ホームズの猟犬として生きる少年の物語
リューイたち「猟犬遊軍(イレギュラーズ)」は、優れた観察力や身軽さ、行動力を兼ね備え、日当1シリングでホームズにさまざまな情報を提供している。しかし、彼らは単なるホームズの使い走りにとどまらず、自らの判断で事件を捜査し、ホームズが引き受けた依頼を裏から支援することも少なくない。浮浪者ならではの視点はホームズの推理とは異なることが多く、一つの事件を多角的に描くことで、原作『シャーロック・ホームズ』を知る読者にも新たな発見をもたらす展開となっている。
「シャーロック・ホームズ」シリーズの名作エピソードとおなじみのキャラクターたち
本作は「シャーロック・ホームズ」シリーズを原作としており、『技師の親指』や『覆面の下宿人』などの人気エピソードをモチーフにした事件も描かれている。また、レストレード警部やハドソン夫人、ジョン・H・ワトソンといったおなじみのキャラクターたちも登場し、シリーズファンにとって見逃せない魅力となっている。
ロンドン再設計を巡る陰謀と四組織の抗争
数々の事件を経て、ホームズとリューイたちは、ジェームズ・モリアーティ率いる「持続可能都市研究機関マセマティシャン」と対立することになる。この組織はロンドンの再設計を目指す学者の集団を自称しているが、目的のためには殺人や犯罪行為も厭(いと)わない危険な存在。一方、リューイたちには、浮浪児たちによる四つの組織「惨殺食堂(ツイステッドリップ)」「銀星厩舎(シルバーブレイズ)」「柘榴船団(ブルーガーネット)」「舞踏墓地(クリーピーダンス)」という、より身近な敵対勢力が存在する。新興勢力である「猟犬遊軍(イレギュラーズ)」は彼らから警戒されていたが、マセマティシャンが各組織の縄張りで事件を起こしたことで、リューイたちは半ば強制的に四つの組織とかかわりを持つことになる。それぞれの思惑が複雑に絡み合い、事件が連鎖していくスピーディな展開こそが、本作の大きな見どころとなっている。
登場人物・キャラクター
リューイ
浮浪者の少年。ホームズ率いる「猟犬遊軍(イレギュラーズ)」の一員。ボサボサの赤毛にボーダー柄のマフラーを巻いている。浮浪児仲間のニナが殺害された事件を独自に捜査し、犯人を追い詰めた際にホームズと遭遇。それ以来、ホームズの猟犬として捜査の助手を務めている。ホームズに雇われる前は靴磨きをしており、「靴を見ればなんでもわかる」と豪語するほど観察眼が鋭い。靴の状態から持ち主の生活状況を正確に見抜くほか、贋金(にせがね)を見破るなど、その能力は多岐にわたる。ホームズを完全には信頼していないが、冤罪(えんざい)を晴らす探偵としての能力には一目置いている。
シャーロック・ホームズ
諮問探偵の男性。褐色がかった肌に白髪が混じり、額の中央にはティラカをつけている。浮浪児たちを「野良犬」と呼び、人間扱いしない冷徹な一面を持つ。かつての助手、ニナが殺害された際も、表立って感情を見せることはなかった。しかし、独自の捜査で犯人を突き止めたリューイを認め、彼を新たな助手に抜擢(ばってき)した。その友人であるジエンやアビーも加え、「猟犬遊軍(イレギュラーズ)」という組織を結成した。徹底した合理主義者で傍若無人な振る舞いも多いが、ルームメイトのワトソンとは不思議と馬が合う。リューイの観察眼や推理力を高く評価しており、彼から教えを請われた際には、分析力を鍛える基礎訓練を課した。
クレジット
- 原作
-
青崎 有吾
書誌情報
ガス灯野良犬探偵団 9巻 集英社〈ヤングジャンプコミックス〉
第1巻
(2023-12-19発行、978-4088930374)
第2巻
(2024-03-18発行、978-4088931654)
第3巻
(2024-06-19発行、978-4088932644)
第4巻
(2024-09-19発行、978-4088933740)
第5巻
(2024-12-18発行、978-4088934778)
第6巻
(2025-03-18発行、978-4088935843)
第7巻
(2025-06-18発行、978-4088936956)
第8巻
(2025-09-19発行、978-4088937984)
第9巻
(2025-12-18発行、978-4088940298)








