サイケまたしても

サイケまたしても

同じ日を繰り返す能力を持つ少年が、その能力を使って人助けをしたり、能力を悪用する人間を止めるために戦うアクション作品。戦闘においては、能力の優劣ではなく、その活用法に主眼が置かれているのが特徴となっている。「週刊少年サンデー」2014年32号より連載の作品。

正式名称
サイケまたしても
ふりがな
さいけまたしても
作者
ジャンル
アクション
関連商品
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世界観

特殊な能力を用いたバトルが主題となっている。主人公である葛代斎下は、同じ日を繰り返すことで、敵の能力保持者の弱点を見つけて、仲間とともに攻略していく。また、能力、および能力保持者のルーツや、能力をめぐる人間同士の対立なども、物語を彩る要素の1つとなっている。

あらすじ

第1シリーズ(第1巻)

葛代斎下(サイケ)は、将来の夢も特別な才能もない、ごく普通の中学3年生。平凡で退屈な日々を送っていたサイケだったが、ある日、幼なじみの枸橘蜜柑が、モグラ池の前で交通事故に遭い、命を落としてしまう。突然の出来事に取り乱すサイケもまた、その拍子でモグラ池に落ちてしまうが、彼に訪れたのは死ではなく、蜜柑が事故で死んだ「今日」だった。時間逆行能力を得たサイケは、蜜柑が死ぬ運命を変えるために動き出す。サイケは、蜜柑がモグラ池で事故に遭うという点を踏まえて、彼女がモグラ池に近寄らないようにしようと、策をめぐらせる。しかし、どう足止めしようとしても、蜜柑は必ず同じ時間にモグラ池に現れ、事故に遭ってしまう。さらに、モグラ池に言ったら死んでしまう事を素直に明かしても、信じてもらえるどころか、何故か悲しみに満ちた表情でその場を去っていく始末。いくら「今日」をやり直しても結果が変わらない事で、人の命を救うには自らの命も懸けなければならないと思い至ったサイケは、自分が身代わりになって蜜柑を生き残らせる方法を模索。それを実行に移すために、またしてもモグラ池に飛び込んでいくのだった。

第2シリーズ(第2巻)

葛代斎下(サイケ)は身につけた時間逆行能力で、友人の枸橘蜜柑の死を回避する事に成功する。サイケは自らの能力を活かし、「ヒーロー活動」と称して、困っている人を助けたり、事故などを未然に防ぐなどの活動を行っていた。そんなサイケの前に、氷頭栄治という少年が現れる。サイケは、氷頭から特殊な能力があると見抜かれると共に、ほかにも同じような能力保持者がいる事、そして、ほとんどの能力保持者が、自らの能力を悪事に利用している事を知らされる。さらに自分との戦いに勝ったら、能力を持っている人を見分ける方法を教えると持ち掛け、サイケもそれに応じる。電柱を軽々と振り回すという、規格外の力を持つ氷頭に、非力なサイケは幾度も重傷を負わされるが、その度に時間逆行の能力で今日をやり直し、ついには氷頭の持つ能力が発泡スチロール化である事を見抜く。さらに、何度も「今日」をやり直す事で氷頭の攻撃パターンを見切り、ついには彼を打ち倒す事に成功する。氷頭もまたサイケの度胸を気に入り、日を改めて、能力保持者を見分ける方法を教える事を約束する。その翌日、サイケは待ち合わせ場所に向かうが、結局氷頭は現れなかった。そこで念のために時間逆行の能力を使い、時間より早く待ち合わせ場所に向かったところ、氷頭が透明の何かに殴られ、連れ去られていく様子を目撃する。連れ去った張本人であるDr.ミュウトンは、世界を牛耳る手段として能力保持者を集めており、その効率を上げるためとして、氷頭に対して能力保持者を見分ける方法を教えるよう迫っていた。

第3シリーズ(第3巻)

葛代斎下(サイケ)は、ヒーロー活動の一環として能力を悪用する[能力保持者]を懲らしめるため、仲間に加わった氷頭栄治と共に行動していた。猫カフェの店主から力の煙が立ち上っているのを発見した氷頭は、サイケと共に猫カフェに潜入し、能力を悪用していないか見張るが、彼の淹れた紅茶を飲んだ事で、猫化の能力の影響を受けてしまい、店の中に閉じ込められてしまう。しかし、氷頭の発泡スチロール化の能力でサイケは脱出に成功し、時間逆行の能力を使う事で窮地を脱し、猫カフェの店主を懲らしめるのだった。それから数日後、二人は、新聞の一面から正体不明の現象により多数のけが人が出ているという情報を発見し、これを能力保持者の仕業だと推察。様子を見るべく事件のあった地に向かうが、その犯人である田谷は、何者かに能力を消されていた事が判明する。能力を失う事で、無力な人間に戻ってしまう事を恐れたサイケは、すぐにその場から去る事を望むが、その最中に黒田ユメヲ率いるネガティブレインの襲撃を受けてしまう。椎名町雪静寂の濃霧によって氷頭と分断され、捕らえられてしまうサイケ。サイケのヒーロー活動を、人から失敗する権利を奪っていると糾弾するユメヲは、能力消去の能力を使い、サイケの持つ時間逆行の能力を消そうとする。これに対して、サイケは強靭な精神力をもって抵抗しようとするが、ユメヲの能力が伴う凄まじい苦痛により、絶体絶命の危機に追い込まれる。

第4シリーズ(第4巻)

黒田ユメヲ能力消去を耐え切った葛代斎下(サイケ)は、ユメヲの言葉を気にかけつつも、自分は間違ってない事を証明すべく、ヒーロー活動を続けていた。しかし、ネガティブレインの一味であるアナ・エガートンはその活動を許す事ができず、独断でサイケを倒すべく動き出す。サイケは氷頭と共にこれを迎え撃つが、アナの繰り出すガムテープ化能力によって完敗してしまう。そこで二人は、時間逆行の能力で何度も「今日」を繰り返す事で、ガムテープ化の弱点を探る事を決める。227回もの検証の末、ガムテープ化の弱点を発見するサイケ達。その執念に気圧されるアナだったが、そこにタイヤ化の能力を持つ八乙女研二が救援に現れる。アナは氷頭の相手を八乙女に任せ、改めてサイケと対峙するが、サイケはなぜそこまで能力を嫌悪するのかがどうしても気になっており、アナに対して直接それを尋ねる。その言葉にアナは、かつて自分の持つ能力で大切な友達を失ってしまった過去を思い出すのだった。

第5シリーズ(第5巻)

葛代斎下(サイケ)は、時間逆行能力を酷使した反動で脳に多大なダメージが蓄積され、ついには倒れてしまう。さらに、氷頭栄治とサイケの仲間になったアナ・エガートンも、改心したDr.ミュウトンによって彼の命がもう長くない事を聞かされ、これ以上能力を使わないようサイケに釘を刺す。さらに枸橘蜜柑も、サイケが突然倒れてしまった事で深く悲しみ、相次いで友人達を心配させてしまった今、無理して能力を使うのは悲劇を生むと考えたサイケは、訪れた黒田ユメヲに、能力を消してほしいと頼む。しかしユメヲは、失敗してもやり直せばいいという思想を危険視していたため、それがなくなった今、対立する理由はないと返す。さらに、ネガティブレインの仲間である十条魔胡から、妹の黒田ミユキを長い間眠らせている怨敵の逆神夕貴の情報を得た黒田は、能力消去を使って彼の能力である夢SNSを消し去るため、逆神に戦いを挑む。しかし逆神は、仲間である王澤、およびイゴール・アシモフと共に、加勢に現れた氷頭とアナもろともこれを返り討ちにしてしまい、夢SNSに取り込まれてしまう。この事を魔胡から聞いたサイケは、再び時間逆行の能力を使う事を決意。勝つための算段を整え、見事逆神らを打ち倒す事に成功する。サイケに助けられたユメヲは改めて和解を果たすが、その直後、ヨハン・ディートリッヒの手によってネガティブレインが掌握されてしまう。

第6シリーズ(第6巻)

葛代斎下(サイケ)は、時間逆行能力を得てからの1か月の記憶を喪失し、そのあとに知り合った氷頭栄治アナ・エガートンの事も忘れてしまう。氷頭はこの現象を、これ以上サイケが能力を使わないためのストッパーと考え、彼の命を守るためにあえて自分達を忘れたままでいる事を提案し、サイケの前から姿を消す。しかし、サイケの持つ時間逆行の能力を利用しようと企むヨハン・ディートリッヒは、ウィル・クルーニー説得力の能力でサイケを洗脳させ、仲間であるという記憶を植え付けてしまう。サイケがヨハンに連れ去られた事を知った氷頭とアナは、サイケを取り戻すために行動を開始する。一方、ヨハンはサイケの友達であるように振る舞う事で信頼を獲得し、自分のために時間逆行の能力を使ってほしいと頼む。ヨハンを信じ込んでしまったサイケはそれを快諾し、モグラ池に向かうが、そこを氷頭達に助けられる。ヨハンは仲間である峰岸マサムネ無敵優子に対し、氷頭達を迎え撃つよう指示する。戦闘の結果、氷頭は命を落としてしまうが、サイケはこれをきっかけとして記憶を取り戻し、ウィルの洗脳をも解除する。サイケは氷頭の死を回避するために時間逆行の能力を使い、ヨハン達を退ける事に成功するが、サイケはこの戦いによってさらに寿命を削ってしまい、いよいよあとがない状態に追いやられる。

第7シリーズ(第7巻~第8巻)

時間逆行能力の影響で、余命いくばくもなくなった葛代斎下(サイケ)だったが、ウィル・クルーニー説得力が解除された峰岸マサムネから、ネパールに完全治癒の能力を持つ能力保持者がいるという情報が寄せられる。氷頭栄治アナ・エガートンは、サイケを治すために、彼を伴ってネパールに向かう。ネパールに到着した一行は、能力保持者であるラジュから、完全治癒の能力を持つという癒し神の情報を得て、彼の案内のもとでクマリとして崇められている少女、ランビデと相対するが、そこでサイケの命は数日しかもたない事を知らされ、焦りを覚える。一行はカトマンズやポカラ、チトワン国立公園などを渡り歩き、ついに癒し神の住む村を訪れる事に成功する。しかし、癒し神であるプンは能力を使う事で若返るという副作用を患っており、既に赤子の姿だった。さらに、これ以上完全治癒の能力を使えば、プンの身体は消滅してしまう事が示唆されてしまう。サイケは、他者を犠牲にしてまで生き延びるのはヒーローではないとして、自分の命を捧げようとするが、そこにヨハン・ディートリッヒが乱入し、プンが連れ去られてしまう。氷頭とアナはそのあとを追うが、椎名町雪東雲静丸の能力によって分断されてしまい、さらにヨハンによる攻撃を受けて命を落としてしまう。これを聞いたサイケは、時間逆行の能力を使おうと考えるが、ネパールには当然ながらモグラ池が存在しないため、万事休すと思われた。しかし、ネパールにはモグラ池と同等の広さと深さを持つ、ゴーキョ湖と呼ばれる湖がある事を聞かされる。サイケはそこに一縷の望みをかけて、もう一度だけ「今日」を繰り返すべく、ゴーキョ湖にその身を沈めるのだった。

第8シリーズ(第9巻)

プン完全治癒の能力によって、死の危険を脱した葛代斎下(サイケ)。彼と枸橘蜜柑が通う学校では、謎の存在である「M」の話題で持ちきりだった。サイケは「M」の正体を能力保持者であると考え、一般人との溝が広がりつつある事を危惧する。一方、サイケ達と同じ学校に通う平安英雄は、桃山と不良仲間達による恐喝に遭っていた。自らの身に降り注いだ理不尽に絶望する平安は、変わりたいという願望を強く抱いていたが、そんなある日、桃山の舎弟の一人で、平安に金品を強要していた奈良が、重傷を負って病院に運ばれる。さらに翌日、奈良の仲間が平安を恐喝しようと襲うが、そこで平安も意識しないうちに怪物化能力が発動し、それを目撃した生徒達が、平安こそが「M」であるとパニックを起こしてしまう。サイケは、能力を制御できない平安を説得するために自分も能力保持者である事を明かすが、この事でサイケも「M」と見なされ、ついには警察に拘束されてしまう。サイケは、能力保持者が世間から全く理解されない現状を痛感しながら途方に暮れていたが、氷頭栄治アナ・エガートンに救出され、平安を助けるために時間逆行の能力を使用する事を決意。モグラ池に向かい、新たな「今日」を迎えるのだった。

第9シリーズ(第10巻)

葛代斎下(サイケ)は、能力にこだわり続けるのはヨハン・ディートリッヒと変わらないと言われ、激しく動揺していた。それを見ていた氷頭栄治は、アルバイトへ向かう自分の代わりに、アナ・エガートンに対してサイケを元気づけるように依頼する。アナは、デートと称してサイケをゲームセンターやアニメショップなどに連れ回し、イギリス人ながら日本のオタク事情に詳しい面を見せつけるのだった。そんな中、二人は風船化の能力を持つという神宮寺甲太郎と、その弟である神宮寺乙次郎と知り合う。サイケ達は、貧乏ながらもつねに明るくあろうとする兄弟とすぐに意気投合。しかしその数日後、能力を悪用して金品を強奪しようとする御針勇童に乙二郎が人質に取られてしまい、甲太郎は無理やり犯罪行為に加担させられてしまう。これを知ったサイケとアナは、時間逆行の能力を駆使して乙二郎の救出作戦を決行。監禁場所へと踏み込み、見張りを無力化する事に成功する。しかし、それに気づいた御針が、糸操作の能力を用いて逆襲を目論む。御針の秀でた戦闘センスにより、窮地に陥るサイケとアナだったが、そこに甲太郎が現れる。

第10シリーズ(第11巻)

ネパールにおける戦いで重傷を負ったヨハン・ディートリッヒの容態は、徐々に回復の兆しを見せつつあった。彼は現在においても能力保持者だけの世界を志しており、その目的のために、普通の人間に能力を付与する能力を持つレッサーパンダである「ヒ号」を利用する事を宣言する。しかし、ヒ号はヨハン達のもとに向かう前に逃亡し、行方知れずとなってしまう。ヨハンは、動けない自分の代わりに仲間達を動員させてヒ号の捜索を始める。時を同じくして、氷頭栄治の家では葛代斎下(サイケ)とアナ・エガートンが集まり、氷頭の誕生日パーティーを祝っていたが、そこに、力の煙を目視できる氷頭を頼るべく、黒田ユメヲと、ウィル・クルーニーの能力の支配下から脱したネガティブレインのメンバーが姿を現す。黒田からヨハンの野望について聞かされたサイケ達は、ヨハン達より先にヒ号を確保すべく、黒田達と共闘する事になる。サイケ達は三手に別れ、それぞれ、チャン・ミンミン、ウーズラ、そしてカリム・クリスタンヴァルと、ヒ号を巡って争う。ミンミンは、「ミンミンワールド」と呼ばれる、特殊な空間を展開するが、サイケの奇策と十条魔胡の援護によって敗れ去り、腕をプロペラに変える能力を持つウーズラも、アナと無敵優子の連携の前に敗北。これによって彼らもまた、ウィルの洗脳から解き放たれる事ができた。しかし、カリムは以前から付け狙っていた氷頭と一対一の状況を作り出し、発泡スチロール化の対策を施した新種の武器をもって襲い掛かる。氷頭は、カリムがウィルの洗脳を受けていない事、そして、自由を奪われ続けた結果、世界に絶望してしまった事を知る。そのカリムの姿に昔の自分を重ねた氷頭は、かつてサイケにしてもらったように、自分の身を投げうって、カリムを説得しようとする。しかし、その代償はあまりにも大きなものだった。 

休載期間

本作『サイケまたしても』は、単行本1巻分のエピソードを連載し、次のエピソードとの間に3か月程度の休載を挟むという、特殊な連載形式が取られている。ただし、ネパールが舞台となる「第7シーズン」は、単行本2冊分のボリュームとなっている。

モデルになった町

本作『サイケまたしても』の劇中では、主人公である葛代斎下とその仲間たちがネパールを訪れるというエピソードがある。一行は、首都であるカトマンズや、ポカラ、チトワン国立公園、ヒマラヤ山脈などを実際に訪れている。その中で、首都とそれ以外の都市との貧富の差など、現在ネパールが直面している問題が多く描かれている。

単行本の装丁

本作『サイケまたしても』の単行本には、さまざまなギミックが施されている。まず、右側のカバー折り返しには、本編のテーマをもとにした作者の福地翼自身の語りが記載されており、左側のカバー折り返しには、本編に登場する能力保持者が使用する能力を、もし実際に使用できたら、というテーマの4コマ漫画が掲載されている。また、カバー裏では、登場人物のプロフィールや、それをネタにしたショートマンガが掲載され、さらに奥付には「今回のカバー裏を独占できる権」を獲得したとされるキャラクターが毎回描かれている。

外伝

「ビックコミックスピリッツ」の2010年49号に、本作『サイケまたしても』の登場人物である黒田ユメヲを主人公とした読み切り作品『ネガティブレイン』が掲載された。時系列は本作の数年前で、ユメヲの妹である黒田ミユキも登場する。

コラボレーション

福地翼のデビュー作品である『うえきの法則』と、本作『サイケまたしても』のコラボレーションイベントが2017年3月17日から4月16日まで、開催された。このイベントでは、本作の単行本第8巻に両作品のコラボ漫画が掲載されているほか、本作の登場人物である葛代斎下氷頭栄治アナ・エガートンと、『うえきの法則』の登場人物である植木耕助、森あい、佐野清一郎が描かれた色紙のプレゼント企画が行われている。

評価・受賞歴

本作『サイケまたしても』は、「ダ・ヴィンチ」とニコニコ動画の合同企画である第2回「次に来るマンガ大賞」の第7位にランクインしている。「週刊少年サンデー」の連載作品としては、第1回、2回を通して、唯一のランキング入りを果たした作品となった。

作家情報

福地翼は、栃木県出身の漫画家。2001年よりデビュー作として「週刊少年サンデー」にて『うえきの法則』を発表。アニメ化するなどの好評を博し、その後も続編となる『うえきの法則+』や、本作『サイケまたしても』など、能力バトルが主軸となる作品を多数発表している。

登場人物・キャラクター

葛代 斎下 (くずしろ さいけ)

中学3年生の少年。将来の夢も、熱中していることもなく、ただ流されるまま日々を過ごしていた。しかしある日、モグラ池に落下したことで、自分に時間逆行の能力が身についていることを悟り、その能力を駆使して、友人である枸橘蜜柑を死の運命から救う。さらに、氷頭栄治との出会いを経て、自分以外にもさまざまな能力保持者がいることと、それを悪用する者がいることを知り、氷頭とともに困ってる人を助けたり、悪い能力保持者を止めるための「ヒーロー活動」を志すようになった。 自分の能力を他者のために使おうとする優しさと、能力を使うことで退廃した日常を脱却したいという願望を持ち合わせている。また、自分の命を軽視したり、特別でありたいという望みを無自覚ながら抱いており、この点は敵味方問わず危惧されている。 さらに、能力を酷使し続けることで、寿命を著しく縮めてしまう。

氷頭 栄治 (ひず えいじ)

発泡スチロール化および力の煙の能力を持つ、フリーターの少年。能力を活かしてさまざまなバイトをこなしており、その中には3日で267万円稼げるものも存在する。裕福な家に生まれたが、父親に否定され続けて育ち、実家と決別して現在に至る。こういった経緯から現実に対する関心を失っており、何をしてもつまらないとしか思えなくなっており、能力保持者同士の戦いを続けて、その中で果てることを望むようになる。 しかし、葛代斎下(サイケ)との戦いを経て、久々に面白いという感情を取り戻したため、彼の誘いを受け、ともにヒーロー活動を行うことになる。サイケに対しては絶大な信頼を置いており、持ち前の戦闘能力を活かし、サイケの立てた作戦を遂行する役割を担う。

アナ・エガートン (あなえがーとん)

ネガティブレインの一員で、ガムテープ化の能力を持つ、イギリス人の少女。自らの能力が原因で、親しい友人だった赤井ヒトミと絶縁されてしまっており、ヒーロー活動と称して能力を人助けに用いている葛代斎下(サイケ)を強く憎んでいた。しかし、彼との戦いを通じて説得されることで和解し、ネガティブレインを抜けてサイケの仲間となった。 趣味は漫画とゲームで、特に格闘ゲームはプロ級の腕前。ゴスロリの衣装をまとっているが、アナ・エガートン本人は、これもゲームの影響であると語っている。

枸橘 蜜柑 (からたち みかん)

葛代斎下(サイケ)のクラスメイトで、幼なじみの少女。美術が得意で、将来はそれを生かした仕事に就きたいと考えている。ある日の放課後、モグラ池でサイケと会う約束をしていたが、彼の目の前で交通事故に遭い、命を落とす。しかし、時間逆行の能力を得たサイケの尽力により運命が変わり、その死はなかったことになる。ヒロインのポジションとされているが、登場機会に恵まれておらず、作中でもそのことをたびたびネタにされている。

黒田 ユメヲ (くろだ ゆめを)

ネガティブレインのリーダーを務めている会社員の青年。かつては就職活動に失敗し続けていたネガティブな男性だが、リア充と呼ばれる存在を「勇気ある者」として尊敬している。余地夢の能力を持っており、この能力を使うことでトラブルを回避していた。しかしある時、妹の黒田ミユキが何者かの能力で眠らされてしまい、この能力を解除させたいという願望から、新たに能力消去の能力を獲得。 ネガティブレインを組織し、危険な能力保持者を排除するための活動を始める。葛代斎下(サイケ)の思想を危険視し、彼の能力を消去しようとしたが、サイケと仲間たちの活躍で、ミユキを眠らせた張本人である逆神夕貴の能力を消去することに成功。サイケたちと和解するが、その直後、ヨハン・ディートリッヒにネガティブレインを乗っ取られてしまう。

ヨハン・ディートリッヒ (よはんでぃーとりっひ)

ネガティブレインに所属している、能力保持者の青年。ネガティブレインの中では一番の古株で、ドイツで教授をしている最中に黒田ユメヲに出会い、組織の設立に力を貸していた。しかし、内心では能力保持者がいずれ迫害されることを予期しており、ネガティブレインに所属していたのはそれに対抗するための仲間を集めるために過ぎず、仲間のウィル・クルーニーに仲間たちを洗脳させることで、ユメヲから組織を奪い取った。 ユメヲと手を切ったのは、思想の違いによるものであると語っている。能力保持者の未来を真剣に案じているが、実際はかつてのユメヲに負けず劣らずのネガティブな性格。仲間を洗脳したり、不安要素は即座に排除するといった姿勢から、葛代斎下たちから敵視されている。

長髪の能力保持者 (ちょうはつのおらくるほるだー)

分裂の能力を持つ、能力保持者の青年。能力を用いて戦うことを好んでおり、挑んできた氷頭栄治にはやや好意的な態度を見せていたが、あっさりと倒されたため、氷頭からはまったく興味を抱かれなかった。のちにDr.ミュウトンに無理やり従わせられ、葛代斎下と戦うことになるが、既に時間逆行の能力で攻撃パターンを見破られていたため、またも敗北してしまう。

モヒカンの能力保持者 (もひかんのおらくるほるだー)

発火の能力を持つ、能力保持者の青年。長髪の能力保持者とともに、Dr.ミュウトンの透明化の能力によって従わされ、葛代斎下(サイケ)との戦いに参戦させられる。炎を利用することによって遠距離からサイケを仕留めようとするが、墨を入れた水風船で目を潰されてしまい、その隙を突かれる形で倒された。

Dr.ミュウトン

透明化の能力を持つ、能力保持者の男性。オネエ言葉で喋り、見るからに怪しげな雰囲気を醸し出している。能力についての研究に没頭しており、目的を果たすためなら、他の能力保持者を傷つけることも厭わない危険人物。氷頭栄治を拉致して、能力保持者を探す手伝いを強要すべく拷問を行うが、時間逆行の能力によってこれを知った葛代斎下(サイケ)と戦い、敗れた。 このことでサイケに惚れこんでしまい、のちに氷頭たちの前に現れて、サイケの命が尽きようとしていることを忠告している。

猫カフェの店主 (ねこかふぇのてんしゅ)

猫カフェ「ひげねこ」の店主を務める男性。猫化の能力を持つ能力保持者で、すべての人間を猫に変えることで、猫の国を作り上げようと画策していた。そのたくらみを見破った葛代斎下と氷頭栄治に拘束されることで降参し、「ひげねこ」を閉店することを条件に見逃される。しかし、直後に訪れた黒田ユメヲから能力消去を受け、能力を失ってしまう。

田谷 (たたに)

刃弾の能力を持つ、能力保持者の少年。自らの持つ能力に絶対の自信を持っており、これを用いることで気に入らない人間たちに怪我を負わせてきた。しかし、黒田ユメヲを襲撃したことで、ネガティブレインを敵に回すことになってしまい、椎名町雪とカリム・クリスタンヴァルの能力によって拘束された挙句、ユメヲによって能力を消去された。

ウーズラ

ネガティブレインに所属している、能力保持者の青年。顔に大きな継ぎ接ぎの痕が残っている大柄な男性で、間延びした口調で喋る。常軌を逸した防御力を備えており、田谷の刃弾を複数受けても傷一つつかないというタフネスぶりを見せた。

カリム・クリスタンヴァル (かりむくりすたんゔぁる)

ネガティブレインに所属している、能力保持者の少年。鎖化の能力を持つ。戦闘の際には、ロールプレイングゲームのメッセージのような言動を取る飄々とした性格の持ち主。しかし、人の命を軽視したり、相手をザコキャラ呼ばわりするなどの問題行動が目立つ。

椎名町 雪 (しいなまち ゆき)

ネガティブレインに所属している、能力保持者の少女。静寂の濃霧の能力を持つ。口数が少なくおとなしい性格だが、プライドが高い一面を持ち、時には辛らつな物言いも辞さない。のちにウィル・クルーニーに洗脳され、ヨハン・ディートリッヒの味方として葛代斎下らの前に立ちはだかった。

十条 魔胡 (じゅうじょう まこ)

ネガティブレインに所属している、能力保持者の少女。ハムスター化の能力を持つ。ネガティブレインの中ではウィル・クルーニーと並んで幼く、天涯孤独の身であったところを黒田ユメヲに拾われ、ネガティブレインに迎えられた。このためユメヲのことを強く慕っており、逆神夕貴との戦いでは、苦戦を強いられたユメヲを救援するため葛代斎下を頼っている。

峰岸 マサムネ (みねぎし まさむね)

ネガティブレインに所属している、能力保持者の青年。植物操作の能力を持つ。常に度が入っていない眼鏡をかけている。氷頭栄治とは二度に渡って因縁があり、二度目の戦いにおいては、能力を使うことで彼を殺害している。しかし、葛代斎下の時間逆行の能力で氷頭の死をなかったことにされたうえに対策を施され、敗北する。 その後ウィル・クルーニーの説得力が解け、無敵優子とともに黒田ユメヲのもとに戻っている。

東雲 静丸 (しののめ しずかまる)

ネガティブレインに所属している、能力保持者の青年。巨像化の能力を持つ。高校時代は野球部に所属しており、甲子園に出場した経験がある。ヨハン・ディートリッヒや椎名町雪とともにネパールを訪れ、能力を使うことで癒し神であるプンの身柄を奪い取り、それを阻止しようとする氷頭栄治およびアナ・エガートンを迎え撃った。

無敵 優子 (むてき ゆうこ)

ネガティブレインに所属している、能力保持者の少女。万力の能力を持つ。アナ・エガートンとは歳も近いためか仲が良かったが、アナが葛代斎下の仲間になり、無敵優子もウィル・クルーニーに洗脳されてヨハン・ディートリッヒの傘下に納まったため敵対関係となり、やがて直接対決にまで発展する。 その際には、アナの弱点の1つである「変な顔」を見せることで戦局を有利に導こうとした。

八乙女 研二 (やおとめ けんじ)

ネガティブレインに所属している、能力保持者の青年。タイヤ化の能力を持つ。陽気で仲間想いな性格の持ち主で、中でも頑なで孤立しがちだったアナ・エガートンを気にかけていた。アナが独断で葛代斎下と戦おうとした際も、助太刀のために駆け付けて、氷頭栄治に立ち向かうなどの活躍を見せた。アナも表向きは八乙女研二を鬱陶しがっていたが、内心では感謝している素振りを見せている。

ウィル・クルーニー (うぃるくるーにー)

ネガティブレインに所属している、能力保持者の少年。説得力の能力を持つ。ヨハン・ディートリッヒに懐いており、彼に言われるままに仲間たちを洗脳し、黒田ユメヲから離反させている。本心からヨハンに従っている唯一の人物だが、その真意は不明。基本的には無邪気な性格で、八乙女研二をからかって楽しむこともあるが、時折冷徹な面も見せる。

シルヴァーノ・ダ・ヴィンチ (しるゔぁーのだゔぃんち)

ネガティブレインに所属している、能力保持者の青年。シルヴァーノ・ダ・ヴィンチ自身を含めた、マントに包み込んだ対象を瞬間移動させる能力を持っている。表情の変化に乏しく、常に真顔でいる。現在はウィル・クルーニーの説得力で洗脳されており、ヨハン・ディートリッヒのもとで、主に情報収集のために動いている。

黒田 ミユキ (くろだ みゆき)

黒田ユメヲの妹。兄とは対照的にポジティブな性格の持ち主の少女で、周囲が羨むような明るさを放っている。そのため、他者の嫉妬を買うことも多く、一度はそれを妬んだ人物によって毒殺されそうになるが、これを余地夢で先読みしていたユメヲに救われている。しかしその後には、逆神夕貴の夢SNSを受けて昏睡状態に陥ってしまうなど、災難に遭いやすい。

赤井 ヒトミ (あかい ひとみ)

アナ・エガートンが日本に来て初めてできた友達。中学校の陸上部に所属していたが、勝てないかもしれないという気負うあまり、プレッシャーに苦しんでいた。このため、アナはガムテープ化の能力で、秘かに赤井ヒトミを助けようと決意するが、その結果ヒトミは失格となってしまい、アナに絶縁を迫ってしまう。しかし、実際はお互いに仲直りしたいと考えており、アナが勇気を出して謝ったことで和解。 現在は以前と同様、良き友人として付き合っている。

逆神 夕貴 (さかがみ ゆうき)

夢SNSの能力を持つ、能力保持者の青年。その能力によって多くの人々を昏睡状態に陥らせており、世間では「眠らせ魔」と呼ばれ恐れられている。昏睡させた人の中には黒田ユメヲの妹である黒田ミユキも含まれており、ユメヲから長きにわたってその足取りを追われている。夢の中に捕らえた人物を奴隷のように扱う残虐な男で、ユメヲからはもちろん、葛代斎下からも強い敵意を向けられている。

王 澤 (わん ちう)

逆神夕貴と協力関係を結んでいる、能力保持者の青年。袖操作の能力を持つ。遠距離からの奇襲を得意としており、氷頭栄治との戦いでは、彼の使う発泡スチロール化の弱点を突き、ガソリンを満載したドラム缶を投げるという戦法で彼を苦戦させた。

イゴール・アシモフ (いごーるあしもふ)

逆神夕貴と協力関係を結んでいる、能力保持者の少年。イゴールinイゴールの能力を持つ。アナ・エガートンに一目惚れしており、妻に迎えると公言してはばからないが、アナからは非常に嫌がられている。イゴール・アシモフ本人は、能力を正義のために使おうと志しているが、逆神が悪人だと知らないまま手を貸しており、アナと戦って敗北した後にその事実に気づいて、アナや葛代斎下らに謝罪をした。 老け顔だが実際は16歳である。

ラジュ

ネパールでガイドを務めている、能力保持者の青年。ゲル化の能力を持つ。臆病かつがめつい性格で、ことあるごとにガイド料を要求し、氷頭栄治やアナ・エガートンを呆れさせている。しかし、ヨハン・ディートリッヒとの戦いにおいては氷頭たちに力を貸し、能力によって椎名町雪を撃破するチャンスを生み出した。 将来の夢はカトマンズでホテルを経営すること。

ランビデ

ネパールでクマリと呼ばれる巫女を務めている、能力保持者の少女。命視眼の能力を持っており、参拝に訪れる人たちの寿命を見て今後の生き方を諭す、優しい性格の持ち主である。時間逆行の能力を酷使したことによって葛代斎下(サイケ)の命が残り僅かであることを知り、それを見抜いた氷頭栄治だけに、サイケの残りの寿命を伝えた。

ゴビンダ

ネパールのポカラで料理長を務めている、能力保持者の青年。単身赴任中で、家族と離れて暮らしている。洗脳系の能力を使い、モモと呼ばれるネパール料理を食べたくなるように客に仕向けていたところ、氷頭栄治たちの怒りを買い、懲らしめられた。しかし悪気があるわけではなく、純粋に料理を楽しんでほしいと考えていたため、能力を悪用しないことを条件に見逃された。 かつて日本に在住しており、日本料理も得意としている。

グルン

ネパールのチトワン国立公園でガイドを務めている、能力保持者の青年。宿借の能力を持つ。エレファントサファリと呼ばれる仕事をしているが、その中で巨大な虎と遭遇し、負傷してしまっていた。しかし、葛代斎下と仲間たちが虎を捕獲し、ことなきを得る。カトマンズに恋人がおり、近々プロポーズをしようと考えている。

ガラブ

ネパールのヒマラヤ山脈で、2人の弟とともに盗賊行為を繰り返している、能力保持者の青年。ヒル化の能力を持ち、山を通りがかった観光客に対して大量のヒルをけしかけ、金品を強奪するという所業を働いている。容赦のない性格だが弟たちには優しく、時折山を下りてはヒヨコを買って来てプレゼントしている。

ディペス

ネパールで案内役を務めている、能力保持者の男性。空間移動の能力を持つ。癒し神であるプンと引き合わせるための案内料として1000万円相当の金額を要求するなど、非常にがめつい性格と思われるが、金を欲しているのは故郷を発展させるためである。腕っ節が非常に強く、かつては方々でケンカを続けていたが、結婚してからは丸くなり、良き父として慕われている。

プン

ネパールで伝説化されている、癒し神と呼ばれる存在。完全治癒の能力を持つ。90歳相当の老人といわれているが、現在は能力を使った反動で若返っており、葛代斎下と邂逅した時には赤ん坊の姿で、あと一度能力を使えば消滅してしまうといわれている。さらにその能力に着目したヨハン・ディートリッヒに狙われており、東雲静丸の能力によってさらわれてしまう。

ロマ

プンの孫で、彼の世話をしている少女。プンが自らの命を削って完全治癒の能力を使っている様子を常に見ており、悲壮な想いを抱いている。倒れてしまった葛代斎下の看病をしていたが、彼の頼みによってゴーキョ湖を紹介し、これによって、時間逆行でヨハン・ディートリッヒを追い詰めるチャンスが築かれた。

平安 英雄 (ひらやす ひでお)

葛代斎下と同じ学校に通っている、2年生の少年。桃山のグループに恐喝されており、恐怖と絶望の中で日々を過ごしていた。その恐怖心によって怪物化の能力を獲得するが、まったく制御ができず、奈良や桃山に重傷を負わせることで、学校の生徒や警察から、恐怖をまき散らす対象として追われることとなる。

奈良 (なら)

葛代斎下と同じ学校に通っている、2年生の少年。桃山の舎弟で、彼の意を受けて平安英雄を恐喝し、金品を強奪していた。しかし、このことが平安に怪物化の能力を獲得させるきっかけとなり、怪物となった平安に重傷を負わされ、入院する羽目になった。

桃山 (ももやま)

葛代斎下(サイケ)と同じ学校に通っている、3年生の少年。舎弟である奈良たちを使って、恐喝などを繰り返している。ある日奈良が襲撃を受けたことで、それに平安英雄が関わっていると疑い、殴る蹴るの暴行を加える。さらにはそれを止めようとしたサイケにも暴力を振るうが、彼と同行していた氷頭栄治によってあえなく成敗された。

神宮寺 甲太郎 (じんぐうじ こうたろう)

風船化の能力を持つ能力保持者の青年で、神宮寺乙次郎の兄。強い正義感を持っており、弟に対して胸を張れる兄であれるようにと振る舞っている。アニメショップにペアルックのTシャツを買いに行った際に、葛代斎下(サイケ)およびアナ・エガートンと知り合い、サイケからはその人柄に好感を抱かれる。しかし、御針勇童によって乙次郎を誘拐され、人質に取られる形で犯罪行為に加担させられてしまう。

神宮寺 乙次郎 (じんぐうじ おつじろう)

神宮寺甲太郎の弟。兄を強く尊敬しており、額には「ガンバレ兄ちゃん」と記された鉢巻きをしている。両親を失っており、貧しい生活を強いられているが、そのことを悲観することなく、常に前向きな姿勢を取る健気な少年。だが、ある時甲太郎の持つ風船化の能力を利用するための人質として、御針勇童に囚われてしまう。

御針 勇童 (みばり ゆうどう)

能力保持者の青年。刺繍が趣味で、人前で縫物をしたり、作り上げた作品を披露することがある。典型的な「悪の能力保持者」で、神宮寺乙次郎を人質に取り、神宮寺甲太郎に犯罪行為の手伝いをさせるなどの非道を働き、葛代斎下らの怒りを買う。空中に立ったり、人体に刺繍を施す能力を持っており、直接対決の際にはこれを奇襲に用いることで、アナ・エガートンを翻弄した。

集団・組織

ネガティブレイン

黒田ユメヲが設立した、能力保持者による組織。能力保持者の探索と、自らの能力を悪用する者の粛清を目的としていた。しかしある時、ヨハン・ディートリッヒによって掌握され、能力保持者だけの世界を現実化するためという新たな目的を掲げて再始動した。葛代斎下は、ウィル・クルーニーの説得力による洗脳を受けることで、一時的にこの組織に在籍したことがある。

場所

モグラ池 (もぐらいけ)

葛代斎下(サイケ)が住む街にある池。待ち合わせのスポットとして利用されている。サイケはこの池に飛び込むことで時間逆行の能力が発動するため、彼にとっては馴染みの場所となっており、この場所で能力保持者と争うことも多い。

ゴーキョ湖 (ごーきょこ)

ネパールの山奥にあるという、巨大な湖。癒し神であるプンも訪れたことがあり、彼いわく、ネパールの神が住んでいるという。ヨハン・ディートリッヒにプンを奪われ、さらに氷頭栄治とアナ・エガートンが殺害されたので、葛代斎下(サイケ)が時間逆行の能力を使うためにこの湖が使われた。モグラ池以外の水場が使われるのは初めてで能力が発動する保証はなかったが、サイケが実際に飛び込んでみたところ、時間逆行が発生し、このことがヨハンたちを打倒するきっかけとなった。

その他キーワード

能力 (おらくる)

10年前に突如発生し、その時を境に人間によって使用されるようになった謎の力。物質の形状を変化させたり、見えないものを見ることができたりと、その特性は多岐に渡る。老若男女問わずに発現するが、その原因は現在も明らかにされていない。ただし、願望の産物ではないかという説があり、強く何かを願ったことで能力を得るというケースが実際に存在している。 なお、能力を使用できる人間のことを能力保持者と呼ぶ。

能力保持者 (おらくるほるだー)

能力を使用できる人間の総称。10年前より世界中で発見されている。能力の覚醒は突然発生するとされており、目覚めたことに気づいていない能力保持者も多数存在していると推測されている。また、氷頭栄治や黒田ユメヲなど、複数の能力を持つ能力保持者もごく稀に存在する。

時間逆行 (じかんぎゃっこう)

葛代斎下(サイケ)が使用する能力。モグラ池で溺れて死ぬことで、その日の朝7時に戻るというもので、その間の記憶を引き継ぐことができる。サイケ以外の人物はまったく同じ行動を繰り返すため、これを利用して事故に遭う予定の人物を救助したり、敵の能力保持者の行動パターンを把握したりすることが可能。しかし、身体はもとに戻るが脳はリセットされないため、同じ日を繰り返すことで精神的な疲労が蓄積していくという欠点を持っており、能力を使い続けると、脳に多大なダメージを被ることになる。

発泡スチロール化 (はっぽうすちろーるか)

氷頭栄治が使用する能力。触った物質を、発泡スチロールに変質させる。変質した物質は誰でも容易に持ち上げたり、砕くことができるようになるが、見た目は変わらないため、能力を知らない人間からは氷頭が怪力を得たと思われることが多い。また、電柱などを発泡スチロール化して持ち上げ、相手に振り下ろした瞬間に能力を解除することで、強力な武器として用いることも可能となっている。 ただし、生物や液体、気体などの物質は発泡スチロールに変えることができない。

力の煙 (ちからのけむり)

氷頭栄治が使用する能力。能力保持者とそうでない人間を見分けることができるというもので、氷頭の目からは、能力保持者の頭から煙が立ち上っているように見えている。氷頭自身はこの能力を、能力保持者なら誰でも修得できる考えており、葛代斎下に教えようとしたが、実際は氷頭のみが使用できる能力であることが判明した。

氷頭パンチ (ひずぱんち)

氷頭栄治の放つ、渾身の右ストレート。能力とは何の関係もないが、氷頭はもともとケンカが非常に強いため、並の能力による攻撃より威力が高い。氷頭は敵の能力を封じた後のトドメとしてこの攻撃を多用しており、王澤や峰岸マサムネなどを倒している。

ガムテープ化 (がむてーぷか)

アナ・エガートンが使用する能力。物質をガムテープに変化させ、操ることができる。変化したガムテープは非常に強い吸着力を持ち、なおかつ頑丈で、普通の方法では破壊することができない。また、遠くの床や壁などにガムテープを飛ばして接着させ、能力を解除して引っ張られることで、瞬時に遠くに移動するという応用も可能となっている。

余地夢 (よちむ)

黒田ユメヲが使用する能力。翌朝の出来事を夢の中で予知することができる。予知できる内容は悪いことのみで、夢の中で見た映像は必ず現実のものとなる。しかし、見られる映像は断片的なものであるため、映像に映っていない部分は操作する「余地」が生まれるが、確実な対策を取れないという欠点にも繋がっている。

能力消去 (おらくるでばっぐ)

黒田ユメヲが使用する能力。相手の頭を触り、能力の放棄を宣言させることによって、その対象の能力を消去することができる。頭を触れられた相手は、能力の放棄を宣言しない限り絶え間なく激痛が走り続け、やがては死に至る。そのため、一度頭を触れられれば、能力を保持する術は事実上存在しない。ただし、消去には時間がかかるうえに、頭を触れ続けないといけないため、実行するには相手の動きを封じる必要がある。

分裂 (じぇみに)

長髪の能力保持者が使用する能力。能力保持者自身や、所持しているものを2つに分裂させることができる。持っている武器を分裂させることで避けにくくしたり、足を4つに増やすことで、落下時の衝撃を和らげるなどの用途に用いられる。なお、使用者本人が気絶すると、能力が解けて元に戻ってしまう。

発火 (ふらんべ)

モヒカンの能力保持者が使用する能力。両手から炎を放射することができる。放たれた炎は、床や壁にぶつかると大きく燃え上がる。また、構えを変えることで、放射される炎を渦状に変形させ、さらに対象を追尾させることも可能となっている。

透明化 (すけるとーる)

Dr.ミュウトンが使用する能力。使用者自身や、所持しているものを透明に変えることができる。その特性上、奇襲に高い効果を発揮する他、Dr.ミュウトンの趣味で、拷問器具を透明化させて恐怖を煽るといった使い方もされている。しかし、時間逆行によって手の内を把握した葛代斎下に対しては、高い効果をあげられなかった。

猫化 (ねこか)

猫カフェの店主が使用する能力。使用者の淹れた紅茶を飲んだ人間を、徐々に猫に変える。能力は身体だけではなく心にも作用し、最終的には身も心も本物の猫になってしまう。効果の現れ方には個体差があり、猫が好きな人間には効き目が強いが、犬など他の動物が好きな人間に対しては、なかなか効果が表れない。また、能力が解除されると人間の姿に戻るが、猫になっていた間の記憶は失われてしまう。

刃弾 (ぶれーどばれっと)

田谷が使用する能力。手のひらから無数の小さな刃を発生させ、弾丸のように発射することができる。刃は対象に命中すると消え失せるため、田谷はこの能力を使うことで多数の人間を傷つけ、凶器のない刺傷事件として世間を騒がせた。のちに田谷が黒田ユメヲの能力消去を受けることで、この能力は消滅した。

鎖化 (くさりか)

カリム・クリスタンヴァルが使用する能力。髪の毛を鎖に変化させ、使用者の思い通りに操ることができる。地面から鎖を伸ばし、相手の身体に巻き付け拘束する「鎖織部」と、先端に刃が仕込まれた鎖を相手に向けて発射する「鎖雪崩」の2種類を使い分けることが可能となっている。

静寂の濃霧 (さいれんとみすと)

椎名町雪が使用する能力。視覚と聴覚を完全に遮断する霧を発生させる。使用者本人と、使用者に触れている者はこの霧の影響を受けないため、一方的に攻撃を仕掛けることができる。ただし、発生した霧は気流に弱く、強風を巻き起こすことで容易に吹き飛ばされてしまうという弱点を孕んでいる。

ハムスター化 (はむすたーか)

十条魔胡が使用する能力。使用者が手にした物質をハムスターに変えることができる。ハムスターは口からヒマワリの種を弾丸のように発射する特性を持ち、遠距離からの狙撃などに大いに役立つ。ただし、魔胡の動体視力は常人と変わらないため、動いている相手には確実に命中させることができない。

植物操作 (しょくぶつそうさ)

峰岸マサムネが使用する能力。地面から植物を生やし、自在に操作できる。カリム・クリスタンヴァルが使用する鎖化に似ており、蔦を対象に巻き付けて動きを封じたり、任意の場所に運ぶ「芽吹の春」と、蔦の先を鋭利な刃に変えて対象を刺し貫く「蔦矛」の使い分けが可能。蔦矛は複数同時に展開することもでき、その破壊力は能力の中でも1,2を争う。 ただし、この能力を発動するにはかけた眼鏡に手を当てる必要があるため、眼鏡を奪われると能力をまったく発動できなくなる。

巨像化 (ぎがんと)

東雲静丸が使用する能力。自分の身体を身に着けている物ごと巨大化させ、強力なパワーとスピードを得ることができる。能力を発動している間は東雲の意識がなくなり、最初に下された命令をひたすら遂行し続ける。能力を発動するには身に着けているもので顔面をくまなく覆う必要があるため、衣服を破壊されると発動できなくなる。

万力 (あっくす)

無敵優子が使用する能力。筋力や走力など、身体能力を何倍にも引き上げる。能力が発動している間は、戦闘においてはほぼ無敵となるが、1日に3分間しか発動できないという欠点を持つ。そのため、一度発動させた後、ひたすら逃げ回ることで、この能力を攻略することができる。

タイヤ化 (たいやか)

八乙女研二が使用する能力。足につけたあらゆる物体をタイヤに変化させる。靴をタイヤ化することで高速で移動したり、崖を上ったりするほか、キック力を増強させるなど、幅広い応用が可能となっている。氷頭栄治との戦いにおいては、その走力を活かして、多方向からの奇襲を仕掛けるなどの戦法を取っている。

説得力 (はーとぶれいかー)

ウィル・クルーニーが使用する能力。手を握った相手に対して、どんな嘘でも信じ込ませることができる。一度能力を発動すれば、ウィルがそばにいる限りは解除されることがないが、ウィルから遠く離れてしまった場合は、5日ほどで能力が解除される。ヨハン・ディートリッヒは、ウィルにこの能力を使わせることで、ネガティブレインのメンバーを洗脳し、組織を掌握することに成功している。

夢SNS (ゆめそーしゃるねっとわーくさーびす)

逆神夕貴が使用する能力。相手の魂を抜き出し、使用者の脳内にある「ドリームランド」へと閉じ込めることができる。魂を抜き出された者は抜け殻となって眠り続けてしまうため、世間では原因不明の眠り病として恐れられている。さらに、使用した相手の能力を再現することができるため、優れた格闘家の魂を取り込むことで、使用者自身の戦闘力も上昇させることができる。 強力な反面、使用条件が複雑で、「相手に目を瞑らせる」「相手の顎を持ち上げる」「『ドリームランドへようこそ』と語りかける」、以上の手順を踏むことで、初めて能力を発動させることができる。

袖操作 (そでそうさ)

王澤が使用する能力。服の袖を、伸縮させたり湾曲させたりと、自由自在に操ることができる。伸ばした袖をぶつけてダメージを与えるほか、伸ばした袖で重い物を持ち上げたり、戦闘相手を持ち上げて落としたりと、さまざまな用途に活用できる。ただし、袖を発泡スチロール化されると大半の行動がとれなくなるため、氷頭栄治とは相性が悪い。

イゴールinイゴール

イゴール・アシモフが使用する能力。マトリョーシカのように使用者の身体から分身体を取り出し、ともに戦わせる。分身は自意識を持つため、イゴール本人と連携して攻撃することが可能。また、分身体からさらに小さな分身体を取り出すことができ、小さくなるたびにスピードが増して、対応することがより困難になっていく。ただし、5体目の分身体が能力の核になっており、これを傷つけられると、使用者本人にダメージが返ってしまう。

ゲル化 (げるか)

ラジュが使用する能力。使用者自身の身体を液状に変化させる。この能力を使用している間は高速で動き回ることができ、壁などの障害物も難なく乗り越えたり、他の人物を乗せて移動することも可能。東雲静丸との戦いでは、アナ・エガートンを乗せつつ高速で動き回ることでガムテープを巻き付ける戦法を取り、見事勝利を収めている。

命視眼 (みょうしがん)

ランビデが使用する能力で、見た相手の寿命を判別するというもの。寿命は日単位で見ることができるが、ランビデ本人はこの能力を所有していることを隠している。しかし、葛代斎下(サイケ)の寿命が残り僅かだと知ったことを氷頭栄治に見抜かれたため、彼だけには自らの持つ能力と、サイケの残りの寿命を伝えた。

宿借 (やどかり)

グルンが使用する能力。頑丈な壺の中に身体を隠すことができる。隠れている間は、壺を割られない限りは決して危害を加えられないため、グルンはこの能力を、主に猛獣から身を守るために利用している。ただし、1日の間に8時間しか入ることができないという制限がある。

ヒル化 (ひるか)

ガラブが使用する能力。物質を血吸いヒルに変化させ、自在に操ることができる。同時に大量のヒルをけしかけることができるため、相手は気持ち悪さと血を吸われる実害を被り、ガラブの格好の餌食となってしまう。また、使用者自身の衣服を溶かさせるなど、細かな命令を下すことも可能となっている。

空間移動 (くうかんいどう)

ディペスが使用する能力。空間を歪ませることで、使用者自身と、使用者に触れているものを瞬間移動させることができる。ディペスはこの能力を使うことで、癒し神が住む街への送迎を行っている。また、戦闘においては、相手の攻撃を避けるために使用することもあるが、能力の特性上、一度敵に掴まれると、距離を空けるための活用ができなくなってしまう。

完全治癒 (ぱーふぇくときゅあ)

プンが使用する能力。ありとあらゆる怪我や病気を治療し、その怪我や病気を患う以前の状態以上の体力を得ることができるようになる。数ある能力の中でも特に希少、かつ強力な能力であるとされるが、発動するごとに使用者の身体が若返るというデメリットがあり、一定回数以上使用すると胎児になって消滅してしまうといわれている。

怪物化 (かいぶつか)

平安英雄が使用する能力。使用者自体の身体を、鋭い牙と爪を持つ怪物へと変身させることができる。爪の一振りで重傷を負わせることができるなど、破壊力に関しては突出した性能を誇る能力だが、発現当時は使用者である平安本人にも制御できなかったため、周囲を大混乱に陥れた。

風船化 (ふうせんか)

神宮寺甲太郎が使用する能力。使用者本人や、その周囲の人物の身体の一部に風船を発生させることができる。風船は強力な浮力を有しており、使用者自身を浮遊させて空中を移動したり、使用した相手の動きを封じたりすることも可能。ただし、甲太郎いわく、調子がいい時と悪い時の性能差が激しく、調子が悪い時は自分の頭に風船を発生させることしかできない。

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