あらすじ
旧友との再会
高校時代はその独特な風貌から「ゴリラーマン」と呼ばれた男、池戸定治も40歳となり、サラリーマンとして多忙な日々を極めていた。そんな彼は、休日にスーパー銭湯でダラダラと過ごし、仕事の疲れを癒やすことを極上の悦びとしている。ある日、ゴリラーマンは高校時代の旧友・藤本修二が、不良グループに集団暴行を受けて意識不明の重体となっていることをテレビのニュースで知る。藤本はゴリラーマンに「ゴリラーマン」というあだ名をつけた張本人だった。気になったゴリラーマンはすべての予定をキャンセルし、20年ぶりに高校時代に過ごした土地を訪れる。その夜、便意を催してたまたま入店したクラブで、チンピラのワタルに絡まれている麻優を助けたゴリラーマンは、トラブルを避けるためにワタルたちから差し出されたゴキブリ入りの特製カクテルを飲み干すのだった。翌日、ゴリラーマンは高校時代に藤本たちとつるんでいた旧友の藤瀬健次と再会する。藤瀬から藤本の容態を聞いて安堵したゴリラーマンは、藤本が暴行を受けた現場へ向かい、そこにたむろするチンピラをパンチ一発で叩きのめす。また、クラブで助けた麻優が、偶然にも藤本の娘であることが判明。後日、文化祭が開催されていた母校を訪れたゴリラーマンは、藤本との再会を果たす。20年ぶりの再会だったが、彼らは一瞬で高校時代に戻ったかのように会話に花を咲かす。そして、かつての仲間たちとその家族を集めてバーベキューを行う約束を交わしたものの、その当日、ワタルたちの復讐のためにやって来た大男・ショウヘイが、ゴリラーマンに対決を申し込む。ゴリラーマンは仲間や家族を守るため、藤本たちには内緒でショウヘイたちが待ち受ける決闘の場へ一人で乗り込む。
草野球
ある日、電車に乗っていたゴリラーマンは、目の前の女性に痴漢の疑いをかけられる。しかし、奈良原という小柄な男性がゴリラーマンの無実を証明してくれ、事なきを得る。その後、ゴリラーマンは「きょうだ」という小料理屋で偶然、奈良原と再会する。「きょうだ」の美人ママ・ハナは、近隣店の肉バル「エルナンデス」からの大音量に連日迷惑しており、奈良原たちはなんとかエルナンデスの経営者・ハヤトをギャフンと言わせたいと考えていた。そんな中、次の日曜にきょうだチームとエルナンデスチームは草野球の試合があり、奈良原はゴリラーマンに助っ人を依頼するのだった。しかし、ゴリラーマンはバットを振るのは数年ぶりで、しかも相手チームのピッチャーのハヤトは元高校球児だっった。しかし、バッティングセンターで練習を重ねて試合に臨んだゴリラーマンは、ハヤトの投げた渾身のスライダーを特大ホームランにする。その活躍ぶりにハナはゴリラーマンに好意を抱き、守備でも活躍を見せるゴリラーマンだったが、奈良原がハナに惚れていることを知ると、ショートフライをわざとエラーして奈良原に花を持たせるのだった。
VS.総合格闘家
総合格闘技の女性格闘家として活躍する永里梨名は、その絶対あきらめない戦いぶりから「ゾンビ姫」の異名で呼ばれていた。しかし、格闘技だけでは稼げない梨名は、ふだんは「カズシ治療院」で整体師として働いている。実は彼女のお客でもあるゴリラーマンのアドバイスを受けて、最近は試合でもいい結果を残していた。そんなある日、梨名は人気絶頂の格闘家・真莉愛とのエキシビションマッチが決まる。試合は気性の激しい真莉愛のサミングで目を負傷した梨名が、壮絶な打ち合いの末に惜しくも敗れる。試合後、真莉愛と同じ格闘家集団「DOJO ノートリアス」に所属するレスリング出身の鈴木が、真莉愛にケガをさせたと梨名にいちゃもんをつけてくる。しかし、その場に居合わせたゴリラーマンは、襲い掛かってきた鈴木をパンチ一発で沈めるのだった。すると、そのパンチ力に目をつけた悪徳プロモーターの九鬼谷光尊は、ゴリラーマンをリングに上げようと画策する。数年前にもゴリラーマンの強さに興味を持ち、リングに上げようとして断られた九鬼谷は、ジムの格闘家たちを集めてゴリラーマンを人気のないリングへと誘う。しかしそこに現れたのは、ゴリラーマンと同じ顔をした、ゴリラーマンの弟や甥、姪などゴリラーマン一族の七名だった。そしてゴリラーマンは、一度だけという約束で、現在世界王者に一番近いとされる本田翔天斗の待つリングに向かう。
登場人物・キャラクター
ゴリラーマン
藤本修二から高校時代に「ゴリラーマン」というあだ名を付けられた男性。年齢は40歳。ゴリラのような顔をしており、つねにスーツを着用している。ふだんからまったくしゃべらない寡黙な性格で、表情もほとんど変わらないが、ケンカが滅法強い。現在はサラリーマンとして多忙な日々を送っているが、詳しい職種は不明。休日は、スーパー銭湯で仕事の疲れを癒やすのを最上の悦びとしている。体力は落ちたものの、その圧倒的な強さは今も健在。好きなものはドリンクタイプのカロリーメイトで、苦手なものは犬。まったく同じ顔をしたゴリラーマン姪(JK)、ゴリラーマン姪(JC)、ゴリラーマン兄、ゴリラーマン弟、ゴリラーマン甥(金髪)、ゴリラーマン甥(眼鏡)がいる。
藤本 修二 (ふじもと しゅうじ)
ゴリラーマンが高校時代に友人だった男性。当時、白武高校の不良グループのリーダーを務めており、転校生の池戸定治に「ゴリラーマン」というあだ名を付けた。いい加減な性格ながら、友情に熱く責任感も強い。40歳になった今も正義感が強く、駐車場にたむろして一般客に迷惑をかける不良グループに注意したことでケンカとなり、その報復で集団暴行を受けた。幸い大したケガではなく、ゴリラーマンと20年ぶりの再会を果たす。高校1年生になる娘・麻優がおり、ゴリラーマンや藤本の母校である白武高校に通っている。麻優には「ゴリラーマンは俺が思うに地上最強だ」と語っていた。
藤瀬 健次 (ふじせ けんじ)
ゴリラーマンが高校時代に友人だった男性で、学年は2つ下。長髪に髭を蓄え、サングラスをかけている。2つ上の兄がゴリラーマンに倒されたためにタイマン勝負を挑んだが、アルゼンチン・バックブリーカーを食らい、壮絶に散った。それがきっかけで藤本修二が率いる不良グループに加わるようになった。現在は地元で「SUGAR MAN」というBARを経営している。20年ぶりに再会したゴリラーマンのことは「池戸さん」と呼び、敬語で話す。高校1年生の息子・翔太がおり、藤本の娘・麻優と同じ白武高校に通っている。
麻優 (まゆ)
白武高校に通う1年生の女子で、藤本修二の娘。友人といっしょにクラブ「キンシャサ」に遊びに行っていた際に、チンピラのワタルに絡まれ、偶然店にいたゴリラーマンに助けられた。ゴリラーマンのことは父親から度々話を聞いていた。後日、ゴリラーマンと再会した際に感謝の言葉と、彼の好物であるドリンクタイプのカロリーメイトを手渡した。
ワタル
藤本修二たちが暮らす街の不良グループの男性。クラブ「キンシャサ」に出入りしており、客の女の子を無理やり持ち帰って輪姦したりしている。クラブに遊びに来ていた麻優に絡み、それを止めに入ったゴリラーマンにゴキブリを入れたドリンクを飲ませた。後日、藤本が集団暴行を受けた商店街でゴリラーマンと再会して、パンチ一発でぶっとばされる。
ショウヘイ
ゴリラのような顔をした大男。ワタルの知り合いで、不良グループのメンバーをボコボコにしたゴリラーマンに復讐しようとしている。藤本修二が、かつての仲間たちとその家族を集めてバーベキュー大会を楽しもうとする当日、ゴリラーマンを呼び出し、タイマン勝負を挑んだ。
奈良原 (ならはら)
小柄な体型のサラリーマンの男性。電車で痴漢の疑いをかけられたゴリラーマンの、無実を証明してくれた。年齢は29歳。その後、いつも通っている小料理屋「きょうだ」で偶然ゴリラーマンと再会し、親しくなる。きょうだのママ・ハナに好意を抱いている。
ハナ
小料理屋「きょうだ」のママを務める女性で、独身のバツイチ。年齢は32歳。去年、母親から店を引き継いで経営している。きょうだチームとエルナンデスチームとの草野球の試合で大活躍したゴリラーマンを目の当たりにして、顔は全然タイプじゃないけどアリかもと心惹かれている。
ハヤト
小料理屋「きょうだ」の向かいで肉バル「エルナンデス」を経営するイケメン男性。朝まで大音量で音楽を流し、店の外まで若い客があふれ返っている。きょうだをはじめとした近隣のお店に迷惑をかけているが、まったく気にしていない。草野球チームを結成しており、きょうだの常連客で作ったチームと試合することもあるが、元甲子園球児のハヤトがピッチャーを務めているため、エルナンデスがいつも圧勝している。
田辺 (たなべ)
ゴリラーマンが高校時代に友人だった男性。白武高校では藤本修二が率いる不良グループの一人だった。ゴリラーマンがこれまで出会った中で最もエロい人物で、当時も今も女性にセクハラばかり繰り返している。キャバクラでなかよくなった女性とスポーツバーに行った際に、ゴリラーマンと再会する。
永里 梨名 (ながさと りな)
総合格闘家の女性。試合ではどれだけ打たれてもあきらめることなく、最後は逆転して勝つことから「ゾンビ姫」の異名を持つ。しかし、まだ総合格闘家だけでは生活することができず、ふだんはマッサージ、はりきゅう、整体を行う「カズシ治療院」で働いている。そこに客としてやって来たゴリラーマンとは家族ぐるみの付き合いをしており、仲がいい。アマチュア時代、試合になかなか勝てないことをゴリラーマンに愚痴っていたが、ゴリラーマンからアドバイスを受けたことで勝てるようになり、それ以来、彼のことを「先生」と呼んでいる。
本田 翔天斗 (ほんだ はると)
デビュー以来無敗を誇る格闘家の男性。目下6連続1ラウンドKO勝ちを記録している。最速で総合格闘技(MMA)の世界チャンピオンを獲得するのではないかといわれている、若き天才児。悪名高いプロモーターの九鬼谷光尊が率いる格闘家集団「DOJO ノートリアス」に所属している。妹の真莉愛も格闘家で、永里梨名とエキシビションマッチを行って勝利している。九鬼谷の命令により、ゴリラーマンと秘密の試合を行った。
真莉愛 (まりあ)
天才格闘家・本田翔天斗の妹で、総合格闘家の女性。CMや映画にも出演しており、幅広い活動を行っている。兄と同じく悪名高いプロモーターの九鬼谷光尊が率いる格闘家集団「DOJO ノートリアス」に所属している。気性の激しい性格で、永里梨名とエキシビションマッチを行って壮絶な打ち合いの末に勝利した。
九鬼谷 光尊 (くきたに みつたか)
悪名高いプロモーターの男性。目的のためなら手段を選ばない。格闘家集団「DOJO ノートリアス」の創設者でもある。実は20年前、ゴリラーマンが1年だけ通っていた不良の巣窟と名高い堂上(どのうえ)商業高校で最恐とされる怪物「片桐」を倒したと聞いて以来、伝説となったゴリラーマンを探し続けていた。数年前、ゴリラーマンにリングに上がるように一度依頼したが断られている。そんな中、DOJO ノートリアスに所属するレスリング出身の鈴木をパンチ一発で叩きのめしたのを見て、再びゴリラーマンをリングに引っ張り出そうと画策する。
ゴリラーマン姪(JK)
ゴリラーマンの姪で、彼とそっくりな顔を持つ女子高校生。茶髪をショートヘアにしている。SNSにダンス動画を日々投稿しているが、フォロワーはまったくいない。ゴリラーマンが九鬼谷光尊の命令で拉致されそうになった際、ゴリラーマンと共に九鬼谷のもとへと乗り込んで試合を見守った。
ゴリラーマン姪(JC)
ゴリラーマンの姪で、彼とそっくりな顔を持つ女子中学生。黒髪のツインテールで、丸眼鏡をかけている。アニメとK-POPをこよなく愛している。ゴリラーマン姪(JK)がSNSに投稿するダンス動画で共演することもある。ゴリラーマンが九鬼谷光尊の命令で拉致されそうになった際、ゴリラーマンと共に九鬼谷のもとへと乗り込んで試合を見守った。
ゴリラーマン兄
ゴリラーマンの兄で、彼とそっくりな顔を持つ男性。頭はすっかり禿げ上がっている。缶コーヒーの懸賞で当たったジャケットをつねに愛用している。ゴリラーマンが九鬼谷光尊の命令で拉致されそうになった際、ゴリラーマンと共に九鬼谷のもとへと乗り込んで試合を見守った。
ゴリラーマン弟
ゴリラーマンの弟で、彼とそっくりな顔を持つ男性。趣味はベースボールキャップ集め。戦闘モードに入ると、近鉄バッファローズの帽子をかぶる。ゴリラーマンが九鬼谷光尊の命令で拉致されそうになった際、ゴリラーマンと共に九鬼谷のもとへと乗り込んで試合を見守った。
ゴリラーマン甥(金髪)
ゴリラーマンの甥で、彼とそっくりな顔を持つ男性。金髪のツーブロックヘアで、オシャレなファッションで身を包んでいる。尊敬する人物はフレディ・マーキュリーとフランク・オーシャン。ゴリラーマンが九鬼谷光尊の命令で拉致されそうになった際、ゴリラーマンと共に九鬼谷のもとへと乗り込んで試合を見守った。
ゴリラーマン甥(眼鏡)
ゴリラーマンの甥で、彼とそっくりな顔を持つ男性。チェック柄のシャツを着たオタク風の青年で、眼鏡をかけている。幼い頃は一族最高の逸材といわれていたが、現在はニート生活を送っている。ゴリラーマンが九鬼谷光尊の命令で拉致されそうになった際、ゴリラーマンと共に九鬼谷のもとへと乗り込んで試合を見守った。
山田 夏菜子 (やまだ かなこ)
とある体育大に通う女子。年齢は22歳。大人気テレビ番組「SHINOBI」の日本人女性唯一のファイナルエリア進出者。「SHINOBI」はオーディションで選抜された体力自慢たちが、複数のエリアに分かれたフィールド・アスレチックのようなエリアを攻略するというもの。「SHINOBI」の皆勤出場者で、「ミスターSHINOBI」と呼ばれる「山田繁和」を父親に持つ。建設会社の社長でもある父親が練習用に作った「自家製SHINOBI」に挑戦するために現れたゴリラーマンと遭遇する。
前作
書誌情報
ゴリラーマン40 5巻 講談社〈ヤンマガKCスペシャル〉
第1巻
(2022-04-06発行、 978-4065236734)
第2巻
(2022-06-06発行、 978-4065281109)
第3巻
(2022-09-06発行、 978-4065291504)
第4巻
(2024-04-05発行、 978-4065352618)
第5巻
(2024-07-05発行、 978-4065362761)