クジャクのダンス、誰が見た?

クジャクのダンス、誰が見た?

初連載作品『イチケイのカラス』に次ぐ、浅見理都の連載作品。現代日本を舞台に、22年前に発生した一家惨殺事件を軸とした冤罪事件の真相を追う物語。クリスマスイブの夜に起きた元警察官殺害事件から物語は始まる。容疑者として逮捕されたのは、山下が警察官時代に関わった一家六人殺害事件の犯人、遠藤死刑囚の息子、友哉であった。父の冤罪を信じる息子の怨恨による犯行と思われたが、山下が娘の心麦に遺した手紙によれば、友哉は冤罪だという。心麦は父の遺言に従い、弁護士の松風と共に真相究明に挑んでいく。本作は、冤罪をテーマにしたクライム・サスペンスである。親子の絆や心理描写を重視した人間ドラマが特徴で、過去と現在の事件が交錯する中、複雑な伏線が散りばめられ、緻密なストーリーが展開される。講談社「Kiss」2022年9月号から2025年4月号まで連載。2023年に「このマンガがすごい!2024」オンナ編第4位にランクイン。テレビドラマ化され、2025年1月から3月まで放送された。

正式名称
クジャクのダンス、誰が見た?
ふりがな
くじゃくのだんす だれがみた
作者
ジャンル
推理・ミステリー
 
サスペンス
レーベル
KC KISS(講談社)
巻数
既刊7巻
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作品の概要

基本情報

初連載作品『イチケイのカラス』に次ぐ、浅見理都の連載作品。

要旨と舞台設定

現代日本を舞台に、22年前に発生した一家惨殺事件を軸とした冤罪(えんざい)事件の真相を追う物語である。クリスマスイブの夜に起きた元警察官殺害事件から物語が始まり、過去の事件と現在の殺人事件が複雑に絡み合う構造となっている。

ストーリー展開

物語は、元警察官の山下春生の殺害事件をきっかけに動き出す。容疑者として逮捕されたのは、山下が警察官時代に関わった一家六人殺害事件の犯人、遠藤力郎死刑囚の息子であった。父の冤罪を信じる息子の怨恨による犯行と思われたが、山下が娘の心麦に遺した手紙には「以下に挙げる人物が逮捕、起訴されたら…その人は冤罪です」と記されており、そのリストには容疑者の名前も含まれていた。心麦は父の遺言に従い、弁護士の松風義輝と共に真相究明に挑んでいく。

ジャンル的特徴と位置づけ

本作は、冤罪をテーマにしたクライム・サスペンスである。親子の絆や心理描写を重視した人間ドラマが特徴で、過去と現在の事件が交錯する中、複雑な伏線が散りばめられ、緻密なストーリーが展開される。

連載状況

講談社「Kiss」2022年9月号から2025年4月号まで連載。

受賞歴

2023年「このマンガがすごい!2024」オンナ編第4位。

メディアミックス情報

テレビドラマ

2025年1月から3月までTBS系列にて放送。山下心麦を広瀬すず、松風義輝を松山ケンイチが演じる。

殺害された父からの一通の手紙

2022年12月24日、女子大生・山下心麦の父・春生は、放火殺人事件の被害者になってしまう。ほどなく逮捕された容疑者は、かつて父が逮捕した「東賀山事件」の犯人の息子・遠藤友哉だった。悲しみに暮れる心麦がなじみの屋台を訪れると、店主の染田から、父から預かったという紙袋を渡される。中には現金300万円と手紙が入っていた。手紙には自分が殺される可能性と「以下に挙げる人物が逮捕・起訴されたとしたら、その人は冤罪です」という一文が書かれており、そのリストに友哉の名も記されていた。そして、リストの誰かが逮捕されたら、松風義輝という弁護士にその人の弁護を依頼するようにと記されていた。

クジャクはダンスを踊っていたのか

本作のタイトルは、幼い頃、山下心麦が父・春生から聞いた「ジャングルの中で、踊るクジャクのダンス、誰が見た?」という言葉が基になっている。誰も見ていないジャングルで、クジャクが踊っていたかどうかは誰にもわからない、本当のことを知っているのはクジャクだけだという意味である。「自分に嘘をついたとしても、事実からは逃げられない」「逃げたら過ちを正す機会を失う」と続けた父は、何かを隠していてそれに向き合おうとしていたのかもしれない。もしそうなら、心麦は一人で苦しんでいた春生に気づいてあげられなかったことになる。そう考えた心麦は、父の手紙に向き合い、その指示どおりに動く決意をした。

すべての発端となる「東賀山事件」

物語の発端は、2000年7月7日に資産家の林川安成一家が殺害された「東賀山事件」。被害者は安成とその妻、父母、小学生の長男と長女の計6人で、手足を縛られ、らせん階段の手すりに吊るされた状態で発見された。生存者は、別室にいた生後半年の次女・歌のみで現在は消息不明である。最初は一家心中とされたが、2000年12月24日、第一発見者の力郎が容疑者として逮捕された。2022年の放火殺人が、力郎が逮捕されたクリスマスイブの夜に行われていること、遠藤友哉が放火で10年間服役しており、つい最近出所したこと、友哉のスマホから「東賀山事件」の捜査関係者の検索履歴があったことなどから、警察は、父・力郎を逮捕した山下春生への恨みから、友哉が犯行を行ったことを確信している。

登場人物・キャラクター

山下 心麦 (やました こむぎ)

21歳の女子大生。気丈な性格で行動力に富む。親戚からは天邪鬼とも言われている。幼い頃に母を亡くし、父・山下春生と二人暮らしをしていたが、2022年のクリスマスイブの夜、父が放火で殺害されてしまう。父とはとても仲がよく、週に一度はなじみの屋台で、一緒にラーメンを食べていた。自分宛てに遺された父の手紙がきっかけで、放火事件の容疑者・遠藤友哉の冤罪を晴らすため、弁護士・松風義輝に犯人の弁護を依頼する。

松風 義輝 (まつかぜ よしてる)

幼なじみの波佐見と共同で事務所を運営している弁護士。波佐見からは「テル」の愛称で呼ばれている。山下心麦の父・山下春生が遺した手紙の中で、容疑者の弁護を依頼するようにと指示されていた人物。春生とはまったく面識がない。心麦から依頼を受けるが、一連の出来事を不気味に思い、一度は断る。その後、心麦の真剣な思いを理解し、容疑者・遠藤友哉の弁護を引き受ける。

山下 春生 (やました はるお)

山下心麦の父親。2022年12月24日、自宅に放火されて亡くなる。享年65歳。元警察官で、2017年に退職したあとも、2022年5月まで交番で交通相談員として勤務していた。遠藤友哉の父・力郎が犯人とされた、2000年の「東賀山事件」の捜査に尽力した。妻の死後、男手一つで娘・心麦を育てており、娘のことを心から愛している。自分の死を予見しており、死んだあとのことを手紙に書いて心麦に託す。

遠藤 友哉 (えんどう ともや)

山下春生の殺害容疑で逮捕された33歳の青年。小さい頃、母親が家を出ていき、父・力郎と二人暮らしで育つ。2000年12月24日、「東賀山事件」の容疑者として父が逮捕されたあと、施設に引き取られる。施設では、ひどいいじめに遭ったり、母の友人をかたるマスコミに騙されたりして人間不信に陥る。20代になり、施設を出て就職するが職場になじめず、上司の家に放火し、10年間服役する。出所後は父の冤罪を信じ、「東賀山事件」を調べ始め、春生とも接触していた。

書誌情報

クジャクのダンス、誰が見た? 7巻 講談社〈KC KISS〉

第1巻

(2022-11-11発行、978-4065295458)

第2巻

(2023-04-13発行、978-4065312483)

第3巻

(2023-08-10発行、978-4065324653)

第4巻

(2023-12-13発行、978-4065335406)

第5巻

(2024-04-12発行、978-4065349403)

第6巻

(2024-11-13発行、978-4065372098)

第7巻

(2025-03-13発行、978-4065389812)

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