画像解析能力が加わり、犯罪捜査に大いに役立つシステムとなった。その能力の高さは、警視庁公安部のお墨付きである。

エンジェル投資家 (えんじぇるとうしか)

起業したばかりの会社に投資をする資産家を指す。投資家は投資の見返りに、株式等の提供を受けるのが一般的である。中には徒党を組み、投資活動をする投資家も存在するが、本作の坂井大輔は、あくまで個人で活動している。個人行動のため、投資先とは非常に親密になる。そのために大輔は、金だけでなく女の世話から何から何まで面倒を見る事を信条としている。一社当たりの投資額は500万円から1000万円ほどで、上場すれば何十億に化ける事もあるが、そんな成功例は1%程度で、投資先が潰れたり金を持ち逃げされたりする事も多い。それでも大輔が投資をやめないのは、自身の起業の際に投資してくれた先輩がいたからである。新しい分野に挑戦する起業家を見るのが好きで、投資を続けている。

国産無人戦闘機 (こくさんむじんせんとうき)

航空自衛隊が開発した、国内初の無人戦闘機の通称。電子装備をも一から製造した、国家技術の集大成。ヘルファイア対戦車ミサイルである、ペイブウェイ誘導爆弾を搭載している。動作確認を兼ねての硫黄島での爆撃実験中に、アメリカ国防情報局にハッキングされて制御不能となり、爆装したまま、首都圏へと変針。都庁へ突っ込むギリギリのところで、是枝一希のプログラミングによって操作能力を取り戻し、事なきを得た。制御不能になった原因は、機体を作る段階で使用された、細工のしてある中国製ICチップであり、これが不正な通信を行い、そこから戦闘機の制御妨害へと導かれた。今回のサイバー攻撃は、無人機市場へ参入しようとした日本に対するアメリカ政府の圧力であった。

是枝一希愛用のノートパソコン (これえだかずきあいようののーとぱそこん)

2005年製のノートパソコンで、モデルはTHINKPADのX41。真木徹也が雑誌の懸賞で当てたもので、是枝一希に誕生日プレゼントとして贈られた。一希にとって空気のようにそばにあって当り前のもので、大事に使っている。パソコンの中身は全面改造し、LINUXが積まれている。パソコンに詳しい者が見ると、あこがれてしまう要素が多数搭載されている。キーボードは叩きすぎで、もう文字が読めない状態になっている。

MIRAGE (みらーじゅ)

世界大国アメリカが誇る極秘監視システム。アクセスするには、エージェントID、パスワード、USBキーの三つが必要になる。ルーターや海底ケーブルに細工するだけでなく、ソフトウエアの脆弱性をあえて放置する事でさまざまな情報を吸い上げる仕組みになっており、その収集能力は事実上無限大である事から、通称「神の目」と呼ばれている。軍事目的で構築された無線傍受システムだが、その傍受域はいまやネット回線にも及ぶものとなっている。世界中を対象に、メールや通話、文書、写真、通信記録など、あらゆるものがアメリカ政府により閲覧可能な状況となってしまっており、得られた情報は時に殺人の道具にすらなってしまう。蘇芳正哉が、なんらかの手段で利用できるようになったため、是枝一希と蘇芳竜二、鶴野秋の三人は、正哉の不正傍受をやめさせるように共闘する事にした。秋が、MIRAGE設計図をアメリカ国防省に侵入して得たため、その設計図をもとに一希がサイバー攻撃をして、そのすべての情報を手にする事に成功した。

是枝武器庫計画 (これえだぶきこけいかく)

最強のクラッカーになるという是枝一希の思い描く将来像に対する呼称。もともとは坂井大輔が発案した計画で、警察からもお呼びがかかるほどのプログラミングの腕を持つ一希が、あらゆるネット犯罪の技術と知識に精通し、やがて無敵のプログラマーとして独力で顧客を獲得していけるようになる事を目標に、何をすればいいかを思案する時によく用いられる。一希の得意とするのは、他人の書いたコードの特徴を見つけられる事と活動中のネット犯罪者たちに詳しい事であり、それらを生かして、今後どのようにビジネスにつなげていくかと思いを巡らせる時に、一希と大輔が頻繁に使用する。

プロジェクトGAL (ぷろじぇくとがる)

米国の国家的ITプロジェクトの一つ。戦時の最たる課題であるPTSDから人間の精神を守るために、プログラムが敵を察知し、ドローン等による遠隔操作で自動的に敵を射殺させる戦争の仕組みを整えようという主旨で、極秘裏に発足された計画。射殺する人間は、ドローン等に搭載したカメラで撮影した表情から感情を読み取って自動的に決定する、というプログラムになっていたが、中東の難民キャンプ上空からの模擬射殺で、笑顔の難民の子供たちを次々に射殺してしまうという誤作動を起こした。この失敗を重く受け止め、このプロジェクトはアメリカ政府によってひた隠しにされ、封印されてきた。だが蘇芳正哉は、このプロジェクトの情報をMIRAGEを使って吸い上げ、日本版MIRAGEを作ろうと計画した。MIRAGEを絶対的な神の目と表現する際、本プロジェクトを「神の脳」と呼ぶ事が多い。

ステーション

グローバル展開で闇取引の温床と化しているサイト。依頼者と提供者が集い、入札額が一番高い人が落札するオークション形式のブラックマーケットで、斉藤隆がよく利用していた。主な商品は薬物や奇妙な性交渉、ネット関係ではクラッカーツールや機密情報の売買がメインとなっている。取引には通貨を使って誰でもログインできるが、足どりがわからないように匿名化ソフト、Rotのインストールが推奨されている。斉藤が現行犯逮捕された事件で警察にマークされて以来、サイトは閉鎖された。四年前に立ちあげられたばかりの頃は、日本国内を中心に違法ソフトウエアを売る程度の小さなサイトであり、是枝一希がIT知識を得るための学校代わりに、頻繁に出入りしていた。

Grad (ぐらっど)

Rotの後継ソフト。ステーション閉鎖後、同等の闇サイトの再立ち上げを狙うステーションの元管理者であるmosに依頼されて是枝一希が開発した。ソフト名の由来はベクトル解析の用語で、Rotの次に来る演算子がGradである事から、一希が名付けた。過去に犯してきたIT犯罪から卒業し、今後は坂井大輔のもとで正義のプログラマーとして生きていく事を誓った、一希なりの決意が込められている。卒業を英語表記したGraduationの頭四文字の「Grad」を取っている。また、Gradには多数の罠が仕掛けられており、新生ステーションの利用者を把握し、一網打尽にしようという神崎翔太らとの企みがあったが、その計画は蘇芳竜二により、早々に見破られてしまった。mosを経由して竜二の手に渡ったGradは、竜二によって完全に穴をふさがれ、完璧な状態で利用されるようになった。

新生スナイパー (しんせいすないぱー)

是枝一希が開発したシステム、スナイパーの改良版。開発者は一希で、日本国内のショッピングサイトが次々に機能不全になる事態に見舞われた際、守りつつ攻撃できる武器として開発された。スナイパーの主機能である自動追跡機能と自動反撃機能をもとに、サイバー攻撃を受けて犯人に乗っ取られたパソコン上で動く犯人の攻撃プログラムを無効化しつつ、犯人の痕跡を追跡する新たな能力が加わった。その威力はすさまじく、間近で一希の仕事ぶりを見ていた神崎翔太に、ついに最強兵器を開発したと言わしめたほど。

TWOLAND

多人数同時参加型のオンラインゲーム。課金制でスマートフォンで遊べるのが特徴の陣取りゲームで、スマートフォンの位置情報機能を使って、現実世界の街中にある建物等をゲーム上で攻撃してポイントを稼ぐ仕組みになっている。プレーフィールドは世界各国に及び、運営元はインドという、非常にグローバル展開されたゲームである。

Pawn (ぽーん)

鶴野秋が開発したシステムの一つ。ふだんは問題ないプログラムに完全偽装し、目当ての情報のみに反応して発動するプログラムで、ハッキング用語で乗っ取る、という意味のポーンとチェスの歩兵から名付けられた。自ら自分の複製を作り、じわじわ感染力を広めていく特性があり、是枝一希に発見されるまで、すべての省庁に寄生してデータを吸い上げていた。

スナイパー

是枝一希が開発したシステムの一つ。反撃型自動追跡ソフトの一種で、攻撃を受けているうちに現行犯逮捕しなければ犯罪を立証できないサイバー犯罪に対して、攻撃しつつ敵を一網打尽にできる利点がある。スナイパーとは現場に姿を見せないネット犯罪者を狙撃者に見立て、彼らを狙い撃ちし返すという意味で命名された。

Rot (ろっと)

ネット上で使える匿名化ソフト。闇サイトのステーションで、ログイン時にインストールするように推奨されていた。発信元のIPアドレスをわからなくする効果を持つソフトで、インストールするだけでその効力が発揮される秀逸さを持つ。開発者は蘇芳竜二で、開発した狙いは匿名性に油断したソフト利用者の情報を手に入れるためであり、ステーションの管理者であるmosに依頼されて開発した経緯がある。

コードの追跡システム (こーどのついせきしすてむ)

是枝一希が開発したシステムの一つ。サイバー犯罪が起きた時に、その犯罪に使われたソースコードを照合すると、犯罪者のデータベースからコードの同一制作者がヒットする仕組みになっている。ハイスペックシステムのため、是枝一希の愛用のノートパソコンでは照合精度が足りず、大量の犯罪事件を扱う警視庁サイバー犯罪対策課所属の丹羽久嗣に委ねられた。「コードの追跡システム」という名前が格好悪いと言う神崎翔太の提案により、コードレーダーを略して「コレーダー」と命名された。これは開発者の一希の苗字を崩し、一希に敬意を表した呼び名でもある。

クレジット

ストーリー協力

書誌情報

王様達のヴァイキング =Kings'Viking 既刊14巻 小学館〈ビッグコミックス〉 連載中

第1巻

(2013年7月発行、 978-4091853295)

第2巻

(2013年10月発行、 978-4091854148)

第3巻

(2014年2月発行、 978-4091858450)

第4巻

(2014年6月12日発行、 978-4091862044)

第5巻

(2014年9月30日発行、 978-4091863546)

第6巻

(2014年12月26日発行、 978-4091866585)

第7巻

(2015年4月30日発行、 978-4091868893)

第8巻

(2015年7月30日発行、 978-4091871404)

第9巻

(2015年11月30日発行、 978-4091873385)

第10巻

(2016年4月28日発行、 978-4091875983)

第11巻

(2016年10月28日発行、 978-4091878991)

第12巻

(2017年2月28日発行、 978-4091893789)

第13巻

(2017年7月28日発行、 978-4091896070)

第15巻

(2018年3月30日発行、 978-4091898166)

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