カワイスギクライシス

カワイスギクライシス

宇宙の彼方からやって来た宇宙帝国調査員のリザ・ルーナが、低レベルな文明星であると見下していた地球で出会った未知の生命体「猫」のかわいさに魅了され、メロメロになっていく姿を描いたラブリーなギャグコメディ。集英社「ジャンプスクエア」2019年11月号から連載。2023年4月テレビアニメ化。

正式名称
カワイスギクライシス
ふりがな
かわいすぎくらいしす
作者
ジャンル
ギャグ・コメディ
レーベル
ジャンプコミックス(集英社)
巻数
既刊9巻
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あらすじ

全宇宙を支配下に置く帝国アザトスから派遣された宇宙帝国調査員のリザ・ルーナは、文化や思想を調査するため地球へと降り立った。帝国とは隔絶している文明レベルの低さにうんざりし、さっさと地球を滅亡させようと考えながらも調査を続けていたリザは、飲食のレベルを確認するため、とあるカフェへと入る。そこはありふれた猫カフェだったが、そこにいた未知の生命体である「猫」のあまりのかわいさに、リザはすっかり魅了されてしまう。調査を忘れて猫に夢中になったリザは、艦長のミキティ・フルプルリンが提案した地球に対する毒霧攻撃を中止させたうえで調査の続行を要求し、一人猫のかわいさを堪能するのだった。(#1話「アリエナイ」)

矢薙華澄から請われ、リザは宇宙でもっともかわいいとされる生き物、マヌルーを地球へと呼び出した。全身がゴム質で真っ白いタコのような姿をしたマヌルーは、緩くてかわいらしい独特なしぐさで華澄たちを魅了する。しかし、久々にマヌルーを見たリザは複雑な気分に陥り、なぜこんな生き物をかわいいと思っていたのかと、忸怩(じくじ)たる思いを抱く。そんなリザの様子を見た華澄は、自分のペットに対してかわいくないと思うのはよくないと彼女を諭す。その言葉を真摯に受けとめて反省したリザは、マヌルーに頭を下げるのだった。(#13話「オキニメス」)

かわいい動物となかよくなりたいのに、リアクションが過剰すぎていまいち動物から好かれないフィアナ・ティアリーの苦悩を知ったリザは、自分とよぞらがスキンシップする姿を見せ、動物の扱い方を学ばせようとする。その姿を見て感動したフィアナは、ねこじゃらしを使ってよぞらと遊んで距離を縮めようとする。しかしその後、リザと遊ぶよぞらの高いテンションを見たフィアナは、自分がまだまだ動物とのあいだに信頼関係を築けていないことを痛感する。(#25話「マナブモノ」)

テレビアニメ

2023年テレビアニメ化。4月7日からTOKYO MXほかにて放送。アニメーション制作はSynergySP。コミックス第1巻が発売された際のPVで、主人公のリザ・ルーナを花守ゆみりが演じており、テレビアニメ版でも引き続き担当する。

登場人物・キャラクター

リザ・ルーナ

宇宙を支配下に置く帝国アザトスで暮らしていた宇宙人の少女。長く美しい銀髪と銀色の瞳を持つ美少女。宇宙帝国調査団の一員で、調査室室長を務めている。各種調査を行うために単身で地球を訪れた。調査員の中でも並外れた才能を誇り、地球を遥かに超える帝国の未知のテクノロジーを巧みに使いこなす。また、10万度の嵐渦巻く星を人の住める星に変貌させたり、宇宙一の戦闘民族を一人で制圧・服従させたことがある。調査にやって来た当初は、地球の文明レベルの低さに辟易(へきえき)していたが、猫カフェで出会った猫のかわいさに魅せられ、調査そっちのけで猫に夢中になる。もともとかわいい動物が好きで、帝国にいた頃に「ペニラ」と呼ばれる、帝国で一番人気の愛玩動物を飼っていたこともある。しかし、猫を見てからペニラのことをかわいいとは思えなくなったと、率直な感想を述べていた。そして猫以外の犬やハムスター、ハリネズミなどと触れ合ううちに、地球の生き物のかわいさに感動する。地球の生き物のかわいさのレベルが高すぎるため、かわいい生き物に対する耐性が低い。そのため猫の肉球を見て失神するなど、かなりオーバーなリアクションを取ってしまう。自分同様にかわいさに対する耐性がない、ほかの帝国宇宙調査員の仲間が萌え死んでしまうことを危惧し、宇宙船にいる仲間には猫の存在を伝えないようにしていた。その後、捨て猫のよぞらを引き取ってアパートで独り暮らしを始め、地球で猫との暮らしを満喫する。よぞらのかわいい仕草に日々悶絶している。

アマト・ロイ

宇宙帝国調査団の副艦長を務める青年。調査団の陣頭指揮を執るリーダー的な人物。容姿端麗で冷静沈着な性格をしている。リザ・ルーナとは互いの能力を認め合う兄妹のような仲。地球に降り立って以来、猫という未知の生命体に振り回されているリザの報告を聞くうちに、猫を地球の最上位に位置する恐るべき生物だと思い込んでしまう。リザのことを信頼しているが、猫に魅入られたリザのことを心配している。

ミキティ・フルプルリン

宇宙帝国調査団の艦長を務める老齢の男性。鋭い目つきをしている。冷酷そうな見た目とは裏腹に大の動物好きで、名前も無駄にかわいい。単身で地球の調査に降り立ったリザ・ルーナと連絡を取った時も、開口一番、地球にかわいい動物がいるかどうかを彼女に聞いていた。

向井 誠二 (むかい せいじ)

猫カフェ「nyanday」に勤めている男性店員。まじめな性格をしている。カフェに訪れた宇宙人のリザ・ルーナが猫のかわいさに興奮して奇行を繰り返す中、彼女に対して冷静に猫の魅力を教えていた。自宅で「エミリ」という猫を飼っており、エミリにメロメロな日々を送っている。猫至上主義者で、猫が人間のいうことを聞くわけがないと達観しているうえ、猫は人間より上位の種であるとリザに伝えていた。犬派である同僚の矢薙華澄とは度々猫と犬のどちらがかわいいかで論争している。SNS上では猫になりきった猫語を駆使するため、リザに不気味がられている。

矢薙 華澄 (やなぎ かすみ)

猫カフェ「nyanday」に勤めている女性店員。カジュアルロブの髪型をしている。淡々とした性格で、宇宙人のリザ・ルーナが来店したという向井誠二の話を聞いてもいっさい動ぜず、冗談として受け流していた。犬が大好きないわゆる犬派で、自宅では「マサムネ」というゴールデンレトリバーを飼っている。猫のかわいさにメロメロとなったリザに対し、犬のかわいさも伝えようと彼女を自宅に招いた。猫派である同僚の誠二とは度々犬と猫のどちらがかわいいかで論争している。

よぞら

金色の目をした長毛種の黒猫。とある若いカップルに飼われていたが、ロクに餌を与えられず、飽きたという理由で衰弱した状態で公園に捨てられていた。偶然発見したリザ・ルーナに保護され、「よぞら」と名づけられてリザのアパートで暮らすようになる。その甘えん坊な愛らしさがリザを夢中にさせていた。

狐陰 小町 (こかげ こまち)

女子高校生。年齢は17歳。リザ・ルーナが一人暮らしを始めたアパートのとなりの部屋に家族と共に住んでいる。「マルちゃん」というジャパニーズボブテイルの猫を飼っている。最近引っ越して来たミステリアスな隣人で、同じ猫好きなリザにあこがれており、友達になりたいと思っている。

ガルミ・ルゥ

宇宙帝国調査団の調査員の少女。頭に2本の角が生えている小柄な体型をしている。元気一杯なかわいらしい性格で、周囲を明るくするムードメーカー的な存在。猫に夢中になっているリザ・ルーナを心配したアマト・ロイが、リザをフォローする目的でラスタ・コールと共に地球へと送り込んだ。リザのことを姉のように慕っている。地球の空気の臭さに辟易していたが、ラスタといっしょに未知の生命体である猫のかわいさに夢中になってしまい、当初の目的を完全に忘れてしまう。うさぎが大好き。

ラスタ・コール

宇宙帝国調査団の調査員の少年。白いフードをかぶっている。額にもう一つの目を持っている。クールな性格だが感受性が強く、いつも何かに感動したり、哀れんでいる。そのため、その瞳からはつねに涙が流れている。猫に夢中になっているリザ・ルーナを心配したアマト・ロイが、リザをフォローする目的でガルミ・ルゥと共に地球へと送り込んだ。リザのことを姉のように慕っている。地球の文明レベルの低さを哀れみ、この苦しみが続かないよう早く滅ぼしてあげようとしていたが、未知の生命体である猫のかわいさに夢中になり、当初の目的を完全に忘れてしまう。猫をこよなく愛しているが、猫アレルギーなため近づくことも難しい。

フィアナ・ティアリー

宇宙帝国調査団の調査員の女性。通信室長を務めている。聡明で音や言語を解析する部署の責任者でもある。地球人類の全言語の翻訳をわずか7日で完遂したほどの優秀さを誇る。優しく落ち着いた性格で、調査員の喧嘩(けんか)の仲裁をしたりさまざまな相談に乗ったりと、調査員のお姉ちゃん的な存在。その能力を見込まれ、リザ・ルーナから猫の言葉を解析する翻訳機の制作を依頼され、苦心して翻訳機を作り上げた。その過程で猫のかわいさに魅了されたため、猫の前では正気を失い、語尾に「にゃん」を付けてしゃべるようになる。

狸塚 薫 (まみづか かおる)

男子高校生。おとなしく心優しい性格をしている。狐陰小町に恋をしているが、思いを伝えられずにいる。小町から拾った子猫の世話を頼まれた時は快く引き受けていた。それがきっかけで、小町とは友達以上の関係を築くこととなる。

猿藤 七絆 (えんどう なづな)

女子高校生。「豆彦」という柴犬を飼っている。かつては無気力で引きこもりだったが、豆彦との出会いを経て、活動的な明るい少女へと生まれ変わった。そのため、豆彦への愛について語り出すと止まらなくなってしまう。豆彦の散歩中に、地球のペット事情を調査していたリザ・ルーナやガルミ・ルゥに話しかけられ、豆彦との出会いから猿藤七絆自身の半生まで熱弁し、リザたちを啞然とさせていた。

シャミル

宇宙帝国調査団の調査員の男性。宇宙最強のアザトス軍に所属している軍人。額にもう一つの目を持っている。アザトス軍では「英雄」と讃えられ、人々を苦しめる悪鬼や邪竜を数多く打ち倒してきた実績を持つ。猫によって骨抜きにされたリザ・ルーナや、ほかの調査員の現状を憂いてアザトス軍の精鋭五人を率いて地球への侵攻を開始する。しかし、猫のかわいい姿を前にして足腰がガクガクと震えるほど動揺し、地球侵攻どころではなくなってしまう。

羊間 茜子 (ひつじま あかねこ)

女子高校生。SNSで大人気の白猫「しろみ」を飼っている。昔から気が弱かったが、しろみの写真をSNS上に投稿したことがきっかけで、フォロワーが10万人を超える人気者となった。日々投稿のプレッシャーと戦っており、SNS上でよぞらの適当な写真をアップし続けるリザ・ルーナにあこがれ、リザの写真すべてに「いいね」を付けていた。それが縁となってリザとオフで会うことになり、リザのたっての願いを聞き入れてペット撮影の師匠を務めることになった。

メカよぞら

よぞらを模して造られたサイボーグの猫。帝国アザトスのテクノロジーの一つであるサイボーグスキャナーによって生み出された。いかにもメカメカしい姿をしているが、本物のよぞらの行動を学習し、徐々によぞらっぽく変貌を遂げる。ただし、鳴き声はちょっと汚い。リザ・ルーナに甘えたいという気持ちが増大し、よぞらになり代わって「真のよぞら」になろうとする。

鮫井 咲仁 (さめい さきひと)

うさぎ専門のアニマルカフェ「メルヘルム」の男性店員。狸塚薫の友人。来店したガルミ・ルゥにペットを飼うにあたっての心構えを説いていた。うさぎのかわいさに酔いしれ、おとぎ話に迷い込んだような幸せな気持ちになるガルミの姿を見て、喜んでいた。

マヌルー

落書きが具現化したような緩い見た目の生物。黒い目にタコのような口を持つ。全宇宙かわいい動物ランキング128年連続1位を獲得した愛玩動物で、帝国アザトスでもNo.1の人気を誇る。ほとんど動かず、餌も塩水でいいため誰でも飼える手軽さが人気となっている。その不思議なかわいさから、矢薙華澄は「ふしかわ」な生き物と呼んでいる。

書誌情報

カワイスギクライシス 9巻 集英社〈ジャンプコミックス〉

第1巻

(2020-04-03発行、 978-4088822624)

第6巻

(2022-10-04発行、 978-4088832654)

第7巻

(2023-04-04発行、 978-4088834573)

第8巻

(2023-10-04発行、 978-4088836720)

第9巻

(2024-04-04発行、 978-4088838922)

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