グリーン・パラダイス

グリーン・パラダイス

作画:道原かつみ、原作:麻城ゆうによる「ジョーカー・シリーズ」の第5弾。「紳士O」という謎の密告者をめぐる事件が描かれた表題作『グリーン・パラダイス』と、番外編となる『インターバル<幕間>』が収録されている。『インターバル<幕間>』は「ウィングス」1990年2月号に掲載され、『グリーン・パラダイス』は「ウィングス」1990年7月号から1991年1月号にかけて掲載された作品。コミックス刊行にあたり加筆されている。

正式名称
グリーン・パラダイス
ふりがな
ぐりーん ぱらだいす
原作者
麻城 ゆう
作画
ジャンル
サスペンス
関連商品
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概要・あらすじ

紳士O」は紳士を気取った文面で犯罪を告発する謎の密告者であり、その恐るべき情報網は数々の事件の発端となっていた。そんななか、日本州警の警部補である六道リィンの前に、過去の事件で知り合った秋野貴羅が現れる。貴羅は妹の仇であり、拘留されているはずの狩カルストを外出先で見かけたことをリィンに告げ、さらに狩カルストを自分で捕まえると言い放つ。

そんな貴羅を放っておけず、リィンは「紳士O」の偽者が起こした事件にも巻き込まれていく。

登場人物・キャラクター

六道 リィン (りくどう りぃん)

日本州警の警部補で金髪の好青年。特捜司法官のジョーカーと、ある事件をきっかけに知り合い恋に落ちた。ジョーカーとは忙しいながらも甘い時間を過ごしているが、ジョーカーが鳴木沢零を部屋に連れてきたことで、男性の姿にもなれるショーカーが自分ではなく、零を好きになるのではないかと疑心暗鬼に陥っている。「紳士O」が絡む事件が頻発するなか、その共通点としてどの事件の現場にも緑星社のレンタル植物が置いてあることに気付く。

ジョーカー

特捜司法官を務める、銀の瞳に長い黒髪を持つ美女。その正体は人工的に作られた合成人間。他人のDNAを取り入れることでその人物に変身する能力を持ち、普段は女性の姿だが、男性になることもできる。姿まで変えられるのは特捜司法官の中でもジョーカーのみ。その変身能力を利用して六道リィンになりすまして彼の身近な人を驚かせるなど、リィンには恋人ゆえの気を許した行動も見られる。 ジョーカーになりすましたS-Aとリィンがキスをしている姿を目撃した時はヤキモチを妬いたように怒っていた。「紳士O」の正体とされている少女を特捜司法局から連れ出し、リィンの部屋に連れて行った。

S-A (すぺーど-えーす)

銀の瞳に黒い短髪の特捜司法官で、男性時のジョーカーと同じ外見をしており、長髪のかつらをかぶると、ジョーカーの恋人である六道リィンにも見分けがつかない。「インターバル<幕間>」では、ジョーカーになりすましたまま、ジョーカーの目の前でリィンとキスをするなど挑発的な態度をとる。しかし別の事件ではジョーカーと組んで「ニセ紳士O」を追い詰めるなどバディとして息の合った行動も見せる。 ジョーカーを大切に思っており、リィンのことは邪魔者だと考えている。

鳴木沢 零 (なるきざわ れい)

ジョーカーが六道リィンの部屋に連れてきた謎の美少女。童顔で、外見は15~16歳くらいに見えるが、その正体はバイオ・チップ工学の第一人者である天才科学者。研究のためなら自らを顧みないことから「エキサイティング」とも称されている。湯上りの姿のままでリィンの自宅にいるところを帰宅したリィンに目撃されるもまったく動揺しなかった。 男性姿のジョーカーと笑顔で話したり、自分への好意を確認するなどジョーカーへの強いこだわりを感じさせる。

秋野 貴羅 (あきの きら)

秋野産業の社長令嬢。外見はおっとりした美人だが、思い立ったらすぐアクションを起こす行動派。外出先で偶然、妹を殺した犯人である狩カルストを見かけ、警察は信用できないと自ら犯人が現れた場所に向う。おびえながらも犯人の前で意見する肝の座った一面もある。

狩 カルスト (かり かるすと)

色素の薄い髪と瞳の色をした美少年で、秋野貴羅の妹を殺した犯人。囚われている施設で、付き人のサディムと言い争っているところを貴羅に目撃される。その現場でサディムに貴羅を殺害するように命ずるなど冷酷な性格の持ち主。その素性は不明。

サディム

黒い肌に白い長髪の謎の青年。体のラインがわかるほど密着した黒の上下に、右肩から半身マントをまとっている。狩カルストの護衛をしているが、カルストを守りながらも彼の命令に背くような言動も平気でとる。「すべては総裁のお決めになることです」などと発言し、カルスト以外の存在に従っている様子を見せる。

矢地 (やち)

バイオ・コンピュータの研究者でゼネラル・コドン社の社員。黒髪オールバックに眼鏡をかけ、白衣を着用している。研究に熱心なあまり違法なことをしてきた過去があり、今回の「ニセ紳士O」事件について警察に協力を申し出たことで、職を失うのではないかと六道リィンに心配されている。バイオチップ研究の第一人者で、変わり者とされる鳴木沢零に憧れており、彼女のいなくなった現在の業界に失望している。

バーリー

日本州警の警部。髭を蓄えてサングラスをかけ、タンクトップを着用している。優秀な刑事だが普段は軽く見られがちな明るい性格で、六道リィンと一緒に捜査にあたる。仮眠室でリィンと一緒に仮眠をとっている際、リィンが寝言で「君が男でも好きだ」と言っているのを聞いてしまう。それからリィンとの過度な接触を避けるようになるが、捜査では私情を挟まず真面目に取り組んでいる。

青峰 (あおみね)

緑星社の社長であり、鳴木沢零の幼なじみ。零が失踪したことを知らずに「ニセ紳士O」から彼女を誘拐したと騙され、彼女の命が惜しければ協力しろと脅されていた。「ニセ紳士O」が、零の生存を知った後は、逆に彼女を犯罪に協力させるための人質となってしまう。

ニセ紳士O (にせしんしおー)

本名など素性が一切不明の謎の男性。髪型はオールバックできつね目の、白いシャツと白い蝶ネクタイに、燕尾服を着用している。仮面をかぶった男たちを手下として従えている。失踪しているとされていた鳴木沢零が生きていると知り、彼女を奪いその知識を犯罪に利用しようとする。

森岡 (もりおか)

文化保存庁長官の眼鏡をかけた初老の男性。六道リィンは、2年前に「紳士O」によって妻のスキャンダルを闇に葬ってもらった森岡から、妻が「紳士O」に脅迫されたことで自殺をしてしまったと相談を受ける。以前は警察に協力的だった「紳士O」が卑劣な恐喝者に成り下がったことを知り、特捜司法局を頼ろうとしたところを、「ニセ紳士O」に捕らえられ、転落死させられてしまう。

森岡長官の秘書 (もりおかちょうかんのひしょ)

文化保存庁の長官である森岡の秘書をしていた女性。森岡が死亡した当時、彼から誰も入室させるなといわれ、ずっと秘書室にいた。また、森岡に自殺をするようなそぶりはなかったと証言している。とある重要なデータを森岡の部屋に隠していた。

紳士O (しんしおー)

犯罪者を告発する謎の人物で、小さな窃盗事件から惑星間の密輸事件までカバーできるほどの強力な情報網を持つ。告発文が紳士的な口調で書かれていること、そしてアルファベットのO(オー)が署名されていたことから「紳士O」呼ばれている。2年前までは警察の味方だった。

集団・組織

赤のキャラバン (あかのきゃらばん)

狩カルストやサディムの所属しているテロリスト集団。かつて秋野貴羅の妹が殺害された事件にも関与していると見られている。カルストの護衛を務めていながら彼の命令は聞けないと発言したサディムの、「すべては総帥がお決めになること」という発言から、組織の構造が少しずつ明かされている。

その他キーワード

植物情報ネットワーク (しょくぶつじょうほうねっとわーく)

植物に備わっている記憶能力を高めることで生み出された、盗聴器の機能を持つ植物。植物が記憶した情報は、最新の有機コンピュータを使っても1年分の情報解析に1年かかってしまう。だが、人間の脳と植物性の有機コンピュータを繋ぐことで速度の上げることに成功している。

クレジット

原作

麻城 ゆう

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