ひつじの涙

ひつじの涙

心に弱さを抱える蓮見圭が、過去に犯してしまったことへの罪悪感にくじけそうになりながらも、周囲の優しい人たちの手を借りて、頑張って前向きに生きていこうとする姿を描く。彼女を取り巻く個性的な登場人物たちも、大きな魅力の1つとなっている。「花とゆめ」2001年19号から2003年23号にかけて連載された作品。

正式名称
ひつじの涙
ふりがな
ひつじのなみだ
作者
ジャンル
ヒューマンドラマ
関連商品
Amazon 楽天

概要・あらすじ

蓮見圭は明るくて元気いっぱいな女の子。優しい双子の兄である天馬彩人蓮見理人に囲まれ、一見幸せそうな彼女は、その過去に大きな問題を抱えていた。編入試験をパスして無事に紫ノ塚学園に入学した圭は、同じく高校から編入してきた神崎京介と同じクラスになる。圭が拒食症であること、好きな相手に怪我をさせて記憶障害にしてしまったこと、その記憶を取り戻すために、なくなった指輪を探していることなど、彼女の複雑な事情を知って心を痛める京介は、いつの間にか圭を好きになっている自分に気づくのだった。

登場人物・キャラクター

蓮見 圭 (はすみ けい)

紫ノ塚学園に通う高校1年生の女子。高等部に進級する際、学園に編入してきた。自称粘り強く諦めの悪い性格だが、実はとても繊細な心の持ち主。ストレスや心の負担があると、食事が喉を通らなくなる。小学3年生のときには、拒食症のせいで入院したこともある。また中学2年生のときに事故に遭い、そのせいで1年留年している。諏訪駆の影響を強く受けているため、楽天家で前向きなところがあるが、同時にもろい部分も併せ持つ。 自分がなくしてしまった駆の指輪を探している。

神崎 京介 (かんざき きょうすけ)

紫ノ塚学園に通う高校1年生の男子。蓮見圭のクラスメイト。高等部に進級する際、学園に編入してきた。中学の頃はバスケットボール部に所属。自分のミスで、大事な試合に負けてしまったことを引きずっている。子供の頃から左目の視力が悪いため、右目に頼らざるを得ないが、日常生活に大きな支障はない。一人暮らしのため家事が得意で、自分のことは何でも自分でできる。

天馬 彩人 (たかま さいと)

蓮見圭の実の兄で、蓮見理人とは双子の兄弟。天馬加也乃の養子になったため、法律上は圭と理人のいとこ。圭と理人と3人で暮らしている。紫ノ塚学園に勤める教師で、担当は日本史。圭と神崎京介のクラスの副担任でもある。ひょうひょうとしていて、あまり感情を表に出さないミステリアスな性格。痩せているにも関わらず、かなりの大食らいである。 紫ノ塚学園の卒業生。

蓮見 理人 (はすみ りひと)

蓮見圭の兄で、天馬彩人とは双子の兄弟。視力が悪く、眼鏡をかけている。圭をとても可愛がっているが、少々シスコン気味。圭のこととなると、冷静でいられなくなる。圭と彩人と3人で暮らしている。料理が得意で、いつも夕飯や弁当を作っている。良識派で、すぐにふざけてしまう彩人に対して何かと苛立つことも多いが、仲はいい。

諏訪 駆 (すわ かける)

天馬彩人の高校時代の同級生の男性。楽観主義者のように見えて、本当は人の気持ちに敏感で、繊細な心の持ち主。十二指腸潰瘍を患って入院生活を送っていたときに、拒食症で入院していた蓮見圭と出会い、彼女の心を救った人物。交通事故に遭った圭をかばって大怪我をし、記憶障害になった。

羽野 蝶子 (はの ちょうこ)

羽野蝶子の双子の姉。紫ノ塚学園の養護教諭を務める26歳の女性。黒ぶち眼鏡をかけた美人だが、ぶっきらぼうな話し方をする。自らも紫ノ塚学園の卒業生で、天馬彩人、諏訪駆とは同級生。高校生のときは生徒会長を務め、羽野鳥花と同じ研修部に所属していた。

羽野 鳥花 (はの とりか)

羽野蝶子の双子の妹。二卵性双生児なので、顔はそれほど似ておらず、性格はさらに似ていない。運動オンチだが、愛嬌のある性格。紫ノ塚学園の卒業生で、天馬彩人、諏訪駆とは同級生。蝶子と同じ研修部に所属していた。駆の元婚約者。

天馬 凌 (たかま しのぐ)

紫ノ塚学園に通う高校1年生の男子。天馬彩人の義理の弟。彩人の養父の再婚相手の連れ子で、彩人とは一切血が繋がっていない。血縁上は彩人、蓮見圭、蓮見理人にとっていとこにあたる。子供の頃から繊細で人見知りが激しく、圭と氷浦海響以外には心を閉ざしている。圭が諏訪駆を想い続けていることを否定する。

氷浦 鈴音 (ひうら りおん)

紫ノ塚学園に通う高校1年生の女子。蓮見圭や神崎京介のクラスメイト。気管支が弱く、小学生の頃に入院していたことがある。そのときに、圭と大部屋で一緒だったため仲良くなった。生徒会長を務める氷浦海響の妹で、少々ブラコン気味なところがある。

君島 嵐士 (きみじま あらし)

紫ノ塚学園に通う高校2年生の男子。生徒会副会長を務めている。綺麗な顔立ちだが、実はちゃらんぽらんな性格。神崎京介の中学校のときの、バスケットボール部の先輩。少々Sっ気が強く、気にかけている京介を、いじりながら可愛がっている。

氷浦 海響 (ひうら あおと)

紫ノ塚学園に通う高校2年生の男子。生徒会長を務めている。氷浦鈴音の兄。スポーツ万能で、頭脳明晰。クールであまり感情を表に出さないが、君島嵐士とは互いに信頼し合っている仲。天馬凌を心配し、見守っている。

神崎 茨 (かんざき いばら)

神崎京介の8歳年上の姉。神崎家の長女。金髪で、ヒョウ柄などの派手めな服装が好み。京介をとても可愛がっている一方で、何かというと、すぐに手を上げてしまうが、それも愛情表現の1つだとうそぶく。

神崎 静 (かんざき しずか)

神崎京介の姉。神崎家の次女。長い黒髪に眼鏡をかけ、あまり表情を変えず淡々と話す。京介が一人暮らししている部屋は、元は静が短大在学中に住んでいた部屋。彼女の少女趣味が活かされた、乙女チックなデザインとなっている。可愛い女の子も好きで、蓮見圭のことが気になっている。

天馬 加也乃 (たかま かやの)

蓮見圭、天馬彩人、蓮見理人の父親の妹。3人にとっては血の繋がった叔母。圭と顔立ちが似ている。生まれつき身体が弱く、繊細な女性。メルヘンチックで、ピンクのバラが大好き。子供がいないので彩人を養子にしたが、その数年後に亡くなる。

諏訪 充 (すわ みつる)

諏訪駆の兄。駆より8歳年上。年の離れた駆を、とても可愛がっていた。羽野蝶子と羽野鳥花が中学生のときに、家庭教師をしていた。穏やかな性格で、勉強の教え方も上手。駆たちが高校を卒業する間近に、交通事故で亡くなってしまう。

場所

紫ノ塚学園 (しのづかがくえん)

蓮見圭や神崎京介が通う学校。中等部と高等部がある。中等部からの持ちあがりの生徒が多いので、みんな身内のように仲がいい。編入してくる生徒は少数派だが、アットホームな雰囲気のなか、歓迎されている。必ずどこかの部活に所属しなければならない、という校則がある。

研修部 (けんしゅうぶ)

学校内のボランティアや雑用を中心に活動している部活。生徒会と関わることも多い。必ずどこかの部活に所属しなければならない、という校則があるため、これまでの部活にどうしても合わない、という生徒のために作られた。蓮見圭と神崎京介が所属している。

その他キーワード

指輪 (ゆびわ)

諏訪駆と羽野鳥花が婚約したときに作った、おそろいの結婚指輪。駆に片想いしていた蓮見圭が、いたずら心から盗んで隠し、その直後に事故に遭ったため、どこに隠したのか忘れてしまった。駆の記憶障害を治す鍵になるのではないかと、圭が必死で探し続けている。

SHARE
EC
Amazon
logo