ヒーローと戦う悪の組織の舞台裏
本作は、ヒーローや悪の組織が存在する世界を舞台にしながら、それらの組織が株式会社や特殊法人として運営されているというユニークな世界観が特徴となっている。戦隊ものでおなじみの悪の戦闘員たちは、まるでブラック企業のサラリーマンのように過酷な労働に従事し、ヒーローに敗れると一般の社会人に紛れて電車で帰宅するという、どこか哀愁を帯びた日常を送っている。物語は、悪の組織である株式会社「ガングリオン」に勤める健司を中心に展開され、ヒーローとの激しい戦闘や、作戦遂行のために起動する巨大ロボット戦など、壮大なSFアクションが繰り広げられる。
株式会社「ガングリオン」で働くサラリーマンの激闘
2000年代初頭の東京では、大企業「ガングリオン」が運営する悪の組織「ベルベ軍団」と、特殊法人「日本平和開発機構」に所属するヒーローのホープマンが激しく対立していた。表向きは敵対関係にあるものの、その裏ではさまざまなルールが決められ、両者はベルベ軍団の世界征服を目指す活動と、それを阻止するヒーローの戦いを繰り広げている。ベルベ軍団の主任、健司は、中間管理職という微妙な立場で、上司のシャドー大佐からの無理難題に悩まされながらも、中途採用やアルバイトを含む部下たちを率いてホープマンと戦っている。そして、帰りにはお気に入りのおでん屋で愚痴をこぼす日々を送っている。敗北を覚悟のうえで、健司は愛する家族のため、「東京スギ花粉作戦」や「富士山爆破作戦」といった危険な任務に挑んでいる。
ヒーローと悪役の奇妙な関係
これまで仕事と割り切ってホープマンと対峙してきた健司だが、自宅を訪れた際に、ホープマンが健司の義妹のユミコと交際しているという衝撃の事実が発覚する。この出来事をきっかけに、健司は戦いだけでなくプライベートでもホープマンと顔を合わせる機会が増えていく。その中で、ホープマンの素顔や、彼が抱える現実的な苦悩も明らかになる。ヒーローと悪役という立場を超えた奇妙な人間関係と舞台裏を通じて、健司を中心とした登場人物たちの仕事や人生に隠された悲哀が、コミカルかつ時にリアルなヒューマンドラマとして描かれる。
登場人物・キャラクター
磯辺 健司 (いそべ けんじ)
株式会社「ガングリオン」世界征服部門・ベルベ軍団の主任を務める男性。関西弁で話す。上司であるシャドー大佐の代理として軍団の指揮を執ることもあるが、基本的には中間管理職として、彼の理不尽な命令と覇気のない下っ端戦闘員たちの板挟みとなり、日々苦悩している。勤務中は黒を基調とした全身タイツとマスクを身にまとい、腕にはキャプテンマークを付けている。マスクを外すと、ごくふつうの中年サラリーマンの風貌である。家庭では、献身的な妻の節子と一人息子のタカシとの三人で暮らしている。仕事帰りに必ずおでん屋に立ち寄るのが日課で、数少ない理解者である屋台のオヤジに日頃の愚痴をこぼしている。
ホープマン
この世の悪と戦う使命を背負うヒーローの男性。特殊法人「日本平和開発機構」に所属している。株式会社「ガングリオン」と対立関係にあり、特に健司率いる「ベルベ軍団」とは最前線で激しい戦闘を繰り広げている。公の場で「平和を守る」と断言すると責任を問われかねないため、「希望」といった言葉に置き換えている。マント付きの白いスーツを身にまとい、「ホープサイン」を決めポーズにしている。実は宿敵である健司の義妹のユミコと同棲しており、真剣に結婚を考えている。この事実が健司に知られてからは、プライベートでは「兄さん」と呼び慕うものの、健司本人からは激しく嫌悪されている。
クレジット
- 原作
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白岩 久弥







