あらすじ
第1巻
幼い頃読んだ絵本の王子様に今もあこがれている夢見がちな中学3年生・市原由奈は、高校進学直前のある日、友人のさっちゃんを見送りに行った駅で、同世代の少女・山本朱里と出会う。朱里も駅に見送りにやって来たが、財布を忘れて困っているのだという。そんな朱里にお金を貸した由奈は、自分達が同じマンションに住んでいるうえ、同じ高校に進学する予定である事を知る。これがきっかけで二人は急速に親しくなるが、由奈は朱里の恋愛に対してやや軽薄な一面を、朱里は由奈の恋愛に対して奥手すぎる一面を案じていた。そんなある日、由奈は朱里が恋人とあっさり別れてしまったうえ、現在はアルバイト先の恋人がいる男性・美園といい雰囲気であると聞き、朱里の恋愛観を理解できず腹をたてる。しかし、乾和臣はそんな由奈をたしなめ、反省した由奈は朱里に会いに行く事にする。そこで発覚したのは、朱里が美園に恋人の存在を隠されたまま一方的にアプローチされ、美園の恋人である岡崎に誤解されて困っているという事実であった。真実を知った由奈は朱里に謝罪し、二人はさらに絆を深めるのだった。
第2巻
市原由奈は、山本朱里と山本理央が双子ではなく、両親の再婚でできた義理の姉弟であったと知り、衝撃を受けていた。由奈は理央からずっと思いを寄せている女性がいると聞いていたが、その女性こそが朱里だったのである。理央に思いを寄せ始めていた由奈は悩むが、あえて理央に告白してふられ、理央の友人となる事で、複雑な思いを抱える彼の味方になる事を決める。由奈のこの決断は朱里にも影響を与え、朱里は中学時代に親しくしていた男性・瑛士の事を思い出す。当時朱里は瑛士への気持ちを単なるあこがれと思い込んでいたが、それはふられて傷つかないために、自分の気持ちに噓をついていたのではと考えたのである。そこで朱里は衝動的に瑛士に会いに行こうとするが、結局やめて駅で時間を過ごす。しかも連絡もせず帰宅が遅くなった事で、由奈、理央、乾和臣の三人には心配をかけてしまい、特に理央には怒られてしまう。だが後日、朱里にも言い分があると考えた和臣は朱里を誘って出かけ、話を聞く。その優しさに感動した朱里は、次第に和臣を意識するようになる。
第3巻
山本朱里は乾和臣といっしょに出かけ、話を聞いてもらった日から、和臣の事が気になっていた。しかし和臣は、朱里がこれまで交際した男性とはまるで違い、恋愛の駆け引きがまるで通じない相手であった。そこで朱里は和臣の事は単なる気の迷いとし、市原由奈も誘って合コンへ行く。だが結局和臣の事が頭から離れず失敗に終わり、観念して由奈に自分の気持ちを打ち明ける。由奈は意外な展開に驚きつつも協力を誓うが、朱里にずっと思いを寄せている山本理央の事を思うと、複雑な気持ちになるのだった。そんな朱里の変化には当然理央も気づいており、理央は何も悪くない和臣に対してつい冷たい態度を取ってしまい、自己嫌悪に陥る。そのままマラソン大会の日が訪れるが、そこで由奈は、まるでやる気のない朱里に、和臣の好みのタイプの女性は、何事にも全力で取り組む女性であると噓をつく。これによって一念発起した朱里はいい記録を残すが、完走後体調を崩してしまい、それを介抱した和臣と急接近する。しかし、その一部始終を見ていた理央は深く傷つき、その直後、道で朱里と歩いていた際、衝動的に朱里にキスをする。
第4巻
山本朱里は、義理の姉弟として接して来たはずの山本理央からキスをされ、困惑していた。この件は市原由奈には相談できず、さらに合コンで会った男子からは、合コンではその気があるように見せておいて、その後は放っておくとは軽薄ではないかと罵倒され、朱里は強い孤独感を覚える。一方その頃、由奈は理央から、朱里にキスをした件で相談を受けていた。由奈はショックを受けつつも、自分から朱里と話す機会を設け、自分はこの件を受け入れたので、理央と仲直りしてほしいという思いを伝える。しかし、朱里もそうしたいとは思うものの、なかなか理央とうまく話せずにいた。そんな折、合コンで会った男子が再び朱里に因縁をつけ、朱里と理央は、本当は義理の姉弟ではなく恋人なのではと揶揄する。しかし、そこに割って入り、彼を叱ったのは乾和臣であった。朱里は和臣の優しさに救われ、同時にその頃、理央も由奈から、これまで朱里が理央との関係を保つため、いかに努力して来たかを知らされる。これによって反省した理央は朱里に謝罪し、二人はようやく元の関係に戻るのだった。
第5巻
山本理央は、市原由奈に親身に相談に乗ってもらううち、由奈の人柄に触れ、彼女を意識するようになっていた。由奈もまた、理央との距離を縮めるため、山本朱里と相談して、乾和臣も交えた四人で夏祭りに行こうと考える。当日はそこに我妻も参加する事になり五人は楽しい時間を過ごすが、理央は由奈と我妻の距離が縮まっている事に気づき、焦る。一方その頃、和臣は人ごみではぐれてしまった朱里と合流し、交際してみないかと提案されていた。だがその際、朱里は自分が傷つくのを恐れるあまり和臣の事が好きだと言い出せず、和臣の方が自分の事が好きならば交際してもいい、と言ってしまう。和臣はこれを断り、朱里は自分の気持ちを伝える前に失恋するのだった。そして夏休みは終わり、文化祭の準備が始まるが、なんと朱里と和臣は同じ班で作業をする事になってしまう。気まずいながらも朱里は和臣とこれまで通り接するため、まずは借りていたものを返しに乾家へ行く。しかしささいな行き違いから、朱里は訪問して来た理央から身を隠すため、和臣とベッドに隠れる事になってしまう。
第6巻
山本朱里は、乾和臣の家を訪問した事で、乾家の複雑な事情を知る。しかし、これ以上和臣を困らせてはいけないと思うあまり、和臣の事はもう好きではないので、夏祭りでの件は気にしないでほしいと言ってしまう。一方その頃山本理央は、市原由奈に、朱里の事は完全に吹っ切れたので、もう安心してほしいと伝えたうえで告白しようとしていた。しかし、いざ告白しようとした瞬間邪魔が入ってしまい、由奈は理央の気持ちを知らないままに終わってしまう。さらにその直後、理央は我妻が由奈に思いを寄せており、本格的にアプローチを始めた事を知る。そのまま文化祭当日となり、由奈と理央、朱里と和臣はそれぞれ充実した時間を過ごすが、和臣はその最中、朱里への思いを確信する。そこで和臣は、同じように朱里を思っているはずの理央にそれを伝えに行くが、理央の答えは、今の自分は朱里ではなく由奈が好きだというものだった。こうして誤解が解けた理央は、和臣に後夜祭のフォークダンスに由奈を誘いたいと思っている事を話すが、ちょうどその頃、我妻はフォークダンスを利用して由奈に告白する決意をしていた。
第7巻
市原由奈は、文化祭中に我妻から告白されたが、山本理央が好きだからという理由で断った。対する山本朱里は、遊びにやって来た友人の花乃や、元恋人の亮介と再会する。だが亮介からは、自分達が別れた原因は、朱里の傷つくのを恐れるあまり本音を話そうとしない、自分本位な性格にあったと指摘され、落ち込むのだった。乾和臣はそんな朱里を励まし、今からでも本音を伝えるべきだと背中を押す。これによって朱里は、本当は花乃や亮介をとても大切に思っており、転校は非常に嫌だったが、当時はそれを素直に言えなかったと伝える事に成功するのであった。一方その頃、由奈は後夜祭中に理央に告白することを決意し、理央を探していた。そして同じように由奈を探していた理央は自分の思いを告白し、二人はついに恋人同士になるのだった。だが、恋が実る事を想定していなかった由奈は、この日から途端に理央に対してぎこちなくなってしまう。見かねた朱里は、和臣も交えてのダブルデートを企画する。しかし当日、四人が楽しい時間を過ごした帰り道、なぜか亮介が駅で待っていた。
第8巻
乾和臣と山本理央は、亮介が再会を機に山本朱里とよりを戻したがっているのではないかと考えていた。その予想は当たり、亮介は朱里に再びアプローチするようになっていく。これを阻止したい和臣は、ある日亮介のもとへ行こうとする朱里を引き留め、代わりに自分が亮介と会う事にする。しかし亮介は、今でも自分は朱里を思っているが、別れを告げたのは自分なので、今後は和臣に朱里を任せたいと語る。だが、あまりもたもたしているのであればその限りではないと告げ、和臣を焦らせるのだった。そしてクリスマスイブとなり、市原由奈と理央は二人きりの時間を満喫するが、両親との関係が悪いままの朱里と和臣は、どちらも一人孤独に過ごしていた。そこで二人はいっしょに過ごす事にし、朱里は両親の喧嘩が長引き家にいづらい事を、和臣は将来映画関係の仕事に就きたいと思っているものの、家庭の問題もあり、一歩踏み出せずにいる事を打ち明ける。こうしてそれぞれのつらい境遇を伝えあった二人は、互いに思い合っている事に気づかないまま励まし合うのだった。
第9巻
2月。山本朱里と山本理央の両親は未だに仲直りできず、二人は離婚の危機に瀕していた。そんな理央の心の支えは市原由奈であったが、それを知らない由奈は、理央が自分を選んだのは、理央が朱里との関係に苦しんでいた際にタイミングよくそばにいたからであり、決して自分が魅力的だったからではないと考え、悩んでいた。由奈はその不安をバレンタインの日に打ち明け、理央はそれをはっきりと否定。二人は絆を深めるのだった。一方その頃、朱里は乾和臣が、将来の夢を両親に勘づかれ、映画ソフトのコレクションを勝手にすべて捨てられてしまった事を知り、驚いていた。和臣の支えになりたい朱里は、和臣の夢を応援する事を決意し、同時に、たとえ両親が離婚する事になっても、もう母親にはついていかないと決めるのだった。その直後、朱里は花乃と亮介と会い、なぜかすぐに帰ってしまった花乃の代わりに、亮介に悩みを聞いてもらう。これによって改めて朱里を支えたいと考えた亮介は、もうこれ以上待ってはいられないと判断し、和臣に朱里をめぐって宣戦布告をするのだった。
登場人物・キャラクター
山本 朱里 (やまもと あかり)
市原由奈の友人で、山本理央の義理の姉にあたる、高校1年生の女子。クラスは4組に在籍しており、義理の父親と母親、そして理央の三人と、由奈と同じマンションの501号室に住んでいる。前髪を右寄りの位置で目が隠れないように分け、顎の下まで伸ばした癖のある黒のボブヘアにしている。明るく積極的だが、非常に他人に気を遣う性格。 一見何でもそつなくこなすように見えるが、人に弱みを見せるのが苦手で、不器用な一面もある。小学生の頃に親が離婚し、その際自分の本音を打ち明けても離婚を避けられなかった経験から、強い無力感を感じ、傷つく事を極端に恐れるようになってしまった。結果、何事に対しても保身に走りがちで、本音でぶつかれなくなってしまっている。そのため人間関係においては、わざと執着心の薄いドライな人物として振る舞っていた。 つねに周囲に気を配っているにもかかわらず、冷たく身勝手な人物であると誤解される事が多かったが、由奈と出会った事で少しずつ考えを改め、理央や乾和臣といった周囲の人物と向き合うようになっていく。誕生日は8月17日で、血液型はO型。身長は158センチで、体重は42キロ。 将来の夢は通訳。
市原 由奈 (いちはら ゆな)
山本朱里の友人で、朱里達と同じ高校の1年4組に在籍する女子。朱里と同じマンションの305号室に住んでいる。前髪を目の上で切り揃え、胸につくほどまで伸ばしたふんわりしたロングヘアにしている。内気で引っ込み思案で、やや夢見がちな性格。しかし思いやりがあり、人の誤りをはっきりと正す事のできる芯の強さがある。高校入学直前のある日、困っている朱里にお金を貸した事で朱里と知り合い、以来無二の親友となる。 そして朱里の義理の弟である山本理央に思いを寄せるようになった事で、山本家の複雑な事情と、理央が朱里と姉弟になる前から朱里に思いを寄せていたのを知り、理央を支えたいと考えるようになる。朱里に出会うまでは非常に奥手で、いつか幼い頃読んだ絵本に登場する王子様のような男性と恋がしたいと、空想ばかりしていた。 しかし、朱里に影響されるうちに次第に前向きになり、人間的にも成長していく。誕生日は1月7日で、血液型はA型。身長は154センチで、体重は44キロ。好きな食べ物はかぼちゃサラダで、苦手な食べ物はうなぎ。趣味は少女漫画を読む事。
山本 理央 (やまもと りお)
山本朱里の義理の弟で、朱里達と同じ高校の1年1組に在籍する男子。父親と義理の母親、そして朱里の三人と、市原由奈と同じマンションの501号室に住んでいる。前髪を目が隠れそうなほど伸ばした、亜麻色のショートカットヘアにしている。美形で女性慣れしている事から、非常にもてる。しかし、マイペースで面食いな一面もある。 中学3年生のある日、片思い相手の朱里に告白しようとしたところ父親に呼び出され、再婚相手として山本朱里の母親と、朱里を紹介される。そのため、朱里に思いを寄せていると伝えられないまま、義理の姉弟になってしまった。それ以来朱里を忘れるため不特定多数の女性達と遊ぶ日々を過ごしていたが、好きになれる女性は現れず苦しんでいた。 しかし高校入学を機に由奈と出会い、相談に乗ってもらっているうちに由奈の人柄に触れ、朱里を吹っ切り、由奈と交際を始める。乾和臣とは朱里と由奈を通じて知り合い、時に複雑な思いを抱く事がありつつも、非常に仲がいい。誕生日は2月9日で、血液型はA型。身長は173センチで、体重は57キロ。好きな食べ物は肉類全般で、苦手な食べ物は梅干し。 趣味は将棋。
乾 和臣 (いぬい かずおみ)
市原由奈の幼なじみで、山本朱里達と同じ高校の1年4組に在籍する男子。由奈や朱里と同じマンションの106号室に住んでいる。前髪を目の上で切った、黒のショートカットヘアにしている。由奈からは「和くん」山本理央からは「和」「カズ」と呼ばれている。穏やかで分け隔てない、気さくな性格。しかし恋愛には関心がなく、他意なく女性を期待させるような行動をする事がある。 由奈が自然に会話できる数少ない人物であり、朱里とは、高校入学直前に由奈の紹介で知り合った。その後理央とも親しくなり、山本家の複雑な家庭環境を知ったうえで、理央を支えるようになる。並行して朱里に思いを寄せるようになっていくが、高校1年生の初夏に、理央もまた朱里に片思いしている事を知り、一度は身を引こうとした。 その後、理央の現在の思い人は由奈であると知ったものの、度重なるすれ違いから、朱里とは交際に至っていない。誕生日は10月6日で、血液型はB型。身長は176センチで、体重は61キロ。好きな食べ物はカレー。趣味は映画鑑賞で、将来は映画関係の仕事に就きたいと考えているが、両親には反対されている。
亮介 (りょうすけ)
山本朱里の元恋人で、朱里が以前住んでいた地域の高校に通う1年生の男子。前髪を目が隠れそうなほど伸ばした、ふんわりとしたショートカットヘアにしている。無愛想でいつも気だるげな雰囲気のため何事にも無関心に見えるが、実際は他人の事をよく見ている。特に朱里の事は深く理解しており、時に厳しくも鋭い指摘をする。朱里とは中学2年生の頃に親しくなり、その後交際を始め、高校進学直後まで交際していた。 しかし、朱里の引っ越しにより遠距離恋愛になった事と、朱里の何事にも本気になろうとせず、必要な時に本音を話そうとしない自分本位な性格が嫌になり、別れてしまった。だが、自分にも問題があった事を自覚しており、もし朱里とやり直せるのであれば、今度こそ大切にしたいと考えていた。 そこで高校1年生の秋に、友人の花乃達に誘われる形で朱里達の高校の文化祭を訪れ、再会する。そこで乾和臣の存在を知り、一度は朱里は和臣に任せるべきと考えるが、なかなか行動しようとしない和臣に焦れ、ライバル宣言をする。
我妻 (あがつま)
山本理央の友人で、市原由奈と山本朱里達と同じ高校の1年1組に在籍する男子。前髪を目が隠れないように切った、ふんわりとしたショートカットヘアにしている。穏やかで落ち着いた人当たりのいい性格で、周囲の相談に乗る事が多い。そのため親しい人々からは包容力のある、癒し系の人物として頼られているが、女子にはあまり知られておらず、特にもててはいない。 由奈とは理央を通じて知り合い、その後偶然いっしょに参加した合コンを機に話すようになった。さらに夏祭りに由奈、朱里、理央、乾和臣の四人と共に出かけたのを機に由奈と本格的に親しくなり、思いを寄せるようになっていく。そこで文化祭の日に由奈に告白するが、理央の事が好きだからという理由でふられてしまった。 その後は、由奈と友人として接するようになる。クラスでは、理央と柴の三人で行動している事が多い。
柴 (しば)
山本理央の友人で、市原由奈と山本朱里達と同じ高校の1年1組に在籍する男子。前髪を額が見えるほど短く切って真ん中で分けた、ショートカットヘアにしている。明るく友達思いな性格。しかし、それが災いして、友人の敵とみなした人物には攻撃的に振る舞いがちな一面がある。特に理央に関しては、女性にもてる理央が、時に女性達から理不尽な目に遭わされる事に怒りを感じていた。 そのため由奈に対しても、出会った当初は理央に付きまとっている迷惑な女性だと捉えていた。しかしすぐさまそれは誤解であったと知り、謝罪。さらにその直後由奈と同じ合コンに参加し、ゆっくり話す機会を得た際に改めて謝罪し、それ以降は良好な関係となる。クラスでは、理央と我妻の三人で行動している事が多い。
さっちゃん
市原由奈の友人で、由奈達とは別の地域に住む高校1年生の女子。前髪を左寄りの位置で目が隠れないように分け、胸につくほどまで伸ばしたロングヘアを、耳の下の高さで二つに結んだ髪型をしている。「さっちゃん」は由奈から呼ばれているあだ名で、本名は不明。あまり目立たないが、穏やかで心優しい性格。由奈とは非常に親しく、由奈の初恋の相手が絵本に登場する王子様と聞いても笑わなかった事から、由奈の厚い信頼を得ていた。 しかし、高校入学を機に引っ越してしまい、由奈はその見送りの日に偶然山本朱里と出会った。その後由奈が山本理央と交際を始めた直後に由奈に会い、理央を紹介される。しかし由奈が理央と釣り合っているとは思えず、由奈が理央に騙されているのではと心配している。
岡崎 (おかざき)
美園の恋人で、市原由奈、山本朱里達と同じ高校の1年1組に在籍する女子。前髪を真ん中で分けて額を見せ、胸につくほどまで伸ばした、ふんわりしたロングヘアにしている。高校入学後、クラスの異なる由奈と朱里とは特に接点がなかった。しかし、高校1年生の春、朱里と美園が同じ店でアルバイトを始めた事により、二人が急接近しているのではと不安を感じるようになる。 そのため朱里に対して攻撃的に振る舞っていたが、実際は美園が岡崎の存在を隠して朱里に一方的なアプローチをしており、朱里は岡崎と美園の関係に巻き込まれただけという事が発覚する。しかし、発覚時に朱里が気を遣って事を荒立てなかったため、穏便に解決した。
美園 (みその)
岡崎の恋人で、市原由奈、山本朱里達とは別の高校に通う男子。前髪を真ん中で分けて額を見せたウルフカットヘアにしている。由奈と朱里が高校1年生の春、朱里が美園と同じ店でアルバイトを始めた事により親しくなる。そこですぐさま朱里を気に入り、岡崎の存在を隠して一方的にアプローチしていた。しかし、それが噂になり岡崎の耳に入った事で、朱里が真実を知り、ふられてしまった。
花乃 (かの)
山本朱里の友人で、朱里が以前住んでいた地域の高校に通う1年生の女子。瑛士の妹でもある。前髪を真ん中で分けて額を全開にし、胸につくほどまで伸ばしたロングヘアにしている。明るく親しみやすい性格で、朱里とは中学2年生の頃、亮介達も交えてなかよくなった。朱里を自宅に招く事も多く、朱里と瑛士が知り合ったのも、花乃の紹介によるものである。 朱里とは仲がよかったが、彼女の事を、執着心の薄いドライな女性だと捉えていた。そのうえ中学卒業と同時に朱里があっさり引っ越してしまい、自分の解釈は正しかったと密かに淋しさを感じていた。しかし、高校1年生の秋に朱里達の高校の文化祭へ遊びに行った際、本当は朱里もまた淋しさを感じていた事を知り、誤解が解けた。 以後は、再び朱里と会う関係に戻る。現在は、複雑な家庭環境にある朱里を案じている。
瑛士 (えいじ)
花乃の兄で、山本朱里の知人の男子大学生。朱里とは花乃を通じて知り合い、朱里がよく自宅に遊びに来る関係で親しくなった。高校3年生のある日、恋人にプレゼントとしてブレスレットを贈ったところ、こんな安物はいらないと突き返されて腹をたて、自分が持っていてもしょうがないという理由で朱里にプレゼントした。その後、大学進学を機に引っ越したが、それからも花乃を通じて朱里と電話で話す事もある。 朱里が市原由奈からお金を借りた際、返すまでの担保として、このブレスレットを渡している。
山本朱里の母親 (やまもとあかりのははおや)
山本朱里の実母で、山本理央の義理の母親。前髪を真ん中で分けて額を見せ、胸につくほどまで伸ばしたロングヘアにしている。プライドが高く、自分が悪いと思っていてもなかなか謝れない不器用な性格。これまでに2回離婚を経験しており、その度に自分の都合で引っ越しをしたりと、朱里を振り回して来た。しかし、朱里だけは自分に必ずついて来ると思い込んでおり、朱里を尊重する気持ちに欠けている。 朱里が中学3年生のある日、理央の父親と再婚するが、同い年である朱里と理央が同じ家に住んでいる事を快く思っておらず、理央を必要以上に警戒している。その結果、朱里には理央と距離を置くように強いており、朱里は家庭内において、わざと理央に冷たくせざるを得なくなってしまっている。
乾和臣の兄 (いぬいかずおみのあに)
乾和臣の兄で、年齢は22歳。前髪を目が隠れそうなほど伸ばして、肩につくほどまで伸ばした、ぼさぼさのボブヘアにしている。マイペースで、固定観念に縛られない自由奔放な性格。かつては模範的な優等生として、両親の期待に応えていた。実際は強いプレッシャーを感じ、精神的に追い詰められており、大学生になったある日とうとう爆発し、学校をやめてしまった。 それからは定職につかずフラフラしており家族を心配させていた。和臣が高校1年生の時に、役者になるためにイギリスへ行きたいと言い出した事で、さらに両親との関係が悪くなってしまっている。
書誌情報
思い、思われ、ふり、ふられ 8巻 集英社〈マーガレットコミックス〉
第1巻
(2015-10-13発行、 978-4088454672)
第2巻
(2016-02-25発行、 978-4088455280)
第3巻
(2016-06-24発行、 978-4088455969)
第4巻
(2016-10-25発行、 978-4088456539)
第5巻
(2017-03-24発行、 978-4088457321)
第6巻
(2017-08-25発行、 978-4088458045)
第7巻
(2017-12-25発行、 978-4088458687)
第8巻
(2018-04-25発行、 978-4088440255)