異世界から来たエルフたちの日常
本作は、神奈川県に暮らすエルフたちの日常をテーマに、横浜市に移り住んだエルフ「横浜」と、川崎市に住む人間「川崎」を中心としたファンタジーコメディが繰り広げられる。登場するエルフたちはいずれも異世界からやってきた存在で、それぞれの事情を抱えながら数十年前に日本へ移住し、現在も関東各地で生活しているという設定となっている。主人公の横浜のほかにも相模原や茅ヶ崎などに住むエルフたちが登場し、各地域の文化や交流を楽しむ様子がコミカルな会話劇として描かれている。
横浜市に住む青年エルフが主人公
故郷の森を焼き尽くされ、絶滅の危機に瀕したエルフたち。彼らが新たな安住の地として辿り着いたのは、東京の境界に位置し、首都圏における第二の県として知られる神奈川県だった。エルフたちは横浜市を中心に県内各地で暮らし、ごくふつうに人間社会に溶け込んでいる。例えば、昭和時代から横浜市に住み続けるエルフ、通称「横浜」は、駅で文庫本を探したり、みなとみらいでショッピングを楽しんだりと、現代的な生活を満喫している一人だ。エルフたちに共通する特徴としては、自己肯定感やプライドが高いこと、そして長寿ゆえに人間とは異なる時間感覚を持ち、時間にルーズな一面が挙げられる。また、「川崎市は空気が悪い」といった、特定の地域に対する偏見を抱く者もいる。こうしたエルフと人間の価値観のズレから生まれるコミカルな日常や、シュールなギャグこそが、本作の大きな魅力となっている。
横浜と川崎の絆を描く地域擬人化コメディ
令和の時代を迎え、横浜市での生活にすっかり馴染んだ「横浜」には、親戚関係にある「川崎」がいる。川崎の一族は、かつてエルフに助けられた縁から、何かと横浜に頼りにされることが多い。そんな川崎は、横浜を通じてさまざまなエルフと出会い、時にはオークとの喧嘩などトラブルに巻き込まれながらも、賑やかで楽しい日々を送っている。本作では、各エピソードの舞台となる地域の歴史をはじめとする詳細な解説、地元の人々に親しまれている名所、多彩な文化といった「地域あるあるネタ」が豊富に盛り込まれている。また、個性豊かなエルフたちの容姿や性格を通じて、各地域を擬人化する手法が用いられている。
登場人物・キャラクター
横浜 (よこはま)
横浜市に住むエルフの青年。人間の青年、川崎とは親戚関係にあたる。故郷である異世界の森が焼失したため、日本へ移住してきた。金髪のストレートロングヘアと、上向きに伸びたエルフ耳が特徴。自己肯定感が非常に高く、事あるごとに「神奈川県の盟主」を自称している。そのため、川崎からは「自己肯定感マシマシのスットコエルフ」と呆れられている。しかし、「盟主」を気取る一方で、叔父からの仕送りを受けていることには密かに気恥ずかしさを感じている。横浜市での生活には概(おおむ)ね満足しているものの、一向に終わる気配のない横浜駅の工事にはしばしば不満を漏らしている。かつてはほかのエルフ同様に草食だったが、崎陽軒のシウマイ弁当と出会ってからは、肉食への抵抗感がまったくなくなった。ふだんは温厚だが、魔法を使えるため、街中で魔法バトルを繰り広げて騒動を起こすことがある。
川崎 (かわさき)
川崎市に住む人間の青年。ごくふつうのサラリーマン。「川崎」という名前は本名ではなく、川崎市に在住していることから、エルフたちが便宜的に付けた通称である。実はエルフの横浜と親戚関係にあり、遠い祖先がエルフに命を救われたことで「困った時には助け合う」という約束を交わしていたという過去を持つ。この古くからの縁により、彼はエルフたちから何かと頼りにされている。横浜を通じて多くのエルフと知り合い、彼らの抱える悩みや問題の解決に奔走するうちに、いつの間にかエルフたちの駆け込み寺のような存在となってしまう。しかし、エルフたちの常識や感覚は人間とは大きく異なるため、騒動に巻き込まれては呆れたり振り回されたりする日々を送っている。
書誌情報
#神奈川に住んでるエルフ 5巻 マイクロマガジン社〈コミックELMO〉
第1巻
(2021-04-09発行、978-4867161289)
第2巻
(2022-04-11発行、978-4867162729)
第3巻
(2023-04-10発行、978-4867164105)
第4巻
(2024-05-10発行、978-4867165713)
第5巻
(2025-03-10発行、978-4867167250)







