BANANA FISH

BANANA FISH

画業40周年を超え、今なお第一線で活躍を続ける少女漫画界の大御所、吉田秋生が描いたサスペンスアクション。「バナナ・フィッシュ」の謎を巡って巻き起こる、NYの巨大マフィアと、ストリートキッズの抗争。そして、ストリートキッズを束ねるカリスマ的なリーダー・アッシュと、日本人の青年エイジの奇妙な友情。二つの軸を中心に展開されるスリリングなストーリーは、女性のみならず、男性読者をも大いに魅了。また、独特の空気感と共にリアルに表現されたアメリカの街並みは、ニュー・ヨークを生活の拠点とするミュージシャンの坂本龍一をして、「その精緻なマンハッタンの描きぶりに驚嘆した」と、言わしめるなど、大きな話題を呼んだ。小学館『別冊少女コミック』にて、1985年5月号~1994年4月号まで掲載。連載期間は、足かけ10年に及ぶ。1994年にラジオドラマ化、2005年に初の舞台化。2018年7月からは、フジテレビのノイタミナ枠でアニメが放送。コミックスは、オリジナルのフラワーコミック版が全19巻。1997年から刊行された小学館文庫版は、本編11巻に番外編エピソードをまとめた『ANOTHER STORY』1巻を加えた全12巻。さらに2018年3月9日には、オリジナルのフラワーコミックスに番外編を加えた復刻版BOXが刊行されている。

正式名称
BANANA FISH
ふりがな
ばなな ふぃっしゅ
作者
ジャンル
アクション
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あらすじ

ベトナムでの惨劇

1973年、サイゴン陥落をおよそ二年後に控えたベトナム戦争の最中、メコンデルタのドン・タムにおいて、米兵のグリフィン・カーレンリースが同じ分隊の兵士たちに向って、いきなり自動小銃を乱射。多くの死傷者がでるというショッキングな事件が発生。現場に居合わせたマックス・ロボは、グリフィンの足を撃って取り押さえる。その際、グリフィンは「BANANA FISH」という謎の言葉を口にした。

謎の不審死と「BANANA FISH」

ベトナムでの惨劇から12年後、NY(ニューヨーク)では、裏社会の顔役たちの不審死が相次いでいた。最初の事件は1月5日に起きたリチャード・バックの死。シンジケートとの繋がりを噂されていた彼は、護身用に所持していたピストル、S&Wで自らの頭を撃ち抜いて死亡。2件目の貿易商は、妻の目の前で窓から飛び降りて自殺。そして詐欺容疑で3度の逮捕歴があるジェフリー・ワッツは、自分が雇っていたボディ・ガードの喉を掻き切って殺害した後、自らも喉を切って自殺した。何れも自殺など微塵も考えそうにない、札付きの悪党ばかり。そんな男たちが僅か三ヶ月の間に立て続けに自殺したのだ。奇妙な事件の連続に、NY市警の刑事たちも頭を抱えるばかりだった。そんな折、NYのダウンタウンでストリート・キッズたちを束ねるアッシュ・リンクスは、銃撃によって瀕死の重傷を負った男と路地裏で遭遇。男はアッシュにロスのとある住所を告げ、中にアンプルが隠されたペンダントを手渡すと、「BANANA FISH」という言葉を残して息絶えた。男を撃ったのは、アッシュの手下2人。コルシカ系マフィアの大物、ディノ・ゴルツィネに命じられてのことだった。「取り決め」を破って手下に干渉されたことも腹に据えかねる問題だったが、何よりもアッシュの心に引っかかったのは「BANANA FISH」という言葉。それは、ベトナムから廃人同然の状態で帰還した兄が、発作を起こす度に口にする言葉だった。果たして「BANANA FISH」が意味するものとは? 人物。組織、それとも別の何かなのか。そしてディノとの関係は? 偶然手にした手がかりを元に、アッシュは「BANANA FISH」の謎を追究していく。

一方、ディノは、アッシュの動きを牽制するべく、手駒の一人であるマービン・クロスビーに命令を下す。マービンは、アッシュのグループに属しながらも彼に反感を抱くフレデリック・オーサーと手を組み、行動を開始する。アッシュの周辺が一気にきな臭くなる中、彼は一人の日本人青年と出会う。彼の名は奥村英二。NYのストリート・キッズを取材に訪れたカメラマン・伊部俊一の助手である。子供のような無邪気さでアッシュに接するエイジに、半ば呆れつつも、アッシュは彼の素朴な人柄に好ましさを感じた。

監獄のアッシュに迫る危機

オーサーの罠にはまり、殺人の濡れ衣を着せられたアッシュは、ディノと繋がりを持つ刑事によって逮捕されてしまう。しかも、ディノの差し金によって、アッシュは未成年であるにも関わらず、少年鑑別所ではなく、州立フォークナー刑務所に収監される。所内にはディノの息のかかった囚人たちも数多くいる。まさに絶体絶命のピンチである。だが、そんなアッシュを救おうと、手を差し伸べる者たちがいた。NY市警のアントニオ・ジェンキンズ警部と、その部下のチャーリー・ディキンソンである。一連の不審な自殺事件を調査していたジェンキンズは、自殺した男たちが全員、ディノと対立する組織と関わっていたことを突きとめ、事件の真相に繋がる手がかりを、アッシュが握っていると考えたのだ。幸運なことに、フォークナー刑務所には彼らの元同僚で、ジャーナリストのマックス・ロボが収監されていた。そこで彼らはロボと連絡を取り、アッシュの保護を要請。不承不承ながらもロボはその要請を受け入れ、同房となったアッシュを守るため、悪戦苦闘することになる。そんな中、アッシュがふいに口にした「BANANA FISH」という言葉に、ロボは激しく動揺。ロボは、アッシュの兄であるグリフィンの親友で、ベトナムでの一件以来、10年にも渡って「BANANA FISH」の謎を追い続けてきたのだ。

アッシュの暴走

ジェンキンズ警部の懸命な努力が実って保釈されたアッシュだが、兄の死を知って半ば自暴自棄となった彼は、とんでもない行動に出る。刑務所に迎えに来たチャーリーに銃を突きつけ、車を奪って逃走。成り行きでアッシュの逃走を助けた英二も、彼と同行することとなる。その後アッシュは、友人でありチャイナタウンのストリート・キッズを束ねるショーター・ウォンの伝手で、チャイニーズマフィアの李王龍と接触。彼の協力の下で、ディノの暗殺を企てる。しかし、計画はあわやという所でオーサーの横槍によって失敗。組織の総力を挙げて追われる身となったアッシュは、ロボ、ショーター、英二、伊部らと共にNYを離れることとなる。目指す先はケープ・コッド。アッシュとグリフィンの生まれ故郷である。グリフィンの残した手紙や写真から、改めて「BANANA FISH」への手がかりを探るのが目的だ。この帰郷によって、アッシュの幼少期の過酷な経験が明らかになる。

「BANANA FISH」の正体

NYを離れても、ディノによるアッシュへの執拗な追跡は、止むことが無かった。辛くも追手を撃退したアッシュたちは、「BANANA FISH」の謎を解明するため、ロサンゼルスへと足を運ぶ。アッシュにアンプルを渡した男が、死ぬ間際に口にした場所を調べるのが目的だ。ちなみに、ロスにはロボの元妻で、息子の親権を巡って係争中のジェシカ・ランディが住んでおり、アッシュたちはその家を当面の活動拠点とすることとなる。問題の住所は、カリフォルニア大学で病理学の教授を務めるアレクシス・ドースン博士の家らしい。ジェシカによると、ドースン博士はがん治療の権威であり、立派な人格者だという。話だけでは暗黒街との繋がりがありそうな人物とは思えない。取り敢えずアッシュたちは、博士の邸宅へ向うことに。そんな彼らの目の前で事件が起る。ドースン博士の息子のユーシスが、サングラス姿の男たちに誘拐されそうになっていたのだ。アッシュたちの介入で難を逃れたユーシスは、自分が元ハウスボーイの養子であること、博士は半年前から行方不明であることなどを語った。誘拐を企てた男たちは三日前にもドースン邸へ侵入し、博士の書斎を荒らしていたらしい。書斎に置かれていたパソコンに目を付けたアッシュは、パスワードを解明。ついに「BANANA FISH」の正体を突きとめる。「BANANA FISH」とは、20種以上のアルカロイドからなる複合生成薬物を示すコード・ネームだったのだ。しかも、コンピュータから引き出されたデータには、「BANANA FISH」への軍による関与をうかがわせるものもあった。「BANANA FISH」は、単なるマフィアの秘密に留まらず、国家レベルのスキャンダルである可能性が浮上してきたわけだ。一個人が復讐の手段として用いるには、余りにも危険すぎるネタと言える。アッシュの身を案じるロボは、説得を試みるものの、彼の決意は固い。また、そんな彼らの与り知らぬ所で、ディノはチャイニーズ・マフィアと手を結び、アッシュたちへの包囲網を狭めつつあった。

「BANANA FISH」の謎

チャイニーズ・マフィア李一族の李月龍の狡猾な罠にかかり、英二とジェニファーを人質に取られたアッシュ、ロボ、伊部の三人は、囚われの身となり、NYへ舞い戻った。そこで彼らは、「BANANA FISH」の真の効果を知ることとなる。アッシュの目の前に現れたのは、変わり果てたショーター・ウォンだった。正気を失ったように。うわごとを発しながら頭を抱える彼の姿は、まさにアッシュの兄のグリフィンとまったく同じ。そしてショーターは、英二を目にすると、ナイフを手に襲いかかっていく。「BANANA FISH」の正体は、投与された者の潜在意識へ、自在に命令を与えることが出来る洗脳薬。ショーターは、薬によって英二を殺すように洗脳されていたのだ。ショーターは薬物に心を蝕まれながらも必死に抵抗。アッシュに自分を殺してくれと懇願する。だが、鎖で縛られ身動きの出来ないアッシュには、どうすることもできない。そんな状況の中、「残虐なショー」の進行役を務めるオーサーは、一発だけ弾丸を装填した銃をアッシュの目の前に置き、彼の鎖を緩める。英二とショーター、二人の親友の窮地を目の前にしたアッシュの選択は? 一方、そんなショーをモニター越しに見つめながら、ディノは「BANANA FISH」を用いた今後の計画を話し合っていた。相手は軍部人間に、政界の大物と思しき男。「BANANA FISH」を巡る闇の策謀は、より一層深みを増していく。

アッシュの逆襲

李月龍の手引きと、チャイナ・タウンのストリート・キッズ、そしてオーサーの支配に反発する仲間たちの協力によって、アッシュは英二らと共に、ディノの屋敷からの脱出に成功する。屋敷を破壊されたディノは市警察に手を回し、アッシュをゴルツィネ邸襲撃事件の首謀者として指名手配。経済力を駆使してNY市長すら抱き込み、裏と表の権力を総動員して、なりふり構わぬ姿勢でアッシュの身柄を確保しようと手を尽くす。一方、自由の身となったアッシュは、一気に反転攻勢に出る。ハッキング・スキルを用い、主要な証券取引会社に偽の情報を拡散。コルシカ人財団のアメリカでの経済母体であるM&Cカンパニーの系列会社で、ディノが取締役を務めるウェブスター・エコム社に計画倒産の動きがある。と、信じ込ませ、株価暴落を誘導。加えて、コルシカ人財団が脱税や資金洗浄に利用していたタックスヘイブンのペーパーカンパニーから、裏の利益5000万ドルを横取り。財団におけるディノの地位を、大きく揺らがせるほどのダメージを与えた。その結果、ディノは事態を収拾するため、アメリカを離れざるを得なくなる。

だが、それはアッシュの逆襲の始まりに過ぎなかった。彼はクリス・ウインストンという偽名で裕福な資産家の息子に成りすまし、M&Cカンパニーを監視できる立地にある、マンハッタンの高級アパートを購入。そこを拠点として、ディノが不在のNYで次なる行動を開始する。ターゲットは、アッシュが不在の間にNYストリート・キッズたちのトップに上り詰めたオーサー。アッシュはオーサーの傘下に付いたグループのボスたちを次々と殺害。目撃者を一切残さない鮮やかな手際には、NY市警の面々も舌を巻くほど。追いつめられたオーサーは、アッシュと決着を付けるべく、中立の立場を取る黒人系ストリート・キッズのボス、ケイン・ブラッドの仕切の下で、一対一での決闘を申し出る。だが、その裏にはオーサーのしたたかな策略が隠されていた。

アッシュ死す!?

オーサーとの抗争にケリは付いたものの、その代償としてアッシュは重傷を負い、NY市警の拘束下で入院を余儀なくされる。そして、満足に身動きの取れないアッシュに対して、ディノと繋がりのある勢力がその手を伸ばす。彼らはFBIを動かしてアッシュを自分たちの管轄下にある「国立精神衛生センター」へ収容。自分たちの頭越しに事件を掠め取られた市警の面々が憤る中、さらに彼らを混乱させるニュースが報じられた。なんと、アッシュが収容先の「国立精神衛生センター」で死亡したというのだ。そのニュースは市警はもちろん、NY中のストリート・キッズたちにも衝撃を与える。そればかりか、アメリカに帰国したばかりディノにとっても、寝耳に水の出来事だった。ことの真相を確かめるべく、NY市警のジェンキンズは、チャーリーやロボ、そしてアッシュの弁護人であるジョージ・スコットらと共に「国立精神衛生センター」へ急行。そんな彼らの目の前で、アッシュの司法解剖が行われる。もはやアッシュの死は、疑いようのない事実であると思われた。ところが、かつてフォークナー刑務所においてアッシュと同じ房で過ごし、「BANANA FISH」に関わる勢力を潰すべく共闘してきたマックス・ロボの見解は違った。彼はアッシの生存を確信。司法解剖された死体は替え玉だと言うのだ。一連の流れの裏には、何か大きな陰謀が隠されているに違いない。そう感じたロボは、アッシュの救出に向けて動き出す。

アッシュを脅かす最強の敵

ロボの手引きが功を奏して、アッシュは「国立精神衛生センター」からの脱出に成功。そんな中、ディノはアッシュが引き起こした混乱に乗じ、コルシカ人材団から派遣された「BANANA FISH」プロジェクトの新たな舵取り役を殺害。奪われていた計画の主導権を、自らの手に取り戻す。そんなディノに接触してきたのは、李月龍。「BANANA FISH」プロジェクトの全容を掴んだ彼は、持ち前の知識を活かし、類似の効果を生みだす薬物を調合。兄である李華龍を、自分の意のままに動く傀儡に仕立て上げていた。その上で月龍は、ディノに手を結ぼうと提案してくる。ディノにとって邪魔となるコルシカ人材団の理事を月龍が片づける代わりに、月龍の兄弟たちを抹殺するのに協力して欲しい。と、いうのだ。かくして月龍とディノは手を結び、闇の計画が密かに開始されることとなる。

一方、ダウンタウンのストリート・キッズのトップに返り咲いたアッシュは、「BANANA FISH」プロジェクトを潰すべく、着々と行動を進める。ロボの伝手で、ニューズ・ウィークの記者と面会。「BANANA FISH」の効能、それを用いた国家レベルの陰謀、主導するメンバーなどの情報をリークする。さらに首謀者の一人であるキッパード上院議員の弱みを突いて、彼らの後ろ盾となっている者たちの情報を引き出そうと試みる。ところが、キッパードが口を割る寸前、一発の銃弾が彼の頭部を直撃。さらに、軍部でプロジェクトを推進してきたトーマス・ホルストック大佐までもが「事故」で死亡。事態は急速に動きだす。続いて謎の狙撃手は、アッシュにとって最大の弱点を狙いにかける。狙撃手の正体は「ブランカ(白)」のコードネームで知られる凄腕のプロフェッショナル。アッシュにとっては最も敵に回したくない、危険すぎる男だった。

暗黒街の後継者

ディノと李月龍の策謀によって、アッシュは自らの運命をディノに委ねざるを得なくなる。アッシュが密かに練り上げた「BANANA FISH」プロジェクトを潰すための作戦も頓挫。

アッシュを完全に支配下に置いたと確信したディノは、大胆にも彼をプロジェクトのアドバイザーに就任させ、アッシュの並外れた才能を組織のために活用していく。そればかりか、アッシュを養子に迎え、彼を自分の後継者として公表するというのだ。自らの意志に反する行動を強いられたアッシュは、次第に精神を蝕まれ、衰弱していく。自分のためにアッシュがカゴの鳥となることを選んだことを知った英二は、ダウン・タウンのストリート・キッズたちと共に、アッシュを救うべく、必死に打開策を探していた。そんな彼らの元に、チャイナ・タウンの新たなリーダーであるシン・スウ・リンから、ある情報がもたらされる。ディノが近々、ホテルで各界の有力者を集めた盛大なパーティを開くらしい。ディノはその場で、アッシュを後継者としてお披露目しようとしているのだ。英二たちはパーティ会場に潜入し、アッシュを取り戻す計画を立案。また、計画にシンだけでなく、ハーレムのボスであるケインも参加。さながら、人種を超えたストリート・キッズの連合軍といった体制で、アッシュ救出計画は実行されることとなる。

最終決戦

様々な困難を乗り越え、アッシュはディノの元からの脱出に成功。しかし、シンの仲間の一部は李月龍の配下に連れ去られたまま。アッシュたちにメンツを潰された形の月龍が、このまま何もしないわけがない。案の定、月龍は捕えたチャイナ・タウンのストリート・キッズを利用して、新たな罠をしかける。彼が狙いを付けたのは、シンの異母兄であるラオ・イェン・タイ。かつてのショーター・ウォンの親友にして片腕だった男であり、不可抗力とは言え、ショーターを手に掛けたたアッシュに反感を抱いている。そんなラオの胸の内を読みとった月龍は、彼の心に巧妙な「毒」を含ませる。また、月龍と同じくディノにしても、このままアッシュを諦める気は毛頭無かった。彼はエドアルド・フォックス大佐が率いる凄腕の傭兵部隊と契約。頭さえ無事なら身体がどうなろうと意に介さない。と、いう条件をフォックスに提示し、アッシュを再び我が手にしようと執念を燃やす。

一方、「BANANA FISH」関連のデータを失ったアッシュは、プロジェクトを潰すため、新た切り札を使うことを決意する。それは、ディノが運営する少年売春クラブの顧客データと現場を移したネガフィルム。客は殺されたキッパードだけではなく、上流階級や政府高官などの社会的地位の高い者も数多い。スキャンダルが明るみに出れば、ディノも只では済まない。だが、それはアッシュ自身の過去の傷を深く抉るもの。言わば諸刃の剣に等しい切り札だった。もはや後戻りは出来ない。ディノ、月龍、そしてアッシュ、それぞれの思惑の元、最後の決戦が始まろうとしていた。

メディア化ほか

テレビアニメ

2018年7月6日~12月21日 キャスト:内田雄馬、野村健児、川口紳司、釘宮理恵、森川智之 ほか

舞台

2005年版 11月5~14日シアターぷらっつ江坂、11月21~27日シアター代官山

キャスト:柄谷吾史、斎藤准一郎、山本健史、松木賢三、武原広幸 ほか

2009年版 4月11、12日 梅田芸術劇場シアタードラマシティ、4月18、19日 新国立劇場中劇場

キャスト:柄谷吾史、宮下雄也、山本健史、田中照人、武原広幸 ほか

2012年版 10月24日~11月4日 品川・六行会ホール

キャスト:磯村洋祐、竹内寿、柳憂怜、比佐一平、田中稔彦 ほか

2021年版 前後編二部作

前編2021年6月10日~20日 天王洲銀河劇場

後編2022年1月20日~2月6日 東京・品川プリンスホテル ステラボール

キャスト:アッシュ・リンクス役:水江建太、奥村英二役:岡宮来夢  ほか

ラジオドラマ

1994年初夏と1995年初夏 NHK-FM「青春アドベンチャー」枠内

2018年に再放送されていた。キャスト:古澤徹、井上和彦、生瀬勝久、橋本じゅん、吉田鋼太郎、古田新太 ほか。当時無名でいまは有名になった俳優・声優が多く出演していた。 

登場人物・キャラクター

アッシュ・リンクス

金髪に緑の瞳の整った容姿の男子。登場時17歳。「アッシュ(Ash)」は「灰」・「リンクス(Lynx)」は「山猫」を意味する。ニューヨーク・スラム街のストリート・キッドのグループリンクスを統括するボス。優れた頭脳と圧倒的な統率力を持つ。射撃・ナイフの腕も並外れている。 コルシカ・マフィアのボスディノ・フランシス・ゴルツィネの寵愛を受けながら、同時に男娼として利用されていた過去を持つ。常に冷酷非情とも取れる強い態度を崩さないが、陰では犯した罪や生い立ちに苦しむ。奥村英二と出会い、唯一彼に心を許すようになる。

奥村 英二 (おくむら えいじ)

黒髪で年齢の割には幼く見える日本人男子。登場時19歳で大学生。明るく穏やかな性格。カメラマン伊部俊一の助手としてニューヨーク・スラム街のストリートキッズの取材をした際アッシュ・リンクスと知り合い、行動を共にするようになる。高校時代は棒高跳の選手だった。

伊部 俊一 (いべ しゅんいち)

口髭を生やした日本人男性。プロのカメラマンで、奥村英二を助手としてニューヨーク・スラム街のストリート・キッズの取材に訪れた。奥村英二にとっては、高校時代からの兄貴分。

フレデリック・オーサー

金髪を逆立てた鋭い目の男性。背が高くやせている。ニューヨーク・スラム街に住む。以前はストリート・キッドのグループの中でアッシュ・リンクスを「ボス」と呼び服従していたが、恨みや妬みが重なり敵対する不良少年達のボスとなった。コルシカ・マフィアのボスディノ・フランシス・ゴルツィネに取り入り、彼の部下マービン・クロスビーと手を結ぶなど、あらゆる手を使ってアッシュ・リンクスを狙う。

マービン・クロスビー

金髪にサングラスをかけた、太めの男性。ニューヨークを本拠とするコルシカ・マフィアディノ・フランシス・ゴルツィネの手下。ディノ・フランシス・ゴルツィネの寵愛を受けていたアッシュ・リンクスを「ガキ」と呼びながら、密かに惚れている。

ディノ・フランシス・ゴルツィネ

スキンヘッドに口髭を生やした男性。ニューヨークに本拠を置くコルシカ・マフィアのボス。手下達からは「パパ」「パパ・ディノ」と呼ばれる。自らの野心のためにバナナフィッシュを追いかけている。かつてはアッシュ・リンクスを寵愛し、その才能を見抜き後継者として育てていたが、同時に男娼として商売に利用もしていた。

マックス・ロボ

短い金髪で逞しい身体の男性。フリーのジャーナリスト。元アメリカ陸軍軍人、ニューヨーク市警の警官であった経歴を持つ。アッシュ・リンクスの実兄グリフィン・カーレンリースとはベトナム戦争での戦友だった。日本人のカメラマン・伊部俊一とは、以前、出版社の企画を通してオブザーバーとして知り合う。

グリフィン・カーレンリース

ベトナム戦争に従軍した元アメリカ軍人、後に廃人同様の姿で登場する。アッシュ・リンクスの兄。ベトナム従軍時はマックス・ロボと同僚だった。密かにアッシュ・リンクスの看護を受けているが、時々「バナナフィッシュ」と口にする。

ジェシカ・ランディ

長い金髪の女性。「ペントハウス」の元モデルで、現在は雑誌記者。マックス・ロボの元妻で、彼との間に生まれた一人息子のマイケルを育てている。非常に気丈な上にタフ。アッシュ・リンクス達と共にバナナフィッシュを追う。

スキップ

アフロヘア―の小柄な黒人の男子。ニューヨークのストリート・キッドのグループリンクスの一員。仲間達も認める人柄の良さでリーダーアッシュ・リンクスの傍にいる機会が多かった。日本から来たカメラマン伊部俊一と助手奥村英二がアッシュ・リンクスに初めて会う際の取り次ぎ役をつとめる。

ショーター・ウォン

モヒカンにサングラスの男性。アッシュ・リンクスの親友の中国系アメリカ人。ロサンゼルス・チャイナタウンのストリート・キッドのボス格。気さくな性格で仲間想い。実家は中華料理店張大飯店で、姉のマーディアが切り盛りしている。後にチャイニーズ・マフィアを支配する李家の李華龍と接触する。

チャーリー・ディキンソン

巻き毛の金髪で、口髭を生やした男性。ニューヨーク市警21分署の刑事。真面目だが優しくお人好しで、情に流されて失態を犯すなど未熟なところがあり、上司のジェンキンズらに「坊や」と呼ばれる。フリー・ジャーナリストのマックス・ロボとはポリス・アカデミーの同期で友人。 バナナフィッシュに関わるうちに、ロサンゼルス・チャイナタウンのストリート・キッドのボスショーター・ウォンの姉マーディア・ウォンに好意を持つ。『カリフォルニア物語』にも登場する。

アントニオ・ジェンキンズ

黒髪で禿げあがった頭、口髭が特徴の中年男性。ニューヨーク市警21分署の刑事課長。飄々としているが、経験豊かで温情ある刑事。大の甘党で糖尿病を患っている。部下のチャーリー・ディキンソンと共に行動する。ストリート・キッドを率いて次々に事件を起こすアッシュ・リンクスに手を焼きながらも、その生い立ちを知り救おうとする。 『カリフォルニア物語』にも登場する。

ウィラード・エヴァンスタイン

黒髪で口髭を生やした男性。ニューヨーク市警の刑事。アッシュ・リンクスを殺人容疑で逮捕する。皮肉屋で尋問も粘っこく容赦ない。管轄を超えて事件を追うアントニオ・ジェンキンズとチャーリー・ディキンソンには批判的。

ワイゼンバーグ

金髪で体格の良い中年男性。州立フォークナー刑務所所長。未成年にも関わらず収監されたアッシュ・リンクスに対して冷酷な態度を取る。裏ではディノ・フランシス・ゴルツィネと通じている。

ドクター・メレディス

眼鏡をかけ、口から顎にかけ髭を生やした男性。通称「ドブさらい」モグリで堕胎手術をする産婦人科医。アッシュ・リンクスの兄で廃人同様になったグリフィン・カーレンリースの診察をする。またアッシュ・リンクスから託された薬物の分析を試みる。

ジョージ・スコット

黒髪で顔一面に髭を生やした太目の男性。マックス・ロボの友人であり、弁護士。マックス・ロボと元妻ジェシカ・ランディの、息子マイケルの養育権争いでマックス・ロボの弁護を担当している。マックス・ロボからアッシュ・リンクスの保釈手続きを依頼される。

マーディア・ウォン

黒い短髪の女性。一見、男か女か分からない中性的な容姿で憂いのある表情をしている。ロサンゼルスのチャイナ・タウンで張大飯店を開いている。弟ショーター・ウォンは中国系ストリート・キッドのボス。弟やその友人アッシュ・リンクスを狙う怪しい客が店に訪れることもあるが、淡々と相手をする。

李 王龍 (りー わんろん)

中国系の男性。表向きは銀行家だが、チャイニーズ・マフィアを支配する李家のボス。元の名は李大龍で、先代李王龍から実質支配権を引き継ぐと同時に李王龍の名も襲名した。ディノ・フランシス・ゴルツィネと通じアッシュ・リンクスの元に末弟・李月龍を送る。

ジェームズ・カーレンリース

巻き毛で口から顎にかけて髭をたくわえた男性。アッシュ・リンクスの父。マサチューセッツ州ケープ・コッドでバーを開いている。口が悪くアッシュ・リンクスとはお互いケンカ腰で話すが、息子に対する情愛は持っている様子。ジェニファという女性と暮らし、一緒に店を切り盛りする。

ジェニファ

金髪の女性。アッシュ・リンクスの父ジェームズ・カーレンリースと暮らしている。口の悪いジェームズ・カーレンリースの本心を知り、反目するアッシュ・リンクスとの仲を取り持とうとする。

アレクシス・ドースン

眼鏡をかけ頭頂部の禿げたユダヤ系の男性。カリフォルニア大学に勤務する病理学者・医学博士。悪性腫瘍の研究者として全米に知られた存在。学生時代にある薬物を偶然生成し、それを売ってしまう。しかしその恐ろしさを知り弟の医学者エイブラハム・ドースンに残った薬を破棄するように命じていた。

エイブラハム・ドースン

くせ毛の金髪に丸眼鏡をかけたユダヤ系の男性。悪性腫瘍の研究者として著名なアレクシス・ドースンの弟で同じく科学者。優秀な兄に対するコンプレックスがある。現在はコルシカ・マフィアのディノ・フランシス・ゴルツィネの配下で研究している。

李 月龍 (りー ゆえるん)

黒髪の長髪で整った顔立ちの中国系アメリカ人男性。アメリカ名はユーシス。登場時16歳。6歳の頃から薬草や毒、劇薬について学び、薬物に関する知識に長けている。チャイニーズ・マフィアを支配する李家の末弟で、兄に李王龍、李華龍がいる。アッシュ・リンクスを見て、自分と同じく「生きながら地獄に堕ちている」と感じる。 さらにアッシュ・リンクスと奥村英二の関係を知り、2人に対して憎悪の念を燃やす。

シン・スウ・リン

小柄な中国系の少年。チャイナ・タウンのストリート・キッドのリーダー格。見た目は幼いが、優れた指導力を持ち、俊敏で行動力がある。同じ中国系のストリート・キッドのショーター・ウォンを慕い尊敬している。一時アッシュ・リンクスに敵意を燃やす。アッシュ・リンクス・奥村英二を狙う李月龍の本心を垣間見ている。 『YASHA-夜叉-』『イヴの眠り』にも登場する。

ブランカ

長い黒髪で逞しい男性。穏やかな表情を浮かべている。かつてアッシュ・リンクスに戦闘技術を教えた家庭教師の一人。ブランカは「白」を意味するコードネーム。かつてアッシュ・リンクスが唯一心を開きかけた人物。ディノ・フランシス・ゴルツィネに隠遁先から呼び戻されアッシュ・リンクスを捕らえるために動く。 飄々としているが、戦闘能力は群を抜く。

ケイン・ブラッド

常にサングラスをかけた逞しい黒人男性。ニューヨークのストリート・キッドの黒人グループブラック・サバスのボス。「ブラッディ・ケイン」の異名を持ち、強面だが人情にも篤く男気がある。アッシュ・リンクスとフレデリック・オーサーの争いでは中立を宣言し、立会人を引き受ける。

マナーハイム

国立精神衛生センターの所長。公的医療機関の長でありながら、囚人を使って人体実験を行う典型的なマッド・サイエンティスト。実験体としてアッシュ・リンクスの身体で実験をしようとする。

ラオ・イェン・タイ

チャイナ・タウンのストリート・キッドの1人。チャイナグループのボス格シン・スウ・リンの異母兄。ショーター・ウォンは親友。アッシュ・リンクスに対して激しい敵意を燃やし続ける。

アレックス

ブロンドに灰色の瞳を持ち、釣り目で鋭い顔立ちが特徴の男子。ニューヨークのストリート・キッドのグループリンクスの一員。アッシュ・リンクスの片腕的存在。アッシュ・リンクスが不在のときはグループをまとめる役割を果たす。冷静で適切な判断力がある反面、挑発されると頭に血がのぼりやすい。

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