あらすじ
第1巻
全国的に有名な老舗和菓子店のお嬢様として、男尊女卑の家庭で育った園部紗雪は、金持ちで家柄もよい男性と結婚して、豊かな人生を送ることを目標にして生活している。そのため紗雪は、完璧な大和撫子を装う一方で、周囲の期待を裏切らないように気遣い、日常に息苦しさを感じていた。そんな中、紗雪の父は紗雪にお見合いの話を持ってくるが、釣書を見た相手から断られてしまう。これにはお見合いに乗り気ではなかった紗雪も落ち込み、さらに紗雪の父は紗雪を罵倒して、家庭の空気は重くなってしまう。そんな中、紗雪はお見合いの相手である水嶋優介と偶然出会い、親族からのお見合い話に辟易していた優介から、未入籍のまま偽装結婚をしないかと持ちかけられる。こうして紗雪と優介は婚約を結び、すぐに同居生活を始める。共に生活をしていく中で、紗雪は優介に徐々に心惹かれていき、彼に好意を持たれるために試行錯誤を繰り返すようになるが、なかなかうまくいかない。そんな中、紗雪の実家では二人が婚約したことにより、紗雪の父から紗雪への評価が上がっていた。その様子を見た園部真也は気に入らず、紗雪を貶める計画を企てる。
第2巻
同居を通して園部紗雪は、水嶋優介への愛情を募らせていく。偽装結婚の相手としてではなく、本当の妻として愛してほしいと願うようになった紗雪は自分なりにアプローチを繰り返すが、なかなか優介へ気持ちが届かずに落ち込む。一方の優介も紗雪を一人の女性として意識し始めており、ほかの男性と紗雪が話していると嫉妬をするようになるなど、気持ちに変化が起こっていた。しかし、二人は些細な言動からすれ違いが生じ、お互いに惹かれ合っているにもかかわらず、偽装結婚のパートナーという関係が変わらないままだった。そんな中、以前から優介に一途な思いを寄せていた会社の同僚が紗雪の存在を知り、自分の方が優介を愛していることを紗雪に知らしめようと行動を起こす。
登場人物・キャラクター
園部 紗雪 (そのべ さゆき)
企業の受付に勤務しているOLで、年齢は25歳。全国的に有名な老舗和菓子店の長女で、いわゆるお嬢様として育った。清楚で整った顔立ちをした美女で、つねに笑顔を絶やさないことから、周囲からは完璧な大和撫子だとあこがれられている。しかし、周囲が勝手に築き上げたイメージを壊すことができず、なおかつ期待に応える生活に嫌気が差しており、内心ではストレスが溜まっている。計算高いところがあり、金持ちで家柄もよい男性と結婚して、豊かな人生を送ることを目標としている。また、男尊女卑の考えを持つ紗雪の父に対しては内心見下しており、父親として慕っていない。紗雪の父からお見合い相手として紹介された水嶋優介と未入籍のまま偽装結婚した。最初はつかみどころのない優介に反発していたものの、同居生活を通して愛情が芽生えていく。まだ入籍はしていないことから、苗字は変わっていない。優介からは「サユ」と呼ばれている。
水嶋 優介 (みずしま ゆうすけ)
食品業界最大手の企業「MIZUSHIMA」の御曹司の男性で、年齢は29歳。切れ長の目が特徴で、整った顔立ちをしている。将来的には「MIZUSHIMA」の後継者になることが決まっているが、今は勉強のために別の企業に勤務しており、課長を務めている。いずれは企業を背負っていく立場であることから、親族から早く結婚しろと圧力をかけられている。そんな日々にうんざりしていたところ、お見合い相手の一人である園部紗雪と偶然出会い、未入籍のままの偽装結婚を持ちかけた。最初はあくまで協力してくれそうな女性ということで紗雪に声を掛けたが、共同生活を通して、次第に愛情が芽生えていく。クールな性格で喜怒哀楽を表に出すことはないため、周囲からは冷たい人間だと思われているが、優しさはもちろん、未知なるものに対する好奇心や遊び心も旺盛。厳格な男尊女卑な考えを持つ紗雪の家庭とは異なり、明るく開放的な家庭に育つ。頭脳明晰な合理主義者で、仕事の能力も非常に高い。
紗雪の父 (さゆきのちち)
全国的に有名な老舗和菓子店を経営する男性で、園部紗雪の父親。息子の園部真也は愛人とのあいだに生まれた子供。愛人が亡くなったために真也を引き取り、それからは本妻の園部真理子に育児をすべて任せ、紗雪には弟として大切に扱うように指示した。真也を紗雪の父自身の会社の後継者にしようと考えており、紗雪にはあまり興味がない。仕事のことしか頭になく、紗雪には自分の仕事に有利になるような相手と政略結婚してほしいと考え、水嶋優介とのお見合いをセッティングした。亭主関白かつ男尊女卑の考えを持ち、紗雪だけでなく真理子にも高圧的な態度を取っている。紗雪が自分の思うとおりに行動しない場合は、真理子に暴言を吐いている。紗雪と優介が未入籍の偽装結婚であることは知らない。陰で紗雪から「クソおやじ」と呼ばれている。
園部 真理子 (そのべ まりこ)
全国的に有名な老舗和菓子店を経営する紗雪の父の妻で、園部紗雪の母親。成人した子供がいるとは思えないほど、若々しく整った顔立ちで清楚な雰囲気を漂わせている。紗雪のことは大切に思っているが、亭主関白で男尊女卑の考えを持つ夫には逆らえないでいる。そのため、紗雪が紗雪の父から理不尽に責められているときも、何もできずに見守ることしかできない。結婚した当初から夫に愛人がいることは知っており、その愛人が亡くなってからは、二人のあいだに生まれた園部真也を育てている。紗雪と優介が未入籍の偽装結婚であることは知らない。
園部 真也 (そのべ しんや)
紗雪の父と愛人のあいだに生まれた青年で、園部紗雪の腹違いの弟。8歳の時に実母が亡くなったことから、以降は紗雪たちと暮らすようになる。紗雪の父から、将来は老舗和菓子店の後継者になってほしいと熱望されており、園部真也自身も引き受けるつもりでいる。紗雪の父と同じく男尊女卑の考えを持ち、紗雪はもちろんのこと、育ててくれた義母の園部真理子のことも見下している。また、自らの評価を上げるために、紗雪と紗雪の父の関係をわざとこじれるように画策している。紗雪と優介が未入籍の偽装結婚であることは知らない。
優介の父 (ゆうすけのちち)
食品業界最大手の企業「MIZUSHIMA」の会長を務める男性で、水嶋優介の父親。ひげを蓄えたダンディーで厳格そうな見た目ながら、どんなときでも明るく前向きな性格の持ち主。そのため会長としての威厳はないものの、周囲からは非常に慕われている。園部紗雪と優介が結婚したことを大いに喜び、紗雪のこともかわいがっている。なお、二人が未入籍の偽装結婚であることは知らない。
優介の母 (ゆうすけのはは)
食品業界最大手の企業「MIZUSHIMA」の会長夫人で、水嶋優介の母親。優介の父と同じく明るく前向きな性格で、テンションが異常に高い。園部紗雪が娘になってくれることを喜び、実家にやって来た時には誕生日風に部屋をデコレーションするなど、大歓迎した。なお、二人が未入籍の偽装結婚であることは知らない。
アキ
水嶋優介の実家で家政婦をしている中年の女性。幼い頃から優介のことを知っており、かわいがっている。園部紗雪と婚約をしてから、優介の表情が豊かになったと喜んでおり、紗雪に対しても親切に接する。なお、二人が未入籍の偽装結婚であることは知らない。
八木沢 賢人 (やぎさわ けんと)
水嶋優介、野間美花の幼なじみの男性で、年齢は29歳。優介と同じ会社に勤務している。園部紗雪と優介が二人で歩いていた際に、偶然顔を合わせて知り合いになった。紗雪と優介が未入籍のまま偽装結婚をしていることを知っており、周囲を欺く二人の関係にはやや否定的な考えを持つ。そのため、好意的な美花とは異なり、出会った当初は紗雪に対して冷たい態度を取っていた。しかし、紗雪と優介が惹かれ合っていることに気づいてからは、接し方を軟化させる。昔から思いを寄せていた美花と交際しており、彼女を溺愛している。美花は優介のことを兄のようにしか思っていないと理解しているが、時には嫉妬してしまうこともある。
野間 美花 (のま みか)
水嶋優介、八木沢賢人と幼なじみの女性で、年齢は27歳。園部紗雪と優介が二人で歩いていた際に、偶然顔を合わせて知り合いになる。紗雪と優介が未入籍のまま偽装結婚をしていることを知っており、何かトラブルが起こったら紗雪の力になりたいと思っている。明るく素直な性格で、裏表のない正直者。自分を偽って完璧なお嬢様を演じている紗雪から、理不尽ながらも苦手なタイプだと思われているが、野間美花自身は気づいていない。昔から思いを寄せてくれていた賢人と交際しており、優介とは親しくしているが、兄のように思っているために恋愛感情はまったくない。
書誌情報
偽装結婚のススメ ~溺愛彼氏とすれちがい~ 全10巻 秋田書店〈プリンセス・コミックス プチプリ〉
第7巻
(2022-11-16発行、 978-4253199322)
第8巻
(2023-05-16発行、 978-4253199339)
第9巻
(2023-11-16発行、 978-4253199346)
第10巻
(2024-05-16発行、 978-4253199353)