幼なじみとの甘い恋物語
となりの家に住む柏木美羽と東原慶太は、生まれてから13年間いっしょに遊んでいた幼なじみ。3年前、慶太はアメリカに引っ越してしまうが、その直前、美羽は慶太に告白されていた。しかし美羽は、母親がいなくなった悲しみから慶太の気持ちを受け止めきれず、冗談だとごまかしてしまう。そして二人は、そのまま気まずい思いを抱えたまま離れ離れになっていた。月日は流れ、美羽が高校生になった頃に3年ぶりに慶太が帰国し、自らの高校に転校してくる。久しぶりの再会に複雑な思いを抱く美羽であったが、大人になった慶太と再会して改めて自分の気持ちに向き合い、恋心を自覚する。一方の慶太は、告白をすでに過去のことだと考えており、「一番の友達」と公言して接してくる慶太に、美羽はほろ苦い思いを抱くのだった。
友情と恋の狭間で揺れる二人
美羽にとって慶太は、小さくてかわいい弟のような存在だったが、久しぶりに再会した慶太は超イケメンの大人へと成長していた。アメリカで暮らしていたことで距離感も近く、当たり前のようにハグしてくる慶太に、美羽はドキドキしっぱなし。そして、学校内外で多くの女子からの注目を浴びる慶太の姿を見て、美羽は心にモヤモヤとした感情を抱え込む。しかし美羽は過去に慶太をフッた経験から彼に対して一歩引いた立場になりがちで、現在の関係が壊れるのを恐れて何もできずにいた。一方の慶太は、美羽の母親が家から出ていって悲しんでいる彼女の姿を見て、美羽が人との絆を大切にしていることを知っていたため、告白してその関係を壊してしまったのではないかと恐れていた。だが、今度こそ「一番の友達」でいようと決意したことで、微妙にすれ違う二人の複雑な恋愛模様が展開される。
キミのとなりで青春を満喫
本作は幼なじみの美羽と慶太が、もう子供のままではいられない切なさを感じながらも、大人になりきれないジレンマを抱えていた。そんな思春期特有の多感な心情を、二人の関係の変化とともに情緒豊かに描いている。お互いに恋心を自覚しながらも、さまざまな恋の悩みを二人は正直な気持ちをぶつけ合って乗り越えていく。登場人物の魅力と成長する姿が綴られ、切なく甘酸っぱい青春ラブストーリーが展開される。
登場人物・キャラクター
柏木 美羽 (かしわぎ みう)
とある高校に通う女子。黒に近い茶色の髪を肩まで伸ばしている。年齢は17歳。幼い頃に母親が蒸発して父親と二人暮らしのため、若いながらも所帯じみており、スーパーの特売チラシをチェックするのが日課となっている。さらに、家事全般も一人でこなしている。幼なじみの東原慶太とは13歳まで家族同然に接していたが、ある日、弟同然の慶太から告白され、冗談だと誤魔化してしまう。それからは口も利いてくれなくなり、何日もしないうちに慶太は柏木美羽に何も告げずに引っ越してしまう。実は、慶太の告白が本気だと気づいていたが、母親がいなくなったことで人間関係の変化に過剰に反応し、無意識に慶太との関係が変わってしまうことを恐れた結果、告白を冗談だと片付けてしまっており、この出来事が美羽の中で深い罪悪感となっていた。帰国した慶太と再会したあと、慶太は過去の告白などなかったように、一番大事な友達として自分に接してくれるため、美羽は自身の気持ちと向き合って恋心を自覚するものの、過去の罪悪感から一歩を踏み出せずにいた。しかし、小林裕也に告白された際に、彼のまっすぐな好意に触れたことで自分の慶太への思いをあらためて認識する。そして、小林に感謝しつつも告白を断り、慶太に告白して付き合うようになる。
東原 慶太 (ひがしはら けいた)
柏木美羽と同じ高校に転校してきた帰国子女。明るい金髪を短く整え、瘦身長軀に甘いマスクのイケメン。柏木美羽の幼なじみで、3年前にアメリカに引っ越していたが、3年ぶりに帰国した。美羽とは家がとなり同士で、13歳まで家族同然に暮らしており、前と同じ家に住むことになってからも、以前と同様に家族ぐるみの付き合いをしている。美羽の母親が蒸発したあと、寂しさのあまり元気がなくなった美羽の姿を見て、自分がそばにいると約束した。成長するにつれて美羽を明確に異性として意識するようになり、3年前に告白した。美羽は告白を断ったことで東原慶太を傷つけてしまったと考えているが、慶太も母親の件がありながら告白したことで美羽を傷つけたと考えており、共に心に深い傷を残している。そのため今度こそは、美羽を傷つけないように「一番の友達」として彼女を支えようとしている。しかしこの気遣いが、美羽に「告白は過去のもの」と思わせるようになり、大きな気持ちのすれ違いを引き起こしてしまう。
書誌情報
キミのとなりで青春中。 全8巻 小学館〈フラワーコミックス〉
第1巻
(2008-12-24発行、 978-4091321589)
第8巻
(2011-09-26発行、 978-4091340382)