【推しの子】

【推しの子】

アイドルオタクの産婦人科医ゴローは何者かに殺害され、ゴローの最推しアイドルである星野アイが出産した双子の兄、星野アクアとして転生する。同じく転生した妹の星野ルビーと共に、アイを母親として慕いながらも同時にアイドルとして推し、アクアも実力主義の芸能界に身を投じながら、自らの幼少期にストーカーによって殺害されたアイの死の真相を探っていく姿を描いたミステリー。集英社「週刊ヤングジャンプ」2020年21号から掲載の作品。「次にくるマンガ大賞2021」コミックス部門1位。2023年4月テレビアニメ化。

正式名称
【推しの子】
ふりがな
おしのこ
作者
作者
ジャンル
推理・ミステリー
 
転生
レーベル
ヤングジャンプコミックス(集英社)
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

第一章 前世・幼年期編

アイドルオタクの産婦人科医ゴローのもとに、最推しアイドルの星野アイが妊婦としてやって来た。自分の目の前に大好きなアイがいることや、弱冠16歳で妊娠していることに混乱するゴローだが、出産の事実を隠蔽し、あくまでもアイドルにこだわるアイの姿を目にし、協力および応援していくことを決意する。しかしゴローはアイの出産予定日当日、何者かによって殺害されてしまう。次に目覚めると、ゴローはアイが出産した双子の兄の星野アクアに転生していた。さらにアクアの妹である星野ルビーも、実はかつてゴローにアイを推した少女、さりなの生まれ変わりだった。二人はお互いの正体を周囲に明かさないまま、乳児の頃から歩き回れることや、言葉を話せることを利用して、アイを可能な限りサポートしていくことを決意する。

第二章 芸能界編

母親の星野アイがストーカーに殺害されてから数年後、星野アクア星野ルビー斉藤ミヤコに引き取られ、中学生に成長していた。ルビーはアイにあこがれるあまり、自らもアイドルを志してオーディションに参加する一方、アクアは、アイを殺害したストーカーには情報提供者がいると推測し、さらにそれは自分たちの父親ではないかという疑惑を持ち、アイの交友関係を調査し続けていた。やがてルビーが正式に芸能事務所「株式会社苺プロダクション」の所属アイドルとなった頃、アクアとルビーは陽東高校への進学が決定する。そこには、かつてアクアが五反田泰志が監督を務めた映画で共演した有馬かなが在籍していた。かなが現在主演しているネット配信ドラマ「今日は甘口で」のプロデューサーが、かつてアイとかかわりがあったと考えられる鏑木勝也だと知ったアクアは、かなの口ききでドラマに出演することになる。

第三章 恋愛リアリティショー編

公にされていない星野アイの事情に精通しているらしい鏑木勝也からアイの情報を得るため、星野アクアは勝也がプロデューサーを務める恋愛リアリティショー「今からガチ恋始めます」への出演を承諾する。モデルの鷲見ゆきや女優の黒川あかねといった同年代ばかりの出演者と共に収録が進んでいく中で、アクアは不器用でまじめすぎるあかねが、撮れ高が低いことに焦りを見せているのを感じ取っていた。ヤラセなしが売りの番組で、スタッフがゆきを人気者、あかねを悪役とした演出や編集を加えて放送する中、あかねがゆきの顔を傷つけてしまうというハプニングが起こる。ゆきとあかねはその場ですぐに仲直りするものの、あかねがゆきの顔を傷つけた瞬間が放送され、あかねのSNSは炎上してネットリンチが始まってしまう。

テレビアニメ

2023年テレビアニメ化。4月12日よりTOKYO MXほかにて放送。制作は動画工房。キャストは星野アクアを大塚剛央、星野ルビーを伊駒ゆりえ、星野アイを高橋李依が演じる。

登場人物・キャラクター

星野 アクア (ほしの あくあ)

陽東高校の一般科に通う男子。星野アイの隠し子で、星野ルビーの双子の兄。明るい髪色のウエーブヘアで、右目に星形のハイライトがある青い目を持つ。前世であるゴローの記憶を完全に保有していることから、乳児の頃から流暢にしゃべることができた。前世からアイの大ファンだったために母親としてのアイも溺愛しており、アイの悪口を言う人間には憎悪を向ける。アイが殺害される現場にも立ち会っており、アイを殺害した黒幕は、アイが最後まで明かさなかった星野アクアとルビーの父親ではないかと考え、芸能界でのアイの交友関係を探っている。芸能界編では当初、ルビーにアイと同じ轍を踏ませないためにと、ルビーが受けるアイドルオーディションの結果を捏造し、ルビーをアイドルにさせないように画策していた。映画監督助手などの裏方を志望しつつも、俳優としても活動している。本名は「星野愛久愛海」で、映画監督の五反田泰志からは「早熟」と呼ばれている。また、ルビーがさりなの生まれ変わった姿だとは気づいていない。

星野 ルビー (ほしの るびー)

陽東高校の芸能科に通う女子。星野アイの隠し子で、星野アクアの双子の妹。明るい髪色のストレートロングヘアで、左目に星形のハイライトがある赤い目を持つ。前世であるさりなの記憶を完全に保有していることから、乳児の頃から流暢にしゃべることができた。前世からアイの大ファンだったために母親としてのアイも溺愛しており、アイの悪口を言う人間には憎悪を向ける。アイの死後もアイに対するあこがれを持ち続け、アイドルを目指してさまざまな芸能事務所のオーディションを受けていた。しかし、評判の悪い事務所の地下アイドルにスカウトされたことをきっかけにアクアが一計を案じ、芸能事務所「株式会社苺プロダクション」で廃止されていたアイドル部門に所属することとなった。本名は「星野瑠美衣」。また、アクアが産婦人科医のゴローの生まれ変わった姿だとは気づいていない。

星野 アイ (ほしの あい)

星野アクアと星野ルビーの母親で、アイドルグループ「B小町」のセンターを務める少女。黒髪のストレートロングヘアで、赤い目を持ち、両目に星形のハイライトがある。年齢は16歳。幼少期に母親が窃盗で逮捕されたことで、施設で育ったという過去を持つ。街で斉藤壱護にスカウトされ、最初は他人を愛する気持ちが理解できないという理由から断っていたが、壱護の説得を受けてアイドルになった。その後、壱護にも父親が誰なのかを打ち明けないまま、妊娠をしたために一時的に活動休止し、産婦人科医のゴローに担当医になってもらう。双子のアクアとルビーを身ごもり、出産後も出産の事実を隠匿してアイドルを続けている。人の名前を覚えるのが苦手で、アクアとルビーの名前もよくまちがえていた。また、難しいことを考えるのも苦手で、ルビーがうっかり幼児に似合わない難解な言葉を話した際にも「ヤバいくらいの天才っぽい」と、いっさい疑問を持つことなく納得している。うそつきを自認しており、考えるよりもその場の空気に則したことを思わず口走るため、星野アイ自身も何がウソで、何が本心か理解していない。ドーム公演当日の朝、自宅を訪れたストーカーによって刺殺された。

有馬 かな (ありま かな)

女優を生業とする少女。黒髪で前下がりのミディアムボブヘアをしており、気の強そうな顔立ちをしている。かつては早泣きで話題となり、10秒で泣くことができる天才子役として名を馳せるが、その実力以上に自信家だったために共演者やスタッフから嫌われていた。しかし、五反田泰志が監督した映画で星野アクアと共演し、有馬かな自身の鼻っ柱をへし折られた過去がある。それ以来アクアを意識するようになり、陽東高校で再会した際にはツンデレな態度をとりつつも非常に興奮した様子を見せ、喜んでいた。またフリーランスで活動していたが、アクアから強硬に説得を受けた末に、芸能事務所「株式会社苺プロダクション」のアイドル部門に所属することになった。星野ルビーにはあくまで芸能界の先輩として接しており、ルビーからは「ロリ先輩」と呼ばれている。

斉藤 壱護 (さいとう いちご)

芸能事務所「株式会社苺プロダクション」の代表取締役を務める男性。金髪短髪にサングラスを掛け、顎ひげを蓄えている。星野アイをアイドルとしてスカウトした人物で、アイの魅力を一番理解している。自分の育てたアイドルがドーム公演を成功させるのが夢であり、B小町がドーム公演を控えた前日には酒宴を開いた。しかしアイが殺害されたあと、失意に暮れて失踪した。

斉藤 ミヤコ (さいとう みやこ)

斉藤壱護の妻。明るい茶髪を背中まで伸ばしたロングヘアで、ゆるく髪を巻いている。美少年好きで、芸能事務所「株式会社苺プロダクション」の社長である壱護と結婚すれば日常的に美少年と絡むことができると考えていた。星野アクアと星野ルビーが赤ん坊の頃、ベビーシッター代わりをさせられていたことから、二人が赤ん坊の頃からふつうに話せることを知っている、唯一の人物。星野アイの死亡後、アクアとルビーを正式に引き取り、我が子同様に愛情を注いで育てている。また、アイの死後、壱護が失踪してからは株式会社苺プロダクションの社長を引き継ぎ、切り盛りしている。

五反田 泰志 (ごたんだ たいし)

映画監督を務める男性。パーマのかかった茶髪を肩まで伸ばし、無精ひげを生やしている。星野アクアが幼児の頃から芸能界の裏事情や、編集技術を教え込んだ師匠のような人物。役者に必要なものはコミュニケーション能力であると考えており、アクアに対し「演出家が言語化していない意図まで汲み取る、ぴったりの演技ができる役者になれ」と語った。実家の子供部屋で暮らしていることから、アクアが中学生になってからは割とバカにされるようになった。

鏑木 勝也 (かぶらぎ まさや)

ネット配信ドラマ「今日は甘口で」のプロデューサーを務める男性。シワの目立つ顔立ちで、茶髪の長い前髪を右側で分けている。星野アイが妊娠以前に使用していたスマートフォンに登録されていたことから、星野アクアが鏑木勝也の名前を記憶していた。モデル事務所とのつながりが強く、美形を好む顔面至上主義者だと噂されている。アイには何度か仕事を割り振ったこともあり、アイが芸能事務所「株式会社苺プロダクション」に秘密で異性と密会する際などには、店を紹介していた。アイの情報に興味を持つアクアに対し、恋愛リアリティショー「今からガチ恋始めます」への出演を条件に、ディープな情報を提供することを約束した。

鷲見 ゆき (すみ ゆき)

ファッションモデルを生業とする少女。恋愛リアリティショー「今からガチ恋始めます」では星野アクアと共演した。黒髪のストレートロングヘアをしている。臆病な性格でトークも得意ではないと話しているが、カメラな前ではつねにプロ根性を発揮し、したたかな一面を見せる。「今からガチ恋始めます」では健気で繊細な女性を振る舞っているが、視聴者からは出演者の熊野ノブユキとのカップリングが話題となっている。

黒川 あかね (くろかわ あかね)

女優を生業とする少女。恋愛リアリティショー「今からガチ恋始めます」では星野アクアと共演した。茶髪を内巻きにしたセミロングヘアにしている。内気でまじめな性格で、勉強熱心なメモ魔。人間観察力と分析力にも優れているため、演じる人物の思考パターンをそっくりにトレースし、完璧に演じることができる天才役者として知られている。しかし、「今からガチ恋始めます」では素の黒川あかねとして登場したため、視聴者を引き付けることができず、ほとんど活躍できていないことに苦悩していた。しかし焦るあまり、収録中に鷲見ゆきの顔を爪で傷つけてしまったことからネット上で炎上してしまう。

MEMちょ (めむちょ)

ユーチューバーを生業とする少女で、恋愛リアリティショー「今からガチ恋始めます」では星野アクアと共演した。金髪の外ハネしたミディアムヘアがプリンのようになっており、悪魔の角を思わせる髪飾りを付けている。事務所との報酬割合がフィフティフィフティで、「今からガチ恋始めます」に出演してからは非常に登録者数が急増し、かなり稼いでいる。ネット上のマーケティングとセルフプロモーションで成り上がったと自負しており、「バズらせのプロ」を自称している。

ぴえヨン

芸能事務所「株式会社苺プロダクション」に所属する、ユーチューバーの男性。筋肉質な体型で、頭部には目とくちばしだけが描かれた丸いかぶり物をかぶり、ブーメランパンツのみを身につけている。覆面系筋トレユーチューバーとして小中学生に人気を博しており、年収1億円を稼いでいる。アイドルデビュー前の星野ルビーや有馬かなの宣伝のために、動画内でコラボした。

ゴロー

星野アクアの前世で、産婦人科医を務める男性。黒髪短髪に眼鏡を掛けている。宮崎県の山奥にある病院に勤めているが、患者の病室でB小町のライブDVDを流してサボっていることが多かった。研修医の頃にさりなと出会った。星野アイの大ファンで、アイが秘密裏に妊婦健診、出産のために訪れた際にはファンとして激しいショックを受けつつも、妊娠出産の事実を公表せずにアイドルを続けるという、アイの決断を応援していた。アイの出産予定日に何者かに殺害され、アクアとして転生した。なお、死体は未だに発見されていない。

さりな

星野ルビーの前世で、当時12歳の少女。退形成性星細胞腫という希少がんを患っており、副作用によって髪の抜けた頭にマスコットブローチを付けたニット帽をかぶっている。アイドルオタクで、特に星野アイを推している。ゴローが研修医時代、さりなの病室にサボりに来ていたゴローに、生まれ変わったらアイのような顔になりたいと話した。そのあとに病死し、ルビーとして転生した。

集団・組織

B小町 (びーこまち)

星野アイがセンターを務めるアイドルグループ。芸能事務所「株式会社苺プロダクション」に所属している。元地下アイドルのためにテレビ局などでは軽い扱いをされがちだが、アイには天性の才能が備わっていた。しかし、脇役でドラマに出演しても、主役より目立ってしまうために出番をカットされていることも多い。アイの生前は斉藤壱護が、アイの死後は斉藤ミヤコが社長を務めている。

新生B小町 (しんせいびーこまち)

星野ルビー、有馬かなの二人で構成されるアイドルユニット。芸能事務所「株式会社苺プロダクション」に所属している。デビュー前の最初の活動として、ぴえヨンが配信している動画で、かぶり物をしたまま1時間ブートダンスを踊りきったら素顔と名前を公表できるという企画に参加した。

場所

株式会社苺プロダクション (かぶしきがいしゃいちごぷろだくしょん)

斉藤壱護および斉藤ミヤコが社長を務めている芸能事務所。B小町を筆頭に、複数のタレントをマネジメントしている。特に星野アイを大きく売り出そうとしていたが、アイが殺害されてからはアイドル部門を廃止し、ティックトッカーやユーチューバーなどのネットタレントのマネジメントを行うようになった。しかし星野ルビーが、評判の悪い事務所の地下アイドルにスカウトされたことをきっかけに、アイドル部門を復活させている。

陽東高校 (ようとうこうこう)

星野アクアが一般科に、星野ルビーが芸能科に通っている中高一貫校。芸能事務所に所属しているという証明書が必要ながら、数少ない芸能科があるため、多くの芸能人が在籍している。偏差値は40と低く、偏差値70のアクアが受験に訪れた際には面接官に驚愕された。女優の有馬かなも在籍している。

その他キーワード

今日は甘口で (きょうはあまくちで)

鏑木勝也がプロデューサー、有馬かなが主演女優を務めるネット配信ドラマ。人気少女漫画が原作ながら、売り出したいモデルを数多く出演させている制作側の事情や、半クールという限られた枠内におさめるために物語を大幅にカットした結果、原作ファンからは大ブーイングを浴びている。ファンのあいだでは「今日あま」と略称で呼ばれている。

今からガチ恋始めます (いまからがちこいはじめます)

鏑木勝也がプロデューサーを務める、恋愛リアリティショー。星野アクアのほかにも、鷲見ゆき、MEMちょ、黒川あかね、熊野ノブユキ、森本ケンゴが出演している。ヤラセなしで、出演者の人間性をそのまま映し出すリアリティが売りで、会話や行動を指示する台本もない。しかし、演出と編集には誰かの意図が介入しており、収録の途中からあかねを悪役にしようとする意向が見られた。視聴者のあいだでは「今ガチ」と略称で呼ばれている。

書誌情報

【推しの子】 14巻 集英社〈ヤングジャンプコミックス〉

第1巻

(2020-07-17発行、 978-4088916507)

第2巻

(2020-10-16発行、 978-4088917177)

第3巻

(2021-02-19発行、 978-4088918013)

第4巻

(2021-05-19発行、 978-4088918723)

第5巻

(2021-08-18発行、 978-4088920566)

第6巻

(2021-11-19発行、 978-4088921358)

第7巻

(2022-02-18発行、 978-4088922249)

第8巻

(2022-06-17発行、 978-4088923635)

第9巻

(2022-10-19発行、 978-4088924298)

第10巻

(2023-01-19発行、 978-4088925356)

第11巻

(2023-03-17発行、 978-4088926308)

第12巻

(2023-07-19発行、 978-4088927800)

第13巻

(2023-11-17発行、 978-4088930022)

第14巻

(2024-04-18発行、 978-4088931722)

【推しの子】1~3巻セット 集英社〈ヤングジャンプコミックス〉

(2023-03-13発行、 978-4088927121)

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