概要・あらすじ
古地図が好きな女子高生、鹿子木千束は、ある日古美術商を営む祖父鹿子木善七の商売道具である高級箪笥を壊してしまう。箪笥代を弁償させるために、善七は副業である尋ね人探偵の手伝いを千束に命ずる。試行錯誤ではあるが、得意の古地図を駆使したり、街を渡り歩いていくうちに、千束は古き良き文化の数々にめぐり合い、その魅力に引き込まれていく。
登場人物・キャラクター
鹿子木 千束 (かのこぎ ちづか)
古地図が好きな16歳の女子高校生。三四郎とは幼馴染みで、何かと行動を共にすることが多い。祖父の鹿子木善七の大事な箪笥を壊してしまったために、弁償代として祖父の副業である“尋ね人探偵”を手伝うことになる。今時の女子高校生らしい面を多く持ちつつも、一度興味を示すととことんのめり込んでしまう好奇心旺盛で素直な性格をしており、多少古臭いものでも、心惹かれたものからは目が離れない。 しかし、文化や美術に関する知識についてはまだまだ未熟で、勉強不足を善七になじられることもしばしばである。学校の成績は悪く、いつも赤点スレスレ。課題を音塚に頼ることも多い。街の名前を聞くだけで、大体どこの場所にあるかが分かるほど、地図を読み込んでいる。
鹿子木 善七 (かのこぎ ぜんしち)
鹿子木千束の祖父で、古美術商を営む眼鏡を掛けた男性。副業で尋ね人探偵もしており、戦後から60年もの間続けている。街文化に関して幅広い知識を有し、千束の興味を持った分野に関しても大抵の事は知っている。頑固で拘りの強い性格だが、初めて購入したパソコンを千束よりも使いこなしてしまう柔軟さも兼ね備えている。 孫の千束には厳しく当たっており小言が絶えない。普段は言葉少なで素っ気ないが、街文化のこととなると流暢に語り出す。探偵という職業柄もあってか、広い人脈をもち、人望も厚い。
三四郎 (さんしろう)
鹿子木千束の幼馴染みの男の子。真面目で陽気な性格。秋葉原でガチャガチャのフィギュアに熱中する、また、パソコンを自作できるなど、少々オタク気質な面もある。電子機器に強く、街散策でも事前にインターネットで蓄えた知識を披露することがある。鹿子木善七に頼まれてサボり癖のある千束の見張り役を任されることも多い。 雑学知識に富んでいる。
佐藤 あおい (さとう あおい)
黒髪ショートの女子大生。悠子と同い年で20歳。最近まで中国に留学していた帰国子女で、日本酒研究会に入っている。門限が19時という厳しい家庭環境で育つ。幼い頃の悠子の遊び友達で、20歳になったら梅酒を一緒に飲む約束をしていた。昔は天然パーマで眼鏡を掛けていたため、そのあまりの変貌ぶりに、悠子も初対面では気づかなかった。
悠子 (ゆこ)
パーマがかった長い髪が特徴の女子大生。「真砂町のあおいちゃん」と梅酒を飲む約束を果たすために、鹿子木千束に人探しを依頼する。明るくマイペースな性格で、人の話を聞かずに強引に事を進めようとするきらいがある。かなりの方向音痴で、すぐに道を忘れるので約束の時間に遅れることもしばしば。 日本酒研究会に属しているが、あおいちゃんと梅酒を飲むまでは酒を飲まないと心に決めている。
音塚 (おとつか)
背が高く、三白眼。人見知りだが頭が良く、学業成績は学年一位。人の頼みを断れない性格のためか、鹿子木千束に学校の課題をやらされそうになるが、鹿子木善七の手回しで難を逃れる。幼い頃、彼の祖父が良く連れていってくれたてんぷら屋に飾ってあった絵を、定年退職する祖父にプレゼントしたいと考え、千束にてんぷら屋探しを依頼する。
りん
鹿子木千束の従姉妹。元気はつらつな小学生で、思い立ったらじっとしていられない好奇心旺盛な性格。以前は黒髪を背中まで伸ばしていたが、自転車事故で重体となり脳の手術をしたため、現在はショートヘアである。聞けばゾッとしてしまうような自分の危篤体験を、さも冗談かのように笑って話してしまう、良くも悪くもあっけらかんとした性格をしている。
橘 (たちばな)
美大に通う女子大学生。鹿子木千束とは生徒会会誌の編集委員で知り合ったのをきっかけに仲良くなった。登場時、スランプに陥っており課題の絵がなかなか進んでいなかった。それを見かねた千束の勧めで、憧れの日本画家、小村雪岱の出身地である檜物町を回ることになる。文房堂という画材屋をよく利用している。
グラッチェ
『ちづかマップ』に登場する犬。10歳のオス。鹿子木千束の家の向かいの果物屋高田家の犬。女子に対して誤解されそうな行動をよく取る。
椛島 流奈 (かばしま るな)
鹿子木千束をちーづと呼ぶ。相撲ファン。はっきりと物を言うタイプで、千束に対しては少々毒舌。千束、グラッチェとともに御茶ノ水周辺を探索する。
その他キーワード
修悦体 (しゅうえつたい)
『ちづかマップ』に登場する書体。実在の人物、佐藤修悦氏がデザインした。駅の改良工事の際に、臨時の案内板に描かれたテープで出来た文字が話題となり、その独特な書体を制作者の名前から取って修悦体と呼ぶようになった。作中では、鹿子木千束が日暮里駅で修悦体を目の当たりにしファンになる。
借金返済ポイントカード (しゃっきんへんさいぽいんとかーど)
鹿子木千束が壊した箪笥を弁償させるために、鹿子木善七が課したもの。善七の手伝いをする度にポイントが貯まっていき、40ポイント貯まると晴れて借金返済となる。三四郎がパソコンを使って作成した。