とけだせ!みぞれちゃん

とけだせ!みぞれちゃん

夏の田舎村を舞台に、暑さに弱い雪女のみぞれと彼女を拾った女子小学生のひまりの、周囲の人々や友人たちとの交流、にぎやかな夏休みを精一杯楽しむ様子を描いたギャグコメディ。「少年ジャンプ+」で2018年10月16日より連載の作品。

正式名称
とけだせ!みぞれちゃん
ふりがな
とけだせ みぞれちゃん
作者
ジャンル
ギャグ・コメディ
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あらすじ

第1巻

冬休みにこはるの家に遊びに来ていた小学生のひまりは、道端で溶けかけの雪だるまを拾う。そしてこはるは、この雪だるまを自宅の冷凍庫で保管することになった。数か月後、夏休みを迎えたひまりはこはるの家に向かいながら、冬に拾った雪だるまとの再会を楽しみにしていた。こはるがひまりのために雪だるまを取り出そうと冷凍庫を開けると、中から出て来たのは着物をまとった白い少女、みぞれだった。雪女を自称するみぞれには、ちょっとした暑さでもすぐに溶けてしまうという弱点があった。混乱するこはるをよそに、みぞれは今年こそ暑さを乗り越えて溶けないでみせると、「打倒太陽」を宣言。そんな中、こはるがひまりの家に到着し、雪だるまから雪女の姿に変わったみぞれと再会。ひまりはみぞれのことをあっさり受け入れ、二人はすぐに友達になる。こうしてみぞれは、恩人のひまりと再会を果たすが、暑さに弱い彼女は照りつける太陽の下に出るたびにすぐに溶けてしまい、ひまりといっしょに夏の遊びやイベントを楽しむのは困難だった。それでもひまりといっしょにいたいみぞれは、こはるや周囲の人の協力を得ながら、さまざまな困難を乗り越えてひまりとの夏を楽しもうと奮闘する。

第2巻

夏の日差しに少しずつ溶かされながらも、みぞれひまりやくもと共に、精一杯夏を謳歌していた。そんなある日、いつものようにみぞれたちと過ごしていたこはるのもとに、都会から引っ越して来た謎の少女、リンからクレームの電話が入る。引っ越したばかりで田舎に慣れないリンは、ふだんから飲んでいるトマトジュースがすぐに手に入らないと怒っていたのだ。こはるは仕方なくリンの家に向かうが、やくもはリンがいるはずの家は誰も住んでいない空き家だと知る。ちかげの指摘で空き家に住んでいるのはお化けかもしれないと疑い始めたみぞれたちは、怖がりながらも真相を確かめるべく、リンの家へ向かう。そこに大きなコートをまといサングラスをかけた、変質者のような格好をしたリンが帰宅するが、彼女は太陽の光を浴びた途端に服を残して消えてしまう。実は、リンはみぞれと同じく太陽に弱い、吸血鬼の少女だった。互いの正体を知った途端、ライバル視するようになったみぞれとリンはなにかと張り合うようになり、彼女たちの夏はますますにぎやかで騒がしい日々となる。

第3巻

吸血鬼娘のリンも加わって、みぞれひまりはさらににぎやになった夏休みを満喫していた。そんな中、いつも通りひまりと遊ぼうとしたみぞれだったが、ひまりは突然貼り紙をして部屋にこもってしまう。ひまりが部屋にこもっていたのは、週末に遊びに来る母親の陽子との約束である、夏休みの宿題を早く済ませるためであった。何とか約束分の宿題を終わらせたひまりだったが、自由研究の準備をしているやくもを見て、陽子を驚かせるような凄い自由研究を始めると宣言。やくもと相談して「みぞれの体の溶けやすさ」について研究することとなったひまりは、みぞれの協力を得ながら研究を進めるのだった。一方、実験や研究が好きなやくもは、日光に弱いリンが外で遊ぶためのアイディアや道具を見つけようと研究を続けていた。そんなやくもに協力するリンには、やくもたちに出会った時からずっと隠している、ある重要な秘密があった。明らかに隠し事をしている様子のリンに気づいたやくもとひまりだったが、無理に聞きだそうとするのは避け、リンが自ら打ち明けてくれるのを待つことになった。次の日、みぞれたちといっしょにリンの家に来たひまりは、返事をしないリンを捜して入った部屋の中で、衝撃の光景を目にする。

登場人物・キャラクター

みぞれ

こはるの地元の村に住んでいる、雪女を自称する少女。淡い水色の髪に、白い和服のような服を着ている。溶けかけの雪だるまになっていたところをひまりに拾われ、こはるの家の冷凍庫に保管されて溶けることなく夏を迎えた。ひまりとの再会直前に元の姿に戻り、そのままこはるの冷凍庫で暮らすことになる。外に出るとちょっとした熱や日差しで体が溶けたり、頭や腕がもげたりと、本来の雪女のイメージとはかけ離れた体質を持つ。ただし、溶けた部位は冷やすことで元に戻る。溶けないように注意しているものの、時おり自分から溶ける原因を作ることもあり、こはるをはじめ周囲の者をヒヤヒヤさせている。感情表現豊かでいつもテンションが高いトラブルメーカーで、勢いで周囲を巻き込んでトラブルを起こすことが多く、特に常識人のこはるをよく困らせている。一方で義理堅いところがあり、恩人でもあるひまりのことが大好き。ひまりといっしょに楽しい夏を過ごしたいと願っているが、太陽の下に出ては結局溶けてしまうことが多い。また、熱い食べ物を口にしたりして溶けた時は、体が縮んで幼女の姿になってしまう。スタイルはいいものの水分を摂ると太ってしまい、極限まで太ると真夏の海を水着姿で泳ぐことが可能。特技は溶けることで、好きな食べ物は冷凍みかんと熱いうどん。

ひまり

小学2年生の女子。こはるの姪。叔母のこはるのことは「はる姉」と呼び、実の姉のように慕っている。濃いピンク色のツインテールに浮いたようなアホ毛があり、頰はいつもモチモチしている。冬休みにひまりの父の実家でもあるこはるの家に遊びに来た時に、雪だるまの姿で溶けかけていたみぞれを拾う。この雪だるまをこはるの家の冷凍庫で保管してもらい、再会するのを楽しみにしていた。夏休み中に父親の帰省で再びこはるの家に来た際、雪だるまから元の姿に戻ったみぞれと再会。いきなり雪女の姿で現れたみぞれをあっさり受け入れて友達になり、暑さが苦手なみぞれに夏の楽しさを教えてあげようと、積極的に彼女を外に連れ出している。水遊びや虫取りなど夏らしい遊びや、スイカやかき氷など夏らしい食べ物が大好き。明るく元気一杯で友人思いの少女だが、その無邪気さから予想外の発想や思わぬ行動に出ることがあり、時おりみぞれやこはるを驚かせている。天真爛漫に見えるが小学生とは思えない発言をしたり、唐突にドライな態度を取ることもある。基本的に誰とでも分け隔てなく仲よくしているが、母親の陽子のことが大好きで甘えることが多い。その一方で陽子の恐い一面を誰よりも知っており、彼女の言いつけや約束は厳守している。特技は元気に遊ぶことで、好きな食べ物はグミとかき氷。

こはる

自然に囲まれた田舎村に住むひまりの叔母。年齢は22歳。豊満なバストを持つ黒髪の女性で、小さな店を営んでいた実家の仕事の一部を引き継ぎ、一人で実家に残って、大学を辞めたあとは村で卸の仕事をしている。姪のひまりからは「はる姉」と呼ばれ、実の姉のように慕われている。こはる自身もひまりをとてもかわいがっており、彼女のことになると過保護になる。ひまりが拾って来た雪だるまを預かり、自宅の冷凍庫に保管していたが、夏休みに入ったひまりが来る直前に、冷凍庫の中で雪だるまから元の姿に戻っていたみぞれを発見する。ひまりとみぞれが友達になったため、みぞれを暑さから守るために、冬が来るまでそのまま冷凍庫に住まわせることになった。以来、ひまりたちの保護者として、時にはトラブルに巻き込まれながらも優しく見守っている。まじめな常識人だが少々お人好しなところがあり、トラブルを起こしやすいみぞれにもっとも振り回されている苦労人。溶けやすいみぞれを心配してひと肌脱ぐことも多いが、彼女にはツンデレな態度を取られることが多い。力仕事が多いために、いつもタンクトップにジーパンとラフな格好をしているが、家事や料理が得意でかなり家庭的。特に裁縫が得意で、ひまりの服をはじめ日常的に服を作っており、みぞれが外出時に溶けないよう断熱材を使った服も手作りした。好きな食べ物はぶどう。

ひまりの父 (ひまりのちち)

ひまりの父親で、こはるの兄。母親の死後に実家を出て都会に移り、妻の陽子、娘のひまりと共に三人暮らしをしている。料理が得意で、ふだんは料理ができない陽子に代わって食事作りを担当している。しかし、ひまりがこはるの家に遊びに行って不在のあいだは、惣菜など手作り以外の食事で適当に済ませている。

やくも

小学2年生の女子。こはるの地元の村にある駄菓子屋の娘。赤茶色の髪を二つの大きなおさげにまとめ、眼鏡をかけている。駄菓子屋の店番中に、こはるを通してみぞれやひまりと知り合う。しかし、森の中で首が取れて死体のような姿になっているみぞれを発見するなど、衝撃的な光景を目撃する。このためみぞれが何者なのかと疑問に思っていたが、いくつかの出来事を経てみぞれの正体を知り、彼女やひまりと友達になった。少々臆病ながら、友人思いの優しい性格をしている。また知的好奇心旺盛な一面があり、疑問に思ったことや興味のあることには、探究心に煽られて一直線に食いつく。将来は研究者になるのが夢で、つねにノートや筆記用具を持ち歩いては、みぞれやリンの生態に関する謎や出来事を記録している。ふだんは大人しく礼儀正しいが興奮すると口調が荒れることがあり、研究や実験に没頭するとまるでマッドサイエンティストのようになる。吸血鬼であるリンの生態には特に強い興味を持っており、同時に彼女が日中でもみんなといっしょに遊べる方法を研究し続けている。このためプライドの高いリンにとっても、一番心を許している数少ない友人となっている。特技はジグソーパズルで、好きな食べ物はきなこ餅。

ちかげ

こはるの後輩の女子高校生。陽気な体育会系少女。かおりの家の近くに住んでいる。黒髪ショートカットヘアで、褐色の肌を持ち、左目が前髪で隠れている。こはるよりも五つ年下で、幼なじみでもある。こはるを通してみぞれやひまりと仲よくなり、時々いっしょに遊んでいる。夏休み中は部活だけでなく、小遣い稼ぎのためにアルバイトでこはるの仕事を手伝うようになる。当初の時給は800円だったが、持ち前のしたたかさと要領のよさから仕事を早く終わらせてこはるの信頼を得たため、950円に上げられた。明るく大らかでサバサバした性格だが少々イタズラ好きで、時おりひまりたちをからかっている。こはるとは小学生時代からの付き合いだが、昔からお人好しで苦労人の彼女を少々心配している。特技は運動(個人競技)で、好きな食べ物はフライドチキン。

かおり

こはるの得意先の旅館兼料亭で看板娘をしている女性。ちかげの家の近くに住んでいる。ジビエ料理の名人で、イノシシやクマなど人間以外の動物ならなんでも捌ける。めったなことでは動じず、みぞれが溶けやすい雪女だと知ってもすんなり受け入れた。いつも笑顔でおっとりした美人だが少々押しが強く、特に目を見開いた時は腹黒くなり、どこか怖い雰囲気を漂わせる。育児や子守が好きで、こはるの代わりにひまりとみぞれの面倒を見たこともある。こはるとは仲がよく、苦労人の彼女を励ましたり助言をしたりなど気に掛けており、よき相談相手となっている。特技は料理と育児で、好きな食べ物はジビエ料理と甘い食べ物全般。

リン

都会から引っ越して来た吸血鬼の少女。やくもの親戚が住んでいた空き家で一人暮らしをしている。紅色の長髪で、いつも下着姿で過ごしている。みぞれと同様日光に弱く、直接浴びると灰になるが、棺桶で眠ると元に戻る。誰も住んでいないはずの空き家に住んでいるため、お化けがいると疑って家に乗り込んだやくもやひまりと出会う。同族に近いみぞれをライバル視し、よくケンカしている。吸血鬼だが人の血を吸うことはなく、代わりにトマトジュースを常備して毎日飲んでいる。吸血鬼としてのプライドが高く見栄っ張りで負けず嫌いだが、かなりのものぐさで、部屋はいつも散らかっている。日光を嫌ってあまり外出せず、暗い部屋でネットサーフィンやゲームをしながら、孤独に過ごしている。一人ぼっちで心底寂しいと思っていたが、みぞれたちと出会ってからはいっしょに遊ぶことが多くなる。特に吸血鬼の生態に強い興味を持ち、積極的に話し掛けて来るやくもには心を許しており、彼女の研究にも協力している。実は体が灰になった時は本体が小型のコウモリと化すが、訳あって周囲にはその秘密を隠している。実家は金持ちで、家族は両親のほかに兄と妹のダイアナがいる。特技は対戦格闘などのアクションゲームで、好きな食べ物はコショウ味のポテトチップス。

陽子 (ようこ)

ひまりの母親で、こはるの義理の姉。ひまりがそのまま大人になったような容姿で、頭頂部に生えている長いアホ毛は浮いたように見える。会社で主任を務めるキャリアウーマンで、ふだんは仕事で忙しい。夏休み中にこはるに預けていたひまりに会うため、こはるの家を訪れるが、玄関で首なしのみぞれに遭遇するという衝撃的な体験ののち、こはるやひまりと再会。明るく気さくな性格で、初対面で一騒動あったみぞれのこともすぐに受け入れてなかよくなった。一方で怒るとかなり恐いところもあり、特に約束事に関してはひまりにも厳しくしつけている。たまにしか会えないこはるとはとても仲がよく、母親が亡くなり家族が家を出たあとも一人で家を継いだこはるを励ますなど、よき理解者となっている。実は料理を作るのが苦手で、家の食事はひまりの父に任せているが、ひまりの不在時は食事を適当に済まされてしまうため、料理上手のこはるの手料理を特に気に入っている。時おりこはるから料理を教わっているが、計量など細かい作業を飛ばそうとするためなかなか腕が上がらない。

ダイアナ

リンの妹。ゴスロリ衣装をまとった小柄な吸血鬼の幼女。ニンニクを食べると灰になってしまう。姉のリンとは異なり、家族といっしょに豪邸で暮らしている。コウモリ傘とブタのようなぬいぐるみを持ち歩き、傘で浮いて空を飛ぶこともできる。幼いがしっかり者で、誰かの世話をしたりなにかをあげたりすることを「施し」と呼び、特に生活力のないリンに対しては進んで世話を焼こうとする。一方でリンに似て少々不器用で見栄っ張りなところがあり、子供らしい一面を見せることもある。一人暮らしを始めたリンがキャッシュカードをなくして再発行できずにいた際に、再発行されたカードと生活物資をリンの母に代わって届けた。その際に手作りクッキーをリンに渡すなど、姉思いなところがある。これ以降も時々リンの家を訪れ、みぞれたちとも交流している。当初は年の離れた妹に世話を焼かれるのを嫌うリンから避けられがちだったが、こはるの助言を受けたリンから素直な気持ちを告げられて和解した。

リンの母 (りんのはは)

リンの母親。吸血鬼の女性で、娘たちからは「お母さま」と呼ばれている。心臓を杭で打たれると灰になるが、日光に弱い娘のリンの弱点は忘れがち。その一方で少々過保護気味で、生活力のないリンにはなんでも買い与えており、彼女が田舎村で一人暮らしを始めた時も、キャッシュカードを与えて自由にさせている。夏のあいだはリゾート地でゴージャスなバカンスを楽しんでいる。リンがキャッシュカードをなくしたことを知り、再発行されたカードをダイアナに届けさせた。

ナガル

こはるの近所の川に棲んでいるカッパの少女。頭の皿が乾くとミイラになってしまう。過去のある出来事をきっかけに、みぞれに恩を感じている。

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