ぽーきゅぱいん

ぽーきゅぱいん

小人のポーキュパインは、悩める女の子たちの恋を成就させるキューピッド。いつか自分の願いごとを叶えるため、時に人間の女の子を本気で好きになってしまったりと苦悩を抱えながら、次々とカップルを成立させていくポーキュパインの姿を描くファンタジー系純愛ラブストーリー。「なかよし」1986年5月号から1987年10月号にかけて連載された作品。

正式名称
ぽーきゅぱいん
ふりがな
ぽーきゅぱいん
作者
ジャンル
エルフ・オーク
関連商品
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あらすじ

第1巻

小人の姿をしたキューピッドポーキュパインは、空色屋根の人形専門店「ドールハウス」に住んでいた。ポーキュパインの夢は、人間になって高校に通うこと。そのためには、キューピッドとして、カップルを成立させていかなくてはならない。そんなポーキュパインの初仕事は、偶然出会った河野乃里の恋を応援すること。乃里はずっと同じクラスながらも口を利いたこともない上田に片想いをしていた。乃里の恋を応援していくうち、ポーキュパインは純粋な乃里に心惹かれていくが、人間とキューピッドの恋はご法度。ポーキュパインは自分の気持ちを抑えて乃里と上田の仲を取り持ち、密かに涙を流すのだった。 次に応援することになったのは、同じハンバーガーショップでアルバイトをしている斉藤秋吉美和の恋。2人はすでに付き合っているが、主に美和の方が1つ年上であることを理由に、最近はすれ違いが増えてきていた。だが、ポーキュパインは彼らが互いを想うゆえにすれ違ってしまっているということに気づく。そんな彼の働きかけで、2人は改めて素直に気持ちを伝え合うことができたのだった。 順調にハンコを溜めていくポーキュパインの次の仕事は、佐伯桃子の恋を応援すること。桃子が片想いをしている相手は、5歳年上の幼なじみの男性・梶崎だった。桃子のことを妹のように大切に想っている梶崎の前で、桃子は甘えるふりをするものの、女性として見てもらいたいという本心を告げられずにいた。どうせ恋が叶わないのなら、無邪気に梶崎と遊んでいた子供の頃に戻りたいという桃子の願いを叶えるため、ポーキュパインは禁じられた魔法を使おうと決意する。しかし時間を戻す魔法薬だと思って持ち出したものはただの梅酒であった。キューピッドが魔法を使うと、人形に変えられてしまうというペナルティがあるが、このミスのおかげでポーキュパインはからくもペナルティを回避。ただし、キューピッドとしての仕事は失敗に終わり、カードのスタンプがマイナス50になってしまう。唯一キューピッドとしての仕事を失敗してしまった桃子のことは、ポーキュパインの心に深く刻まれ、忘れられない記憶になった。 次に応援することになったのは、早瀬優香という女の子で、両親がいないみなしごである自分のことを経済的にずっと援助してくれた「あしながおじさん」を探しているのだという。通っている学校の寮を抜け出してドールハウスの隣のアパートを訪ねて来た優香は、隣人である相本菊之から「あしながおじさん」が海外に行ってしまっているという事情を聞く。途方に暮れる優香に、ポーキュパインは、ひとまずドールハウスに泊まるように勧める。留守の家に何度も通ってくる優香のことが、菊之は気になって仕方がない。実は本物の「あしながおじさん」である相田さとしの頼みで、優香からの手紙を受け取ったり、優香に毎年クリスマスプレゼントを送ったりしていたのは菊之だったのだ。そのことを知ったポーキュパインは、優香にずっとそばにいて欲しいという気持ちから、その事実を隠してしまった。しかし相田がクリスマスに海外から戻り、菊之の紹介で優香はやっと「あしながおじさん」と出会うことができた。そして、もう一人の「あしながおじさん」である菊之と、特別な気持ちを分け合うのだった。 次の仕事は、父親クロコダイルの友達の息子であるヘブン=アップ=ヒアとともに行うことになった。ヘブン=アップ=ヒアはこれが初仕事なのだが、待ち合わせのドールハウスにたどり着く途中で迷子になり、行き倒れているところを由貴という女の子に助けてもらっていた。さっそく由貴の恋を応援することになった2人は、由貴の幼なじみで片想いの相手である泉谷吉成との仲を取り持とうとする。吉成は女好きな性格で、由貴のことをどう思っているのかさっぱりわからない。しかも、好きなくせに素直になれない由貴を後押ししようとしたポーキュパインとヘブン=アップ=ヒアの行動が裏目に出てしまい、2人の仲がますますこじれてしまう。しかしポーキュパインとヘブン=アップ=ヒアは再び体を張って2人の恋を応援し、最後は由貴が思い切って素直な気持ちを打ち明け、吉成との恋を成就させる。由貴のことを本気で好きになっていたヘブン=アップ=ヒアが、幸せな2人から離れて1人涙する姿を見て、その痛みをかつて経験したことのあるポーキュパインは、当人以上に涙を流してしまうのだった。

第2巻

年が明けて、ポーキュパインは16歳になったが、カードのスタンプはまだマイナス33で、ちっとも人間になれないでいた。そんな中、かつて恋を応援しながらも、初めて失敗してしまった佐伯桃子と久しぶりに再会したポーキュパインは、ヘブン=アップ=ヒアとともに、彼女の学校を訪ねる。桃子は友達がおらず、学校で浮いているようだった。クラス内では男子と女子の仲が悪く、女子のリーダー的存在である石原久美は、なにかと桃子に突っかかってくる。しかし、そんな久美を観察しているうち、ポーキュパインは彼女が同じクラスの男子・片岡に片想いしていることに気づく。その事実を知った桃子は、ポーキュパインとヘブン=アップ=ヒアの力を借り、内緒で久美の恋を応援することを決意する。作戦は無事成功し、もともと両想いだった2人は晴れて付き合うことになるのだった。 クラス内の男女が反目し合っていることもあり、2人の恋はあくまで内緒だった。しかし、隠し事をしているのがつらい久美はいつものように元気に振る舞えず、彼女につらい思いをさせていると責任を感じた片岡は、付き合いを解消することを提案する。深く傷つき落ち込む久美に、桃子は、むしろクラスの仲を良くするために、久美と片岡が付き合っていることを暴露してはどうかと提案。これが功を奏し、2人は公認の仲になり、クラスの雰囲気も良くなっていく。 そんな中、桃子はクラスメイトの東條から告白を受ける。そこでポーキュパインは、自分が桃子のことを本気で好きになってしまったことに気づく。桃子もまた、東條との仲をポーキュパインに応援されるのをつらく感じており、その気持ちの正体が何なのかと不思議に思っていた。自分のことを優しく理解してくれる東條の存在は桃子にとってありがたく、その温かさに甘えたくなる気持ちにもなるのだが、ポーキュパインに対する特別な気持ちも割り切れない。一方のポーキュパインは、桃子の恋を心から応援できないのなら、そばにいてもつらいだけと遠くに行くことを決意する。こうして2人は離れ離れになるが、改めて相手に対する想いを募らせ、自身の気持ちの正体が恋なのだと気づく。人間の女の子に想いを告げたら、人形になってしまうというリスクを知ったうえで、ポーキュパインは桃子に自分の気持ちを伝えるのだった。

登場人物・キャラクター

ポーキュパイン

身体の大きさが10センチほどしかない小人の男の子で、キューピッドとして働いている。通称「パイン」。年齢は15歳で、なぜか関西弁を話す。カップルを成立させてスタンプを集め、人間になって高校に通うことを夢見ている。生まれた時からぼさぼさ頭だったので、父親にヤマアラシを意味する「ポーキュパイン」と名付けられた。女の子の恋を応援しなければならない立場なのだが、相手に感情移入しすぎて特別な気持ちを持ってしまうことがある。

佐伯 桃子

中学1年生の女子で、年齢は13歳。ポーキュパインと遭遇し、彼が小人であることを素直に受け入れる、無邪気な性格。幼なじみの梶崎が好きなのだが、5歳年上の彼には子供扱いされており、恋愛対象として見てもらえていない。クラスの中では浮いており、友達がいないためいつも独りぼっちで行動している。ポーキュパインと接しているうちに、彼のことを本気で好きになってしまう。 アイスが大好き。

クロコダイル

ポーキュパインの父親。もともとは彼と同じく小人だったが、スタンプを貯めて現在は人間となっている。モヒカンのように逆立てた髪型で、関西弁を話す。

河野 乃里 (こうの のり)

高校3年生の女子。クラスメイトの上田に3年間ずっと片想いをし続けているが、いまだに声をかけることさえできない奥手な性格。ポーキュパインと出会い、彼に恋の相談をして上田との仲を取り持ってもらう。

上田 (うえだ)

高校3年生の男子で、河野乃里のクラスメイト。とてもシャイなため女子と話すのが苦手だが、3年間同じクラスだったこともあり、乃里には唯一心を許している。実は密かに乃里に想いを寄せている。

斉藤 秋吉 (さいとう あきよし)

高校1年生の男子で、ハンバーガー屋でアルバイトをしている。同じアルバイト仲間の美和と付き合っているが、男性である自分が彼女よりも2歳年下ということに引け目を感じてしまっている。ポーキュパインと出会い、美和との恋の後押しをしてもらう。

美和 (みわ)

高校3年生の女子で、ハンバーガー屋でアルバイトをしている。童顔のため、年齢よりも幼く見られがち。同じアルバイト仲間の斉藤秋吉と付き合っているが、女性である自分が彼よりも2歳年上だということに引け目を感じてしまっている。エスカレーター式の女子大に進学するのではなく、秋吉と同じ共学の大学を受験しようと決意する。

梶崎 (かじさき)

18歳の少年で、佐伯桃子とは幼なじみ。面倒見の良い性格で、子供の頃から、自分を追いかけて来る小さな桃子の面倒を見ていた。桃子のことを恋愛対象として見ていないが、最近の桃子の様子がおかしいことを心配し、なにかと気にかけている。

早瀬 優香 (はやせ ゆか)

16歳の少女。両親がおらず孤児なので寮付きの学校に通っている。名前も知らない「あしながおじさん」こと相田さとしが学費を出してくれることに心から感謝しており、お礼を言うために教わった住所を訪問する。美少女なのだが、家庭科は苦手で手先が不器用。ポーキュパインと出会い、冬休みの間、人形専門店「ドールハウス」で居候しながらアルバイトし、「あしながおじさん」との遭遇を待つこととなる。

相本 菊之 (あいもと きくゆき)

早瀬優香の恩人である「あしながおじさん」こと相田さとしの甥で、アパートの隣の部屋に住んでいる少年。北海道から1人で上京し、現在は一人暮らしをしている。ポーキュパインの姿を目撃してしまったこともあり、自宅のすぐ裏手にある人形専門店「ドールハウス」のことを、不思議な店だと思って気にしている。

相田 さとし (あいだ さとし)

相本菊之の住むアパートの隣の部屋の住人で、菊之の叔父。早瀬優香を援助している「あしながおじさん」でもある。援助活動を始めてすぐに仕事で海外へ行くことになり、そのまま日本にはずっと戻れなかったため、「あしながおじさん」としての仕送りやプレゼントの送付などは、甥の菊之に任せていた。

由貴 (ゆき)

高校3年生の女子。幼なじみの泉谷吉成に想いを寄せている。道に迷って行き倒れていたヘブン=アップ=ヒアを拾い、ご飯を食べさせたうえに、彼の目的地であった人形専門店「ドールハウス」を必死で探すなど、優しく面倒見の良い性格。好きな人の前では素直になれず、つい思っているのと反対のことを言ってしまう。ポーキュパインと出会い、吉成との恋の後押しをしてもらう。

泉谷 吉成 (いずみや よしなり)

高校3年生の男子で、由貴の幼なじみ。イケメンだがノリが軽く、後輩の女子たちから人気が高い。幼なじみの由貴に想いを寄せているが、彼女の気持ちが自分に向いていないと勘違いしている。他の女子にちやほやされると喜んで応えてしまう、軽薄なところがある。

ヘブン=アップ=ヒア

クロコダイルの友達の息子で、小人。夢は人間になってロックバンドを組むこと。年齢はポーキュパインより1歳年上だが、キューピッドの仕事はまだ始めたばかり。由貴と泉谷吉成をくっつけるために奔走するうちに、由貴のことを好きになってしまう。吉成に泣かされる由貴を見るのがあまりにつらく、2人の恋を応援するのをやめようとするが、最終的には2人の仲を後押しする。

片岡 (かたおか)

中学3年生の男子で、佐伯桃子のクラスメイト。細かいことは気にしない、おっとりとしたな性格。そのため、男子と女子の仲が悪いクラスの中で、唯一周囲に流されず、女子に対しても自然に振る舞っている。そのせいで、クラスの中で雑用係としてこき使われてしまうことが多い。

石原 久美 (いしはら くみ)

中学3年生の女子で、佐伯桃子のクラスメイト。気が強く、クラスのリーダー的存在だが、実は片岡のことが好きで、その気持ちを素直に伝えることができずにいる。当初は桃子のことをいじめていたが、片岡を好きなことを桃子に知られてしまい、以降は恋の相談をする仲になる。

東條 (とうじょう)

中学3年生の男子で、佐伯桃子のクラスメイト。眼鏡をかけている。実は留年しているので桃子たちよりも1歳年上。いつも遅刻ばかりしているが、精神的に大人なので、恋に悩む桃子の様子にいち早く気づいて気遣う優しい人物。そのうち次第に桃子に惹かれていき、告白して付き合い始めることとなるが、桃子の心に自分以外の人物がいることに気づき、苛立ちを募らせる。

藤田 ヒロコ

ポーキュパインとヘブン=アップ=ヒアが東京に向かう新幹線の中で知り合った女性。ロックバンドの一員だったのだが、ライバルのバンドにメンバーをすべて引き抜かれてしまい、困っていた。情に厚く、他人の話に感情移入してつい涙を流してしまう涙もろい一面がある。

場所

ドールハウス

クロコダイルが経営する人形や人形用の小物の専門店で、空色の屋根とお城のような外観が特徴的。普段はポーキュパインはこのドールハウスで人形のふりをして生活している。

その他キーワード

キューピッド

人間の恋を応援する小人。ポーキュパイン、ヘブン=アップ=ヒアらが該当する。カードを持っており、これにより自身の願いを叶えるために人間の恋を応援している。人間の女の子を好きになって告白すると、人形になってしまうという過酷なペナルティがあるが、そのキューピッドと人間の女の子が赤い糸で結ばれている場合は例外となる。

カード

キューピッドが持っているカード。カップルを成立させるごとにスタンプがもらえ、スタンプがいっぱいになると1つだけ願いごとが叶う。魔法を使うと減点されるなどのルールもあり、スタンプがマイナスになってしまう場合もある。

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