概要・あらすじ
1972年、ソビエト連邦ウクライナ共和国、キエフ・シェフチェンコバレエ学校6年生の少女ノンナ・ペトロワはバレリーナの母に教えを受けてきたが、168cmという高身長から優雅さに欠けると母に責められ、優秀な姉イリーナと比較され続けてきた。しかしある日、視察に来たレニングラード・キーロフ・バレエ劇場の総裁トロヤノフスキー氏とソビエトの「金の星」と呼ばれる天才ソリストユーリ・ミロノフによって実力を見出され、レニングラード・バレエ学校へと編入することになる。
ユーリ・ミロノフからの厳しい特訓を受け、めきめきと成長していくノンナだが、なかなか自分に自信をもてずにいた。そんな時、ノンナは新創作舞踊『アラベスク』の主役に抜擢されることとなる。
登場人物・キャラクター
ノンナ・ペトロワ
16歳の少女。ソビエト連邦ウクライナ共和国、キエフ・シェフチェンコバレエ学校6年生で、同じくバレリーナである母に幼い頃から教えを受けており、バレエへの情熱を燃やしていたが、168cmの高身長というバレリーナにとってのハンディキャップを持ち、常に優秀な姉イリーナと比較されることで強いコンプレックスを持ち続けてきた。 レニングラード・キーロフ・バレエ団のユーリ・ミロノフに見出され、レニングラード・バレエ学校の7年生へと編入することになる。師ユーリ・ミロノフの厳しい特訓により、持ち前の能力を開花させ、試練の中で表現力を身に着けていく。
ユーリ・ミロノフ
レニングラード・キーロフ・バレエ団所属のバレリーノ。わずか22歳で最優秀舞踊家賞を受賞し、「ソビエトの金の星」と呼ばれる天才ソリスト。ノンナ・ペトロワの才能を見出し、厳しく指導することによって、一人前のバレリーナへと、そして自らのパートナーへと育てあげていく。
アントニーナ・スホワ
レニングラード・バレエ学校の8年生で、バレリーナを目指す少女。寮ではノンナ・ペトロワと同室。優しく穏やかな性格で、ノンナとは親友になる。ノンナの才能をいち早く見抜いていた一人。
マイヤ・イワネンコ
レニングラード・バレエ学校7年生の少女。ノンナ・ペトロワの同級生。母親が体操のオリンピック金メダリストで、本人も元々体操をやっていた。後に体操選手としてミュンヘンオリンピックの出場選手となる。
スヴェトラナ・エフレモワ
第二部から登場。ノンナ・ペトロワ同様、ユーリ・ミロノフに才能を見出され、レニングラード・バレエ学校へ転入してきた少女。正式なバレエ教育を受けておらず、故郷ハルギツではたくざんの家族の家計を支えるため、時計工場で働く傍ら、クラブ活動でバレエをしていた。
レミル・ブロフ
第二部から登場。レニングラード・キーロフ・バレエ団の実力派ソリストセミョーノフの秘蔵っ子の少年。レニングラード・バレエ学校の9年生として、ノンナ・ペトロワの同級生となり、チャイコフスキー・コンクールでのノンナのパートナーとなる。
ザカレフスキー
第二部から登場。モスクワから来て、レニングラード・バレエ学校の副校長となった男性。ソビエト・バレエ界の実力者である一門の出身で、本人も65年までモスクワ・ボリショイ・バレエ団で活躍していた名バレリーノ。強引でそそっかしく、思い込みの強い性格だが、根は善人で、バレエを強く愛する。
エドゥアルド・ルキン
第二部から登場。レニングラード・キーロフ・バレエ団所属のバレリーノ。ユーリ・ミロノフの親友であり、ライバルである存在。超一流の人気キャラクター・ダンサーで、ずっと海外をまわっていた。保守的なソビエト連邦バレエ界に疲れ、亡命を考えている。
レオ・リジンスキー
ユーリ・ミロノフの親友の映画監督。『アラベスク』の映画版の監督となるが、ただの記録映画ではない新しい演出方法などを取り入れたことで、主演の一人ライサ・ソフィアを擁するモスクワ・ボリショイ・バレエ団と対立する。
ライサ・ソフィア
モスクワ・ボリショイ・バレエ団所属のバレリーナ。家族もバレリーナで、幼い頃から才能を認められ、若干17歳でプリマとなった天才少女。『アラベスク』映画版の主演を賭けてノンナ・ペトロワと争い、見事勝ち取るが、ラーラ本人のやる気の低さや、監督レオ・リジンスキーとモスクワ・ボリショイ・バレエ団側の対立から撮影が難航。 再テスト後ノンナ待望の空気となったことにプライドを傷つけられたラーラは主役を降り、バレリーナを引退。女優の道を目指す。
クレール・マチュー
パリ・オペラ座バレエ団所属のバレリーナ。ノンナ・ペトロワと同い年だが、最年少でのエトワール昇進が近いとされている天才。父親はモスクワ・ボリショイ・バレエ団に所属していたが、フランスに亡命したバレリーノニコライ・セレンコフ。しかし父は早くに亡くなり、クレールは12歳から貧困の中で家計を支えるためにバレエをやってきた。
ロベール
パリ・オペラ座バレエ団所属のバレリーノ。クレール・マチューのパートナー。ハンサムな自信家だが、マチューにはベタ惚れしている。
オリガ・デミードウ
ソビエト連邦内の小さな町にあるバレエ団のベテランプリマドンナ。映画版『アラベスク』の撮影現場から逃げてきたノンナ・ペトロワを拾い、世話をする傍ら、バレリーナの「心」について教える。
カリン・ルービツ
第二部から登場。ベルリンから来たバレエ・ピアニスト。ザカレフスキー氏の紹介で、レニングラード・バレエ学校に赴任、ノンナ・ペトロワたちのクラスでも伴奏を担当する。屈折した過去を持つレズビアン。
その他キーワード
アラベスク
『アラベスク』に登場する創作バレエの演目。アラビアンナイトの『アリババと40人の盗賊』のストーリーをアレンジした新作バレエ。従来の女性中心のバレエではなく、男性のアリババ役と、女性のモルジアナ役が同等の立場であることが特徴のひとつとなっている。クラシック・バレエとモダン・バレエの中間のような内容。