女子かう生

女子かう生

富戸もも子、渋沢しぶ美、古井まゆみら三人の女子高校生の何気ない日々を、セリフなしで描いた日常系サイレントコミック。「Webコミックアクション」2013年9月27日配信分から連載の作品。2019年4月にはTVアニメ化もされている。

正式名称
女子かう生
ふりがな
じょしかうせい
作者
ジャンル
ギャグ・コメディ
 
日常
関連商品
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あらすじ

第1巻

好奇心旺盛の高校2年生の富戸もも子は、子供のような遊びをするのが大好き。占いでラッキーアイテムが赤と白の縞模様のものと言われれば、1日中カラーコーンを持ち歩いてみたり、突然穴を埋める事に夢中になれば、机に空いた穴を練り消しで埋めたり、鼻血を出した深郷田正の鼻にティッシュを詰めてあげたりと、平凡ではあるが楽しい日常を送っている。特に同じクラスの渋沢しぶ美とは小学生の頃から仲がよく、さらに1年前古井まゆみが転校して来てからは、三人いっしょにいるだけで楽しい時間を過ごしていた。そんなある日、となりに偶然正が座っている事も知らず、帰りの電車で眠ってしまう。夢の中でもも子はパソコンを使ってゲームをしており、夢中になるあまりマウスを連打していた。一方正は、もも子に寄りかかられているうえ、寝ぼけたもも子に自分の膝を机やマウスと勘違いされて触れられ困惑する。さらに、夢の中でゲームに失敗したもも子はショックでマウスを破壊してしまい、正の膝を激しく叩いてしまうのだった。しかし、悪気がない事を知っている正はそっとその場を去り、もも子は終点でようやく目を覚ますのだった。

第2巻

春になり、身体測定や服装・頭髪検査の季節がやって来た。富戸もも子渋沢しぶ美古井まゆみの三人は、身長と体重の増減に一喜一憂したり、ふだんはネクタイを結ばないもも子のために、しぶ美がネクタイの結び方を指導したりと、いつも通りの楽しい日々を過ごしていた。その後も三人は校外学習で行った水族館でアシカのショーを楽しんだり、もも子のブレザーとまゆみのセーラー服を交換して着たりしながら春は過ぎていく。そんなある日、しぶ美はまゆみに、もも子と出会った頃の話をする。もも子としぶ美は同じ小学校出身で、まじめで優等生のしぶ美は、当時クラスのルールを変えようとしていた。もも子達のクラスではランドセルにキーホルダーを付けるのが流行っていたが、華美なうえ音がうるさいので、しぶ美は禁止にしようと考えたのである。しかし、このためにしぶ美はクラスメートに嫌がらせをされ、さらに事故でお気に入りのバレッタが壊れてしまう。そこに現れ、バレッタを修理したのがもも子であった。二人はこれがきっかけでなかよくなり、その後しぶ美とクラスメートもお互いに話し合い、キーホルダーは一人1個までという折衷案で解決。そしてしぶ美は、今でもこのバレッタを大切にしているのであった。

第3巻

秋のある日、渋沢しぶ美は書店で目に留まった「スリーピング・ビューティー」という漫画が気になり、1巻だけを購入する。帰りの電車でさっそく読み始めたしぶ美は夢中になり、続きを買おうと先ほどの書店に戻る事にする。しかし、ついさっきまであった2巻以降はすでに売り切れており、どうしても続きが読みたいしぶ美は、ほかの店まで足を延ばしてようやく買う事ができたのだった。しかし翌日、しぶ美は衝撃の事実を知る。富戸もも子も昨日ちょうど「スリーピング・ビューティー」を購入しており、しぶ美が書店を離れたスキに残りの巻を買っていったのは、もも子だった。偶然にも気が合った二人は、この事実に驚く。それからしばらくたったある日、古井まゆみは街でもも子を見つけ、合流しようと手を振る。しかし彼女はそのまま行ってしまい、まゆみは不思議に思う。離れた場所にいたため気づかなかったが、この女性はもも子ではなく、もも子の姉の富戸きづくだったのである。しばらく地元を離れていたきづくはそのまま帰省し、もも子としぶ美を驚かせる。

第4巻

冬のある日、富戸もも子渋沢しぶ美古井まゆみの三人は、富戸きづくの運転で温泉旅行へ行く事になった。しかし目的地は思った以上に遠く、四人は道に迷ったうえ、ようやく旅館にたどり着いた頃には、お風呂はもう終了の時間になってしまっていた。翌日気を取り直した四人は、温泉に入って温泉街で観光を楽しむ。そして帰りの車できづくがふと車内を見渡すと、三人はすっかり眠ってしまっていた。こうして旅行は終わり、春のある日、もも子ときづくはいっしょに心霊番組を見ていた。しかし、怖がりのもも子をきづくはからかい、もも子を怯えさせてそのままお風呂へ行ってしまう。残されたもも子がそのまま居間で過ごしていると、ふすまの隙間から謎の長い髪の毛が出ている事に気づく。もも子はまたもきづくのいたずらだろうと考え、ふすまを開けようとするが、その途端反対側からきづくが現れ、髪の毛は消える。もも子は謎の髪の毛の正体が何だったのかと思うと、恐くなってしまう。そしてまた夏になり、もも子やしぶ美、まゆみは水鉄砲で遊んでいた。そこでまゆみは、前は友人に水鉄砲で遊びたいと言うと笑われたが、今は付き合ってくれる二人がいる事を嬉しく思うのだった。

第5巻

秋のある日、星占いで最下位になってしまった富戸もも子は、占い通りにさまざまな不幸に見舞われる。制服にコーヒーをこぼしたり、カラスに追いかけられたり、飲みたい飲み物に限って売り切れだったりと、とことんついていなかった。極めつけにもも子は、さっき自分が捨てたはずの空き缶を踏んで転びそうになるが、渋沢しぶ美古井まゆみの助けにより事なきを得る。しかし安堵した直後、今度はカラスに糞をかけられてしまう。こうして秋は過ぎていき、三人は美術の授業でお互いの絵を描いたり、近所の家で柿を取る手伝いをしたり、クリスマスにはショッピングモールの福引を当て、三人でごちそうを食べたりして過ごしていた。しかしその直後、もも子は体調を崩して学校を休んでしまう。しぶ美とまゆみは心配になってメールを送るが返事はなく、さらに二人は不安になるが、もも子は熱でメールを返信するのがつらいだけだった。そして二人は放課後お見舞いに行き、三人で過ごせる幸せを再確認するのだった。そして体調も回復したある日、もも子は星占いで1位となる。結局その日は特に何事もなく過ぎたが、それは気づかなかっただけで、実はもも子はさまざまな不幸を無意識に回避していたのであった。

第6巻

夏になり、公園で遊んでいた富戸もも子渋沢しぶ美古井まゆみは、シーソーに乗ったのがきっかけで、もも子が太っている事に気づく。シーソーのバランスを保つには、もも子一人だけに対し、まゆみとしぶ美の荷物を合わせないといけなくなっていた。もも子はこれにショックを受けつつも夏は過ぎ、深郷田正と公園で出会ったり、台風で停電の夜を過ごしたり、正が落としたお菓子をキャッチしたのがきっかけで、お菓子を交換したりする。そして冬になったある日、もも子はとなりで食事をしていた人が、お財布を忘れているのに気づく。もも子は慌てて追いかけ、無事お財布を渡せたものの、走るのに夢中になり過ぎて、自分の靴を片足なくしてしまうのだった。その後、マラソン大会が行なわれ、走るのが得意なもも子は、当日しぶ美とまゆみよりもかなり速いペースで走っていた。しかし途中、暗いトンネルを通るのが怖くなったもも子はそこで立ち止まってしまい、遅れて追いついたしぶ美とまゆみに、いっしょに走ってもらう事にする。こうして三人は成績は決してよくはなかったものの、見事完走を果たす。

第7巻

秋のある日、富戸もも子渋沢しぶ美古井まゆみは、三人で調理実習をする事になった。しかし、まゆみは料理が得意だが、もも子としぶ美はからっきしであった。まゆみはどこまで二人の面倒を見るべきか悩みつつも、なんとか実習を成功させる。後日、これに危機感を抱いたしぶ美は、ゆで卵くらいなら自分でも作れるだろうと考え、家で練習をする。しかし大苦戦して、最終的にしぶ美はうまくゆでられなかったうえ、作り過ぎたゆで卵を自分で食べる羽目になってしまう。そして秋も深まり、ある日しぶ美とまゆみと駅構内を歩いていたもも子は、ダイエットのため、一人だけエスカレーターを利用せず階段で登る事にする。するとその途中、もも子は深郷田正がハンカチを落としたのに気づき、すぐさま追いかけて手渡す。こうして階段を大慌てで登った事により、少しダイエット効果も得るのだった。しかしこの直後、もも子はしぶ美の勉強の教え方がきっかけでケンカになってしまう。そんな二人をまゆみは心配するが、放課後にはもも子から仲直りを提案され、これまで通りに三人並んで帰るのだった。

第8巻

大雨になったある日、富戸もも子古井まゆみは、渋沢しぶ美が雷におびえ、泣き出してしまった事に驚く。このままではしぶ美が帰宅はおろか、学校からも出られないと考えた二人は、しぶ美の頭をもも子の服の中に入れ、雷が見えないようにして学校を出る作戦を立てる。しかし、その格好で歩き始めた途端にもも子のお腹が鳴り、しぶ美に聞かれてしまう。それからしばらくして寒くなったある日、もも子は自動販売機の下にお金を落としてしまう。それを偶然見かけた深郷田正は声をかけようか迷うが、その時、別の女性が現れ、お金は自販機の下ではなく手前に落ちていると教えるのだった。こうして季節は冬になり、もも子はしぶ美と、誤って出しすぎたハンドクリームの有効活用法を考えたり、まゆみも交えた三人でスケート場に出かけたり、公園で逆上がりの練習をしている男の子の手伝いをしたりして過ごす。そして春になり、もも子達は野外学習へ行く事になる。三人は飯盒炊爨(はんごうすいさん)やテントの設営、川遊びなどをして楽しみ、夜にはこっそり抜け出して星空を見に行く。しかし、何の対策もしなかったために、翌日三人は虫刺されに苦しむ事となる。

単行本の装丁

本作『女子かう生』のコミックス本体表紙には、毎巻おまけの4コマ漫画「ひょうりゅうきょうしつももちゃん」が掲載されている。その内容は、ある日突然、砂漠に放り出された富戸もも子渋沢しぶ美は、古井まゆみ富戸きづくら仲間と再会し、みんなで帰還を目指すという、本編とはまったく違う世界観が描かれている。なお、本編は基本的にセリフのないサイレント漫画だが、こちらのおまけ漫画にはセリフがあり、本編では知る事のできなかったキャラクターの口調や、会話でのやり取りを見る事ができる。

メディアミックス

2019年4月よりTOKYO MXほかで、本作『女子かう生』のTVアニメ化がされている。監督とシリーズ構成は佐々木勅嘉、キャラクターデザインは山本恭平が担当している。TVアニメ版も本作と同様、基本的にセリフのない作品だが、富戸もも子役を立花理香、渋沢しぶ美役を嶺内ともみ、古井まゆみ役を久保ユリカがそれぞれ演じている。

登場人物・キャラクター

富戸 もも子 (ふと ももこ)

双葉女子高校2年2組に在籍する女子。前髪を目の上で切り、胸の下まで伸ばした焦げ茶色のロングヘアにしている。好奇心旺盛な性格で、子供のような遊びが大好き。消しゴムで練り消しを作って机に空いていた穴を埋めたり、渋沢しぶ美の上履きにお菓子を詰め込んで遊んだりと、無邪気な行動で周囲を和ませたり、驚かせたりしている。そのため残念な美人と評されている。しかし小学生の頃、しぶ美がお気に入りのバレッタを壊してしまった事を知り、自分の大切にしていた物を使って修理をしたり、高校1年生の頃、転校して来たばかりで孤立していた古井まゆみとすぐに親しくなったりと、心優しく親切な人柄で周囲から愛されている。だが人助けに夢中になりすぎた結果、落とし物を届けようとして今度は自分が落とし物をしてしまうなど、ドジな一面もある。誕生日は3月12日で、血液型はA型。身長は160センチで、体重は56キロ。好きな食べ物はしょうが焼きで、苦手な食べ物は鮭の皮。視力は1.5。超怖がりで、姉の富戸きづくにはよくからかわれている。家族は両親ときづくの四人家族。

渋沢 しぶ美 (しぶさわ しぶみ)

双葉女子高校2年2組に在籍する女子。富戸もも子と古井まゆみの友人。生徒会の書記を務めている。前髪を目の上で切り、胸の下まで伸ばした亜麻色の髪をまとめてハーフアップにし、眼鏡をかけている。一見クールな落ち着いた性格だが、もも子の仕掛けた罠にあっさり引っかかってしまったり、簡単な日本語を間違えてしまったりと、ややドジでかわいらしい一面がある。もも子とは小学校時代からの付き合いで、渋沢しぶ美のお気に入りのバレッタが事故で壊れてしまった際、もも子が富戸きづくからのプレゼントの部品を使ってまで、修理をしてくれたのがきっかけで親しくなった。そのため、しぶ美はこのバレッタを非常に気に入っており、今でも付けている。誕生日は6月7日で、血液型はA型。身長は163センチで、体重は52キロ。眼鏡は3個持っており、用途によって使い分けている。コンタクトレンズは、試した事はあるが目に入れるのが怖くて続かなかった。好きな食べ物はミルフィーユで、苦手な食べ物は酢豚に入っているパイナップル。また、絵を描く事と雷が苦手。

古井 まゆみ (ふるい まゆみ)

双葉女子高校2年2組に在籍する女子。富戸もも子と渋沢しぶ美の友人。花道部に所属している。双葉女子高校には1年生の途中から転校して来たため、一人だけ制服が違い、セーラー服を着ている。前髪を目の上で切り、顎の高さまで伸ばした黒のボブにしている。体型は小柄で、眉が太い。おっとりとした穏やかな性格で、もも子の破天荒な行動には驚かされる事が多い。もも子とは、転校初日クラスになじめずにいたところ、遅刻して来たもも子が自分の席のとなりであった事から知り合う。当初はもも子を乱暴でとっつきにくいと感じていたが、その日の放課後、一人で影絵をして遊んでいるもも子に遭遇。そして大きな影絵を作るのを手伝った事がきっかけで親しくなった。誕生日は10月23日で、血液型はO型。身長は148センチで、体重は47キロ。視力は2.0と非常にいい。好きな食べ物はさつまいもで、しし肉の匂いが苦手。料理が得意。

富戸 きづく (ふと きづく)

富戸もも子の7歳年上の姉。前髪を目の上で切り、胸の下まで伸ばした黒のロングヘアにしている。学生時代は今よりも髪が短く、前髪を目の上で切り、顎の高さまで伸ばしたボブヘアだった。たれ目で胸が大きく、おおらかでのんびりとした性格をしている。あだ名は「きづ姉」。もも子をからかうのが好きで、もも子がお化けが苦手なのを知っていて、わざと幽霊のふりをして怖がらせる事もある。社会人になったのを機に一人暮らしを始めていたが、ある日富戸家に戻って来る。それ以降は、もも子、渋沢しぶ美、古井まゆみと共に四人で旅行へ行ったりしている。Tシャツのセンスが悪く、いつも妙な絵柄のTシャツを着ている。方向音痴なうえに公共交通機関を信用していないため、よく道に迷っている。

深郷田 正 (ふこうだ ただし)

サラリーマンの若い男性。営業職をしている。前髪を目の上で切って右寄りの位置で分けた、癖のある短髪。富戸もも子とは、もも子が高校2年生のある日、道でぶつかった事で知り合う。その際、誤ってもも子の下着を見てしまい鼻血を出すが、もも子が怒らなかったうえに、鼻血の手当てまでしてくれた事で好感を抱いた。その後も、もも子とは街で偶然出くわす事が多く、出会う度に密かに気にしている。しかし、もも子と電車でとなりになった事で、寝ぼけたもも子に膝を叩かれたり、公園で食事をしていれば、食べ物を落としてしまったもも子を心配しているうちに自分も食べ物を落としてしまったりと、あまりついていない。よく落とし物をするが、その度に偶然その場にいたもも子に拾ってもらう事が多い。

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