カンギバンカ

カンギバンカ

今村翔吾の人気歴史小説『じんかん』のコミカライズ。舞台は戦国時代。奴隷として売られそうになっていた少年・九兵衛は、松永多聞丸が率いる野盗団に救われる。「奪い奪われることのない“くに”をつくる」という多聞丸の夢を知り、九兵衛もまた志を同じくする。主家乗っ取り、将軍暗殺、東大寺焼き討ちなどの悪業を行ったとされる松永久秀を、新たな視点から描いた戦国英雄譚。講談社「週刊少年マガジン」2020年第50号から2021年第33号まで連載。

正式名称
カンギバンカ
ふりがな
かんぎばんか
原作者
今村 翔吾
漫画
ジャンル
バトル
 
戦国
レーベル
講談社コミックス(講談社)
巻数
全4巻完結
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下剋上を目指す九兵衛を描いた歴史ロマン

1521年、人買いに連れられて京の都付近、稲荷山を歩いていた九兵衛と甚助の兄弟は、子供ばかりの野盗団に救われる。野盗団を率いる松永多聞丸は、いつか大名になり、「奪い奪われることのない場所(くに)をつくる」という夢を持っていた。そんな途方もない夢に感銘を受けた九兵衛は、野盗団に参加した。しかし、それから1年後、九兵衛たちは、野盗狩りの罠にはまり、九兵衛、甚助、少女・日夏だけが生き残ることになる。多聞丸は九兵衛に夢を託して犠牲になった。九兵衛は多聞丸との約束を果たすため、孤児から武士へと成り上がることを決意する。本作は、下剋上という壮大な目標に向かって突き進む、九兵衛の姿を描いた歴史ロマンである。

原作者と漫画家の強力なタッグ

原作となった今村翔吾の『じんかん』は、第11回「山田風太郎賞」を受賞した本格歴史小説である。2020年11月11日掲載の、講談社「マガポケベース」によれば、松永久秀を主人公にした理由は、歴史的大悪人として描かれることが多い久秀のイメージを変えたかったからだと言う。「彼の行動は決して悪の側面だけで語ることはできないとわかってきたところがある」という今村は、「誰もが己の立身出世ばかりを考える戦国時代において、久秀は世とは何か、人とは何かを考えて挑み続けたように思えます」とも述べている。そんな今村は、原作提供だけではなく打ち合わせにも参加し、漫画だけのオリジナルエピソードも執筆した。本作は、単なる小説のコミカライズではなく、原作者・今村翔吾と漫画家・恵広史の協力により『カンギバンカ』として再生された新たな物語である。

戦国の梟雄・松永久秀の新たな人物像

本作で描かれる時代は、戦国時代初期から中期。絶えない戦火で民は飢え苦しみ、弱者は奪われ続けるしかないような世の中が舞台である。主人公・九兵衛(後の松永久秀)の少年時代から物語は始まるが、久秀の出自については諸説があり、前半生は謎に包まれている。したがって、登場人物の多くは実在人物だが、本作の大部分を占める九兵衛少年の活躍は創作である。また、原作者が歴史資料を解釈し直し、一般的に「戦国の梟雄」と評される久秀を、「義」を重んじる優しい人物として描いた点が、本作最大の特徴である。

登場人物・キャラクター

九兵衛 (くへえ)

両親を亡くした孤児。非常に頭のいい少年。弟の甚助と共に寺に引き取られ、3年後、住職によって人買いに売られる。移送途中で、松永多聞丸率いる野盗団に助けられ、弟と一緒に野盗団に参加。野盗団が壊滅した後は、多聞丸の遺志を受け継ぎ、「奪い奪われることのない場所(くに)をつくる」という夢を追う。後に松永九兵衛久秀を名乗る。実在した松永久秀をモチーフにしている。

甚助 (じんすけ)

九兵衛の弟。両親を亡くし、兄と共に寺に引き取られ、3年後、住職によって人買いに売られる。その後、松永多聞丸率いる野盗団に助けられ、兄と一緒に野盗団に参加した。泣き虫だったが、1年でめきめき剣術の腕を上げた。実在した松永長頼をモチーフにしている。

松永 多聞丸 (まつなが たもんまる)

子供ばかりの野盗団のリーダー。奴隷として売られそうになっていた九兵衛と甚助を救い、仲間にする。生きるためならなんでもやるが、弱い者は助けるのが信条。いつか大名になり、「奪い奪われることのない場所(くに)をつくる」という夢を持つ。ある日、野盗狩りの罠に遭い、九兵衛に夢を託した後に、仲間を助けるためのおとりとなって死亡した。

クレジット

原作

今村 翔吾

書誌情報

カンギバンカ 全4巻 講談社〈講談社コミックス〉

第1巻

(2021-02-17発行、 978-4065220665)

第2巻

(2021-04-16発行、 978-4065229873)

第3巻

(2021-07-15発行、 978-4065235898)

第4巻

(2021-09-16発行、 978-4065248294)

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