あらすじ
第1巻
女子高校生の片桐ヒナは、一つ年上の幼なじみ、幹八雲に片思いしていた。だが一方の八雲は、ヒナのスカート丈が短すぎると心配し、毎日手作りのお弁当を持参。さらには朝ごはんは食べたか、喉は乾いていないか、お小遣いは足りているかと、いつもヒナを子供扱いし、まるで保護者のような溺愛ぶりを発揮していた。その様子を知る学校関係者は、八雲を「ヒナのママ」と揶揄するほど。そんな親子のような関係から脱し、八雲と恋人同士になりたいと思っていたヒナは、一人の女性として意識されたい一心で、彼を振り向かせようとあの手この手で八雲を翻弄しようとする。しかし、いつもクールで動じない八雲は、世話を焼くことに反発しようとするヒナに、「お前が心配だから」と発言。その一言でぐうの音も出ないヒナは、結局いつまでたっても親子のような関係から抜け出せないままだった。そんな中、親友のさっちゃんからの助言を得て、ヒナは八雲にぴったりと体をくっつけ、抱き付くように寂しさを訴えてみる。しかし八雲からは、風邪を引いているんじゃないかと、いつものように心配されて玉砕。まったく効果がなかったことに苛立ったヒナは、暴力的に振る舞いつつその場を去る。すると、一人になった八雲は、ヒナとくっついたことで、まだ小さく頼りないと思っていたヒナの体の成長と柔らかさを実感し、悶絶しながらその場にしゃがみ込んでしまう。そして、八雲は例えようのない感情が沸き上がって来た自分自身に困惑するのだった。
登場人物・キャラクター
片桐 ヒナ (かたぎり ひな)
くせ毛ショートヘアの高校1年生の女子。一つ年上の幹八雲とは幼なじみ。幼稚園の頃から、いじめられているところを助けられたり、八雲から世話を焼かれたりしてきたため、彼のことをヒーローのような存在ととらえている。現在は一人の男性として思いを寄せているが、八雲からはいつも心配されたり、甘やかされたり、まるで娘のように過保護に扱われている。この状況を払拭し、恋人同士にステップアップしたい思いを抱えているが、女性として意識してもらえないことを悩んでいる。日々、いい女アピールのために、抱き付いてみたり、エプロンをつけて女性らしく家事をしてみたりと、さまざまな行動で八雲を翻弄しようとするが、エスカレートする八雲の過保護ぶりを止められずにいる。あまりにも自由のない状況から脱しようと、ある時、奮起して八雲からの自立を宣言。八雲を突き放して遠ざけ、今まで世話してもらってきたことをすべて自分ですることで、親子のような関係からの脱却を図ろうとする。しかしそれ以降、意気消沈し、自分はもう必要ないのかと涙する八雲の姿にほだされ、結局もとの過保護な日々に戻ることになる。
幹 八雲 (みき やくも)
高校2年生の男子。一つ年下の片桐ヒナとは幼なじみで、同じ高校に通っている。ヒナのスカートが短すぎることに気がつくや否や足が冷えると注意したり、毎日お弁当を作って来たり、喉が渇いていないかと飲み物を買い与えたりと、ヒナに対して異常なほどに過保護に接している。さらには休日にもヒナの自宅にやってきて、洗濯済みの下着をたんすにしまったり、朝ごはんを作ったりしている。そんなヒナにべったりで保護者のような様子から、校内では「ヒナのママ」と揶揄されている。実際、幼い頃から心配の対象だったヒナは、自分にとっていつまでも心配の種でしかなかったが、学校でヒナに抱き付かれて以来、彼女の成長を実感する。また、エプロンを付けて甲斐甲斐しく世話をされたり、柔らかい足の膝枕を体感するうちに、次第にヒナに恋心を抱くようになっていく。しかし、それを邪(よこしま)な気持ちと断じ、自分を戒めようと保護者としての意識をさらに上げることにし、ヒナへの心配および束縛を強めていく。自らヒナのママでいようと気を引き締めていたにもかかわらず、そうなればなるほどモヤモヤする思いが強くなっていくが、その気持ちの正体にはまだ自分で気づいていない。
片桐 舞子 (かたぎり まいこ)
片桐ヒナの母親。休日に幹八雲が自宅にやってきて、甲斐甲斐しくヒナの世話をしたりすることを知っており、自分の留守を八雲に頼むこともある。八雲の母親とは仲がよく、八雲とヒナの関係がどうなっていくのか、母親同士で外野から温かい目で見守っている状態。
さっちゃん
高校1年生の女子。片桐ヒナのクラスメイト。ヒナとは仲がよく、校内ではつねに行動を共にしており、放課後もいっしょに出かけることが多い。ヒナと何か話していると、どこからか現れた幹八雲に口を挟まれるが、いつものことなので慣れっこになっている。ヒナが八雲に思いを寄せていることを知っており、応援しているが、八雲のあまりの過保護ぶりを面白がっている節もある。
幹 風馬 (みき ふうま)
幹八雲の弟で中学生。幼い頃はかわいかったが、今はヤンキーとして地元で知らない人がいないほどグレている。目つきが鋭く、兄に対する当たりもキツイが、実は陰ながら八雲と片桐ヒナの関係を見守っており、誰よりも二人を応援している。外見と中身のギャップが激しく、少女漫画が大好きで、少女漫画を地で行くような兄とヒナの関係に萌え、それを間近で見られる八雲の弟に生まれてよかったとさえ思っている。もともとは、少女漫画好きであることを知られたくなかったというだけの理由で、不良の道に進んだが、周囲に「漢(おとこ)」のイメージが強くなりすぎてしまったため、今では生き辛さを感じ始めている。スマートフォンの待ち受け画面は、八雲とヒナがくっついて眠るツーショット写真だったが、下校途中に偶然ヒナをおんぶする八雲の姿を見かけ、こっそりと連写。その後はこのおんぶ画像を待ち受け画面にしている。八雲がヒナにマフラーを編んだり、ヒナからマフラーをもらって照れる様子を目の当たりにして萌えに萌え、うっかり本音を漏らしそうになりながらも、心の中で狂喜乱舞し悶絶している。
クレジット
- 原作