壮大な世界観から始まるギャグ漫画
本作は壮大なスペースオぺラで、宇宙に進出した人類は地球人と移民に別れ、長年の軋轢(あつれき)の末、抗争に発展する。宇宙暦0156年、人類は「地球連邦」と「メトゥスの民」の勢力に二分され、抗争は本格化していた。このように大まじめな設定や硬派な絵柄からシリアスなSF作品に見えるが、キャッチコピーは「登場人物全員がアホ」で、主人公のスバル・イチノセをはじめとしたキャラクター全員が奇行を繰り返すナンセンスギャグ漫画となっている。
コックピットに引きこもる主人公
主人公のスバル・イチノセは「地球連邦」に所属しており、最新汎用人型兵器「デュランダル」を駆るエースパイロットで、「メトゥスの民」と戦う使命を持つ。だが、スバルは実はナイーヴな人見知りで、ティラミス艦内の集団生活になじめず、いつもデュランダルのコックピットに引きこもっていた。コックピットでは一人飯ならぬコクピット飯をするのが日課で、私物を持ち込んだり、ゲームをしたりして過ごしている。時折、まともな戦闘シーンも描かれるが、基本的に話の流れが明後日の方向に行くのがお約束となっている。
因縁の兄弟の争い
スバル・イチノセには生き別れとなった兄のイスズ・イチノセがいるが、イスズは「メトゥスの民」に寝返っており、二人は兄弟にもかかわらず敵味方に別れて戦う運命にあった。しかし、イスズもスバルに負けず劣らずのアホで、シリアスシーンで忘れ物をしたことに気づいて取りに帰ろうとしたり、ファッションで眼帯をかけていたりと、彼もまた大きな問題を抱えていた。イスズはスバルの存在に執着し、何かと戦場で出会うことが多いが、天然な二人の行動は常軌を逸しており、彼らによって事態はさらにカオスな状況に突入する。
登場人物・キャラクター
スバル・イチノセ
宇宙戦艦ティラミスに所属している地球連邦軍の青年。「デュランダル」と呼ばれる汎用人型機動兵器のパイロットとして、日々任務に当たっている。階級は少尉。年齢は19歳で、誕生日は9月2日。愛知県豊田市出身で、中日ドラゴンズとテレビ番組「プロフェッショナルズ・仕事の流儀」のファン。「ユニヴァース感覚」と呼ばれる特殊な超感覚を持ち、その能力で自分から抜けた陰毛と会話ができる。同じティラミスに所属しているヴォルガー・ハマーやリージュ・ルロワからは弟のようにかわいがられているが、スバル・イチノセ自身は彼らを苦手としている。若くしてすご腕のパイロットながら、ほかのティラミスの軍人たちと折り合いがあまりよくないことからデュランダルのコクピットに引きこもり、串カツを持ち込んだり、クリスマスに過剰な飾りつけをしたりして注意を受けている。また、Tシャツを前後反対に着たまま出撃したり、戦闘中に尿意を催して苦戦を強いられたりするなど、そそっかしい一面がある。ある時、ティラミスにスパイとして進入していた兄のイスズ・イチノセから勧誘を受け、一時的にティラミスを離れてメトゥスの民の戦艦「メトゥス=ゲルメン」に乗り込む。しかし、イスズや彼の部下たちが、ティラミスのクルー以上に変人ぞろいだったため、結局彼らのもとを離れて地球連邦軍のパイロットに復帰する。
イスズ・イチノセ
スバル・イチノセの兄。「絶対」が口癖で、事あるごとに口走っている。左目に眼帯をつけているが、単なるファッションで視力が悪いわけではない。かつて地球連邦軍に所属していたが、考えの違いから連邦と敵対する異星人「メトゥスの民」に寝返り、人型機動兵器「ケリュケイオン」のパイロットとなる。パイロットとしても優秀で作戦立案能力も高く、メトゥスの民に寝返って早々に大佐にまで上り詰める。ただし、部下たちからは「いっくん大佐」とあだ名で呼ばれるなど、どこか軽んじられている。ケリュケイオンの起動キーを紛失したり、宇宙戦艦ティラミスを脱出したあとに眼帯を忘れていたことに気づいたりと、スバルに負けず劣らず天然気味なところがある。スバルとの仲は良好で、彼を自軍に引き入れるためにオペレーターの「コーディ・ヴィーマック」を名乗り、ティラミスに潜入する。そして、スバル以外のクルーを気絶させ、スバルをメトゥスの民につくように説得し、母艦「メトゥス=ゲルメン」に導く。しかし部下と共に醜態をさらしたため、見限ったスバルに脱走されてしまう。
クレジット
- 原作
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宮川 サトシ