妖精事件

妖精事件

妖精の王になる資格を持った妖精の王子に見初められた女子中学生の安藤じゅりあは、妖精の世界と人間の世界の狭間に足を踏み入れることができるようになる。そこで起こるさまざまな事件を解決していく、じゅりあの活躍を描く、現代世界を舞台とした妖精譚。コミックス第5巻には、本作『妖精事件』のプロトタイプにあたる短編『妖精事件1992』も収録されている。

正式名称
妖精事件
ふりがな
ようせいじけん
作者
ジャンル
エルフ・オーク
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概要・あらすじ

安藤じゅりあは、同じ学校の別のクラスに所属する天野王子に強引に口説かれ、関係を持つ。しかし、実は王子は人間ではなく妖精であり、クーフーリンという妖精の騎士と敵対関係にあった。そして、その時にじゅりあが授かった赤子メシアと王子は、クーフーリンによって拉致されてしまう。これをきっかけにじゅりあは家出をして中学校にも通わず、各地を放浪し王子とメシアの行方を追いながら、妖精にまつわるさまざまな怪異事件を解決していく。

やがて、真夏の夜の夢に関する事件において、じゅりあ自身もクーフーリンにさらわれ、アイルランドへと連れて行かれる。そこでじゅりあは王子との再会を果たすが、王の座に就いたかつての恋人は、すべての妖精たちをこの世から送り出すための門を召喚し、その向こうへと立ち去るつもりであると語る。

そして、人間の世界の側からその扉を閉じるよう、じゅりあに求めるのだった。

登場人物・キャラクター

安藤 じゅりあ (あんどう じゅりあ)

14歳の女子中学生。両親と折り合いが悪く、早くセックスを経験してみたいと願っていた矢先に天野王子に口説かれ、それに応じた。その時、王子の子であるメシアを妊娠したが、メシアはクーフーリンの不思議な力によって奪われ、王子とともに連れ去られてしまう。その後は、メシアと王子を捜すため家出をして、各地を放浪しながら妖精にまつわる事件を解決していく。 趣味は演歌を歌うこと。

天野 王子 (あまの おうじ)

安藤じゅりあと同じ学校の別のクラスに所属する男子。その正体は妖精の王子。「天野王子」というのは偽名で、本当は古代ゲール語の本名を持っているが、その名は日本語では発音不可能である。クーフーリンによってメシアとともに拉致され、長い間囚われの身となりじゅりあとも離れ離れになっていた。のちに妖精の王の座に就き、すべての妖精をこの世から送り出すための門を召喚する。

メシア

安藤じゅりあが天野王子との間に授かった、人と妖精のハーフである赤ん坊。妖精王と人間との間の子は「メシア(救世主)」になる、という言い伝えがあり、その名で呼ばれている。人間の子ではないので、普通の妊娠期間を経て出産されたわけではなく、じゅりあが王子と初めて関係を持った直後に、クーフーリンによってじゅりあのもとから奪われ、拉致された。

クーフーリン

アイルランドの伝説的英雄として名高い妖精の騎士。人間の姿をとることができ、青年の姿をしている。妖精の女王であるメイヴの従者であり、また彼女の情人をさせられている。メイヴの命令で天野王子を日本からさらったため安藤じゅりあに敵視されているが、何かと関わりを持つにつれ、クーフーリンの方はじゅりあを愛するようになってしまう。

メイヴ

妖精の女王。「クイーン・メイヴ」と呼ばれることもある。人間の姿をとることができ、若い女性の姿をしている。一人称は「僕」。妖精界において独自の派閥を率いており、クーフーリンをはじめ、多くの妖精たちを部下に持つ。天野王子とは敵対関係にあり、安藤じゅりあのことも目の仇にしている。

リンリン

小さな少女の姿の妖精で、安藤じゅりあの味方を自称している。低位の妖精であるため、大した知識も目立った能力もなく、あまり役には立たない。じゅりあが敵であるはずのクーフーリンと交流を持つようになった後、それに反対してじゅりあと喧嘩別れすることとなる。

電話の精

公衆電話の精である妖精。大きさは人間と同じくらいで、若い女性の姿をしているが、電話機としての寿命はすでに尽きようとしている。話したい人に必ず繋がる「特製テレホンカード」を持っており、離れ離れになっていた天野王子と安藤じゅりあに電話をさせた。その理由は、撤去される前に一度でいいから愛し合う者同士のテレホンセックスに使われてみたい、という奇妙な願いを抱いていたためで、王子とじゅりあのおかげでその願いが叶うこととなった。

鈴木 美冴 (すずき みさえ)

安藤じゅりあの父親の不倫相手の若い女性。実の母親と折り合いが悪いじゅりあとも、友人付き合いをしていた。じゅりあが失踪してだいぶ経った後、自分がその元凶だったかもしれないと語るじゅりあの父親からの申し出を受け入れ、不倫関係を解消する。

立松 小夜子 (たてまつ さよこ)

妖精に魅入られた女子大学生。「三つの願いを叶える」という悪い妖精に騙され、その力に振り回されていたところを、安藤じゅりあによって救われた。岡耕一と同じ「妖精物語研究会」というサークルに属していて、のちに耕一の恋人となる。

岡 耕一 (おか こういち)

妖精を見る能力を持った男子大学生。立松小夜子の恋人。クーフーリンと会ったことがあり、その時クーフーリンから、岡耕一自身が「妖精博士」であると告げられた。妖精にかどわかされた妹の岡みちるの行方を追う中で、安藤じゅりあとともに真夏の夜の夢に関する事件に巻き込まれることとなる。

岡 みちる (おか みちる)

妖精の従者にさせられている人間の少女。クーフーリンに仕えている。妖精にかどわかされた状況にはあるものの、岡みちる本人は自分の置かれている立場に満足しており、人間の世界に帰るつもりはない。真夏の夜の夢の事件に際し、兄の岡耕一と再会したが、結局家には戻らなかった。

イベント・出来事

真夏の夜の夢

夏至の日に開かれる、「年に一度だけ妖精たちが姿を現す祭りの日」。開かれる場所には「丘のあるところ」「この国であってこの国でないところ」などいくつかの条件がある。安藤じゅりあと岡耕一の調査の結果、その条件を満たす場所は北海道の摩周湖のほとりである、と判明する。

その他キーワード

妖精

あらゆるものに宿っている精。「車の精」「電卓の精」「セロハンテープの精」など、無数にいる。善い妖精もいれば悪い妖精もいて、姿も大きさもさまざま。中には人間社会で暮らしている者もいるが、人間に化けられるのは高位の妖精だけである。「人間を好きになった妖精は不幸になる」という言い伝えがある。

蛇剣 (すねーくそーど)

老人の姿をした妖精から何でも1つ好きな武器を選べと言われた安藤じゅりあが、最も威力の高いものをと望んだ結果として与えられた妖精の武器。蛇剣という名ではあるが刃物ではなく、身体に宿った無数の蛇が飛び出して敵を攻撃する、というもの。

妖精博士 (ふぇありーどくたー)

人間がまだ妖精と深く関わっていた、中世時代のヨーロッパに存在していたとされる人間の職業。妖精を見ることのできる人間がなれる。人間を代表して妖精と交渉したり、妖精による悪戯を防ぐ役目を担っていたといわれる。

クラダリング

アイルランド独特の指輪。ハートの装飾が付いており、それを内側に向けると「恋人がいます」、外側に向けると「恋人募集中」という意味になる。安藤じゅりあをアイルランドに連れて行った時、クーフーリンがハートを内側に向けるようにと言ってじゅりあに渡した。

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