ゴリラの神から加護された令嬢は王立騎士団で可愛がられる

本作の舞台となる世界では、16歳になると誰もが「加護の式典」を通じて動物神からの加護を受けることになる。鳥系の加護を受ければ空を飛ぶことができ、魚系の加護を受ければ水中を自由に泳ぐことができるなど、加護によって得られる能力は多岐にわたる。そのため、加護はその後の人生に大きな影響を与え、人によっては今後の進路が決まってしまうこともある。受け取る加護は本人の意思とは無関係で、本人もどの加護を受けるかはわからず、時には加護を受けたあとでも、その能力がどのような効果を持つのか不明な場合もある。

ソフィアは、戦闘系最強と称される「ゴリラの神」の加護を受け、王立騎士団からスカウトされる。しかし、騎士団に入団したくないソフィアは、従騎士の試験で不合格になるように努力するものの、無意識のうちに加護の力を発揮し、試験に合格してしまう。周囲には同僚の従騎士や上官の正騎士、部隊を指揮する隊長や団長など、騎士団の人間はすべて男性で構成されており、女性のソフィアは注目を集める存在となる。さらに、ソフィアは数々の騒動を加護の力で解決し、任務を通じてさまざまな人々と交流する中で、彼女に興味を持つ者や好意を寄せる者が増えていく。本作では、そんなソフィアと多くの男性たちとのコミカルな恋愛模様が描かれる。

従騎士のルイ・スカーレルは、容姿端麗で誰に対しても誠実に接する好青年。家柄もよく、王立騎士団で活躍しているため、周囲の女性たちから非常に人気がある。一方で、ソフィアは伯爵令嬢だが、彼女の領地は辺境にあり、性格もおとなしいため、貴族の子息や子女が通う学校では陰湿な嫌がらせを受けていた。そんな二人は、ソフィアが王立騎士団の従騎士試験会場に向かう途中で出会い、ソフィアが試験に合格したあとは騎士団や学校でルイと親しくなっていく。最初は先輩後輩の関係だったが、ソフィアはルイが親身に接してくれることに好感を抱き、彼に対する気持ちが次第に強くなっていく。その様子をソフィアが独り言として口にしたところ、その言葉を耳にしたルイもまた、彼女への思いを深めていくのだった。