キャラクター

キャラクター

映画『キャラクター』のコミカライズ作品。漫画家志望の青年・山城圭吾は、たまたま目撃してしまった殺人犯・両角修一をモデルにした漫画を連載してヒットを飛ばし、幸せな生活を手に入れる。しかし逃亡を続ける両角は、山城の漫画のストーリーを模倣するかのような殺人事件を犯し、山城の前に姿を現す。殺人者の影に怯える山城と快楽殺人を繰り返す両角、事件の真相を追う刑事・清田の姿を描いたサイコサスペンス。小学館「月刊!スピリッツ」2021年5月号から7月号にかけて掲載された作品。

正式名称
キャラクター
ふりがな
きゃらくたー
漫画
ジャンル
サスペンス
レーベル
ビッグ コミックス(小学館)
関連商品
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あらすじ

複写された悪

漫画家を目指している山城圭吾は、絵は抜群にうまいながらも、生き生きとした悪役を描くことができず、アシスタントを続ける日々を送っていた。ある日、いつものように民家のデッサンをしていた山城は、船越家の殺害現場に偶然出くわしてしまい、犯人である両角修一の顔を目撃する。殺害された四人は食卓の椅子に紐で固定され、犯人もその食卓にしばらく座っていたという異様な事件だった。第一発見者として警察に事情調査される山城だったが、刑事の清田に犯人は見なかったと嘘をついてしまう。帰宅した山城は、目撃した犯人をモデルにしたキャラクターを、取り憑かれたかのように一心不乱に描く。いい人すぎてこれまで悪人を描けなかった山城だったが、実際の殺人鬼を目にしたことで、ついに読者の心をつかむような悪役を描くことに成功する。そんな中、船越一家殺人事件の犯人として辺見敦という男が逮捕されるが、その男が犯人ではないことは、報道番組で辺見の顔を見た山城だけが知っていた。事件から一年後、山城は船越一家殺人事件を基に描いた漫画「34」の連載を開始し、売れっ子漫画家の仲間入りを果たしていた。その作品に登場する殺人鬼「ダガー」は、ひそかに両角をモデルとしていたが、その事実は妻の夏美にも秘密にしていた。その後、山中の車内で原一家の四人が刺殺される事件が発生する。その事件の状況が「34」のストーリーと酷似していたため、刑事の清田は再び山城を訪ねるが、山城は当然関与を否定する。そんなある日、山城にファンだと名乗る一人の男が声をかけてくる。その男こそ、一年前に目撃した船越一家殺人事件の犯人である両角だった。

影なき共作者

山城圭吾の前に姿を現した殺人鬼・両角修一は、自分のためにリアルで芸術的な作品を描いてくれてありがとうと、山城に感謝を述べ、「34」のストーリーを模倣すべく山中の車内で原一家四人を殺したと伝える。そして車内に隠した凶器の包丁は、船越一家を殺した時の凶器と同じであることを山城に耳打ちして姿をくらます。両角の言葉を受けて山城は、「34」の中でも二つの事件の凶器が同じであったとのストーリーを展開させる。その後、現実に起こった山中での原一家殺害現場で発見された凶器が、鑑識の結果、船越一家を殺害したものと同じであることが判明。船越一家殺人事件の容疑者として逮捕、勾留されていた辺見敦は起訴を見送られ、釈放となった。後日、妊娠中の妻・夏美と共に病院を訪れていた山城の前に、再び両角が姿を現し、夏美に「34」を山城と共作していると告げるのだった。身の危険を感じた山城はその場を逃げ出し、妻と刑事・清田にすべてを告白し、「34」は休載を決断。そして再び山城の前に現れた両角は、休載しても自分は殺人事件を続けると宣言し、別の四人家族を惨殺。さらには辺見を言葉巧みにあやつり、清田を刃物で刺させる事件を起こす。

善悪の境界

清田が刺されたことを知った山城圭吾は、すべてを終わらせるために「34」の最終回を執筆する覚悟を決める。しかも、両角修一が最終回のストーリーを模倣するであろうことを見越して、自分たち一家が囮となって両角を捕まえるストーリーを描く。だが両角は姿を現さず、山城は夏美が狙われることに気づく。一方、病院で意識を取り戻した清田も夏美のもとへ向かう。山城が夏美のもとへ駆けつけると、護衛の刑事は殺されており、夏美にも刃物が向けられていた。

関連作品

映画

本作『キャラクター』は、映画『キャラクター』を原作としている。原作映画版は2021年6月に公開され、監督を永井聡がを務めた。キャストは、山城圭吾を菅田将暉、両角修一をSEKAI NO OWARIのFukase、清田を小栗旬、夏美を高畑充希、辺見敦を松田洋治が演じている。

小説

原作映画版『キャラクター』の小説版『キャラクター』が、小学館文庫より刊行されている。作者は原作映画版の原案と脚本を手掛けた長崎尚志。内容は、原作映画版の第何稿目かのシナリオを基に小説化したもので、後半からラストにかけてのストーリーは映画版とは大幅に異なったものになっている。

登場人物・キャラクター

山城 圭吾 (やましろ けいご)

漫画家を目指している男性。絵は抜群にうまいが、いつも新人賞止まりでなかなかデビューできず、万年アシスタントの状態が続いている。山城圭吾自身が善人すぎるため、リアルな悪役キャラを描くことができず、それがサスペンス作品を描く山城にとって致命的な欠点となっていた。ある日、いつものように民家のデッサンをしていた中で偶然、船越一家殺人事件の犯人・両角修一を目撃してしまう。その後、両角をモデルにした漫画「34」がヒットしたことで、売れっ子漫画家となり、妻の夏美も妊娠して幸せな家庭を築いていた。しかし山城の前に姿を現した両角が、山城の漫画のストーリーを模倣するような事件を起こしていることを知り、罪の意識と身の危険を感じている。

両角 修一 (もろずみ しゅういち)

髪をピンク色に染めている殺人鬼の青年。船越家の一家四人を鋭利な刃物で刺して殺害し、その遺体を椅子に紐でくくりつけて食卓を囲むように固定して、両角修一自身もその食卓にしばらく座っていた。その現場を山城圭吾に目撃され、山城が両角をモデルにした漫画「34」では、「ダガー」という名前の殺人鬼として描かれている。山城が自分をモデルにして「34」を執筆していることを知っており、その後も「34」のストーリーを模倣するような殺人事件を起こし、大胆にも山城の前に姿を現す。四人家族を幸せな家庭の象徴と考えているため、殺人のターゲットに選ぶことが多い。なお「両角修一」という名前は犯行のために第三者から買ったもので、本名は不明。

清田 (せいだ)

神奈川県警に勤務する刑事で、部長を務めている男性。四人が殺害された船越一家殺人事件の捜査を担当し、第一発見者である山城圭吾がなんらかの事情を知っているのではないかと疑っていた。その事件の犯人として辺見敦を逮捕したものの、山城が描く漫画「34」のストーリーと状況がそっくりな原一家殺人事件が発生し、再び山城の事件への関与を疑っている。漫画「34」を愛読しており、山城の漫画家としての才能も認めている。

夏美 (なつみ)

山城圭吾の妻。山城が漫画家志望の万年アシスタントだった頃から支えていた。山城が漫画「34」のヒットによって売れっ子漫画家になったことを喜んでいる。山城との子供も身ごもって幸せな状況ではあるが、執筆活動で多忙な山城の体を心配している。

辺見 敦 (へんみ あつし)

船越一家殺人事件の犯人として逮捕された男性。年齢は50歳。16歳の時に一家四人を殺害して、医療少年院に12年間収容されていた過去がある。現場の近くに住んでいたことと過去の犯行を理由に、船越一家殺人事件に関して職務質問を受けた際、逃走したために身柄を確保された。船越家の四人の殺害を認めているが、動機や犯行状況を自供していない。その後、起訴は取り下げられて釈放される。

その他キーワード

34 (さんじゅうし)

山城圭吾が漫画雑誌「ライジングサン」で連載している作品。リアルな描写で大ヒットしている。主人公の刑事が、同窓会で再会した元同級生の犯罪歴史学者、霊能力者の三人と協力しながら、連続殺人鬼のダガーを追うストーリーとなっている。三人の年齢が34歳で、3年4組出身ということが作品名の由来となっている。作中で描かれている最初の事件は、山城が第一発見者となった船越一家殺人事件を基に描いており、殺人鬼ダガーも両角修一をモデルにしている。

クレジット

原案

脚本

川原 杏奈 , 永井 聡

その他

江野 スミ

書誌情報

キャラクター 小学館〈ビッグ コミックス〉

(2021-05-28発行、 978-4098610877)

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