概要・あらすじ
新潟県にある上村西高等学校1年に留学しているユージーン・オルコットは、日本文化に興味を持っていた。剣道部や柔道部の活動を見学した後、茶道部も見たいと担任に相談した。近くに居合わせた同じ1年生の鳥居樹に案内され、茶道部を訪れる。2人は部長の内藤に茶を立ててもらうが、ユージーン・オルコットはその価値が理解できなかった。
その様子を見た鳥居樹は、自ら茶を立ててユージーン・オルコットに飲ませた。内藤はその美しい所作に驚き、ユージーン・オルコットは茶を飲んで一筋の涙をこぼした。翌日、ユージーン・オルコットは茶道部に入部希望を出し、さらに鳥居樹が地元では有名な茶道の越後淡州流家元の息子だと知り、彼にコーチを頼む。
しかし鳥居樹は冷淡な態度で断った。だがユージーン・オルコットの熱心さに動かされ、つれない態度ながらも共に茶道部に入部。その後1年生の女子・原理瀬と及川珠子も入部し、試行錯誤しながら茶道部は活動を続けていく。そんなある日、ユージーン・オルコットの父が日本にやってきた。
彼は息子の様子を冷たい目で眺めていた。
登場人物・キャラクター
ユージーン・オルコット (ゆーじーんおるこっと)
『ケッコーなお手前です。』の主人公の1人。金髪・碧眼で睫毛が長い男子。アメリカから新潟県の上村西高等学校に留学している。1年2組に在籍。日本語は片言だが、屈託がなく元気でよく喋る。地元で立ち飲みバーを営む祖父テディ、祖母と暮らしている。部活動の見学で茶道部を訪れたが、初めはその価値が理解できなかった。 しかし樹(鳥居樹) が立てた茶を飲んで一筋の涙をこぼし、彼とともに茶道部に入部希望を出す。経験の浅さから樹との間に波紋を起こし、悩むこともあるが、ひたむきさで周囲を動かしていく。父、オルコットとは折り合いが悪く、彼と話すときには普段の明るさが影を潜める。
鳥居 樹 (とりい いつき)
『ケッコーなお手前です。』の主人公の1人。耳が隠れる長さの髪で、端正な顔の男子。新潟県の上村西高等学校1年生。1年3組に在籍。地元の有名な茶道・越後淡州流の家元の跡継ぎ。無口であまり表情を変えない。教師の佐野に頼まれ、ユージーン(ユージーン・オルコット)を茶道部の部室に案内する。 部活動に興味はなかったが、ユージーンと部長の内藤の熱心さに入部することになる。幼いころから茶道の稽古に没頭するあまり、今に至るまで友達付き合いがほとんどなく両親も気にしている。ユージーンの無邪気な言動や振る舞いが気に障ることもあるが、茶道部での活動を通じてその熱心さを認め、次第に友情を深めていく。 同時に自らの進む道も考えるようになった。
内藤 (ないとう)
『ケッコーなお手前です。』の登場人物。眼鏡をかけた男子。 新潟県の上村西高等学校3年生。茶道部の部長。穏やかでやさしい性格。幽霊部員ばかりの茶道部にあって、実質唯一の部員だった。思いやりがあり、新入部員がいつ来てもいいように活動日以外も部室にいる。教わる人もなく茶道を続けていたが、見学に訪れたユージーン(ユージーン・オルコット)と樹(鳥居樹)を熱心に誘う。
佐山 (さやま)
『ケッコーなお手前です。』の登場人物。黒髪で髪型はセンター分けのミディアムボブの女性。新潟県の上村西高等学校の教師。茶道部の顧問で、ソフトボール部も兼任している。明るく、気さくな性格。担任しているユージーン (ユージーン・オルコット)が茶道部の見学を希望した際、樹(鳥居樹)に案内させた。 茶道に関しては素人だが、ユージーンのために英語の茶道教本を渡したり、道具を揃えたりと活動には協力的。
原 理瀬 (はら りせ)
『ケッコーなお手前です。』の登場人物。髪をお団子にまとめた女子。新潟県の上村西高等学校1年生。1年3組に在籍する樹(鳥居樹)の同級生。放送委員。親友の及川珠子とともに茶道部を見学した際にストラップを失くし、部室に忍び込んで探していたところを樹に見つかる。その後、部長の内藤が一生懸命探してくれたことがきっかけで入部。 現代的ではっきりした物言いをする。初めは茶道に興味はないと言っていたが、次第に活動が楽しくなっている様子。
及川 珠子 (おいかわ たまこ)
『ケッコーなお手前です。』の登場人物。黒髪のショートヘアーの女子。左側の髪を2本のピンで留めている。新潟県の上村西高等学校1年生。体が弱く、中学生の頃から学校を休みがちだったが、その時に常に声をかけてくれた原理瀬と親友になる。原理瀬と共に茶道部を見学に訪れ、その後2人揃って入部。1年2組に在籍し、ユージーン (ユージーン・オルコット)の同級生。 ユージーンが樹(鳥居樹)との関係に悩んでいたとき、彼の話し相手になった。実家は和菓子屋。
根屋 (ねや)
『ケッコーなお手前です。』の登場人物。おかっぱ頭で小柄な男子。新潟県の上村西高等学校3年生。吹奏楽部部長。人数が少ない部を苦労しながら率いて、文化祭でのお披露目に至った。茶道部部長の内藤の幼馴染で同級生。 文化祭では来場者の投票によって優秀な出し物を決めてもらうことが恒例で、同じように風前の灯の状態から出展することになった茶道部に対して、必要以上に対抗意識を燃やしている。
テディ
『ケッコーなお手前です。』の登場人物。背が高く、髪は短髪で短い顎鬚を蓄えている老年のアメリカ人男性。ユージーン (ユージーン・オルコット)の祖父。地元の商店街で妻と共に立ち飲みバーを経営し、日本に留学してきたユージーンを住まわせている。アメリカにいた頃も店(ダイナー)を持っていた。上村西高等学校の文化祭で偶然樹(鳥居樹)の父と出会い、共に茶道部の展示を訪れた。
オルコット
『ケッコーなお手前です。』の登場人物。冷徹な印象のアメリカ人男性。ユージーン (ユージーン・オルコット)の父で、貿易会社を営んでいる。徹底した合理主義者で、陽気な性格の息子ユージーンや父テディとの折り合いは良くない。茶道を役に立たないものと否定し、ユージーンをアメリカに連れ戻そうとする。 その後来日し、上村西高等学校茶道部の発表会に訪れた。
脇坂 嵩文 (わきさか たかふみ)
『ケッコーなお手前です。』の登場人物。細いつり目の若い男性。関西弁でよく喋る。茶道・淡州流の宗家の次期家元。樹(鳥居樹)の実家が家元を務める越後淡州流は分派にあたる。一見調子が良いが、アメリカにも茶室を出展するなど、先を見越した動きをしている。突如、樹の家を訪れ、樹に跡継ぎとしての意志を質した後、上村西高等学校茶道部にも顔を出す。 英語が堪能で、発表会ではユージーン (ユージーン・オルコット)の父・オルコットと、樹の父の間に立って通訳を務めた。