概要
1905年5月、ヨーロッパ中央部の小王国アップフェルラントの首都シャルロッテンブルグに住む、スリの少年ヴェルギール・シュトラウスは、アメリカ人実業家ヨーク・デンマンの財布をすった事がきっかけで囚われているドイツ人の少女フリーダ・レンバッハを助け出す。
シャルロッテンブルグ警視庁の警部アルフレッド・フライシャーの協力を得たヴェルギール・シュトラウスは、アップフェルラントのオーバーケルテン鉱山の秘密を巡って、ヨーク・デンマン達の一味に立ち向かう。
登場人物・キャラクター
ヴェルギール・シュトラウス (ゔぇるぎーるしゅとらうす)
ヨーロッパの小王国アップフェルラント の首都シャルロッテンブルグに住む、14歳の少年。愛称はヴェル。両親を失って天涯孤独だが、「いつかパリへ行く」という夢を持つ。手先の器用さを活かして、スリで生計を立てており、顔見知りであるシャルロッテンブルグ 警視庁の警部アルフレッド・フライシャーには、何かと気にかけられている。 ある日、アメリカ人実業家ヨーク・デンマンの財布をすった事で、囚われている少女フリーダ・レンバッハの存在を知り、アルフレッド・フライシャーの協力も得ながら助け出す。
アルフレッド・フライシャー (あるふれっどふらいしゃー)
ヨーロッパの小王国アップフェルラント の首都シャルロッテンブルグの警視庁に勤務する警部。年齢は35歳。騎馬憲兵隊の元兵士で、乗馬が得意である。口髭と頬髭を蓄えていたが、物語の途中から「心境の変化」で全部剃り落とす。 温厚な性格で、推理力や行動力は高い。スリで生計を立てるヴェルギール・シュトラウスを気にかけ、アメリカ人実業家ヨーク・デンマンの陰謀にも共に立ち向かう。
アッチラ
ポーランドの独立活動家アリナーナ・ヴィシンスカヤが飼っている、体長約2メートルの巨大なネコ。ダークブラウンの毛並を持ち、子猫の時から育てたアリナーナ・ヴィシンスカヤに忠実。
ヘルムート・フォン・レーンホルム (へるむーとふぉんれーんほるむ)
ヨーロッパの小王国アップフェルラント の科学者。王国を代表する科学者だが、気さくで飄々とした性格の老人。自ら開発した飛行機天下無敵号を操縦する行動派でもある。
アリアーナ・ヴィシンスカ (ありあーなゔぃしんすか)
二十代後半のポーランド人女性。ドイツやロシアによって分割消滅した祖国ポーランドの再興のための資金を作るために、アメリカ人実業家ヨーク・デンマンと組み、超兵器(核爆弾)に転用可能な鉱石を埋蔵している、ヨーロッパの小王国アップフェルラント のオーバーケルテン鉱山を狙う。 銃や剣も使いこなす男装の美女であり、常に行動を共にしている巨大な猫のアッチラとは深い絆がある。
アップフェルラント
『アップフェルラント物語』に登場する国。ヨーロッパ中央部内陸に位置する、人口約百万人の小王国。首都はシャルロッテンブルグ。現君主は女王のカロリーナ二世。ドイツ帝国やロシア帝国、オーストリア帝国などの大国に囲まれる戦略的要衝。 領内に超兵器(核爆弾)に転用可能な鉱石を埋蔵するオーバーケルテン鉱山を持つために、ドイツ帝国が併合を狙っている。国のモットーは「フリッシュ(元気)! フライ(自由)!フレーリヒ(快活)!」の「3F」。
カロリーナ・フォン・シュタウピッツ (かろりーなふぉんしゅたうぴっつ)
カロリーナ二世を名乗る、ヨーロッパの小王国アップフェルラント の女王。年齢は61歳。編み物が趣味の温厚な女性だが、大国に囲まれた小国であるアップフェルラントの独立を維持するために、優れた外交、政治手腕を振るっている。
フリーダ・レンバッハ (ふりーだれんばっは)
ロシア在住のドイツ人の少女。年齢は13歳。亡くなった祖父から、ヨーロッパの小王国アップフェルラントのオーバーケルテン鉱山の所有権を受継いでいる。そこに埋蔵にするという超兵器(核爆弾)に転用可能な鉱石の存在を探るために、ヴェルギール・シュトラウスと共に廃坑へ赴く。
ウィルヘルム二世 (うぃるへるむにせい)
ドイツ帝国の皇帝。実在の人物。隣接する小王国アップフェルラントの併合と、その領内にあるオーバーケルテン鉱山に埋蔵されているという超兵器(核爆弾)に転用可能な鉱石を狙う。
ヨーク・デンマン (よーくでんまん)
アメリカ人の武器商人。超兵器(核爆弾)に転用可能な鉱石を埋蔵するヨーロッパの小王国アップフェルラント のオーバーケルテン廃坑を狙う。オーバーケルテン廃坑の所有権を相続したドイツ人の少女フリーダ・レンバッハを拉致していたが、ヴェルギール・シュトラウスに救い出されてしまう。 尊大な性格で、鞭を振るう。
ゴッドリープ・フォン・ノルベルト (ごっどりーぷふぉんのるべると)
ヨーロッパの小王国アップフェルラント の陸軍大臣であり、公爵の位を持つ貴族。年齢は55歳。アップフェルラントをドイツ帝国へ併合させようと目論む親独派。ドイツ軍の介入を誘うために、クーデターを計画する。
ドイツ帝国 (どいつていこく)
『アップフェルラント物語』に登場する国。実在したヨーロッパ中央部の大国。1905年当時の君主はウィルヘルム二世。南東部に隣接する小国アップフェルラントを併合しようと画策している。アップフェルラントの陸軍大臣ゴッドリープ・フォン・ノルベルトが起こしたクーデターに呼応して軍事介入する。 列車砲タイフーンを投入し、アップフェルラントの首都シャルロッテンブルグを砲撃した。
場所
シャルロッテンブルク
『アップフェルラント物語』に登場する街。ヨーロッパの小国アップフェルラントの首都。ヴェルギール・シュトラウスや警視庁の警部アルフレッド・フライシャーが住んでいる。
オーバーケルテン廃鉱 (おーばーけるてんはいこう)
『アップフェルラント物語』に登場する鉱山。ヨーロッパの小国アップフェルラント領内にある岩塩の鉱山。地下水の湧水が頻繁に発生するために廃坑になったが、所有権を持っていたフリーダ・レンバッハの祖父が、超兵器(核爆弾)に転用可能な金属化したラジウム鉱床を坑内で発見した。
その他キーワード
タイフーン
『アップフェルラント物語』に登場する兵器。ドイツ帝国が誇る、1905年当時世界最大の列車砲。巨大な砲を搭載した主砲台車と八門の補助的な砲を搭載した副砲台車とで構成される。アップフェルラントの陸軍大臣ゴッドリープ・フォン・ノルベルトが起こしたクーデターに呼応して軍事介入したドイツ軍が投入した。 アップフェルラントの女王カロリーナ二世を恫喝するために、首都シャルロッテンブルグを砲撃した。
天下無敵号 (てんかむてきごう)
『アップフェルラント物語』に登場する乗り物。ヨーロッパの小国アップフェルラントの科学者ヘルムート・フォン・レーンホルムが開発した飛行機。推進型プロペラを持つ複葉機で、開発者のヘルムート・フォン・レーンホルム自ら操縦して飛行した。