概要・あらすじ
ウェディングプランナーの柏井美月は、優しい婚約者の純と同棲(どうせい)して3か月。1年後に結婚する予定だ。人の結婚式のことばかり考えていたからか、自分の結婚式にはまだ具体的なイメージが湧かない。駅のホームで「あの女性にはこんなドレスが似合いそう」などと考えていると、線路を挟んだ向い側のホームで、本を呼んでいる女性に目が止まる。その女性と目があったのは一瞬だったものの、何か不思議な気持ちになる美月。後日、上司の福永主任の後輩が式場見学に訪れる。その女性は、美月と線路を挟んで見つめ合った都築七海だった。七海は婚約者の広樹とカルミナホテル東京のチャペルを見学する。テンションの上がる広樹に優しい顔で応える七海。美月にはお互いに愛し合っている仲の良いカップルに見えた。雑談中、七海は臆面もなく「彼を愛しているので」と言い、彼との出会いも語ってくれた。そして「愛は降りてくるものだと思いません? 不可抗力なんです」と話した。それから2週間がたち、美月が純と話題のイタリアンの店に向かう途中、建物の狭い小道でキスをしているカップルが。それは七海と福永主任だった。また七海と目が合った美月は動揺を隠せない。純からも後輩からも、最近様子がおかしいと言われる美月。実は初めて目が合った時から、七海のことを美しいと思い、彼女のことがずっと頭から離れないのだった。
登場人物・キャラクター
柏井 美月 (かしわい みつき)
カルミナホテル東京で働く女性。有能なウェディングプランナー。婚約者の純と同棲中で、1年後には結婚する予定。艶のある黒髪で、背中までのストレートロング。仕事中は後ろで一つにまとめている。子供の頃から結婚式が好きでこの職についた。客の要望や無理難題にも全力を注ぐ。
都築 七海 (つづき ななみ)
古書・弥生書店の雇われ店長をしている26歳の女性。恋愛に奔放で、嫉妬という価値観はない。二人の男性と同時に付き合い、同じように愛情を注ぐ。愛は足し算だと思っている。髪はアゴまでの長さのショートボブ。広樹と結婚式を挙げる予定で、柏井美月の上司の福永主任とも付き合っている。
福永 (ふくなが)
カルミナホテル東京に勤める男性。柏井美月の上司で、背が高くて頰がこけている。落ち着きのある男性でバツイチ。現在は独身だが大学時代の後輩の都築七海と付き合っている。彼女が広樹と付き合っていることも知っていて、自分の結婚式場を紹介する。七海の花嫁姿を想像し、嫉妬に苦しみたいという倒錯的な趣味の持ち主。
広樹 (ひろき)
都築七海の婚約者の男性。人懐っこくて明るい性格で、ゲーム業界で働いている。七海と同じく嫉妬という価値観はない。七海が福永と二人で会っていることも承知している。イベント好きで、自分から七海と結婚式を挙げたいと希望する。
純 (じゅん)
柏井美月の婚約者の男性。メガネをかけ、タレ目で純朴そうな性格で、美月とはすでに同棲している。美月を山へ連れていき、この景色を見せたかった、と涙を流す優しい男性。