わたしは夢みる少女

わたしは夢みる少女

とある田舎の農村地帯で出会った少女と少年の恋の行方を主軸に、並行して生徒と教師の切ない不倫関係を描く物語。主人公の少女の心の揺れ、また一途に彼女を想う少年に救われていく様子を、じっくりと描いた作品。「別冊マーガレット」1986年4月号から9月号にかけて連載された。

正式名称
わたしは夢みる少女
ふりがな
わたしはゆめみるしょうじょ
作者
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概要・あらすじ

雪深い農村地帯に住んでいる中学2年生の北野しげるは、ある日、自宅の裏で行き倒れていた呉田幸子と出会う。都会的で大人っぽい印象の幸子を見て、好意を持つとともに、何か訳ありであることを察したしげるは、帰り際の幸子に向けて「死ぬなよ」と声を掛ける。実は幸子がしげるの村にやって来た理由は、自身が通う高校の教師である波多野天と不倫をし、その辛さから逃げるためだった。

次の年、しげるは修学旅行で東京を訪れた際に、幸子と偶然再会し、東京の高校へ進学することを決意する。一方幸子は、波多野への想いを未だに断ち切れずにいた。その翌年、しげるは本当に東京にやって来て、幸子との仲を深めていく。

登場人物・キャラクター

呉田 幸子 (くれた さちこ)

物語開始当初は都立高校3年生の少女。北野しげるが住んでいる田舎の雪国に、たった1人でやって来た。しげるの家の裏で倒れていたところを、しげるの母に助けられる。まだ中学2年生のしげるの第一印象を、うぶな子だと感じる。しげるの住んでいる村にやって来たのは、彼女が通う高校の教師である波多野天との不倫に疲れて家出したため。 その後、修学旅行で東京にやって来たしげると再会したことをきっかけに、しげると交流を持つようになる。自分を想って東京の高校に進学する、というしげるを嬉しく思いながらも、心では波多野への想いを断ち切れずに苦しんでいる。また、自分のために東京に出て来たしげるに、自分が彼の人生を変えてしまったのではないかと思い悩む。 幸子の母と二人暮らしだが、家事を放棄している母親に代わって家事全般をこなしている。そのため学校の出席日数が足りず、しげるが中学3年生の年に留年をし、再び高校3年生となっている。

北野 しげる (きたの しげる)

冬になると雪深くなる田舎の農村地帯に住んでいる少年。物語開始当初は中学2年生。自宅の裏で行き倒れて保護されていた呉田幸子に出会い、最初は戸惑っていた。都会的で派手な雰囲気の幸子に照れを見せる純真さを持っている。訳ありな幸子を案じ、別れ際に事情は聞かずに、「死ぬなよ」とだけ強く叫んだ。翌年、中学3年生になって修学旅行で東京を訪れた時に、幸子と偶然再会を果たす。 話しているうちに幸子に強く惹かれ、東京の高校へ進学することを決意する。その年の夏にまた幸子と会って関係を深め、翌年には東京の高校に通うようになる。幸子が波多野天と不倫をしていたことを聞き、自分は2番目でもいいと、一途に幸子を想い続ける。しかし、自分の高校に産休代行として波多野が赴任して来たことをきっかけに、波多野とトラブルを起こす。

波多野 天 (はたの たかし)

呉田幸子が通っていた高校の男性教師で28歳。担当は現国。妻であるみどりと娘の菜穂がいる身でありながら、幸子と不倫関係にある。幸子との関係が学校中の噂となり、それがきっかけで学校を退職した。その後も幸子に対して優柔不断な態度を取っていたが、みどりと菜穂が家に戻って来たことで、幸子に別れを告げる。その後、北野しげるが通っている東京の高校に、産休代行として赴任したため、しげるとトラブルになってしまう。

幸子の母 (さちこのはは)

呉田幸子の母親。波多野天との不倫を悩んで家出をした幸子を案じ、波多野を厳しくなじる。幸子の幸せを願っているが、家事全般をほぼ放棄している状態で、だらしのない性格。その代わりを幸子が務めているため、幸子が学校に行けなくなっている。交際している彼氏がおり、夜になると時折、派手な格好をして出かける。

吉田 (よしだ)

留年前の呉田幸子とクラスメイトだった少女。高校卒業後は百貨店の化粧品売り場に勤めている。当時、幸子と波多野天の不倫が原因で波多野が学校を辞めたことに涙を流し、幸子をなじった。しかし本気で波多野を好きだったわけではなく、別に付き合っていた彼と結婚する予定。

春子 (はるこ)

北野しげるの実家の近所に住んでいる少女。昔からしげると親しく、しげるに対してはよく憎まれ口をたたいている。中学時代は先輩と付き合っていたが、本当はしげるに想いを寄せており、彼が東京の高校に行くことを知って涙を流した。家の屋根にしょっちゅう上っているような、おてんば娘。

しげるの母 (しげるのはは)

北野しげるの母親。呉田幸子が自宅の裏で行き倒れていたのを発見し、保護してしげるの部屋で寝かせた。幸子に快く食事を与え、一晩泊まることを提案するなど、人情味あふれる女性。しかし時として厳しく、しげるが東京の高校で停学処分を受けた時には、電話口で激しく怒鳴ってしげるを叱責した。

ともみ

北野しげるが通う高校のクラスメイトの女子高生。産休代行として赴任して来た波多野天に想いを寄せており、波多野にプレゼントを渡したが、それを捨てられてしまう。しげるが波多野とトラブルを起こした原因は、表向きにはともみのプレゼントを波多野が捨てたことに、しげるが怒ったためとされている。

みどり

波多野天の妻。控えめで地味な印象だが、綺麗な黒髪の女性。波多野が呉田幸子と不倫していると知った時には、怒りのあまり娘の菜穂を連れて家を出ていった。その後、戻って来て再び波多野と暮らすようになる。みどり自身は幸子と面識はないが、実は幸子が波多野の家を訪れた際にすれ違ったことがある。

菜穂 (なほ)

波多野天とみどりの娘。母親のみどりに似た綺麗な黒髪の持ち主。呉田幸子が波多野の家を訪れた際に幸子と会っている。その際に、幸子が彼女にうっぷんを晴らしたので、幸子のことを意地悪なお姉ちゃんだと思っている。

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