オカルトちゃんは語れない

オカルトちゃんは語れない

ペトスの『亜人ちゃんは語りたい』のスピンオフ。ふつうの人には見えない「亜人」を見る能力を持つ女子大学生の高橋陽子が、身の回りの人々に降りかかる怪奇現象の謎に、科学的なアプローチでせまっていく姿を描くSFホラー。研究者の相馬靖忠、刑事の宇垣やクルツなど、『亜人ちゃんは語りたい』と共通のキャラクターが多く登場している。「ヤングマガジン3rd」2019年Vol.2から掲載の作品。

正式名称
オカルトちゃんは語れない
ふりがな
おかるとちゃんはかたれない
原作者
橋本 カヱ
漫画
ジャンル
その他SF・ファンタジー
 
怪談・伝奇
レーベル
ヤンマガKCスペシャル(講談社)
巻数
既刊9巻
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

第1巻

女子大学生の高橋陽子には、ふつうの人には見えない「異空間の亜人」を見る能力がある。一人暮らしをしている陽子の部屋には、座敷わらしの「ざしこ」が住み着いているが、その姿も陽子にしか見えない。ある日、陽子は大学の友人であるカスミから、奇妙な相談を受ける。それは、「誰も周りにいないはずなのに、四六時中ずっと誰かに見られている気がする」というものだった。陽子は、物理学専攻の助教の相馬靖忠や、文化人類学教授の紙村あきらの助言を受けながら、カスミが遭遇した怪奇現象の謎を探ろうとする。

第2巻

福坂めぐみの通う学校で、トイレの花子さんを目撃した高橋陽子。その謎を追っていた陽子は、帰宅した時に室内から騒がしい物音を聞く。ドアを開けた陽子が見たものは、大勢の「花子さん」に襲われるざしこの姿だった。同居するやまびこの機転で陽子たちはピンチを脱するが、そこに警視庁「亜人課」の刑事である宇垣クルツが訪問してくる。彼らは、近所の小学校で生徒が一人失踪したこと、その事件に亜人が関与している疑いがあることを告げた。めぐみの身を案じた陽子は、花子さんについてさらに詳しく探ることを決意する。陽子はめぐみの助けを借りて、小学校に潜入する。

第3巻

高橋陽子は、紙村あきらと共に夏の岡山県を訪れていた。陽子の友人で岡山に実家のあるサヨリが、実家で起きる心霊現象の調査を依頼したためである。サヨリの実家に行く途中、一行は地元の伝承が残るお社に立ち寄る。そこで出会ったのは、サヨリの幼なじみで「霊感がある」といわれている大多羅鈴芽だった。その後、サヨリは実家のホテルで、あるフロアにだけ幽霊が出現するのだと陽子たちに明かす。問題の部屋に宿泊した陽子、紙村、サヨリの三人は、夜中に金縛りに襲われる。そして、部屋に人形(ひとがた)をした怪異が大量に集まってくるのを目撃するのだった。

登場人物・キャラクター

高橋 陽子 (たかはし ようこ)

武蔵野理科大学に通う1年生の女子。おかっぱの髪型と小さな黒目が特徴。ふつうの人には見えない、異空間にいる亜人を見る能力があり、一人暮らしの部屋に住み着いている座敷わらし「ざしこ」の姿も見ることができる。その能力故に、高橋陽子自身も一種の亜人といえるが、それ以外はごく平凡な一般人。面倒見がいいため、よく知人から怪奇現象にまつわる相談事を持ち込まれる。相談事を受けたときには、相馬靖忠や紙村あきらの助言を得ながら、怪奇現象を引き起こす亜人の正体にせまっていく。ふつうの人には認知できない多くの亜人と出会う中で、彼らの思いを受け止めようと力を貸すことも多い。

ざしこ

高橋陽子の借りたアパートの一室に住み着いている座敷わらし。幼い少女の姿をしているが、通常とは異なる空間にいる亜人の一種らしく、陽子以外の人には見えない。言葉を発することはできないが、陽子には懐いており、ある程度の意思疎通ができる。存在できる範囲は陽子の部屋だけで、外には出られない。

相馬 靖忠 (そうま やすただ)

武蔵野理科大学の助教を務める若い男性で、専門は物理学。眼鏡を掛け、つねに自信に満ちた笑みを浮かべており、表情はいっさい変えることはない。教え子の高橋陽子から持ち込まれる怪奇現象の話を、科学的な観点から考察する。科学者らしく論理的な人物だが、高笑いしながら「わからんものはわからん」と言い切るなど、少し変わった一面を持つ。陽子の情報から相馬靖忠が組み立てた仮説が、謎を解明するのに役立つことも多い。

紙村 あきら (かみむら あきら)

武蔵野理科大学の教授を務める若い女性で、専門は文化人類学。色黒で髪を染めた派手な見た目で、話し方もぶっきらぼう。しかし、怪談や伝承についての知識が豊富で、研究者としての力量は確か。同僚である相馬靖忠の紹介で、高橋陽子と知り合う。陽子が遭遇した怪奇現象の情報に対して、よく似た怪談や伝承の知識を与え、謎解きに協力する。文化人類学は儲からないという理由で、子供向けの怪談紙芝居を作って営業活動もしている。しばしば怪奇現象にまつわる依頼を受け、陽子を助手扱いして同行させている。

カスミ

武蔵野理科大学に通う女子大学生で、高橋陽子の友人。陽子に対して、四六時中誰かに見られている気がすると相談を持ち掛け、陽子がさまざまな怪奇現象に見舞われ、その原因となっている亜人たちにせまっていく最初のきっかけをつくった。陽子やサヨリと遊びに行くことが多く、花見や夏祭りにもいっしょに参加している。

波江 (なみえ)

カスミの幼なじみだった少女で、故人。カスミとは中学時代まで親友だったが、同じ男子生徒を好きになってしまったことがきっかけで疎遠になっていた。カスミと仲直りしたいという気持ちが強く、亡くなってから異空間の亜人となってカスミに視線を送っていた。その視線を怪奇現象だと思ったカスミが、高橋陽子に相談を持ち掛ける原因となった。陽子の尽力で真相が判明し、二人は再び言葉を交わすこととなる。

福坂 めぐみ (ふくさか めぐみ)

高橋陽子の知り合いの女子小学生。陽子にはよく懐いており、しばしば生意気な口もきく。陽子とはなかよく話せる一方で、同年代と話をするのは苦手で、クラスでは孤立しがち。怪談好きで、突然電話がかかってくるという怪異「メリーさん」の噂が広まっていることを陽子に教えた。父親は社長を務めており、母親は社長秘書のために両親とも仕事が忙しく、あまり構ってもらえずにいる。授業参観に両親が出席できないことを気にかけ、陽子に保護者の代わりとして参加してもらうことになった。

やまびこ

実体を持たない声だけの亜人。聞こえた音を反射させるという原理で、声を発している。電話を通じて人に話し掛けており、それが、突然電話がかかってくるという怪異「メリーさん」の噂話の原因になっていた。相馬靖忠からのヒントを得た高橋陽子によって、存在を明らかにされた。その後、住む所を失っていたのを理由に、陽子の部屋にいっしょに住むことを許される。

宇垣 (うがき)

警視庁「亜人課」に所属する、いかつい見た目をした壮年の男性刑事。後輩のクルツが相棒で、いっしょに行動している。小学校で発生した生徒の失踪事件に、亜人が関与していると疑い、高橋陽子のもとに聞き込みに訪れた。その際、陽子に対して、危険なので深入りしすぎないように忠告する。見た目は強面だが人情味があり、亜人に積極的にかかわろうとする陽子のことを気にかけている。

クルツ

警視庁「亜人課」に所属する、童顔の若い男性刑事。先輩の宇垣が相棒で、つねにいっしょに行動している。仕事中におやつを食べたりと、見た目どおりの子供っぽく天真爛漫な言動が多い。高橋陽子の家に、宇垣と共に聞き込みに訪れた。その際、亜人だと判明した人は、役所で登録する必要があることを陽子に教える。

サヨリ

高橋陽子の友人で、同じ武蔵野理科大学に通う女子大学生。陽子やカスミと同じグループでよく行動しており、花見や夏祭りなどに参加している。岡山県の出身で、実家は大きなホテルを経営している。実家のホテルで怪奇現象が続いたため、紙村あきらと陽子にその調査を依頼する。東京では標準語をしゃべっているが、地元に戻ると岡山弁になる。

大多羅 鈴芽 (おおだら すずめ)

サヨリの幼なじみの女性で、サヨリとは小学校から高校まで同じ学校に通っていた。小柄で実年齢よりも幼く見える。紙村あきらと高橋陽子が、サヨリの依頼で岡山を訪れた時に出会う。お寺の娘で、子供の時から非常に霊感が強いと言われてきた。本当は、人には見えない温度や湿度、磁力などを見ることができる「千里眼」の力を持つ亜人である。亜人であることを周囲には隠していたが、陽子に見破られる。特別な能力がある反面、科学の知識がないためにそれを生かすことは難しいと考えていたが、陽子に励まされ、サヨリの実家で起きる怪奇現象の解決に力を貸すことになる。

集団・組織

亜人課 (あじんか)

警視庁に存在する部署で、宇垣とクルツが所属している。亜人にまつわる事件を扱っているが、それだけでなく、亜人の生活の細かなことについてのサポートも業務の一環となっている。亜人の数自体が少ないため、亜人課の出動する案件はそう多くはない。また事件の性質によっては、法的な責任を問えず手出しできないこともある。

その他キーワード

亜人 (あじん)

通常の人とは異なる性質や、能力を持った人間。高橋陽子のように、見た目はふつうの人間だが特別な能力がある亜人もいれば、ざしこのようにふつうの人には知覚できない亜人、やまびこのように実体を持たない亜人などがいる。絶対数が少ないため、社会では認知が進んでいない。ふつうの人間として生まれたが、成長とともに亜人としての性質が現れることもある。亜人の引き起こす現象は、一般の人にはしばしば不思議なものに感じるので、古くから伝わる伝承や怪談の原因となっている。亜人はふつうの人と違うため、生きづらさを抱えていたり、伝えたいことがあっても伝えられないなどの悩みを抱えていたりすることが多い。

クレジット

原作

橋本 カヱ

監修

ベース

亜人ちゃんは語りたい (でみちゃんはかたりたい)

「亜人」と呼ばれる特別な性質の人間に興味を持っていた高橋鉄男。彼が教諭となった学校には、数少ないはずの亜人が4人もいた。亜人であることに軋轢のない社会になったとはいえ、鉄男は亜人たちの生態と、バリアフ... 関連ページ:亜人ちゃんは語りたい

書誌情報

オカルトちゃんは語れない 9巻 講談社〈ヤンマガKCスペシャル〉

第1巻

(2019-04-18発行、 978-4065152829)

第2巻

(2019-12-20発行、 978-4065178607)

第3巻

(2020-02-20発行、 978-4065184950)

第4巻

(2020-11-19発行、 978-4065211229)

第5巻

(2021-03-18発行、 978-4065225820)

第6巻

(2021-07-19発行、 978-4065239919)

第7巻

(2021-11-18発行、 978-4065258798)

第8巻

(2022-06-20発行、 978-4065281369)

第9巻

(2023-02-20発行、 978-4065297995)

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