同窓会をきっかけに起こる謎の事件
恋愛・仕事・結婚などを巡って明らかになっていく、アラサー男女の心の闇やウソをテーマにした作品。中学校時代の同窓会に参加した今井望緒は、初恋の相手である雨宮秀一や当時から仲のよかった友人たちと再会を果たし、楽しいひとときを過ごす。しかし、同窓会が終わったあとに参加者の一人・岩崎奈々江が、川に落ちて死亡する事件が発生。この事件は事故死という形で幕を閉じたかに見えたが、この日以来、望緒とその友人たちの周りで不穏な事件が次々と発生する。望緒の周囲で巻き起こる怪事件の謎とともに、彼女を取り巻く男性たちとの恋愛模様がサスペンスやヒューマンドラマを交えて展開される。
主人公の女性は漫画家を夢見て上京
主人公の今井望緒は、漫画家を夢見て山梨から上京したものの鳴かず飛ばずの下積み生活を送っており、28歳を迎えた頃には母親から結婚を急かされるなど、憂鬱な日々を過ごしていた。さらには後輩に長年温めていたネタを盗作されるが、荒事を苦手とする望緒は後輩を強く責めることができず、漫画家になる夢もあきらめかけていた。そんな中、岩崎奈々江の死亡事故のあとに起こった通り魔事件により、手を負傷した後輩の代わりに代理原稿を依頼される。これをきっかけに漫画の依頼が次々舞い込むようになり、順風満帆に見えたものの、望緒の周囲では再び奇怪な事件が発生し始め、ほかの友人の命が奪われてしまう。
嘘と闇が渦巻く愛憎劇
漫画に打ち込んでいた今井望緒は、専業主婦の友人・野瀬優美から夫のDVについて相談される。岩崎奈々江を偲ぶ会と称して優美を連れ出し、ほかの友人と協力して彼女を夫から救出する計画を実行した望緒だったが、救出を目前にした瞬間に優美はなぜか毒を飲んで自死する。そんな中、奈々江の死亡事故の真相が明らかになるも、優美と不倫していたとされる男性の正体は謎のままで、友人を救えなかった望緒は後悔や葛藤に苦しんでいた。そんな望緒を温かく励ましてくれる雨宮秀一だったが、そんな彼も誰にも言えない秘密や悩みを抱えていた。友人同士のウソの上塗りや孤独が生み出す愛憎劇が展開され、望緒の友人たちの命を奪った黒幕の正体も明らかになっていく。
登場人物・キャラクター
今井 望緒 (いまい みお)
漫画家を生業とする女性。年齢は28歳。18歳で上京し、24歳で一度は自分の作品で漫画家デビューを果たすが、その後は鳴かず飛ばずで、現在は漫画家アシスタントとして働いている。しかし、自分の温めていた漫画のネタを同僚アシスタントのりえに盗用されたことをきっかけにアシスタントを辞め、書店でアルバイト生活を始める。また、両親からは地元に戻って結婚してはどうかとしつこくせまられており、辟易(へきえき)している。そんな中、自らが通っていた甲府の山西中学校が廃校となるのを機に開催された同窓会に参加する。そこで、当時仲がよかったクラスメイトの本田玲子、野瀬優美、岩崎奈々江、幼なじみの深沢稜と再会し、さらには初恋の人、雨宮秀一とも接点を持つことになる。さらに奈々江とは、雨宮を巡って対立して関係が悪化することになる。正義感が強く、友だち思いで優しい性格をしている。思っていることを言葉にせずに飲み込むことが多いが、考えていることがわかりやすく顔に出てしまう。雨宮からの積極的なアプローチに困惑しながらも、彼への思いを日に日に強めていく。中学時代に両親を失くしたクラスメイトの男子がいたことを記憶しており、彼のその後を気にかけている。
雨宮 秀一 (あめみや しゅういち)
東京でIT企業の社長を務める男性。年齢は28歳。今井望緒の中学生時代のクラスメイトで、初恋の人でもある。自らが通っていた甲府の山西中学校が廃校になることを知り、同窓会を企画して幹事役を買って出た。眉目秀麗な優等生で、中学生時代も誰からも好かれる人柄だったが、大人になってさらに輝きに磨きがかかり、周囲の女性たちからは羨望の眼差しを送られている。同窓会で再会した望緒に対して、最初から好意を抱いている様子で、スマートにアプローチを繰り返す。その後、中学生時代から気になる存在だったと告白し、改めて望緒に交際をせまった。
書誌情報
愛しい嘘 優しい闇 7巻 講談社〈BE LOVE KC〉
第1巻
(2021-07-13発行、 978-4065214664)
第2巻
(2021-09-13発行、 978-4065227886)
第3巻
(2021-12-13発行、 978-4065262382)
第4巻
(2022-01-13発行、 978-4065266915)
第5巻
(2022-08-12発行、 978-4065289099)
第6巻
(2023-05-12発行、 978-4065311455)
第7巻
(2024-04-12発行、 978-4065349700)