たそがれメモランダム

たそがれメモランダム

『モブ子の恋』で知られる、田村茜の初単行本化作品。8ページの一話完結形式。舞台は、現代の広島市。女子高生・高取エリが黄昏時に遭遇する、同級生や教師、町の人々の意外な一面や秘密を描いた、日常青春ストーリー。作者の出身地である広島市が舞台になっているため、風景や町並み、施設などが、リアルに描かれている。小学館「月刊! スピリッツ」2014年6月号から、2015年8月号まで連載。また、「週刊ビッグコミックスピリッツ」2015年第11号、第16号に出張掲載された。

正式名称
たそがれメモランダム
ふりがな
たそがれめもらんだむ
作者
ジャンル
日常
 
ヒューマンドラマ
レーベル
ビッグ コミックス(小学館)
巻数
全2巻完結
関連商品
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黄昏時の人々の意外な素顔を描いた短編連作

本作最大の特徴は、すべてが黄昏時(夕方の時間帯)の話であること。「黄昏」は『万葉集』の、ある歌に登場する「誰そ彼(たそかれ)」という言葉が語源。夕暮れ時は、向こうにいる人が誰かわかりにくい。そこで、「あなたは誰なのですか?」という意味の「誰そ彼」が、夕暮れ時の時間帯を指すようになったといわれている。放課後や下校時といった黄昏時は、授業や仕事といった表向きの顔から、本来の自分に戻る時間帯。見慣れたはずの顔が、「誰だろう?」と別人のように感じてしまうこともある。本作は、そんな普段と異なる顔を見せる人々の姿を、女子高生・高取エリの視点をとおして描いた、青春短編連作である。

エリが遭遇するいろいろな出来事

将来の夢は記者というエリは、学校の「わかば新聞」の記事を書く、好奇心旺盛な女の子。彼女がいろいろな記事を書けるのは、小学生の頃に拾った隕石のかけらが、物事を引き寄せているおかげだという。実際、エリはなぜかいろいろな出来事に遭遇する。例えば、能面顔の古典教師・黒木が、児童向け漫画を楽しみにする姿を目撃したり、女の子とデートをするクラスメートのみっちゃんや、誰よりも早く帰るクラスメート・浜野守の秘密を知ることになったりするのだ。

片思い同士の恋の行方

エリは、古典を教える黒木先生のことが大好きで、授業中はいつも先生に熱い眼差しを送っている。また、先生を喜ばそうと、古典の勉強に励むが10分で睡魔に襲われてしまう天然でもある。そんなエリにひそかな好意を抱いているのが、クイズ大好き男子・浜野である。ある日の帰り道、「クイズ以外に好きなものがない」とエリに思われていることを知った浜野は、それを否定し「好きな人だっている」と告白する。しかし、それが自分のこととは知らないエリは、「私は黒木先生が好き」と、浜野にあっさり秘密を打ち明けた。エリと浜野という、片思い同士の恋の行方も本作の魅力である。

登場人物・キャラクター

高取 エリ (たかとり えり)

わかば高校に通う明るく元気な女子高生。ショートカットが特徴。小学4年生の帰り道、流れ星が落ちた場所を探していたところ、隕石が落ちてきたと証言する男子高校生に遭遇。「好奇心旺盛な君はいい記事が書ける」と高校生に言われて以来、記者になることを決意した。なお、その時に道に落ちていた、隕石のかけららしきものを今もお守りのように持ち歩いている。学校に新聞部がないため、先生が作成する「わかば高校だより」に記事を持ち込んでいる。古典を教える黒木先生のことが大好き。

浜野 守 (はまの まもる)

高取エリのクラスメート。黒縁メガネとボサボサ髪が特徴。クイズが大好きだが、学校にクイズ部がないため、放課後に双子の兄と入れ替わり、兄の高校のクイズ部で活動している。わからないことが放っておけない性格。エリに好意を抱いている。

黒木 (くろき)

わかば高校の国語教師。高取エリらに古典を教えている。オールバックと細身の長身が特徴。普段はほとんど表情を変えない能面顔だが、児童向け漫画が好きな意外な一面を持つ。また落語やお笑いも好きで、高校時代は創作落語のテープを作ったり、ラジオでハガキを読まれる回数を友人と競ったりしていたという。

書誌情報

たそがれメモランダム 全2巻 小学館〈ビッグ コミックス〉

第1巻

(2015-03-12発行、 978-4091868084)

第2巻

(2015-09-11発行、 978-4091872760)

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