概要・あらすじ
永井潤は、女性とみれば見境なしのイケメン大学生。来るものは拒まずで、あらゆる女の子をとっかえひっかえ付き合っていた。ある日、家の前に「あなたの子です」というメモと共に、1歳の女の子を置き去りにされてしまう。母親に心当たりはないが、星の数ほど女の子とお付き合いをしてきた潤にとって、自分の子供ではないとは言い切れない。
かくして、20歳の大学生による四苦八苦の育児生活が始まった。
登場人物・キャラクター
永井 潤 (ながい じゅん)
20歳で大学生のイケメン青年。ヘビースモーカーで、女ったらし。小さい頃から親の愛情に飢えており、淋しがりやなところがある。小さな子供が嫌いだったが、突然押しつけられた山吹スミレに、溢れんばかりの愛情を注ぐ。そのうちに、閉ざしていた心が解かされていく。実は責任感が強く、情に厚い。
山吹 スミレ (やまぶき すみれ)
1歳児の女の子。育児ノイローゼ気味の母親に突然捨てられた。永井潤によって育てられるうちに、潤との間に強い絆ができる。甘えん坊で泣き虫だが、ちゃっかりしている一面もある。おちゃめで笑顔が可愛らしい。憎めない性格。
宮内 優子 (みやうち ゆうこ)
22歳の保育士の女性。拓也の実家が経営する保育園で働いている。正義感が強く、子供が大好き。保育士の仕事に強い責任感を持っている。当初は永井潤を嫌っていたが、潤が山吹スミレにかける愛情は本物と判断し、心を開いていく。これまで男性と付き合ったことがなく、恋愛には奥手。
山吹 薫 (やまぶき かおる)
山吹スミレの母親。20代前半の女性。短い期間だったが、かつて永井潤と関係を持っていた。椿吾郎の子供であるスミレを妊娠したが、認知だけしてもらい、1人で産んで育てた。実の母親の協力もあってどうにかやってきたが、その母親が病死してしまったため、育児ノイローゼになってしまう。借金苦から、スミレを潤に預けて失踪。 心の弱い女性。
椿 吾郎 (つばき ごろう)
山吹スミレの父親。20代前半の男性。父親は大きな会社を経営。その跡取りになるべく育てられたが、役者になる夢を捨てきれず家出。実は父親が愛人に生ませた子供で、子供のできなかった正妻に育てられたという過去を持つ。家庭の中で愛情を得られなかったせいか、屈折したところがある。スミレのことは認知したものの、父親としての自覚はない。
潤の母 (じゅんのはは)
永井潤の母親。エステティシャンの仕事をしている。5年前に離婚して以来、あまり家庭を顧みなくなり、息子を放任している。化粧も恰好も派手めで、子供のことはあまり好きではない。少々ミーハーなところがあり、椿吾郎のファン。
潤の父 (じゅんのちち)
永井潤の父親。離婚して家を出たため、潤とは一緒に住んでいないが、代わりに経済的な援助をしている。いつも厳しいことばかり言っているが、実際は潤を非常に気にかけている。山吹スミレの可愛さに、骨抜きになってしまう。
優子の母 (ゆうこのはは)
宮内優子の母親。名家の生まれで、お腹に赤ちゃんができたが、両親から結婚を反対される。優子の父親と駆け落ち結婚するが、若かったせいで失敗に終わった。実家に戻ってからは、周囲から嫌味を言われ続ける。針のむしろの生活の中でも、愛情をかけて優子を育てた芯の強い女性。優子が成人してからは、湘南で一人暮らしをしている。
山崎 (やまざき)
山吹薫の働いているキャバクラのオーナーの男性。薫が借金苦で、場末のキャバクラで働いていたところをスカウトし、バラバラに借りていた借金をひとまとめにした。薫のはかなくて頼りない部分を知り、放っておけずにいる。面倒見の良い性格だが、一方でしっかりしていて抜け目がなく、一筋縄ではいかないタイプ。
上田さん (うえださん)
0歳の赤ちゃんを、山吹スミレと同じ保育園に通わせている母親。初めての育児に戸惑っているうえに、義母や夫からのプレッシャーにも押し潰され、自分の子供を可愛いと思えずにいる。これにより増々自分を責め、苦しんでいる。
野口竜馬 (のぐち りょうま)
山吹スミレと同じ保育園に通う男の子。両親が離婚し、現在は母親と2人で暮らしている。母親に虐待されたり放置されたりしても、それを他の誰にも話さずに口をつぐんでいる。母親思いの忍耐強い子供。
一文字 猛 (いちもんじ たけし)
山吹スミレと同じ保育園に通う男の子。下品な言葉が大好き。虫が好きで、良かれと思って虫を捕まえては、好きな相手にプレゼントして嫌がられている。シングルマザーの母親に育てられて苦労しているせいか、大人びた言葉を使うこともある。
一文字 舞 (いちもんじ まい)
一文字猛の姉の女子高校生。まだ小さい頃に、母親が突然出て行ってしまい、父子家庭で育った。父親が再婚し、新しい母親とその連れ子である猛が家に入った。そのため居場所がなくなり、淋しい思いをしている。付き合っている彼の子供を妊娠しており、両親からは中絶を迫られている。
舞の父 (まいのちち)
一文字舞の父親。妻に逃げられたが、弱っている姿を見せずに、男手一つで舞を育てた。一文字紀子と再婚。本当は娘を想っているのに、その気持ちを素直に表現できない。心にもないことを口にしてしまったりして、舞と衝突することもある。
一文字 紀子 (いちもんじ のりこ)
一文字猛の母親。舞の父の再婚相手。再婚するまでは、シングルマザーとして1人で苦労しながら猛を育ててきた。控えめだが、ここぞという時は言いたいことを言う、芯の強い女性。難しい年頃である義理の娘・舞を、そっと気遣っている。
拓也 (たくや)
永井潤と同じ大学に通う男子学生。実家は寺で、保育園も経営している。山吹スミレの預け先がなくて困っていた潤のために、スミレが保育園に入園できるよう手配した。潤の置かれた境遇を面白がってからかったりもするが、陰ながら応援している。
明日香 (あすか)
山吹スミレと同じ保育園に通う女の子。虚言癖が少々あり、両親の気を引くため、つい大げさに話を盛ってしまうところがある。スミレが永井潤から愛情を受けているのが羨ましく、つい意地悪をしてしまう。
明日香の母 (あすかのはは)
明日香の母親。仕事が忙しいせいで、夫が家庭を顧みないことを不満に思っている。理解してもらえない淋しさから心の余裕がなくなり、明日香にゆっくり向き合うことができない。明日香の虚言癖をうのみにした結果、恥をかいてしまう。そのせいで、明日香の言うことをすべて疑うようになっている。
要 (かなめ)
永井潤の高校生のときの同級生。当時付き合っていた女性。昔はいつも派手な化粧をしていた。潤と同時期に付き合っていた別の相手との間に子供ができ、10代にして出産。以後は子供にとって良き母親となっている。
ひまわり
山吹スミレと同じ保育園に通う年中組の女の子。小さい子のお世話をするのが好きで、スミレのこともなにかと気にかけている。体調を崩し、医者の判断ミスで病院をたらい回しにされたあげく、亡くなってしまう。