作品の概要
基本情報
橘オレコの初連載作品にして代表作。
要旨と舞台設定
現代の日本を舞台に、専業主婦として平穏な生活を送っていた今井早梅が、突然の離婚と財産喪失により路上生活に追い込まれるところから物語は始まる。そこで出会った裕福で不遜な男子高校生、片岡壱成との「リアル人生ゲーム」を通じて、二人の関係が変化していく様子が描かれる。
ストーリー展開
早梅は、壱成との同居生活の中で、彼が提示する「リアル人生ゲーム」の課題に挑戦することとなる。その過程で、壱成の兄、成吾との過去の関係や、早梅の元夫との問題など、複数の人間関係が交錯しながら物語は展開される。
ジャンル的特徴と位置づけ
本作は、バツイチ女性と男子高校生の年の差恋愛をテーマとした恋愛漫画で、社会的な立場や年齢差による価値観の違いが、物語の重要な要素となっている。
作品固有の表現技法と特徴
作中では、早梅と壱成それぞれの視点から心情が描かれ、年齢差による葛藤や社会的な制約が鮮明に表現される。そして二人の関係性は、日常的な出来事と「リアル人生ゲーム」を通じて段階的に変化していく。
連載状況
小学館「マンガワン」2018年1月1日から2022年3月7日まで連載。同社「裏サンデー」でも1週間遅れて連載。また、2022年4月4日から2022年8月1日までは番外編が掲載された。
受賞歴
2018年「次にくるマンガ大賞2018」Webマンガ部門第12位。
メディアミックス情報
テレビドラマ
2021年7月から9月までTBS系列にて放送。主人公の桂木早梅を二階堂ふみ、片岡壱成を眞栄田郷敦が演じる。
スピンオフドラマ
『シンデレラ・コンプレックス』:2021年7月から9月にかけて、テレビドラマ放送後に「Paravi」で配信。
あらすじ
第1巻
桂木早梅は夫の今井正弘の不倫をきっかけに、結婚生活1年弱で離婚する事になった。離婚を言い渡されたその日のうちに、荷物をまとめて家を飛び出した早梅だったが、所持金の入ったバッグを盗まれ、仕方なく公園でホームレス生活を始める。そんなある日、同じ公園に住むホームレスの男性に襲われそうになった早梅は、お金持ちの高校生の片岡壱成に助けられ、そのまま壱成の家に連れて行かれる。壱成は早梅を家に住まわせる事を条件に、壱成が考える気まぐれな「ゲーム」に付き合うよう提案。最初は断ったものの、話の途中で300万円もする掛け軸を破損してしまった早梅は、弁償のために仕方なくゲームに付き合う事となる。最初のゲームは壱成を狙う女性の恵の誕生日パーティーに参加して、彼女に恥をかかせるというもので、早梅は持ち前の勝気さで見事にその指令を成功させる。次のゲームは廃墟で心霊写真を撮る事になったが、早梅は体調不良により倒れてしまう。
第2巻
桂木早梅の体調が戻った頃、元夫である今井正弘から離婚届への記入を催促される。その事を知った片岡壱成は早梅に正弘の不倫の証拠をつかみ、慰謝料300万円を支払わせる事を次のゲームにする。早梅は正弘を尾行し、不倫現場を写真に撮ろうとするが、自分の中にはまだ正弘を信じる気持ちが残っている事を自覚する。しかし正弘の家に見知らぬ女性が入るのを目撃し、正弘が本当に不倫している事を知ると、早梅は意を決して正弘との話し合いに向かい、離婚届に判を押す。その際、正弘が不倫した相手の女性を妄信的に愛している事に失望した早梅は慰謝料を取らず、正弘といっさいのかかわりを持たないと宣言するのだった。その後、早梅は壱成の祖母、片岡悦子の紹介によって、片岡家が経営する旅館で働き始める。
登場人物・キャラクター
桂木 早梅 (かつらぎ はやめ)
黒髪のショートヘアに、スレンダーな体型をした専業主婦。年齢は27歳。物怖じせず物事を俯瞰的に見る性格で、自分が納得できない事があれば、はっきりと相手に告げる。元夫である今井正弘の不倫を知って問い詰めたところ、正弘から離婚を言い渡され、その日のうちに家を出る事になる。寝床を探している最中に貯金していた30万円が入ったバッグを盗まれてしまい、無一文となる。そのため、公園のホームレスに助けてもらいながら、公園で寝起きする生活を始める。そんな中、ホームレスの男性から襲われそうになっているところを片岡壱成に助けられ、壱成の家に連れて行かれる。そこで壱成から家に泊める条件に「ゲーム」を持ちかけられるが、断固として断っていた。しかし、壱成の部屋にある300万円の掛け軸を破損してしまい、弁償の代わりにゲームを行う事を了承する。元夫の正弘とは、学生時代いじめられている正弘を偶然かばったのが最初の出会いで、その後音信不通になったが、社会人になって居酒屋で再会したのをきっかけに結婚した。桂木早梅自身は結婚生活をそれなりに良好に過ごしていたつもりだったが、二人のあいだには小さな不満が積み重なっていた事が離婚後に判明した。また、正弘に対して感情的になったりわがままを言ったりする事がなかったため、それが正弘を不倫に走らせた原因ではないかと自己分析している。壱成と暮らし始めてからは、比較的感情を表に出して話すようになっている。
片岡 壱成 (かたおか いっせい)
茶髪で、やや癖っ毛の髪型をした男子高校生。年齢は17歳。高級旅館を経営する家系の息子である事から、周囲の人間からはもてはやされている。他人との関係をどこか達観しており、一線を引いている。そのため、他人に対して必要以上に冷たく接するところがあり、桂木早梅からは「性格が悪い」と言われている。金持ちである事で周囲が自分を持ち上げている事を自覚しており、「金持ち」の面だけを見られている事に嫌気が差している。早梅とは、電車内で同級生に荷物持ちをさせていた時に一喝されたのが出会いで、その後離婚してホームレス状態になった早梅と再会したのをきっかけに、「ゲーム」を持ちかける。当初は早梅を使ってヒマつぶしをするつもりだったが、早梅が周囲の人間のように持ち上げたりせずに自分自身を見てくれる事に気づくと、徐々に女性として意識し始めるようになる。ふだんから片岡壱成が使用している金は、祖母の片岡悦子のクレジットカードで支払われている。また兄が一人いるが、険悪な仲である事以外は明かされていない。早梅と出会う前は、ホームレスに紙幣をばらまいて拾わせる様子を動画で撮影していたりと、悪い行動が目についていたが、早梅の影響で軟化している。
今井 正弘 (いまい まさひろ)
桂木早梅の元夫。黒髪の短髪で、メガネをかけている。のんびりとした性格で、すぐに謝る癖がある。早梅とは、学生時代にいじめられているのを助けられたのが初対面で、その後社会人になって、早梅が働いている居酒屋で再会したのをきっかけに結婚した。早梅との結婚生活の最中に小学生時代の同級生だった初恋相手と出会い、不倫に走った。不倫を早梅に指摘されると素直に認めたうえ、その相手と結婚するために離婚を切り出した。
片岡 悦子 (かたおか えつこ)
片岡壱成の祖母。和服を着用し、杖をついている。高齢であるが、はつらつとした快活な性格で、現在も彼氏を作っては恋愛を楽しんでいる。歴史ある旅館の家系を守るために尽力しており、家と決別したがっている壱成に喝を入れている。桂木早梅を紹介された際には、早梅の人柄を気に入り、家に住まわせる代わりに旅館で働く事を提案した。
吉寅 (よしとら)
片岡壱成の使用人をしている老人の男性。白髪に白い口ひげを生やし、メガネをかけてつねに背広を着用している。以前は片岡悦子の使用人をしていたが、現在は壱成の身の回りの世話をしつつ桂木早梅の世話もしている。悦子には現在も頭が上がらず、壱成の命令よりも悦子の命令を優先している。
恵 (めぐみ)
片岡壱成に取り入ろうとした女性。年齢は22歳。大企業の社長である父親と女優の母親を持ち、恵自身もモデルとして活動している。自らの美貌に絶対的な自信を持っており、気になる男性には積極的にアプローチしている。壱成が高級旅館の家系の息子である事を知り、壱成の兄に近づこうと画策した。だがそのもくろみは壱成にばれており、結果的にふられた。
その他キーワード
ゲーム
当初は片岡壱成が桂木早梅を自宅に泊める条件として提示した条件。当初、早梅は取り合わなかったが、掛け軸を破損した事で、その弁済費用に充てるために行う事となった。ゲームの内容は、壱成がその時に思いついたいくつかのミッションに数字を割り当て、サイコロや鉛筆に数字を書いたものを転がして、出た目を早梅に実行させるというもので、そのミッションに応じて、壱成の言い値で報酬が決まる。報酬は掛け軸の値段とされる300万円から減額されるシステムで、現金のやり取りなどはない。時折突発的に追加のミッションが加わる事もある。
関連
#バツイチアラサー女子と男子高校生 (ばついちあらさーじょしとだんしこうこうせい)
橘オレコによる恋愛作品『プロミス・シンデレラ』の後日談を描いたスピンオフ作品。とある事情から自宅に同居する事になった女性を恋に落とすために奮闘する男子高校生の日常生活をコミカルに描く。「pixivコミ... 関連ページ:#バツイチアラサー女子と男子高校生
書誌情報
プロミス・シンデレラ 16巻 小学館〈少年サンデーコミックス〉
第1巻
(2018-06-12発行、978-4091283184)
第2巻
(2018-09-12発行、978-4091285188)
第3巻
(2019-02-12発行、978-4091288325)
第4巻
(2019-05-17発行、978-4091292131)
第5巻
(2019-09-19発行、978-4091294005)
第6巻
(2020-02-12発行、978-4091295835)
第7巻
(2020-05-19発行、978-4098501199)
第8巻
(2020-08-19発行、978-4098502240)
第9巻
(2020-11-12発行、978-4098503315)
第10巻
(2021-01-19発行、978-4098504374)
第11巻
(2021-05-12発行、978-4098505739)
第12巻
(2021-07-12発行、978-4098506217)
第13巻
(2021-08-11発行、978-4098506675)
第14巻
(2021-12-10発行、978-4098508358)
第15巻
(2022-04-12発行、978-4098510719)
第16巻
(2022-08-19発行、978-4098512393)







