あらすじ
第1巻
2年間同棲した彼氏と別れた女は、出ていった彼氏の物を捨てるため、段ボールをかかえてタクシーで夜の海へと向かう。指輪を海に投げ捨て、彼氏が残していった服とガンプラを浜辺で燃やす。それを見ていた猫は、彼氏が拾ってきた「ノボル」だった。あんたを捨てたりはしないと涙ながらにノボルを抱きかかえた女性は、水平線に昇る朝日を目にする。そして、いつだって思い出と朝日は美しいと、泣きながら笑うのだった。(#1。ほか、11エピソード収録)
登場人物・キャラクター
彼氏と別れた女 (かれしとわかれたおんな)
「#1」「#12」に登場する。2年間同棲していた彼氏と別れたばかりの女性。夜中にタクシーで海へ向かい、彼氏からもらった指輪を海に投げ捨て、彼氏の服やガンプラを浜辺で燃やす。
川田 (かわた)
「#2」に登場する。若い学生の男性。学友の「小宮山」に恋しているが、その小宮山が失恋してとなりで泣き崩れ、さらに野良猫にもエサをせがまれて困り果てている。
小田島 (おだじま)
「#3」に登場する。眼鏡をかけた若い男性。付き合って5年になる彼女がいる。ペット禁止の部屋に住んでいる彼女が3匹の子猫を拾い、里親探しを手伝って欲しいと頼まれる。猫と梅酒が好き。
ハル
「#4」に登場する。同じ職場に勤める、猫好きの先輩「国見」に恋している女性。飼っている猫の写真を見せたことをきっかけに国見を自宅へ招こうと考えているが、その一歩を踏み出せずにいる。
妻を亡くした男 (つまをなくしたおとこ)
「#5」に登場する。1年前の定年直後、妻に先立たれた初老の男性。病院で交した妻の最期の言葉が「にゃ~~お」であったが、その言葉の意味がわからずに気にかけている。娘と共に妻の墓参りをした際に猫を見つけ、かつての妻との会話を思い出す。
新谷 (しんたに)
「#6」に登場する。27歳の女性。お見合いパーティで出会ってカップル成立となった松本との初デートが、猫カフェであることに戸惑いを隠せない。松本の顔は好みだったが趣味が合わず、年齢や家族構成、職業など、接点が少ないことで何を話せばいいか困っている。
水野 (みずの)
「#7」に登場する。とあるオフィスに勤務する女性。地味なスーツに眼鏡をかけており、パッとしない容姿をしている。後輩の若い男性「赤城」に恋しており、ある日、深夜まで赤城の仕事を手伝うことになる。
デートに遅刻する女 (でーとにちこくするおんな)
「#8」に登場する。付き合って5年になる彼氏とのデートに遅刻しそうな若い女性。一人暮らしで、「ミミ」という名の猫を飼っている。交際2年目まではばっちり化粧をして、買ったばかりのワンピースにヒールと気合を入れてデートに臨んでいたが、徐々にラフな格好へと変化し、自分が「慣れ」によりなまけていることを反省する。
後藤 (ごとう)
「#9」に登場する。コンビニでアルバイトをしながら、一人暮らしをしている青年。庭にやって来る野良猫に餌をやっている隣人の女性に恋をしている。顔は知らず、猫に話し掛ける声しか知らないが、いっそ自分が猫になれたらと考えるほどに思いを募らせている。
にゃーにゃ
「#10」に登場する。雨の日に拾われた捨て猫。左目に大きなケガを負い、片目になっている。飼い主からは「にゃーにゃ」と呼ばれている。「莉子」という名前の生まれたばかりの女の子のお兄ちゃんとして、莉子の成長を見守る。
馬淵 菜々美 (まぶち ななみ)
「#11」に登場する。台風の接近を受け、家族や猫といっしょに避難所に避難して来た女子。ペットの持ち込みは禁じられているが、同じくペットを連れて避難して来た幼なじみの新谷と共に食い下がる。かつてはソフトボール部に所属していたが、今は辞めている。
星川 (ほしかわ)
「#12」に登場する。職場での人間関係に嫌気がさし、夜の海で入水自殺をしようとしていた若い女性。次に生まれ変わるなら、日当たりのいい部屋で猫を飼いたいと思いながら自殺を試みたが、海水が冷たすぎて自殺を断念。そこで、別れた彼氏の物を捨てに来ていた彼氏と別れた女と出会う。
松本 (まつもと)
「#6」に登場する。37歳の男性。お見合いパーティで出会ってカップル成立となった新谷を初デートに誘う。新谷が携帯に猫のストラップを付けていたことから、猫好きであると推察して、デート場所には猫カフェを選んだ。しかし、新谷とは共通の話題が少なく、会話がまったく盛り上がらなかった。猫カフェで、猫に対しても敬語を使うような生真面目な性格の持ち主。
新谷 (しんたに)
「#11」に登場する。台風の接近を受け、避難所に避難して来た男子。飼い犬を連れて避難して来たが、ペットの持ち込みを断られ、受付の男性ともめていたところで、幼なじみの馬淵菜々美と久しぶりの再会を果たす。かつてはサッカー少年だったが、両親の離婚以来、荒れている。離婚によって苗字も「新谷」ではなくなっている。