サッカー部員の日常を描いたコメディ
本作は、サッカー部を舞台にしながら、サッカーのシーンがほとんど描かれていない異色作であり、高校生たちの会話や日常に焦点を当てた体育会系コメディである。第1巻巻末のあとがきによれば、作者のあずまよしおは、高校時代に拳法部に所属しており、その時の体験が辛くも楽しかったため、「部活のある日常」というテーマを選んだという。登場人物も友人をモチーフにしていることが多く、サッカー部主将の柴田は、実在の拳法部主将がモデルである。「主将にボコボコにされていながらも、それが愛情だと感じ、憧れの気持ちを抱く」。そういう不条理な「部活動」という特殊な世界を描いている。
新主将就任
埼玉県の御幸高校サッカー部では、3年生の引退により、新たな主将を選ぼうとしていた。2年生のMF(ミッドフィールダー)、柴田は、サッカーの実力に加え「1年に混じって雑用を行う」「ゴールを決めてもアシストしてくれた選手を立てる」など、かっこいい言動で後輩から絶大な支持を得ていた。そして主将を選ぶ投票が行われ、柴田は圧倒的な得票数で新主将に選ばれる。主将に就任しても浮かれることもなく、厳格ながら謙虚な姿勢を崩さずに後輩たちに接する。外見はクールな柴田だったが、内心はものすごく喜んでおり、周囲から「主将」と呼ばれるたびにニヤけてしまう自分を抑えるのに苦労する。そんな柴田に導かれ、新体制のサッカー部の苦しくも楽しい日々が始まる。
代替わりする主人公
柴田の指導のかいがあり、県大会を優勝した御幸高校サッカー部は、インターハイに出場する。勢いに乗った御幸高校は、準々決勝まで駒を進めるが、ベスト4をかけた試合に敗退。そして柴田たち3年生は引退を迎え、次期主将を決める投票日がやってくる。その結果、意外にもレギュラーではない谷口正善が新主将に選ばれてしまう。「選びたいやつがいない」という数人が、ふざけて投票した結果である。こうして谷口新主将のもと、新たなサッカー部の物語が始まる。本作は、現実世界と同じ時間軸でストーリーが進む点が特徴であり、毎年新主将が選ばれ、1年毎に主人公が入れ替わる形式となっている。
登場人物・キャラクター
柴田 将一 (しばた しょういち)
御幸高校サッカー部のMF(ミッドフィールダー)の少年で、ツンツン頭が特徴。初登場時は2年生で新主将に選ばれる。1993年11月3日生まれ。身長178センチメートル、体重67キログラムで、血液型はAB型。高校入学をきっかけにサッカーを始めたにも関わらず、かなりの実力者に成長するが、そもそもの動機は「女の子にモテたいから」だった。ごく普通の思春期の高校生だが、外面はクールで硬派。サッカーに関しては徹底しており、すごくハードな練習を課す。
谷口 正善 (たにぐち まさよし)
御幸高校サッカー部に所属する少年。リフティングが100回できなかったという理由で坊主頭を強制されている。初登場時は1年生で、ポジションはベンチ。主将の柴田を恐れながらも尊敬している。1995年1月1日生まれ。身長176センチメートル、体重65キログラムで、血液型はA型。「サッカーより不良のほうがモテるのでは」と思いたち、タバコを吸って補導された経験がある。柴田の引退時、なんとなく新主将に選ばれてしまう。
書誌情報
ぼくらのカプトン 全11巻 小学館〈ゲッサン少年サンデーコミックススペシャル〉
第1巻
(2010-09-10発行、978-4091225597)
第11巻
(2015-09-11発行、978-4091263551)







