概要・あらすじ
ベルリン・ワルデハイムバレエに移籍したバレエダンサー・宮本すばるは盲目のダンサーのニコ・アスマーと出会う。すばるを唯一無二のパートナーと認めたニコは、アメリカの世界的振付師・ミカエル・エリクソンにふたりのためのオリジナルのレパートリーの振り付けを依頼しようと決意する。しかし、すばるはアメリカから国外退去処分を受けていた。
この処分を取り消すため、ふたりはヴァルナ国際バレエコンクールに出場、グランプリを目指すのだった。
登場人物・キャラクター
宮本 すばる (みやもと すばる)
バレエダンサーとして活動する17歳の少女。ベルリン・ワルデハイムバレエのソリストとして活躍している。性格は気が強く思い込みが激しくわがままで気まぐれ。他者の感情を逆なでするような常識はずれな行動で周りを振り回しがち。しかし、バレエだけは熱心で、幼い頃から厳しく仕込まれてきた確かな技術に裏付けされた表現力の高いダンスを踊る、類まれなる才能の持ち主。 幼い頃の確執により、家族とは絶縁している。
ニコ・アスマー (にこあすまー)
バレエダンサーとして活動する男性。ベルリン・ワルデハイムバレエのソリストとして活躍している。宮本すばるのパートナー。エストニア出身。過去、飛行機事故で盲目となり、同時にパートナーであり恋人だったヴィクトリアを失っている。バレエの時以外は盲導犬のオロとともに行動している。すばるとは最初は反発しあったものの、共に練習を重ねる中で唯一無二のパートナーであるとお互いが認め合う仲になる。 すばるに忌憚なく意見を言え、彼女もその言葉を無視できない数少ない人間の一人。
ユーリ・ミハイロフ (ゆーりみはいろふ)
バレエダンサーとして活動する39歳の男性。ベルリン・ワルデハイムバレエの芸術監督兼プリンシパルダンサーを務める。宮本すばるの才能を認め、ワルデハイムバレエにスカウトした。無邪気で好奇心が強く、人当たりが良いため女性に人気が高いが、「できない」とは言えない雰囲気を作りだした上で笑顔で厳しい指示をしたり、大会で勝利するために策を弄したりするため、「笑顔の悪魔(スマイリー・デビル)」とも呼ばれている。 バレエに対する向上心は高く、今でも新しい刺激を求めている。
許 敏敏 (しゅー みんみん)
バレエダンサーとして活動する18歳の女性。シャンディの姉。雲南省大理出身、少数民族白族の生まれ。7歳の頃、北京市雑技学校に入学。雑技団の花形として活躍するが、14歳の時に見たプリシラ・ロバーツの演技に心惹かれ、雑技団を後にして単身渡米。15歳でバレエの世界に飛び込み、わずか3年でアメリカン・バレエ・シアター(ABT)のホープとして頭角を表すほど豊かな才能を持つ。 ピーター・マーフィーをパートナーとしてヴァルナ国際バレエコンクールに出場、宮本すばるの最大のライバルとなる。バレエで成功し、母をアメリカに呼びたいと考えているため、ハングリー精神が強い。性格は思い込みが激しく感情的だが、切り替えは早い。弁護士の彼氏と共に生活している。
ピーター・マーフィー (ぴーたーまーふぃー)
バレエダンサーとして活動する男性。アメリカン・バレエ・シアター(ABT)でプリンシパルとして活躍している。メガネをかけており、2メートルを超える長身の持ち主。ミンミンの才能を認め、ヴァルナ国際バレエコンクールに出場するためのパートナーにならないかと声をかけた。ミンミンの性格をよく理解し、彼女が納得できるようなアドバイスを与えている。
プリシラ・ロバーツ (ぷりしらろばーつ)
バレエダンサーとして活動する女性。世界屈指のバレリーナのひとりと言われており、宮本すばるやミンミンも憧れるほどの人物。屈託がなく、好奇心が旺盛な性格で周囲を振り回しがち。バレエに対しては真摯だが、その陰で彼女の犠牲になった者も少なくないという。すばるやミンミンと共にミカエル・エリクソンの新作「Alice」を踊る。
加藤 (かとう)
宮本すばるの母。すばるが家を出たのち夫と離婚したため、旧姓に戻っている。すばるのふたごの兄弟であり、脳腫瘍を患っていた宮本和馬を思うあまり、すばるとの関係をうまく築けなかった。
カティア・フォン・ロール (かてぃあふぉんろーる)
宮本すばるがバーで知り合った女性。すばるのことを尊敬しており、酔うと好きと言って絡む。実は貴族のお姫様で、英国ロイヤルバレエの芸術監督・イワン・ゴーリキーの愛弟子のバレエダンサー。盲目のバレエダンサーのニコ・アスマーと、初対面であるにもかかわらずピッタリとあったパ・トゥ・ドゥを踊れるほど相手に合わせるのが上手く、高い才能を持つ。
達川 (たつかわ)
日本舞台文化振興会(NSC)に所属する男性。肺炎で日本公演の舞台をキャンセルしたはずの宮本すばるが、街を歩いているところを目撃されたため、事実関係を確認するためにベルリンへ派遣された。そのさい出会ったすばるの才能と人柄に惚れ込む。
ミカエル・エリクソン (みかえるえりくそん)
サンフランシスコ・バレエに所属する振付家の男性。人気振付家であり、非常に多忙な日々を送っている。プリシラ・ロバーツの知り合いで、プリシラの依頼を受け、彼女のほか宮本すばるやミンミンなども出演する「Alice」を振付する。
陳 語堂 (ちぇん ゆーたん)
ミンミンが北京の雑技団にいた頃のパートナー。北京市雑技学校の頃からの友人で、くじけて逃げ出しそうなミンミンの心の支えとなっていた。ミンミンがバレエに心を奪われていることをよく思っていない。
シャンディ
ミンミンの弟。ミンミンが父母を置いてアメリカへ出奔してしまったことや、アメリカでの姉の変化に戸惑い、反発している。ミンミンの後援者に連れられヴァルナ国際バレエコンクールを見に来た際、さらわれそうになったところを宮本すばるに助けられた。マイペースで、すばるに対しても物怖じしない。
集団・組織
ワルデハイムバレエ
ベルリンにあるバレエ団。宮本すばる、ニコ・アスマーが所属し、ユーリ・ミハイロフが舞台監督、およびプリンシパルダンサーを務める。女性のプリンシパルは、ユーリのパートナーを務めるキャサリン・ハース。
イベント・出来事
ヴァルナ国際バレエコンクール (ゔぁるなこくさいばれえこんくーる)
2年に一度、ブルガリアのヴァルナで行われる国際的なバレエコンクール。野外ステージでコンクールが行われることが特徴。「次の10年はこの優勝者を中心にまわる」と言われるほど権威のある賞となっている。宮本すばる、ニコ・アスマー、ミンミン、ピーター・マーフィーらが出場した。