概要・あらすじ
私立山星高校文化研究部、通称「文研部」に所属する八重樫太一は、永瀬伊織・稲葉姫子・桐山唯・青木義文の部員4名とともに穏やかな日常を過ごしていた。しかしそんなある日、突如として唯と義文の人格が入れ替わる現象が発生する。
最初は疑っていた他3人であったが、彼らの身にも同様の現象が起こったことで、自分たちに奇妙な現象が降りかかっているということを理解。困り果てた5人であったが、その前に部の顧問・後藤龍善が、いつもとは全く異なる雰囲気を纏って現れる。
彼は自らを「ふうせんかずら」と名乗り、この現象の首謀者としてその過程を観察し楽しんでいる旨を告げ、去ってしまう。
唖然としつつもその対策を考え、徐々に現象へと慣れていく5人。しかしそれと同時に、個々が内に抱えるトラウマや葛藤が、徐々に他人へと曝け出されていってしまう。
登場人物・キャラクター
八重樫 太一 (やえがし たいち)
私立山星高校1年3組の生徒で、文化研究部に所属する少年。真面目で思いやりの強い性格で、それゆえに度を越した自己犠牲精神の持ち主。プロレスをこよなく愛し、頻繁に会話中にプロレスネタを織り交ぜては周囲から呆れられている。 永瀬伊織に対しほのかに好意を抱いており、またロリコン疑惑をかけられるほどに妹の莉奈のことを溺愛している。
後藤 龍善 (ごとう りゅうぜん)
私立山星高校の物理教師で、文化研究部の顧問を務める男性。教師ながら生徒に自らを「ごっさん」と呼ばせるほどフランクで、大雑把な性格の持ち主。そのため何度もふうせんかずらに乗り移られているものの、意識や記憶が飛んでいることに違和感を感じていない。
青木 義文 (あおき よしふみ)
私立山星高校1年1組の生徒で、文化研究部に所属する少年。優男風の容姿で「楽しく生きる」ことをモットーにしており、抜けた言動の数々から文研部内ではイジられキャラとして定着している。桐山唯に恋心を抱き、その気持ちを包み隠さずに何度も伝えているものの、唯からは無碍に扱われ続けてしまっている。
永瀬 伊織 (ながせ いおり)
私立山星高校1年3組の生徒で、文化研究部の部長を務める少女。ミスコンで優勝し「学年一の美少女」の座を手にした端正な容姿に、天真爛漫かつ人当たりの良い振る舞いで周囲の人気を得るムードメーカー。 一方で5人の父がいるという複雑な家庭環境に育ち、その影響から周囲に合わせた自分を演じる癖が染み付いてしまっており、「本当の自分」がないことに苦悩を抱いている。
稲葉 姫子 (いなば ひめこ)
私立山星高校1年3組の生徒で、文化研究部の副部長を務める少女。凛として大人びた風貌に違わぬ論理的思考の持ち主で、情報収集力や分析力に長ける。またその物言いはストレートであり、実質的に部長の永瀬伊織に代わって文研部を取り仕切る権力者。 その頭の良さが災いした人間不信者という内面を持ち、文研部員を大切に思いつつも疑いの目を向けてしまうことに自己嫌悪を抱いている。
ふうせんかずら
文化研究部の面々に超常現象を引き起こし、その成り行きを観察して楽しんでいる謎の存在。主に後藤龍善に乗り移る形で姿を現す。
桐山 唯 (きりやま ゆい)
私立山星高校1年1組の生徒で、文化研究部に所属する少女。可愛い物が大好きで、自身も小柄な体格に少し幼さの残る風貌ながら、全国優勝経験があるほどの空手の腕前を持つ。中学時代に男に襲われかけた経験から男性恐怖症に陥っており、そのため青木義文から好意を寄せられ続けているものの、悪態をつくなどしてやり過ごしている。
藤島 麻衣子 (ふじしま まいこ)
私立山星高校1年3組の生徒で、学級委員長を務める少女。前髪を上げ額を出したヘアスタイルに眼鏡という外見、それに違わぬ品行方正さで、周囲から厚い信頼を得る優等生。しかしその本性は自称「愛の伝道師」の両性愛者であり、永瀬伊織に強い興味を寄せている。