概要・あらすじ
呼水千尋(ちろ)と、日舞の名取でタレントの姫野律は隣同士に住む幼なじみ。小さい頃から跡取りの重圧に苦しみ忙しい毎日を送ってきた律と、自由奔放なちろは互いを羨み、互いのようになりたいと常々思っていた。そんなある日、本当に2人の体が入れ替わってしまう事態が発生する。翌朝には元に戻ることができたものの、その後も頻繁に入れ替わりが発生し、律とちろはパニックに陥る。
そんな2人の前に現れたのは、御陵稲荷神社の狛狐、右近と左近だった。彼らは入れ替わりを完全なものにするためにやってきた神使で、「御陵稲荷の千本参り」によるちろの願いを叶えたという。ちろには身に覚えがないことだったが、小さな頃からのちろの想いが言葉の綾となり誤解され、おかしな形で願いとなって叶えられてしまったのだった。
右近と左近は律とちろに付きまとい、いつしか同じ学校の生徒として行動を共にするようになる。律とちろは、絶妙なタイミングで起こる入れ替わりに大混乱しながらも、この状況を打破すべく迷走するのだった。
登場人物・キャラクター
呼水 千尋 (よびみず ちひろ)
姫野律の隣家に住む幼なじみの女子中学生。不入斗学院の生徒会で書記を務めている。幼い頃から律と一緒に日舞を習っており、現在も律の家に通い続けている。近所でも評判の美少女だが、勉強はできず、「特技は美貌」と言ってのける天然少女。律が大好きで、小さい頃から憧れており、律のようになりたいと日頃から思っていた。
姫野 律 (ひめの りつ)
呼水千尋(ちろ)の幼なじみ。16歳にして日舞行谷流の名取「行谷春律」であり、「奇跡の16歳、おいらん王子」の呼び名で大ブレーク中のタレントとしても活躍中。不入斗学院高等部に通う男子高校生として多忙な毎日を送っている。ちろが大好きで、16歳になった現在も暇さえあれば一緒に過ごしている。また、運動全般が苦手で、甘いものには目がない。
呼水 百合 (よびみず ゆり)
呼水千尋の姉であり、姫野律のマネージャーを務める女性。手作りのお菓子を姫野家に差し入れする毎日を送っている。タレントである律には厳しく日々のマネージメントを行っているが、すべては代わりのいない律の仕事に誇りを持っているため。
姫野 鎮 (ひめの しずか)
姫野律の兄であり、不入斗学院の教師。弟のことがかわいくて仕方ない。姫野鎮も長男として行谷流の名取を目指して父親であるお師さんから日舞を学んでいたが、律の天才的な才能を目の当たりにし、早々に諦めたという過去を持つ。それからというもの、何に関してもすべてを諦め、かわいい弟に譲ることを生きがいのようにして生きている。
鳴 (なり)
ソフトモヒカンがトレードマークの、不入斗学院高等部に通う男子生徒。破天荒で型破りだが、行動力のある生徒会長として、学校生活を謳歌している。呼水千尋への絡み方が日常的にハードなので、姫野律から目を付けられている。
お師さん (おしさん)
姫野律と姫野鎮の父親であり、日舞行谷流の家元。呼水千尋には優しいが、律には厳しく、意見の相違からケンカになることもしばしば。また、名取としての立場を鑑みて芸能活動を容認できずにいるが、これは一方で忙しすぎる律の体を慮ってのことでもある。
右近 (うこん)
御陵稲荷神社の狛狐。神社の神使として人間のもとへ遣わされたキツネ。ハムスターなどの小動物から人間の姿までさまざまなものに化けることができる。主に男子高校生に姿を変え、呼水千尋の傍にいることが多い。切れやすくやんちゃで、何に関しても興味津々の子供のような性格。
左近 (さこん)
御陵稲荷神社の狛狐。神社の神使として人間のもとへ遣わされたキツネ。雀などの小動物から人間の姿までさまざまなものに化けることができる。主に男子高校生に姿を変え、姫野律の傍にいることが多い。右近よりも理知的で冷静なタイプ。
滝川 (たきがわ)
姫野律が所属する芸能事務所の社長を務める男性。律の周囲を巻き込み、何かと裏で企てていることが多い。特に、「食事を御馳走する」と言い出したら、何か企んでいるサイン。
咲 (さき)
呼水千尋(ちろ)のクラスメイトであり、親友の女子生徒。目つきが悪く、サバサバした男っぽい性格だが、いわゆるツンデレ。毎年欠かさずちろの誕生日を祝うためのサプライズを企画するなど、親友に対する愛に溢れている。また、彼氏に弁当を作るなど、料理が得意で甲斐甲斐しい一面も持つ。
ハル
姫野律が芸能界デビューするきっかけになったアーティストで、バンド「HALSHYON」のボーカルを務める青年。欲しいと思ったからには、何かアクションを起こすべきという考えの持ち主で、何に対してもアグレッシブな性格。律と呼水千尋の様子に違和感を覚え、2人が入れ替わっていることを敏感に感じ取った。
林 梨絵 (はやし りえ)
7人組アイドルグループ「MiCOL」に所属する女性アイドル。姫野律主演のドラマでは相手役を務める。底抜けに明るく、マイペースで、周りを巻き込む強引さを持っている。
中 (あたり)
白い狩衣姿の神使。突然姫野律と呼水千尋の前に現れて、2人の入れ替わりを完全なものにしてしまう。右近や左近よりも以前から御陵様に仕えているかなり高位の神使とされているが、その素性を知る者は誰もいない。過去の経験から人間を憎み、嫌っているため、人をいじめるのが好き。
赤樗、黒樗 (あかおうち、くろおうち)
ヤマカガシが人の姿に化けた存在で、女性の姿をしている。美しいものが大好きで、特に美女に目がない。御陵様の新しい神使になるべく、美しい貢物を模索している。
千歳 (ちとせ)
「狐の嫁取り」という言い伝えのもとになったとされる女性。千歳が嫁いだ先がキツネの一族だったことが明らかとなり、家族によって引き戻された後、狐の一族は皆殺しにされた。しかしその後、千歳は身ごもっていることが発覚。狐2匹が生まれ、衰弱した千歳は帰らぬ人となった。生まれた2匹の狐はそのまま家を出て姿を消したという。
万福、千福 (まんぷく、せんぷく)
2匹のムジナが人に化けた存在で、少年の姿をしている。御陵様の新しい神使になるべく、美しい貢物を探している。中身が呼水千尋と入れ替わっていた時の姫野律を捕らえるが、彼女の優しさに次第に仲良くなっていく。
場所
御陵稲荷神社 (ごりょういなりじんじゃ)
姫野律と呼水千尋が幼い頃からよく訪れていた自宅近くの神社。「御陵様」と呼ばれる神様が祭られており、神使と意思疎通を図る役割を主に中が担っている。また、御陵稲荷神社へ願掛けに日参し、御陵稲荷の千本鳥居の数だけ願をかけきると、その願いが叶うという言い伝え「御陵稲荷の千本参り」がある。