魔王イブロギアに身を捧げよ

魔王イブロギアに身を捧げよ

ゲームの世界に転生したゴズは魔王の少年・イブロギアと出会い、共に世界征服を目指して旅立つ。ゴズとイブロギアの旅や恋愛模様を描いたボーイズラブ漫画。「ComicFesta」で2020年4月から配信の作品。2021年10月にテレビアニメ化。

正式名称
魔王イブロギアに身を捧げよ
ふりがな
まおういぶろぎあにみをささげよ
作者
ジャンル
BL
レーベル
Glanz BLcomics(彗星社)
巻数
既刊6巻
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

魔王サマとご対面

幼少期は厳しい家庭で育ち、大人になってからは社会のはぐれ者として生きてきた「牛頭利晃」は、暴力団の抗争に巻き込まれる中で撃ち殺されてその人生を終える。しかし、命を落とした次の瞬間に利晃が目覚めたのは、見覚えのあるファンタジーの世界だった。そこは幼少期に友人がプレイしているのを見ていたゲームの世界であり、当時あこがれを抱いていた魔王「イブロギア」が実在する世界でもあった。困惑しながらも状況を整理した利晃は、自らの名字から取って「ゴズ」と名乗るようになるが、聞き覚えのある周囲の会話から、自分がイブロギアの暗殺を依頼された魔法使いとして転生してしまったことに気づく。そんなゴズのあこがれの対象であるイブロギアは、まだ魔王として覚醒前の少年の姿をしており、周囲から迫害を受けて孤独や絶望に震えていた。大好きなイブロギアが目の前にいることに歓喜するゴズの様子に戸惑いつつも、今まで我慢し続けた不満と怒りが爆発したイブロギアは、魔王の力の片鱗を覚醒させる。暴走に巻き込まれて真正面から攻撃を受けてしまい、彼の魅力(チャーム)の魔法を受けたうえに強大過ぎる力を目の当たりにしたゴズは一気に思いがあふれてしまい、孤独感に苦しむイブロギアを激励しつつ思いを伝えて求愛を始める。魔法を解こうと必死なイブロギアに抱かれ、なんとか魅力状態から解放されて正気に戻ったゴズだったが、今度は責任を取りたいと言い張るイブロギアの方から求婚されることになる。即座にイブロギアの思いに応えたゴズは、イブロギアがいずれ勇者一行に殺されることが決まっているこの世界を二人で征服して運命を変えるという、大胆な目標と決意を固める。こうして小さな魔王・イブロギアと共に旅立ったゴズは、さまざまな出会いや戦いを繰り返しながら、お互いの絆と愛情を深めていく。

魔王サマと謎の町

魔王を崇拝する村の近くにある森は、解放されたイブロギアの力によって焼け野原と化した。そこでお互いの思いをぶつけ合ったイブロギアとゴズはさらに恋仲を深め、ティシアに別れを告げて次の目的地へと旅立つ。向かった先の町でゴズは、将来的に勇者一行に加わる予定の格闘家・マキディーと出会う。熱血漢なマキディーと気が合わず、売り言葉に買い言葉で取っ組み合いのケンカをするゴズのもとへ駆けつけたイブロギアを見た瞬間、マキディーは一目惚れしてしまう。少女のような容姿を持つイブロギアが少年だとわかったあとも、なお強い思いを口にするマキディーとケンカしながらも、ゴズとイブロギアはその夜の祭りに飛び入り参加する。そして二人は、ダンスや夜景を楽しむ中で町人たちの話を耳にする。魔王討伐の話を聞きながらもいつものおだやかな表情を変えずに、耐えようとするイブロギアに複雑な思いを抱いたゴズは、祭りのあとに思わず感情的になり、宿の一室で口ゲンカに発展してしまう。そんなゴズに対して、今までこらえてきた感情を剥き出しにしたイブロギアは、お互いの本音をぶつけ合いながらさらに心を通わせるのだった。次の日の朝、町を旅立つことになったゴズたちは、心配したマキディーから回復薬をはじめとするアイテムを受け取って旅立つ。しばらくはゴズがモンスターを倒し、レベルアップを楽しみながら旅を続けていた彼らは、モンスターから素材を集めていた防具屋・パノピアと知り合い、獲得したばかりのレア素材と引き換えに装備の見直しを依頼することになる。パノピアはさっそく、イブロギアの新装備として幸運のウサギの尾を加工した装備を渡す。一方、ゴズは女神の加護が込められた装備をまとうことになり、さらなる強さを求める彼はギルドで魔物退治の仕事を引き受けたうえで、近くの沼地へと向かう。しかしその沼の底には、珍しい魚類の姿をした巨大な魔物が潜んでいた。

メディア化

テレビアニメ

2021年10月から11月にかけて、本作『魔王イブロギアに身を捧げよ』のテレビアニメ版『魔王イブロギアに身を捧げよ』が、TOKYO MX、BS11ほかで5分枠ショートアニメとして放送された。監督は凪早苗、キャラクターデザインは岩倉ヨーコが務めている。キャストは、ゴズを佐藤拓也、イブロギアを堀江瞬が演じている。

登場人物・キャラクター

ゴズ

現代日本に住む青年で、社会のはぐれ者。黒の短髪で筋肉質な体格をしている。豪快な性格でケンカっ早く、まどろっこしいことや綺麗事を嫌う。幼少期は厳しい家庭で育ち、塾で友人がプレイしていたゲームに魔王として登場するキャラクター「イブロギア」にあこがれを抱いていた。暴力団の抗争に巻き込まれる中で撃ち殺されて人生を終えるが、次の瞬間にはゲームの世界に転生し、最初に行き着いた村で少年時代のイブロギアと出会う。まだ覚醒前の幼いイブロギアが、さまざまな事情を抱えて孤独に苦しんでいることを悟り、彼の攻撃を受けた際に魅了(チャーム)の魔法も受けてしまい、彼の力に見とれながら求愛したのをきっかけに恋仲となる。その後もイブロギアに心酔し、彼が勇者一行に殺される未来を防ぐために、二人で世界征服を果たすことを決意しながら旅に出る。転生先の異世界が、ゲームに登場していたキャラクターやストーリーと酷似しているため、幼少期に見ていたゲームの記憶を頼りに行動しており、自分が別世界から来たことやゲームの詳細などはイブロギアのみに明かしている。当初はイブロギアの暗殺を依頼された暗殺者の魔法使いとして転生したものの、イブロギアと戦うつもりは毛頭なく、マキディーをはじめとする勇者一行に加わる予定の人物と旅先で出会うたびに、その人物が勇者の仲間になるのを防ぐこともある。ケンカは強いものの魔法使いとしての能力は決して高くなく、戦闘の大半はイブロギアに任せながらレベルアップを目指しており、旅の中でモンスターと戦ったり装備を見直したりしている。イブロギアと何度か交わった影響で、女神の加護を受けられない体質となり、女神の加護を込めて作られたアイテムや装備の効果を得られない。ゲームで遊ぶことすら許さないほどに厳しい両親に耐えられなくなって家を飛び出しており、時には強者の男性に体で媚びながら、孤独に生きてきた過去を持つ。これらの複雑な過去もあって、みんなのためと言いながら正義を押し付けてくる勇者とそれを称える世界を嫌い、自分のためだけに孤高に戦う魔王にあこがれを抱いていた。

イブロギア (いぶ)

異世界の住人で、とある村で両親と共に暮らしている少年。サイドヘアが長めの銀髪で赤い瞳を持ち、中性的な容姿から少女と間違えられることがある。おとなしく控えめで温厚な性格ながら、その内に強大な魔力を秘めている。愛称は「イブ」。見た目は小柄で華奢な少年だが、幼少期から膨大な魔力を持ち、時には暴走することから親や村人たちからは恐れられ、蔑ろにされている。その正体は、かつてゴズがあこがれていたゲーム内に魔王として登場するボスキャラクター「イブロギア」だが、ゴズと出会った時点では覚醒前のため、ゲームに登場する魔王の姿とは異なり、ふつうの人間と変わらぬ少年の姿をしている。ゲーム内では魔王として覚醒し、成長したあとに世界を滅ぼそうともくろむようになり、勇者一行に敗北して死亡する運命となっている。周囲から恐れられていることで孤独に震え、闇落ち寸前の状態であり、両親からも恐怖や嫌悪を抱かれ、昔から家に隠れ住むような暮らしを送ってきた。底なしの魔力を生かしてさまざまな魔法を使用し、魔法を併用すれば大柄なゴズのことも軽々と持ち上げて運ぶことができる。しかし、魔力のコントロールが利かずに暴走するときもあり、周囲の者を傷つけてしまうことを恐れながら臆病に生きてきた。そんな中で別世界からやって来たゴズと出会い、彼の告白や説得を受けたのをきっかけに、今まで周囲に対して溜まっていた不満を爆発させながら、魔王の力を覚醒させる。この際にゴズを魅力(チャーム)の魔法に巻き込んでしまい、解除のために彼と交わう中で求愛され、責任を取りたいという理由で彼に求婚して恋仲になる。さらに、ゴズが別世界の住人であることやゲームの話を聞かされ、自分が将来的に勇者一行に倒される運命を知るが、それらの運命を変えたいというゴズの願いで、共に世界征服を目指して旅立つ。ふだんは引っ込み思案で内向的に見えるが、大好きなゴズのことになると感情を荒らげることも多く、彼を守るために強大な魔力を発揮して周囲を焼け野原にすることもある。滅多に出さないもののゴズに対する独占欲や嫉妬心も強く、彼に近づく男には敵意をむき出しにすることがある。かつて両親に毒を盛られたことがあるが、生まれつきあらゆる耐性を持つため、毒を口にしてもまったく効果がない。

ティシア

異世界の住人で、魔王信仰の村に住んでいた村娘。年齢は16歳。赤みがかった茶髪のロングヘアの美人。魔王への生贄になるために村を離れ、近くの森に来ていたところでイブロギアとゴズに出会う。気弱に見えるが本来は芯が強い性格をしている。口では魔王への忠誠を誓っているが、本音では魔王のことも生贄になることも恐れている。しかし、身寄りのない自分を育ててくれた養父母や村人への恩義から、生贄になる運命を仕方なく受け入れていた。だが、イブロギアやゴズに諭されたことで押し殺していた本音を吐き出し、生贄の使命を放棄して自分らしく生きる道を選んだ。

マキディー

異世界の住人で、とある町に住む格闘家の男性。明るい黄土色の短髪に、筋肉質な体格の熱血漢。拳一つで魔物を倒せるほどの屈強な武闘派で、周囲からの信頼は厚く、特に町の子供たちから慕われている。故郷と町民を愛し、正義感が強く勇敢で義理堅い性格をしている。町の周囲を襲っていた巨竜の魔物に苦戦していたところ、軽々と倒したイブロギアとゴズに出会う。ゴズが知っているゲームに登場するキャラクターでもあり、いずれは勇者一行に加わって魔王を倒す人物でもある。何かと対照的なゴズとは当初から気が合わず犬猿の仲だが、イブロギアのことは少女とカンちがいして一目惚れしてしまう。イブロギアが少年とわかったあとも熱烈な恋心を寄せており、彼に対しては「それでも好きだ!」が口癖になっている。魔物を倒してくれた救世主であるイブロギアたちを町に案内し、彼らとかかわるうちに勇者一行に加わるきっかけがなくなって運命が大きく変わり、イブロギアとの別れを惜しみながらも故郷を守るべく町に残った。別れ際には、装備やアイテムに乏しい様子のイブロギアたちを心配し、魔法薬をはじめとするアイテムを渡していた。

パノピア

異世界の住人で、防具屋をしている青年。明るい髪色の褐色肌で、左側のサイドヘアを細い三つ編みでまとめている。クールな性格で、いつも無表情で淡々と話す。防具屋としては知識豊富で優秀だが、装備品は強さなどの機能面を何よりも重視しており、着用したときの見た目はまったく気にしていない。倒したモンスターから採取した素材をもとに装備を作るのも得意で、採取中に遭遇したゴズとイブロギアからレアな素材を受け取る代わりに、二人の新装備を作ることになる。ゴズには女神の加護を受けた露出度の高い踊り子の衣装のような装備を、イブロギアには幸運のウサギの力が宿ったかわいらしい装備を提供したが、イブロギアと交わった影響で女神の加護が受けられなくなっていたゴズからは、装備を返されることになる。また、見た目のかっこいい装備がいいという理由で、イブロギアからも装備を返品される。これをきっかけに、今まで考えたことがなかった見た目の良し悪しについて考えながら、装備を作る楽しさに気づいた。

オディゴス・ボクソス

異世界の住人で、魔術師の少年。魔術師によって発展した町に住んでいる。町の中核を担う魔法学院を創設した、偉大な魔術師の名家「ボクソス家」の末裔。長髪で耳が尖っており、高級なローブを着用して大きな博士帽をかぶっている。理知的な風貌で難しい言葉を多用し、いつも理屈っぽい話し方をする。見た目は幼く不遜な態度が目立つものの、あらゆる魔法をマスターした最強の魔術師として、強大な権力を握っている。マキディーと同様に、ゴズの知るゲームに登場するキャラクターであり、いずれは勇者一行に加わって魔王を倒す人物でもある。町の門番と揉め事を起こしていたゴズとイブロギアの身柄を引き受け、監視も兼ねて彼らを自らの屋敷に迎える。当初はゴズたちに警戒心を抱いて冷淡な態度で接していたが、魔法学院の生徒として迎えた彼らと交流するうちに、ゴズに心を開くようになった。屋敷の奥の部屋に何者かを匿っているが、その真意や目的は謎に包まれている。

書誌情報

魔王イブロギアに身を捧げよ 6巻 彗星社〈Glanz BLcomics〉

(2021-02-18発行、 978-4434282829)

第3巻

(2022-10-18発行、 978-4434306440)

第4巻

(2023-05-18発行、 978-4434316807)

第5巻

(2023-11-17発行、 978-4434325342)

第6巻

(2024-09-18発行、 978-4434341052)

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