イブの息子たち

イブの息子たち

現代のロンドンに住む青年ジャスティン・レイ、ヒース・イアソン、バージル・ワードの三人は、突如現れた天使ドジエルによって、自分たちが男でも女でもないヴァン・ローゼ族であるということを知らされる。その日から、三人はヴァン・ローゼ族の重要人物として、同族が住むパラレルワールドアトランティスやオリンポスなどに召還され、ヴァン・ローゼ宿命の敵である女たちとの戦いに駆り出されるのだった。パラレルワールドの住人たちは、歴史上の人物やシェークスピアやグリム童話などの有名な創作作品のキャラクター、洋楽のバンドメンバーなどが多く、それぞれ「実はヴァン・ローゼであった」という解釈で描かれているため、同性愛者的な言動を取り、ジャスティンを始めとした主人公三人組に秋波を送ることが多い。同性愛者ギャグを基調にしたドタバタナンセンスコメディだが、歴史や文学の教養的な知識がふんだんに散りばめられているのが大きな特徴。全6部と番外編4編から成る、中編シリーズ作品。

概要・あらすじ

現代のロンドンに住む青年、人気歌手のジャスティン・レイ、ピアニストのヒース・イアソン、詩人のバージル・ワードの三人は、突如現れた天使ドジエルによって、自分たちが男でも女でもなく、同族にしか愛情を抱かないヴァン・ローゼ族であるということを知らされる。その証はドジエルが手を触れると胸に現れる薔薇の模様。

半信半疑の三人は、ドジエルのお釜型タイムマシンに乗せられてしまい、ヴァン・ローゼ族が時空を越えて集まるアトランティスへと、行くことになる。元々男好きなヒースバージルは興味津々だが、女の子が好きなジャスティンは、アトランティスの隣にある女だけの国ムーに行きたいと考える。

登場人物・キャラクター

ジャスティン・レイ

『イブの息子たち』の主人公のひとり。ロンドン在住の芸能人で、人気アイドル歌手。金髪巻き毛の美青年。ヴァン・ローゼ族の証である胸の薔薇模様を持つが、本人は女好きを自認しており、一線を越えようと自分を狙うヒース・イアソンやバージル・ワードに対しては、友情以外の感情は無いと突っぱねている。 その容姿ゆえ、あらゆるパラレルワールドのヴァン・ローゼ族たちに狙われてしまう。非力で怖がりだが、芯の強い性格。酔うと芸者「ジャスティン奴」と化し、下品な冗談を飛ばす絡み酒体質。

ヒース・イアソン

『イブの息子たち』の主人公のひとり。ロンドン在住のピアニスト。スタンウェイのピアノとカワサキのバイクを愛好している。ベートーベン、バッハの楽曲などを好んで弾く。興に乗るとピアノを投げる肉体派であるため、楽団員には恐れられている。面長な馬面のハンサムで、胸毛が特徴的。友人で同性愛者のバージル・ワードによって目覚めさせられ、同性愛者となった。 そのためドジエルにヴァン・ローゼ族であると告げられた際も、心当たりを感じるという反応だった。本人は不本意ながらも、なぜか動物に縁があり、白鳥となるバースラフ・ニジンスキーや、アポロの神馬、狸親父のノアなどといったヴァン・ローゼ族によくモテてしまう。

バージル・ワード

『イブの息子たち』の主人公のひとり。ロンドン在住の詩人。根っからの同性愛者で、ドジエルにヴァン・ローゼ族であると告げられた際も、心当たりを感じていた。友人でもあるヒース・イアソンを同性愛者として目覚めさせた過去があり、今はジャスティン・レイを狙っている。ジャスティン、ヒース同様、基本的にヴァン・ローゼ族のパラレルワールドで変人たちに翻弄されることを歓迎してはいないが、ヴァン・ローゼ族のパラレルワールドにも美青年が居ることを知り、彼らとの逢瀬を楽しんでもいる。 黒髪の美青年が好みで、特にヤマトタケルとは相思相愛の仲となった。流し目だけで動物園のゴリラを落としたこともあることから、「ゴリラ落とし」の異名を持つ。 執事のダンテと二人暮らし。

ドジエル

天使。外見は厚化粧の老婆だが、少なくとも女性ではない模様。天地創造の時、神のアシスタントをしており、神がアダムのあばら骨からイブを作ったのに対して、誤ってイブのあばら骨から男を作ってしまう。混乱を恐れた神はイブの息子を島流しとし、ドジエルは彼に付き添ってアトランティスへ住み着き、そこにある性転換の湖の力で、彼の子孫を増やした。 ドジエルはその子孫たちにヴァン・ローゼという名前をつけて、彼らを守っている。 ジャスティン・レイ、バージル・ワード、ヒース・イアソンの3人の前に現れ、彼らをヴァン・ローゼの故郷であるアトランティスへ連れ去る。

アレキサンダー

ヴァン・ローゼ族の故郷である島アトランティスを治める王。普通に喋ることもできるが、興奮すると言葉が全て「××××」になってしまうため、通訳のモーゼを連れている。ジャスティン・レイを気に入り、彼を妻するため迫る。ヘラクレスと付き合っている模様。実在の人物アレクサンドロス3世をモチーフにしたキャラクター。

パリス

ヴァン・ローゼ族の故郷アトランティスの隣にある女だけの島ムーに住む唯一の男性。そのため、島で権力を持つクレオパトラ、トロイのヘレン、楊貴妃の3人から迫られている。しかし本人は3人の女傑ぶりを恐れており、そのうちの誰かを選ばなくてはならないという掟をやりきれなく感じていた。 そこへベアトリーチェからジャスティン・レイの噂を聞かされ、アトランティスの湖で性転換してしまったジャスティン・レイをペガサスに乗って攫いに来る。『イーリアス』の登場人物パリスをモチーフにしたキャラクター。

ベアトリーチェ

女だけの島ムーに住む女性。ムーで権力を持つ女傑の一人楊貴妃に気に入られており、何かにつけ迫られている。ジャスティン・レイと恋に落ちるが、古代の人間であるため一緒に現代のロンドンに行くことはできないと考え、求婚してきた海神ポセイドンの妻となる。後にカオス・エリアで裏番長となっていた際に、ポセイドンと付き合ううちに「老け専」になったことを明言した。 名前はダンテ『神曲』のキャラクターベアトリーチェから取られたと思われる。

バースラフ・ニジンスキー

男性バレエダンサー。ヴァン・ローゼ族の住むパラレルワールド、エデンの西の住人。エデンの西の山にあるレスボス・エリアに住む女流詩人サッポーの呪いによって、白鳥に姿を変えられてしまい、月が出ている時にだけ、元の姿に戻ることができる。その際なぜかバレエ「白鳥の湖」のプリマドンナが着るチュチュを着ている。 常に苦悩を抱えており、眉を顰めた顔が特徴。ヒース・イアソンに好意を抱き、エデンの西以外のパラレルワールドへも、ヒースに会うためにやってくる。苦悩が快楽となりつつあるため、ヒースが自分を無視しようとすることも、逆に嬉しく感じている。実在の人物ヴァーツラフ・ニジンスキーをモチーフにしたキャラクター。

ヤマト タケル

ヴァン・ローゼ族の住むパラレルワールド、エデンの西の住人。長い黒髪で片目を隠した美青年。細身の狩衣風の衣装だが、足元はロングブーツ、下着はグンゼの白を愛用している。エデンの西の山に住むヒミコやジャンヌ・ダルクといった女たちと対決し、ジャスティン・レイ、ヒース・イアソン、バージル・ワードたちを助けた。 その際、バージルに想いを寄せられる。『日本書紀』、『古事記』に登場するヤマトタケルをモチーフにしたキャラクター。

ジャンヌ・ダルク

ヴァン・ローゼ族の住むパラレルワールド、エデンの西にある山にあるオルレアン・エリアを統治している女性。ヴァン・ローゼ族殲滅とエデンの西征服のため、軍隊を率いてヴァン・ローゼの領内に攻め込む。軍服で顔には大きな傷があり、性格は猛々しい。愛用の武器は鞭。実在の人物ジャンヌ・ダルクをモチーフにしたキャラクター。

諸葛亮 孔明

ばら星雲の中にあるヴァン・ローゼ族の星オリンポスの住人。大仏、ジンギス汗を補佐する軍師。ジャスティン・レイ、ヒース・イアソン、バージル・ワードの3人に、サディスティックな女たちが住む隣星サドが星打倒を依頼した。中国風の着物に、冕冠を被っている。 好物はラーメン。指令などは文語体で話すが、わかりやすく喋ろうとするといわゆる「オネエ言葉」になってしまう。『三国志演義』に登場する諸葛亮孔明をモチーフにしたキャラクター。

森 蘭丸

ばら星雲の中にあるヴァン・ローゼ族の星オリンポスの住人。サドが星の女たちに星を狙われているにも関わらず、権力争いを続ける大仏とジンギス汗に心を痛めており、ジャスティン・レイ、ヒース・イアソン、バージル・ワードの3人に、オリンポスに留まってほしいと願う。 揺れる瞳が魅力的な黒髪の美青年。行動を共にするうち、バージルに思いを寄せるようになる。実在の人物森蘭丸をモチーフにしたキャラクター。

ジンギス汗

ばら星雲の中にあるヴァン・ローゼ族の星オリンポスの住人。大仏と権力を二分している。サドが星のサディスティックな女たちに対抗するために呼ばれたジャスティン・レイ、ヒース・イアソン、バージル・ワードの3人を見て、本来の目的を置いてジャスティンを自分のものにしようとしたため、内輪もめ状態を起こしてしまう。 後に大仏と和解、合体して巨大ロボ「ホング・コング」となる。部下にブルース・リーを連れている。実在の人物チンギス・カンをモチーフにしたキャラクター。

大仏

ばら星雲の中にあるヴァン・ローゼ族の星オリンポスの住人。ジンギス汗と権力を二分している。サドが星のサディスティックな女たちに対抗するため、現代のロンドンからジャスティン・レイ、ヒース・イアソン、バージル・ワードの3人を呼び寄せた。ジャスティンに好意を抱き、秋波を送る。 唇だけを移動させて、動かしたり喋らせたりすることができる。姿は奈良や鎌倉にある大仏そのもの。後にジンギス汗と和解、合体して巨大ロボ「ホング・コング」となる。

集団・組織

ヴァン・ローゼ

『イブの息子たち』に登場する種族。天地創造の時、神のアシスタントをしていた天使ドジエルが、誤ってイブのあばら骨から作った人間の子孫。男でもなく、女でもなく、同族しか愛することができない。また、ドジエルが手を触れると胸に薔薇の模様が浮き出ることが特徴。長い年月のうちに、世界中に散っていっているため、自覚がないヴァン・ローゼ族もいる。

書誌情報

イブの息子たち 全2巻 秋田書店〈プリンセス コミックス エクセレント〉 完結

第1巻

(1987年11月発行、 978-4253140027)

第2巻

(1987年12月発行、 978-4253140034)

イブの息子たち 全3巻 白泉社〈白泉社文庫〉 完結

第1巻

(1995年9月発行、 978-4592881810)

第2巻

(1995年9月発行、 978-4592881827)

第3巻

(1995年9月発行、 978-4592881834)

イブの息子たち 全5巻 秋田書店〈プリンセスコミックス アルファ〉 完結

第1巻

(2013年11月発行、 978-4253271615)

第2巻

(2013年12月発行、 978-4253271622)

第3巻

(2014年1月発行、 978-4253271639)

第4巻

(2014年2月発行、 978-4253271646)

第5巻

(2014年4月発行、 978-4253271653)

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