ぼっち・ざ・ろっく!外伝 廣井きくりの深酒日記

ぼっち・ざ・ろっく!外伝 廣井きくりの深酒日記

はまじあきの音楽漫画『ぼっち・ざ・ろっく!』のスピンオフ作品。漫画は『たぬきときつねと里暮らし』などの作者・くみちょうが担当。現代日本を舞台に、新宿のライブハウスを中心に活動するバンド「SICK HACK」のリーダー、廣井きくりのバンド活動と酔いどれの日常を描くバンドコメディ漫画。本作のストーリーはきくり視点で描かれており、登場人物の意外な素顔や人間関係が明らかになる。芳文社「COMIC FUZ」で2023年7月9日より配信の作品。

正式名称
ぼっち・ざ・ろっく!外伝 廣井きくりの深酒日記
ふりがな
ぼっちざろっく がいでん ひろいきくりのふかざけにっき
漫画
ジャンル
ギャグ・コメディ
 
バンド
レーベル
芳文社コミックス(芳文社)
巻数
既刊2巻
関連商品
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酔いどれミュージシャンの日常

新宿のライブハウス「FOLT(フォルト)」を中心に活動するサイケデリック・ロックバンド「SICK HACK(シックハック)」は、若手ながらインディーズではカリスマ的な人気を誇るバンドで、バンドリーダーのきくりの名はインディーズ界隈に轟(とどろ)いている。そんなカリスマあふれる人気者のきくりだが、実は小心者でつねに酒の力を借りて自分を誤魔化しているダメ人間だった。本作はロックと酒をこよなく愛する破天荒なきくりの、ある意味ロックな生き様を描いたバンド物語となっている。

インディーズバンドならではの悲哀

本作の主人公は、『ぼっち・ざ・ろっく!』にも登場した酒クズ・ベーシストのきくりが務める。ある程度成功を収めたロックバンド「SICK HACK」に焦点を当てて物語が展開する。ふだんは能天気なきくりだが、内心では流行に左右されやすい音楽業界で、いつまで自分たちの好きなバンド活動を続けられるのかと、音楽家ならではの葛藤を抱いている。そんな不安から逃れるように、酒を浴びるように飲んで現実逃避している。これらのきくりのキャラクター性は、実在するスリーピースバンド「八十八ヶ所巡礼」のベース兼ボーカルであるマーガレット廣井のエピソードが元ネタとなっており、廣井も酒を飲んでライブ活動を行なっている。

本編に沿った裏エピソードが語られる

本作ははまじあきの『ぼっち・ざ・ろっく!』のスピンオフ作品で、本編の主人公である後藤ひとりに大きな影響を与えた先輩アーティストのきくりや、「SICK HACK」のメンバーの視点で描かれている。時おり、回想シーンは挟まるものの、時系列は基本的に本編と同じで、本編でお馴染みのキャラクターたちも登場するため、両作品を知っているとさらに楽しめる構成となっている。また、本編では登場の少なかった岩下志麻や、清水イライザの意外な素顔を知ることができ、きくりの知られざる過去も明らかになる。

登場人物・キャラクター

廣井 きくり (ひろい きくり)

「SICK HACK」のベース兼ボーカルを担当する女性。その圧倒的な存在感で観客を魅了している。年齢は25歳。長く伸ばした小豆色の髪を三つ編みにし、つねにスカジャンを羽織っている。右手の甲に独特な紋様のタトゥーを入れている。自他共に認める「酒クズ」で、つねに酔っぱらって奇行を繰り返している。アル中一歩手前で、酔っぱらったあとの記憶が曖昧になることが多い。酒を飲んで現実逃避することを「幸せスパイラル」と呼んでいる。酔っぱらって暴れるため多くのライブハウスを出禁になり、壊した機材の弁償のためいつも金欠状態に陥っている。そのため、あの手この手で他人にたかってはタダ酒を飲んでいる。バンドメンバーからも白い目を向けられているが、その生き様や振る舞いがある意味「ロック」だと熱狂的なファンが一定数いる。また、ふだんはクズだが自分たちの音楽に対してはプライドを持っており、その腕前もかなりのもの。「スーパーウルトラ酒吞童子EX」と名づけた愛用のベースを使用し、独特の演奏法を披露している。酔った勢いでライブで大暴れしているが、それすらもパフォーマンスとして人気が高く、チケットは即完売している。実は根は生真面目でおとなしい性格の持ち主。以前、きくりの酒乱っぷりにキレた志麻に禁酒を言い渡され、素面(しらふ)でライブを行った際は緊張と恥ずかしさのあまり、まともに演奏できないほどメンタルが弱い。今でもたまに素面になると、陰キャになってしまう。

岩下 志麻 (いわした しま)

「SICK HACK」のドラムを担当する女性。力強く正確なリズムでバンドを支えている。中性的な顔立ちで、ファンから「志麻さま」と呼ばれている。誰に対しても物腰を柔らかく接しているが、きくりの泥酔した後始末を担当しているため、きくりに対しては別人と思われるレベルで辛らつな態度で接している。ただし、きくりへの怒りをドラムにぶつけることでドラムのテクニックが磨かれ、きくりのフォローをすることで相対的に周囲からの志麻自身の評価が上がり、ファンのみならず業界人にも支持されている。最近はきくりがいつやらかしても対応できるように、詫(わ)びの菓子折りを常備している。また、きくりに禁酒を言い渡したこともあるが、酔っていない彼女と自分ではライブがまったく盛り上がらなかったことがトラウマとなり、渋々ながら泥酔したきくりの面倒を見ている。きくりとは高校時代からの腐れ縁だが、本格的に交流が始まったのは大学時代に彼女からバンドに誘われてからで、その後に清水イライザが加入した。

清水 イライザ (しみず いらいざ)

「SICK HACK」のギターを担当する女性。情熱的なメロディーでバンドを支えている。イギリス出身の金髪美女ながら重度のアニオタで、日本のアニメに興味を覚えて来日し、現在は同人誌作家とバンドの二足の草鞋(わらじ)で活動中。そのため同人誌の締め切り前は多忙を極めている。アニソンをメインにしたバンドを組みたいと考えており、きくりと志麻にアニメを布教しているが、手応えがないのを残念に思っている。「SICK HACK」に途中加入したが、イライザ自身のアニソンをはじめとしたサブカルへの造詣の深さが二人にインスピレーションを与え、バンドが大きく飛躍する転機となった。三人の中ではムードメーカー的な存在で、酒乱のきくりと堅実な志麻の中間的な立ち位置となっている。きくりのことを酒クズだと思いつつも、その言動をおもしろがっており、彼女の奇行に便乗することもしばしば。また、アニメグッズや推し活で散財癖があり、実はきくり以上に金遣いは荒い。最近の推しはVチューバーの音戯アルトで、高額スパチャを連投している。実はアルトの正体はPAさんで、アルトのイベントではそうと知らずにPAさんもアルトのファンだと思い込み、同志認定している。

クレジット

関連

ぼっち・ざ・ろっく! (ぼっち ざ ろっく)

はまじあきの代表作。友達のいない引っ込み思案な女子高校生の後藤ひとりが、バンド活動を通じて成長していく姿を描く音楽漫画。キャッチコピーは「陰キャならロックをやれ!!!」で、ライブチケット売りのノルマや... 関連ページ:ぼっち・ざ・ろっく!

書誌情報

ぼっち・ざ・ろっく!外伝 廣井きくりの深酒日記 2巻 芳文社〈芳文社コミックス〉

第1巻

(2024-02-01発行、 978-4832203655)

第2巻

(2024-04-01発行、 978-4832203877)

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