わたり鳥は北へ

わたり鳥は北へ

仲田次郎は、友達の恋人と間違えて声をかけた少女、笠原あさみと意気投合する。次郎の実家のある岩手を目指し、逃避行することになる2人。不良少年と自由を求める少女の恋を描く青春ドラマ。『ゆがんだ太陽』に登場した日向修を慕う友達、次郎が主人公で、あさみは同作のヒロインであった麻生光に似ている。

正式名称
わたり鳥は北へ
ふりがな
わたりどりはきたへ
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概要・あらすじ

笠原あさみは厳格な父と成績優秀な姉に対して劣等感を抱く高校生。息が詰まるような生活をしていたが、暴力団岩瀬組の少年、仲田次郎に声をかけられ、気晴らしに話をする。だが、そのために帰宅が遅れたことを咎められて次郎に楽しいことがないかと相談。岩瀬組で居場所のない次郎から岩手旅行を持ちかけられる。

2人は狂言誘拐で旅費をまかなおうとしたが、警察が身代金受け渡し場所に張り込んでいたため失敗。逃亡の際に岩瀬組から持ち出した拳銃を発砲してしまう。警察が来ていたことであさみは父に不信感を抱き、2人はそのまま逃避行に出る。ヒッチハイクや徒歩、時にはトラックを奪って旅を続ける2人。途中で描いた似顔絵を次郎は実家に郵送。

その直後、岩瀬組に追いつかれ、組員から逃れようとした次郎が転びざまに拳銃を暴発させてしまう。あさみが乗用車を奪って次郎と逃走に成功したが、暴発した銃弾が胸を貫通。静かになった次郎を乗せたままあさみは乗用車を走らせたが、警察の非常線に気付きハンドルを大きく切ると道を外れて森に突っ込む。

ほどなく、次郎が送った手紙が母のもとに配達されるのだった。

登場人物・キャラクター

笠原 あさみ (かさはら あさみ)

背中まで届く黒髪の少女。高校1年生であまり成績はよくない。父は中学校の数学教諭、母はPTA役員、姉は常に首席を保っている同じ高校の3年生。姉と比べられることが多く、劣等感に苛まれている。仲田次郎から岩手に行かないかと声をかけられ、軽い気持ちで旅費のために狂言誘拐を試みるが失敗。父が警察に通報していたため、自分の身を案じていないと思い、次郎とともに警察と日向組に追われながら岩手を目指す。 途中で髪を切り、次郎とケンカをしながらの旅で心を通わしていく。容姿は河あきらの『ゆがんだ太陽』の主人公・麻生光に似ている。

仲田 次郎 (なかた じろう)

明るい髪色の少年。実家は岩手陸中の漁師町にある雑貨屋。集団就職で上京したが長続きせず暴力団の日向組の構成員となる。日向組は組長が交替し岩瀬組となった。日向組の組長の息子と仲がよかったため、半端者扱いされている。そのため実家に帰ろうかと考えている。友達の日向修の恋人だった麻生光とよく似ていたため声をかけた笠原あさみを誘う。 だが、軽い気持ちで旅費のために狂言誘拐を試み、失敗して逃亡。小道具として岩瀬組から持ってきた拳銃を発砲した。警察と岩瀬組に追われながら岩手を目指す。あさみとケンカしながらの旅で心を通わせていく。河あきらの『ゆがんだ太陽』では苗字がなく、次郎という名前だけで登場していた。

おとうさん

白髪でメガネをかけた初老の男性。笠原あさみの父。中学校の数学教諭でたいへんな堅物。次女のあさみを姉と同じ進学校に進ませた。あさみと仲田次郎の狂言誘拐の脅迫電話に、声の様子から脅し以上のことはしないと判断し警察に通報。警察が犯人である次郎の確保に失敗し、あさみとともを行方不明となる。 苦悩の末、たとえ帰ってきても元の生活に戻れないあさみは、むしろ帰ってこないほうがいい、と覚悟を決めた。

集団・組織

岩瀬組 (いわせぐみ)

『わたり鳥は北へ』に登場する組織。以前は日向組として広く知られていた暴力団。日向組は組長が逮捕されて形式上は解散したが、実際は岩瀬新組長が継いでいて岩瀬組と名前を変えただけである。日向組よりも汚い仕事をしているらしい。次郎が持ち出した拳銃の出所として、日向組の名があがるのを恐れて次郎たちを追跡する。

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