あらすじ
第1巻
松並雪は田舎から王子第八高等学校に転校して来たが、なかなか友達ができずに孤立していた。そんな中、王子第八高等学校では校内マラソン大会が開催される。しかし、「しかない生徒会」メンバーの介入のせいで過酷すぎるルールが連続するうえ、妹が人質に取られるなど常識では考えられないトラブルが続く。顔も性格も平凡で、運動神経しか取り柄のない雪は、マラソン大会を取り仕切っている生徒会長・柊御門に直訴して今すぐ大会をやめるように訴える。すると御門は、ゴールに自分を支持するか否かの投票スペースを開設し、ゴールした者の投票数に応じて生徒会長を辞任すると宣言。雪はこれ以上の生徒会長の横暴を許さないためにも、さまざまな罠が張り巡らされたマラソンコースを懸命に駆け抜ける。(「第1話」。ほか、4エピソード収録)
第2巻
「しかない生徒会」メンバーは生徒会室で鍋パーティーをする事にした。松並雪は白菜やネギなど無難な食材を用意するが、樺島恭一郎は伊勢海老やブランド牛といった高級食材、柳瀬切は柊御門に食べてもらいたいからと、深い山中で幻のキノコを収穫してくるなど個性豊かな食材が揃う。さらに御門は「洋風塩こうじチーズみそ」という攻めた味のスープを用意し、調理を開始しようとするが、生徒会のメンバーはみんな調理ができなかった。遅れてやって来た柘植忠吉の活躍もあり、何とか鍋は出来上がったものの、まったく美味しそうには見えない出来映えだった。(「第9話」。ほか、3エピソード収録)
登場人物・キャラクター
松並 雪 (まつなみ ゆき)
王子第八高等学校に転校して来た1年生の女子。性格も見た目も悪くないが、何もかも普通である事からなかなか友達ができずにいた。唯一運動神経だけは非常に優れている。校内マラソン大会に気合いを入れて出場したものの、柊御門をはじめたとした「しかない生徒会」メンバーのやりたい放題な現状に嫌気が差し、御門に直接意見をした事で生徒会メンバーとかかわりを持つようになる。 校内マラソン大会での実績を見た御門から「運動神経しかない」事を評価され、生徒会のメンバーになった。穏やかで優しい性格の柘植忠吉に惹かれ、密かに恋心を寄せている。好物はリンゴで、リンゴについての造詣も非常に深い。
柊 御門 (ひいらぎ みかど)
王子第八高等学校に在籍する1年生の男子。「しかない生徒会」の会長を務めている。非常に整った顔立ちだが、生徒達からは「顔しかない」と言われている。冷酷な性格で、人を人とも思わない言動が目立つ。そのため生徒達からは反感を抱かれる事も多いが、GKSのせいで問題になるどころか支持者を確実に増やしている。松並雪と柘植忠吉が惹かれ合っている事を知り、わざと雪にちょっかいを出して楽しんでいる。
柘植 忠吉 (つげ ちゅうきち)
王子第八高等学校に在籍する1年生の男子。「しかない生徒会」の書記を務めている。17歳で本来2年生ながら、1年留年している。穏やかで優しい性格ながら、生徒達からは「人望しかない」と言われている。一癖も二癖もある生徒会の中では唯一生徒達と対等に話ができる人物で、松並雪ともすぐに打ち解けている。個性的な生徒会メンバーの中で、唯一自分の事を認めてくれた雪にほのかな恋心を寄せている。
柳瀬 切 (やなせ きり)
王子第八高等学校に在籍する1年生の女子。「しかない生徒会」の副会長を務めている。柊御門に熱狂的な恋心を寄せており、生徒達からは「恋しかない」と言われている。中学生の頃は地味で肥満体型だったが、御門に会ってダイエットを成功させ、成績も上位をキープするようになった。とにかく御門の事が大好きで、少しでもほかの女子が近づくと逆上する。 御門を守るためなら、躊躇なく改造スタンガンを使用するなど過激な行動が目立つ。松並雪に対しては過剰に警戒心を抱いているものの嫌いというわけではなく、友好的な一面をのぞかせる事もある。
樺島 恭一郎 (かばしま きょういちろう)
王子第八高等学校に在籍する2年生の男子。「しかない生徒会」の会計を務めている。日本有数の財閥・樺島グループの御曹司で、金で自分の思い通りにしようとするため、生徒達からは「金しかない」と言われている。これまですべて金で解決して来たため、松並雪のように受け取りを拒否する相手には何もできず、一気に小心者になってしまう。 雪からは「お金先輩」と呼ばれている。
柏木 蒼 (かしわぎ そう)
王子第八高等学校に在籍する1年生の男子。「しかない生徒会」の会計を務めている。世界でもトップクラスの頭脳を持ち、生徒達からは「頭しかない」と言われている。人間を自分の発明品のための実験道具としか見ていないところがあり、周りからは距離を置かれている。甘いお菓子が大好き。
ふく助 (ふくすけ)
柏木蒼が作ったスズメ型アンドロイド。AI機能が搭載されており、普通の鳥のように人に懐き、頭もいい。蒼から譲り受けた柘植忠吉が世話をしていたが、忠吉は本物の鳥だと勘違いしていた。「しかない生徒会」のマスコットキャラクター的存在。
良野 (よしの)
王子第八高等学校に在籍する1年生の女子。松並雪のクラスメイトで優等生。転校生の雪に対しても親切に接していたが、雪が「しかない生徒会」に入ると聞いて距離を置こうとした。しかし雪に必死に接得されて、普通に会話をする関係を続けている。
辛須 まりあ (からす まりあ)
王子第八高等学校に在籍する女子で、コーラス部に所属している。「八高の歌姫」と呼ばれるほど歌がうまい。金銭的な余裕がないため、樺島恭一郎から金を渡されると優先すべき用事があってもつい歌ってしまう。何でも金で解決する恭一郎に対し、激しい憎悪を抱きつつも、金はきっちり受け取っている。
集団・組織
しかない生徒会 (しかないせいとかい)
王子第八高等学校の生徒会の別称。生徒会役員達が「顔しかない柊御門」や、「恋しかない柳瀬切」など、一つだけ突きぬけている以外には何もない事から、生徒達が勝手に呼び始めただけで、公式名称ではない。集っているのは問題児ばかりで、トラブルが起こっても御門が放つGKS効果により、うやむやなまま解決する事となる。
場所
王子第八高等学校 (おうじだいはちこうとうがっこう)
松並雪が転校して来た高等学校。校訓は「文武両道」「自主自立」を掲げている。「しかない生徒会」のメンバー達が、在校生に対して思いつきで過激なイベントに強制参加させている。本来ならば校長が制止するべきだが、校長が柊御門のファンのため、問題になっていない。
その他キーワード
GKS (ごっどきらーすまいる)
柊御門が心から満足した時に放たれる極上の笑顔。御門に恋心を寄せる柳瀬切が、この笑顔のために生きていると感じるほどの神々しい輝きを放つ。また、「しかない生徒会」によって散々迷惑を被っている王子第八高等学校の生徒達も、GKSを見ると男女問わず争い事がどうでもよくなる効果を持つ。