概要・あらすじ
ウクライナ・ベラローザ村。8歳の少年・悠里(悠里・レルモントフ)は、父アリョーシャ、母杏里、そして2歳年下の父親違いの妹杏奈(杏奈・レルモントワ)の一家4人で幸せに暮らしていた。悠里は天性のバレエセンスを持ち、ボリショイ・バレエ学校へ行って、いつかはボリショイ・バレエ団劇場の大舞台で踊ることを夢見ていた。
しかし(1986年)4月26日。チェルノブイリ原発事故によって、一家の平穏な暮らしは粉々に破壊される。父は命を失い、母は被曝する。残された母のために、早くのスターになった姿を見せたいと願い、悠里は1人ボリショイ・バレエ学校へ入学する。9年後、17歳になった悠里はボリショイ・バレエ学校でトップの成績を誇っていた。
だが、そこに母の死の知らせが届く。悠里は妹・杏奈のためだけに生きていこうと誓い、悠里と杏奈は互いに男女として惹かれ合っていた。しかし杏奈は悠里にバレエを止めてほしくないと決別の言葉を残して女子修道院へ入る。悠里は、バレエを続けるために日本へ、そしてパリへと渡る。
時折身体の不調を感じながらも、彼の踊りは多くの人々を魅了し、朝比奈くるみ、朝倉珠音など女性達を惹きつけて行く。だが杏奈への想いを胸の奥に燻らせた彼には、厳しい運命が待ち受けていた。
登場人物・キャラクター
悠里・レルモントフ (ゆうり・れるもんとふ)
黒髪の少年。天才的なバレエのセンスを持つ。本名はユーリ・アンドレェヴィッチ・レルモントフ。チェルノブイリ原発事故によって被曝。父アリョーシャは命を失い、母杏里と父親違いの妹・杏奈(杏奈・レルモントワ)も被曝する。1人ボリショイ・バレエ学校へ入学する。9年後、17歳になるとトップの成績を誇っていた。 しかし母の死の報せが届き、妹杏奈のためだけに生きていこうと誓う。杏奈とは互いに男女として惹かれ合っていた。杏奈が女子修道院に入って決別した後は、バレエを続けるために日本へ、そしてパリへと渡る。時折頭痛など身体の不調を感じながらも、彼の踊りは多くの人々を魅了し、朝比奈くるみ、朝倉珠音など女性達を惹きつけて行く。
杏奈・レルモントワ (あんな・れるもんとわ)
ウェーブのかかった金髪の少女。本名はアンナ・アンドレエヴナ・レルモントワ。悠里(悠里・レルモントフ)の2歳年下の妹。悠里とは父親が違う。6歳のときにチェルノブイリ原発事故によって被曝。父アリョーシャは命を失い、母杏里と 悠里も被曝する。それ以後、時折熱っぽくなる症状を訴える。 悠里とは男女として惹かれ合うが、彼にバレエをやめて欲しくないという思いから女子修道院へ入る。悠里からの連絡は拒絶するものの、想いは絶ち切れず密かに悠里が踊る姿を見ていた。
杏里 (あんり)
ボブヘアーの日本人女性。悠里(悠里・レルモントフ)、杏奈(杏奈・レルモントワ)の母親。結婚前の名前は桜庭杏里。元はボリショイ劇場で踊ったこともある優秀なバレエダンサー。日本では那智[バレエ団]に所属していた。バレエダンサー・アンドレイ・オルロフの子・悠里を産み、その後アリョーシャと結婚して杏奈を産んだ。 チェルノブイリ原発事故で被爆した上に夫を失う。後遺症に苦しみながらも悠里の成長を楽しみに働いていたが、悠里がボリショイ・バレエ学校に在学中に命を落とした。
アリョーシャ
杏里の夫で軍人。杏奈(杏奈・レルモントワ)の実の父親で、悠里(悠里・レルモントフ)にとっては継父。悠里がボリショイ・バレエ学校に行くことには反対し、杏里と喧嘩していた。チェルノブイリ原発事故が発生した際、消火活動に駆り出され被爆して後に死亡する。
朝比奈 くるみ (あさひな くるみ)
那智[バレエ団]に所属し、那智冴子の指導を受けプロのバレエダンサーを目指す少女。週に3回静岡から通ってきている。バレエコンクールで悩み続けるなか、日本に来た悠里(悠里・レルモントフ)と出会う。
那智 冴子 (なち さえこ)
サングラスをかけた老年の女性。バレエの指導者で那智[バレエ団]の責任者。悠里(悠里・レルモントフ)の母杏里をかつて指導していた。日本を訪れた悠里を自宅に泊めて世話をする。悠里から「第二のママ」と慕われている。
天宮 水紀 (てんぐう みずき)
逆立った髪の日本人男性。パリで天宮バレエ団を立ち上げ、団員25名を率いる責任者。振付家でもある。ウクライナのキエフ公演中に出会った悠里(悠里・レルモントフ)をスカウトする。名雪の自分に対する想いを知りつつも、彼女の両親に対する申し訳ないという思いから男女の関係にはならずにいた。
名雪 (なゆき)
ショートヘアーの日本人女性。21歳。天宮バレエ団の団員。バレエのために家出をし、コンクールに出ていたところを水紀にスカウトされ、高校を中退して水紀についてきた。3年間水紀を想い続けているが、恋人同士になれないでいた。悠里(悠里・レルモントフ)とペアで水紀の創作したバレエを踊るが、悠里との出会いをきっかけに新たな決意をすることになる。
朝倉 珠音 (あさくら みずき)
18歳の日本人女性。パリオペラ座のバレエ団員。14歳の時にオペラ座[バレエ学校に留学]、芸術監督のアロンに気に入られ、基本的に外国人を採らないオペラ座に奇跡的に入団できた。オペラ座に現れオーディションに合格した悠里(悠里・レルモントフ)の踊りに魅了される。 その後、悠里と男女の関係になり、オペラ座を去って天宮バレエ団に移籍。天宮水紀の監督の元、悠里と『ロミオとジュリエット』を踊る。
キマイラ
金髪の男性。左目の視力を失っており、普段はサングラスをかけている。キマイラ・バレエカンパニーの主宰者。国際的にも有名な現代ロシアを代表する振付家。年齢・出身は一切不詳とされている。天宮バレエ団から移籍した悠里(悠里・レルモントフ)を『ワルキューレ』に起用し、自らも舞台に立つ。
春木 風羽子 (はるき ふうこ)
眼鏡をかけたショートヘアーの日本人女性。初登場時20歳。東京で見た悠里(悠里・レルモントフ)のバレエに一目惚れし、モスクワへ留学した。卒論のテーマは「バレエとダンサーと美についての考察」。アルバイトで入ったモスクワ日本人新聞社の編集長に頼み込み、記者として悠里にインタビューしたことをきっかけに、彼とキマイラや杏奈(杏奈・レルモントワ)との関わりを知るようになる。 大学卒業後は舞踊ジャーナリストとして引き続き悠里を追いかける。
紫堂 犬太郎 (しどう けんたろう)
眼鏡をかけた日本人男性。キマイラ・バレエカンパニーに委託され、悠里(悠里・レルモントフ)のマネージャー兼スポーツ医療士になる。通称、ドクター・シド。取材に訪れた春木風羽子は、名刺を見た時に「柴犬」と読み違えた。
高根沢 大地 (たかねざわ だいち)
那智[バレエ団]の団員。初登場時18歳。『白鳥の湖』の公園で王子役に起用される。オデット役の朝比奈くるみに恋をしているが、彼女の目が悠里(悠里・レルモントフ)にばかり行っていることに葛藤する。那智冴子からは「だいっちゃん」と呼ばれている。