概要・あらすじ
ある日、高校生の少年・無限大化の前に、自分とそっくりな顔をした少女が現れる。その少女は、鳥に手を触れた拍子に背中からまるで天使(エンジェル)のような羽を生やし、宙を舞った。大化の父親であり分子生物学者である無限久方は、それは大化の妹にしてクローン体のシンカであり、DNAを接触させることでもとに戻さないと、暴走を招く危険があると告げる。
大化は、口づけを交わすことでシンカを人間の姿へと戻すことに成功。こうして、大化とシンカのドタバタの日々が幕を開ける。
登場人物・キャラクター
無限 大化 (むげん たいか)
思春期を迎えたごく普通の高校生の少年。中性的な顔立ちをしていて、女性にはそれなりにモテる。当初は自身のクローンであるシンカにどう接したらいいのか戸惑っていたが、やがて家族として大切に想い始めるようになる。
シンカ
シンカ・プロジェクトにより創り出された、無限大化のクローン体。触れた対象のDNAを読み取って変身する能力を持つ。大化のクローンであるにも関わらず何故か女性で、その理由は不明。基本的に、生きた細胞などがあればいつでもどこでも何にでも変身できるが、オリジナルである大化のDNAに触れなければ元に戻ることができない。 人間社会で暮らす時は、無限家の一員として「無限シンカ」と名乗っている。大化に懐いているが、創られてまだ一年前後しか経っていないということもあり、精神面は未成熟で思考も幼い。
トウタ
シンカ・プロジェクトにより創り出された、何者かのクローン体。シンカと違って男性の身体を持つ。DNAを読み取って変身する能力を持ち、またオリジナルと接触しないと元の人間形態に戻れないのはシンカと同様だが、オリジナルが何者であるのかはトウタ自身も知らない。人類に敵意を抱いており、シンカを人類から救い出し、2人でともに生きようと願っている。 創られてからの年齢は1歳前後。
V・シンカ (ばーちゃるしんか)
シンカの肉体や性格に関するデータを、コンピュータ上で再現した電子生命体。かつて無限久方の部下であった、コンピュータオペレーターの戯画達郎が創り出した作品。当初は依り代がなかったので大したことはできなかったが、のちに米軍のサイボーグであるレオパルド少佐の身体を乗っ取り、暴走を始める。もととなったシンカとは異なり、人類を自分にひれ伏させたいなどと考える凶暴な性格。
無限 久方 (むげん ひさかた)
無限生化学研究所の所長を務める分子生物学者。無限大化の父親で、またシンカの創造者でもある。常日頃から無表情で昼行灯的な人物だが、「家庭」には深いこだわりがあり、「娘」とするシンカを含め、家族を大事にしている。妻を亡くしているため家事は自分でやっており、割烹着を着て炊事もする。大化からは「オヤジ」と呼ばれている。
帝 国一 (みかど くにかず)
製薬企業「ケミカル・ハート」の社長を務める27歳の男性。名家である帝家の長男で、帝姫魅子の兄、帝妖の孫。帝家は代々女性が権力を握る家系であるため、祖母はもちろん、一応形だけは自分を「お兄様」と呼ぶ妹に対してさえも頭が上がらない。部下たちからは「若」と呼ばれている。シンカに恋愛感情を抱き、妻に迎えたいと願っている。
帝 妖 (みかど あや)
名家である帝家の老いたる女当主。帝国一と帝姫魅子からは「おばあ様」、部下たちからは「お局様」と呼ばれている。当初はしわしわの老婆であったが、魔宮林蔵から若返り薬「ワカモドキZ」を献上されて以降は、若返ることができるようになった。ただし、薬の効果は一定時間で切れるため、老婆に戻ったり若返ったりを際限なく繰り返している。 シンカの体質を研究し、完全な不老不死を得たいと願っている。
帝 姫魅子 (みかど ひみこ)
帝家の次期当主の座を狙う少女。他人に嫌がらせをするのが生きがいという困った性格の持ち主で、無限大化の学校に転校して来て、さまざまなトラブルの元凶となる。お嬢様然とした外見で言動も慇懃無礼であり、現当主たる帝妖に対してもずけずけと毒舌を吐く。
魔宮 林蔵 (まみや りんぞう)
製薬企業「ケミカル・ハート」で研究者として働く天才科学者の老人。戦闘用ロボットや生化学兵器の開発、改造人間の研究など何でもこなせる。形から入るタイプであり、コスチュームをはじめマッドサイエンティストとしてのキャラクター性を自ら望んで演出している。若返り薬「ワカモドキZ」を作り、帝妖が若い姿を取れるようにした。
シュトロハイム准将 (しゅとろはいむじゅんしょう)
アメリカ陸軍に所属する生物化学兵器課担当の老軍人。レオパルド少佐を送り込んで、シンカを手中に収めようと奔走する。のちに、レオパルド少佐がV・シンカによってハッキングされた後、シンカ・プロジェクトの真の目的は何であったのかを突き止め、無限大化とシンカの前に立ちはだかることになる。
レオパルド少佐 (れおぱるどしょうさ)
米軍に所属する戦闘用サイボーグで、コードネームは「MAX-一〇三号」。もとは人間の女性であり、本名は「リンダ・レオパルド」。シュトロハイム准将の命により、捕獲を目的にシンカとの戦闘に突入するが敗北。その後、シンカと間違えられて無限大化にキスをされ、自我を取り戻して大化を慕うようになる。のちにV・シンカにハッキングされ、ボディを奪われてしまう。
集団・組織
ケミカル・ハート (けみかるはーと)
帝国一が社長を務める製薬企業。シンカ・プロジェクトにも出資を行っていた。魔宮林蔵に多額の資金を与えて色々な研究をさせているが、社長である国一の立場が弱いために、実質的には帝姫魅子、帝妖ら、帝家の女性たちにいいように扱われている。
その他キーワード
シンカ・プロジェクト (しんかぷろじぇくと)
シンカとトウタを創り出した、アメリカ国防総省によって開始された極秘の生物兵器開発プロジェクト。製薬企業「ケミカル・ハート」も一部出資を行っている。現在では高位の軍人であるシュトロハイム准将ですら情報入手権限を与えられない状態となっており、その全容を知る者は、無限久方ただ1人である。