やさしいヒカリ

やさしいヒカリ

中村ひなたの代表作の一つ。現代日本の離島を舞台に、東京のブラック企業で心身共に疲れ果てた三宅飛鳥が、島に住む女子高校生の綿里日和子と共に過ごす穏やかなスローライフと恋愛模様を、落ち着いたタッチで描いたリラックス日常ドラマ。講談社「good!アフタヌーン」2018年7号から2019年10号まで連載。

正式名称
やさしいヒカリ
ふりがな
やさしいひかり
作者
ジャンル
ラブコメ
 
ヒューマンドラマ
レーベル
アフタヌーンKC(講談社)
巻数
全3巻完結
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魅力的なスローライフと人間ドラマ

社会人4年目の飛鳥は、過労が原因で通勤中に駅のホームで倒れたことをきっかけに退職し、自然豊かな離島「月輪島」の簡易郵便局の局長として再就職する。都会の喧騒から離れたこの地でのスローライフは大きな魅力であり、穏やかで心温まる癒しの物語を通じて、飛鳥を中心とした登場人物たちの切ない思いや家族との関係が深く掘り下げられていく。また、海に囲まれた離島を舞台に、島の生活の息吹を感じさせる美しい海の風景や、のどかな島の日常が丁寧に描写されている。

月輪島での新たな生活と人々との絆

飛鳥は、再就職先の簡易郵便局とカフェを経営するオーナーの世話になって2階で生活していた。そのオーナーの孫である日和子も同居しており、彼女は簡易郵便局でアルバイトをしながら、島のことを飛鳥に教えていくうちに、二人は親しくなっていく。そんな中、飛鳥のもとに以前面接を受けた東京の企業から連絡が入る。一度は東京に戻るべきかと迷った飛鳥だったが、その企業の採用を断ることを決意し、今後も月輪島での生活を続けることを選ぶ。こうして飛鳥は、新たな土地で手探りながらも穏やかな日々を送り始め、日和子をはじめとする周囲の人々に支えられながら、自身の過去や人生を見つめ直していく。

不器用な飛鳥と日和子の恋と成長の物語

月輪島に移住した飛鳥は、日和子に対して同僚として、また家族のような関係を築きながら、少しずつ心の距離を縮めていく。島での生活に慣れ、気づけば半年が過ぎた頃、日和子はオープンキャンパスに参加するため、飛鳥と二人で東京へ行くことになる。進学を考え始めた日和子との日常に、終わりが近づいていることを感じつつも、家族や過去の悩みを抱える二人は互いに励まし合い、かけがえのない存在となっていた。その後、日和子はオープンキャンパスでの経験をきっかけに、故郷を離れて東京の大学へ進学することを決意する。実は互いに好意を抱いているにもかかわらず、日和子が島を離れる可能性が高まったある日、彼女の様子が変わり、飛鳥を避けるようになってしまう。それに気づいた飛鳥は日和子を追いかけ、島を出ることに複雑な思いを抱える彼女の本音を知ることになる。年齢や生い立ちの異なる飛鳥と日和子の不器用な恋愛模様、そしてそれぞれの夢や決断の行方が見どころとなっている。

登場人物・キャラクター

三宅 飛鳥 (みやけ あすか)

東京の会社に勤務する男性。黒髪のショートヘアをしている。優しくまじめな性格だが、少し不器用なところがある。愛称は「ミヤ」。社会人4年目に過労で倒れたことをきっかけに退職し、友人のヤスの紹介で彼の実家がある離島の月輪島に移住し、簡易郵便局の局長として再就職を果たす。簡易郵便局に併設されたカフェの2階に住んでいる。そこで、綿里家の母屋に住む女子高校生の日和子と出会い、彼女に島を案内してもらったことから親しくなる。厳格な両親とのあいだに過去のわだかまりを抱えており、弟の大和がいる。趣味は読書で、都会とはまったく異なる島のゆったりとした時間の流れや空気に戸惑いながらも、少しずつ島の生活に馴染み始めている。

綿里 日和子 (わたり ひよこ)

月輪島に住む女子高校生。島の簡易郵便局でアルバイトをしている。茶髪のショートヘアで、明るく快活な性格の持ち主。簡易郵便局に併設されたカフェのオーナーである祖父と、叔母の由樹と共に三人で暮らしている。のちに、飛鳥が郵便局の同僚兼下宿人として加わり、同じ屋根の下で生活することになる。母親は日和子を出産した直後に亡くなり、その顔を知らずに育った。また、東京で働く父親との関係はぎくしゃくしている。

書誌情報

やさしいヒカリ 全3巻 講談社〈アフタヌーンKC〉

第1巻

(2018-11-07発行、978-4065134450)

第2巻

(2019-05-07発行、978-4065155288)

第3巻

(2019-11-07発行、978-4065175842)

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