あらすじ
第1巻
夏休み、月白中学校一年四組に在籍する島博文は、トラブルばかり起こすクラスメートを疎ましく感じながらも、登校日だからと仕方なく学校へと向かっていた。島はその途中で見慣れぬ生徒、無品誠を見かけるが、特に気にする事もなくやり過ごす。その後、教室に入った島は、窓ガラスが大きく割れる中、山野辺水葵と柳原一秀が激しく言い争っている姿を目撃する。水葵は柳原を一方的に窓ガラスを割った犯人だと決めつけ、教室の雰囲気は最悪なものとなっていた。ふと島が窓の外を見てみると、先ほど目撃した無品がこちらを見ている事に気づく。気になった島が外に出て無品に声を掛けると、無品は「この辺りにはビンや缶がたくさん捨てられている」と一方的に語り出す。(第1話「陽炎むじな」。ほか、9エピソード収録)
第2巻
ある日の放課後、芝浦圭司と山野辺水葵は、仙台から無品誠を捜しにやって来た美少女、水沢双葉と出会う。無品の自宅を教えてくれないかと頼む双葉に対し、圭司と水葵は無品が住んでいる家どころか、家族構成など何も知らないという事実に気づく。その後、月白中学校一年四組では無品の個人情報を少しでも知っている者がいないかと話題になったものの、誰一人知る者はいなかった。そんな中、双葉は無品と再会。双葉は無品に対し、「転校する前のクラスの結束が乱れているから、戻ってきてくれないか」と懇願する。その姿を目撃した内山礼子は、このまま無品が自分たちの前から消えてしまうのではないかと不安を覚えて取り乱す。(第19話「笹かまクリスマス」。ほか、9エピソード収録)
第3巻
ある朝、無品誠は自身の下駄箱に無記名のラブレターが入っているのを発見し、月白中学校一年四組ではこの話題で持ちきりになる。そんな中、自身も同じラブレターをもらった事がある女木浩次は、指定された場所に行っても誰も来ない悪質ないたずらだから、がっかりしないようにとこっそり無品に打ち明ける。そして放課後、無品はラブレターで指定された場所を遠くから眺める野島はるかに声を掛け、そのままデートに連れ出す。はるかは両親が不在がちな毎日に寂しさを覚えており、心の隙間を埋めるために恋愛をしていたと打ち明ける。しかしそれでも無品に好意を寄せているのは事実だと、はるかは自身の胸の内を語り始める。(第24話「手紙上手」。ほか、9エピソード収録)
第4巻
春日愛美は大阪へ転校していった南と、遠く離れていても文通をして恋を育んでいた。しかし南からの返信が突然途絶え、愛美は嫌われてしまったのではないかと落胆。そんな愛美に無品誠は励ましの言葉を掛け、大阪に行ってみてはどうかと親身にアドバイスをする。一方の内山礼子は無品と会話をしたいのに、愛美ばかりが優先される状況に苛立ちを覚える。また、無品がほかの女子たちとも親しくしている姿を見ている礼子は、無品に対して自分は何番目に大切な存在なのかと問う。すると無品は「礼子もほかの女子も誰が一番という事はなく、みんな平等」と答える。女子の中では自分が誰よりも無品と親しい間柄だと思っていた礼子はショックを受け、思わず涙してしまう。(第31話「私は何番目?」。ほか、9エピソード収録)
第5巻
テレビ局から結婚に関する街頭インタビューを受けた内山礼子は、無品誠のお嫁さんになりたいと宣言し、その姿は生徒たちのあいだで話題になる。周囲の浮かれている様子が気に入らない柳原一秀は、無品に好意を抱いている礼子と永森樹美子に対し、紙製のウエディングドレスを着用させ、雨に打たれて恥をかかせるという悪質ないたずらを思いつく。柳原から無品といっしょに写真が撮れると聞いた礼子と樹美子は、紙製のウエディングドレスを着て、それぞれ指定された屋外の待ち合わせ場所に向かう。するとすぐに雨が降り始め、柳原のいたずらだと気づいた樹美子は、紙製のウエディングドレスを破って校舎内に移動する。一方の礼子は、雨の中でもそのままの姿で無品を待ち続けていた。そして大雨に打たれ続けた礼子は発熱し、気を失って倒れてしまう。(第42話「ジューンブライド」。ほか、5エピソード収録)
登場人物・キャラクター
無品 誠 (むじな まこと)
仙台から月白中学校一年四組に転校してきた男子。自分について語る事はなく、過去や家庭環境などはいっさい不明だが、唯一アパートで一人暮らしをしている事だけは周囲に明かしている。つねに笑顔を絶やす事がなく、神出鬼没な存在。なんらかのトラブルを抱えていたり、落ち込んだりしている人たちの前にふらりと現れ、適切なアドバイスをして去っていく。人の顔と名前を覚える事が特技だが、なぜか柳原一秀だけは覚えられない。また舌が器用に動き、自分の顔面を覆えるほど大きい。内山礼子、永森樹美子から好意を寄せられている。
内山 礼子 (うちやま あやこ)
月白中学校一年四組に在籍している女子。おとなしい性格で、クラス内では目立たない存在。友たちがいないだけでなく、正確に名前を呼んでくれる人もおらず孤独を感じていた。よく見ると小柄でかわいらしい美少女で、小学生の頃に誘拐未遂事件に遭った事から、母親から着飾る事を禁止されている。転校してきたばかりの無品誠から、まちがわずに名前を呼ばれた事に感動し、それからは無品に片思い中。無品を通じてクラスメートとも少しずつ会話ができるようになる。小羽石旭子によって服装やメイクをプロデュースされると、別人格のレイ子が現れる。
レイ子 (れいこ)
内山礼子の別人格の少女。礼子が小羽石旭子によって服装やメイクをプロデュースされた際に生まれる人格で、礼子とは正反対の人懐っこく無邪気な振る舞いをする。無品誠に対しても自分の心を偽らず、猛アプローチを繰り返す。本当は礼子だと知らない芝浦圭司から思いを寄せられているが、まったく相手にしていない。
島 博文 (しま ひろふみ)
月白中学校一年四組に在籍している男子。成績優秀で、本来ならば有名私立中学校に進学する予定だったが、体調不良のために不合格になった過去を持ち、高校こそは希望通りの学校に進学したいと塾通いに励んでいる。当初はクラス内に揉め事ばかりが発生している状況を疎ましく感じており、レベルの低い奴らだと内心見下していた。そのため、周囲からは愛想のないガリ勉野郎と陰口を叩かれていた。しかし、無品誠とかかわっていくうちにクラスメートとの会話も増え、心を開くようになっていく。入学当初から永森樹美子に対して好意を抱いており、月白中学校唯一のオアシスだと崇拝している。のちに塩沢楠とも親しくなり、楠を本命視するようになる。
永森 樹美子 (ながもり きみこ)
月白中学校一年四組に在籍している女子。黒髪のおかっぱ髪に眼鏡をかけている優等生で、園芸部に所属している。優しく穏やかな性格で、揉め事の多いクラスメートたちを見下している島博文からは、唯一のオアシスだと崇拝されている。芝浦圭司、山野辺水葵とは小学校からの付き合い。無品誠にひそかに恋心を抱いているが、クラスメートにはその事を否定し続けている。
芝浦 圭司 (しばうら けいし)
月白中学校一年四組に在籍している男子。クラスの代表を務めているが、問題が起きてもいずれ自然に解決するだろうと、見て見ぬふりをする事が多い。頼りないところもあるが、人当たりは非常にいい。クラス代表としての役割は山野辺水葵にすべて任せている。永森樹美子、水葵とは小学校からの付き合い。街で偶然出会ったレイ子に片思いをしており、内山礼子の別人格とは気づいていない。また、水沢双葉に一目惚れしそうになるなど、やや気が多い事を水葵にたしなめられている。
山野辺 水葵 (やまのべ なぎ)
月白中学校一年四組に在籍している女子。クラス代表を務めており、まとまりがなく問題だらけの状況を改善しようと努力している。しかし感情的になりやすいため、空回りをする事が多い。特に問題児の柳原一秀には当たりが強く、トラブルが起こると一方的に犯人に仕立て上げるなど、思い込みが激しい一面を持つ。ヒステリーを起こす事が多いが、本来は責任感の強いまじめな性格の持ち主。芝浦圭司、永森樹美子とは小学校からの付き合い。圭司に対しては明確な恋愛感情を抱いているわけではないものの、ほかの女子と親しくしていると不機嫌になる。
柳原 一秀 (やなぎはら かずひで)
月白中学校一年四組に在籍している男子。女子更衣室を覗いたり、仲間を誘ってサボったり、休み時間に丁半バクチをするなど素行が悪い問題児。そのため山野辺水葵からは、教室の窓ガラスを割った犯人だと一方的に決めつけられた。無実を訴えるが、日頃の言動から周囲に聞き入れてもらえず、悔しい思いをする。島博文からは、厄介な奴だと軽蔑されている。赤羽那々に片思いをしているが、その行動から相手にされていない。
塩沢 楠 (しおざわ なん)
月白中学校一年四組に在籍している女子。おとなしい性格の清楚な雰囲気を漂わせた美少女で、学校では隠れたファンが多い。成績優秀で、一週間のほとんどを塾通いに費やしている。同じく成績優秀な、島博文と意気投合している。島と親しくしていく中で、次第に異性として意識し始める。
春日 愛美 (かすが まなみ)
月白中学校一年四組に在籍している女子。入学した時から南とは両思いで、正式に交際はしていないものの、クラス内では公認のカップルとして知られている。南と少しでもいっしょの時間を過ごすため、サッカー部の朝練を見学しに行くなど、良好な関係を築いている。しかし、南が夏休み前に父親の仕事の関係で、急に大阪へと引っ越した事で落ち込んでいる。綺麗な顔立ちのため、南が転校してからは別の男子からアプローチを受けているが、相手にしていない。
南 (みなみ)
月白中学校一年四組に在籍していた男子。夏休み前に父親の仕事の都合で大阪へと転校した。入学した時から春日愛美とは両思いで、正式に交際はしていないものの、クラス内では公認カップルとして知られている。
木下 (きのした)
月白中学校一年四組に在籍している男子。ぽっちゃりとした体形で、今も順調に太り続けている。太り過ぎた事でベルトが壊れ、無品誠からベルトの代わりにヒモをもらうなどして助けられる。義理堅い性格で、受けた恩は絶対に返す主義。
小羽石 旭子 (こばいし あきこ)
月白中学校一年四組に在籍している女子。明るく親しみやすい性格で、ほかの女子よりも大人びた雰囲気を漂わせている。男子からはセクシーだとひそかに人気を集めているが、小羽石旭子本人はまったく気づいていない。寸田清志の落とし物を、泥だらけになりながらも拾ってあげた事がきっかけで、寸田から片思いされている。内山礼子の服装やメイクをプロデュースし、別人格のレイ子が出現するきっかけをつくった人物。
美言 (みこと)
月白中学校一年四組に在籍している女子。明るく人懐っこい性格で、女木浩次と仲がいい。しかし最近は無品誠に興味を抱き、無品といっしょにいる事が多くなっている。周囲からは浩次と恋愛関係にあると誤解を受けているが、二人はお互いに友情しか感じていない。
女木 浩次 (めぎ こうじ)
月白中学校一年四組に在籍している男子。親しい友達からは「コージ」と呼ばれている。大人びた容姿をしており、やや斜に構えた発言が多い。長身で整った顔立ちのため、女子から非常に人気がある。周囲からは美言と恋愛関係にあると疑われているが、二人はお互いに友情しか感じていない。幼なじみの蓮池申子に、幼い頃から恋心を抱いている。
蓮池 申子 (はすいけ のぶこ)
月白中学校一年四組に在籍している女子。女木浩次の幼なじみ。落ち着いた雰囲気を漂わせた美人で、実年齢よりも上に見える。クラスメートの前でも、大人びた達観した発言が多い。浩次にひそかに恋心を抱いているものの、浩次が美言を好きだとカンちがいしているため、何も行動を起こせずにいる。
田中 (たなか)
月白中学校一年四組に在籍している男子。おとなしい性格の目立たない生徒で、クラス内でも発言する事は少ない。美術部に所属しており、今は退職してしまった恩師のデッサン人形を使って絵を描いている。ほかの部員から古くて気味が悪いからとデッサン人形を処分されそうになり、いわく付きの人形に仕立て上げて守る方法を思いつく。
草原 佳子 (くさはら よしこ)
月白中学校一年四組に在籍している女子。運動部に所属しており、スタイル抜群。日々努力を重ねてスタイルを維持しており、過激なダイエットをし過ぎて倒れてしまう。着替えの途中で倒れてしまったため、偶然通りかかった芝浦圭司に襲われたのではないかという疑惑を呼び、騒動を起こしてしまう。
伊藤 弓絵 (いとう ゆみえ)
月白中学校一年四組に在籍している女子。赤羽正幸とは幼なじみで、今もいっしょに行動する事が多い。クラス内では目立つ存在ではないものの、おおらかで優しい性格の持ち主。怪談話やホラー小説が大好き。赤羽那々からは「弓ねーちゃん」と呼ばれ、まるで本当の姉のように慕われている。
赤羽 正幸 (あかばね まさゆき)
月白中学校一年四組に在籍している男子。伊藤弓絵とは幼なじみで、今もいっしょに行動する事が多い。妹の赤羽那々が生意気ばかりを言うので手を焼いている。少しでも謙虚な気持ちを取り戻してもらうため、無品誠に那々を驚かせてほしいと依頼をする。趣味はパソコン通信。
遠藤 聖代 (えんどう まさよ)
月白中学校一年四組に在籍している女子。黒髪のロングヘアに眼鏡をかけている。成績優秀な島博文からも一目置かれているほどの優等生。ふだんはクールで冷たい印象を周囲に与えているが、都市伝説やおまじないを信じるなど、ファンタジーな世界にあこがれている。小学生時代は「コンピュータ」というあだ名を付けられ、いじめを受けていた過去を持つ。その際に早朝の霧の中で出会ったフォッグさんに助けられ、いつか直接お礼を言いたいと願っている。
寸田 清志 (すんだ きよし)
月白中学校に通う男子で、3年1組に在籍している。バレーボール部に所属しており、男らしくさわやかな顔立ちから、女子からの人気を集めている。落とし物をした時に、泥だらけになりながら拾ってくれた小羽石旭子に感動し、好意を寄せている。
加茂 (かも)
月白中学校に通う3年生の女子。不良っぽい大人びた外見をしている。中学受験に失敗したストレスから万引きに走り、荒れた生活を送るようになる。書店で万引きしている場面を塩沢楠に目撃され、過去の自分と似た優等生の楠を脅し、不良仲間に引き入れようと画策する。
野島 はるか (のじま はるか)
月白中学校に通う2年生の女子。無品誠、女木浩次をはじめ、複数の男子生徒あてに無記名でラブレターを書いて呼び出すが、その場に現れずに遠くから監視し、そのまますっぽかす行為を繰り返している。両親が共働きで放任放置されており、恋愛で心の穴を埋めようとしていた。すっぽかし続けているのは、呼び出した場所にいる相手を観察していると地面に唾を吐いたり、どんな女が来るのか仲間と賭けをしていたりと本来の姿が見えてしまい、告白をする前に冷めてしまうから。無品にその寂しい本心を見透かされた事で、それからは両親に本心をさらけ出し、甘えられるようになった。
神崎 十伍 (かんざき じゅうご)
月白中学校に通う男子で、無品誠と同じ学年。実家が拳法の道場を開いており、その影響もあって女嫌い。男に対しても同様で、ヘラヘラしている奴は嫌いだと無品に悪態をつくなど、超硬派。ケンカっ早くてすぐに手が出るが、卑怯な事を嫌う正義感の強い性格をしている。
山中 秀一 (やまなか しゅういち)
月白中学校一年四組の担任を務める男性。長野県出身の既婚者で、妻は学生時代から交際していた山中幸子。0歳児の父親でもある。一年四組はトラブルが多いクラスだと認識しているが、できるだけクラスメートだけで話し合って解決してほしいと、あまり口を出さずに見守るようにしている。しかし、大きなトラブルの時には助言するなど、担任教師としての役割もまっとうしている。
山中 幸子 (やまなか さちこ)
山中秀一の妻で長野県出身。秀一とは学生時代から交際していた。おおらかで落ち着いた性格の美人で、0歳の子供を育てている。愛猫のチャボがいなくなった事を悲しんでいるが、育児に追われて捜索できずにいる。
チャボ
山中秀一、山中幸子の家で飼育されていたネコ。二人が長野県に住んでいた頃からいっしょに暮らしていた。幸子が妊娠した事を悟り、お腹の子供に悪影響を与えてしまうのではないかと考え、一匹で長野県まで100キロの距離を移動した。満身創痍(そうい)のところを長野県に住む少女に保護され、以降はその少女と暮らす事になった。なおチャボの近況は、少女から秀一と幸子にしっかり伝えられている。
典明 (のりあき)
中学一年生の男子で、現在はどこに住んでいるのかわからない。小学校時代は芝浦圭司、永森樹美子、山野辺水葵と四人で行動する事が多かったが、ある日、遊んでいる最中に大ケガをしてしまう。その際、おとなしい性格の典明が、圭司と水葵からいじめを受けているのだろうと周囲からカンちがいされ、彼らに行き先を告げる事もできずに転校してしまう。三人からは再会を望まれている。
小島 梓 (こじま あずさ)
柳原一秀と同じ小学校に通っていた女子。大人びた雰囲気を持つ美少女で、問題ばかりを起こして学校内で浮いた存在だった柳原に対し、唯一優しく接していた。しかし裏では柳原が自分に好意を寄せている事を面白がっており、別の男子生徒たちと賭けに利用するなどからかっていた。柳原にはずっと友達だと言いながらも、別れも告げずに遠くへ引っ越してしまう。
赤羽 那々 (あかばね なな)
赤羽正幸の小学校5年生の妹。小学生とは思えないほどの大人びた顔立ちに抜群のスタイルを持つ美少女で、胸が大きい事を自慢にしている。外見だけでなく精神的にも成熟しており、正幸を小馬鹿にする発言が多い。ただし心の中では正幸を兄として慕っており、正幸の幼なじみの伊藤弓絵とも仲がよく、まるで実の姉のように懐いている。正幸が「赤羽那々に謙虚な気持ちを思い出してほしい」と無品誠に依頼した事で、無品と知り合いになった。以降、無品を面白がって懐き、内山礼子とはライバル関係にある。ただし無品を異性として意識しているわけではなく、恋愛面に関しては礼子の事を応援している。将来の夢は正幸と弓絵が恋人同士になり、自分を含めた三人でデートをする事。柳原一秀から好意を寄せられているが、相手にしていない。
水沢 双葉 (みずさわ ふたば)
仙台に住む中学一年生の女子。無品誠が月白中学校一年四組に転校する前、同じクラスに在籍していた。無品がいなくなってからクラス内の結束が乱れ、もう一度仙台に帰ってきてほしいと直談判をするため、月白中学校を訪れる。大人びた雰囲気を漂わせた清楚な美少女で背も高い。芝浦圭司も思わず一目惚れしそうになったほどの美貌を持つ。
フォッグさん
霧が出ている朝、月白中学校近くに姿を見せる高齢の男性。月白中学校に通う生徒のあいだでは「フォッグさんに会うと必ず幸せになれる」といった噂がある。実際は空き巣行為を繰り返している人物で、時々子供の頃の無邪気だった自分を思い出すため、早朝の霧にまぎれて散歩をしている。無品誠から遠藤聖代が自身に感謝しているというエピソードを聞かされ、のちに自首をしている。
野呂 伸夫 (のろ のぶお)
無品誠が住むアパートの、となりの部屋に住む男性。一人暮らしの無品にとって心許せる唯一の大人で、無品からは「ノロさん」と呼ばれ、親しまれている。ふくよかな体形をしており、つねにお酒を飲んでいる。昼間から酔いつぶれており、無品から介抱を受ける事もある。職業は占い師で、的中率は抜群だが、過去に仕事で大きな失敗をしたトラウマからアルコールに逃げてしまっている。無品の危機を予知し、代わりに自分が大ケガを負う事となる。
集団・組織
月白中学校一年四組 (つきしろちゅうがっこういちねんよんくみ)
月白中学校の中でも突出してトラブルの多いクラス。クラス代表は芝浦圭司と山野辺水葵が務めている。自己主張が激しくて個性が強い生徒が集っているため、まとまりはいっさいない。クラス内では頻繁に揉め事が起こっていたが、周囲を和ませる力を持つ無品誠が転入してきてからは、少しずつ団結力が生まれていく。