概要・あらすじ
超能力者(サイコ)が人口の3割を超え、世界の中枢を担う存在になった世界。日本においても、サイコは権力を掌握。非能力者は離島や僻地に追いやられていた。警察官・犬棒守が住む風川島も、そんな離島の一つだった。12年前、守は単なる好奇心から、幼なじみの牧野由良を本土に連れ出した。その結果、由良は真っ二つにされ、殺されてしまった。犯人はおそらくサイコだが、まだ捕まっていない。「由良が死んだのは自分のせいだ」と、守は自責の念を抱きながら、12年を生き続けた。そんなある日、金髪の少女が留置場に収容される。彼女の名前は災原リコ。190センチメートルもある空手部主将を殴り、大怪我をさせたという。身長150センチほどの華奢な少女の仕業とは思えない。そう考えた守は、リコと被害者の空手部主将に接触する。被害者によれば、リコに殴られたわけではなく、彼女の後ろのブロック塀が崩れて、その欠片が飛んできたのだという。守はリコがサイコであることを確信する。数日後、釈放されたリコを待ち伏せしていた守は、彼女の目の前で、走ってきたトラックの前に飛び出す。リコは念動力でトラックを浮かせ、守を助ける。やはり彼女はサイコであった。守は、由良を惨殺した犯人に復讐するため、リコにパートナーになってほしいと申し出る。自分の代わりに犯人を殺してほしいと頼み込んだのだ。それを聞いたリコは、一つの条件を出した。それは「デート」だった。自分とデートしてくれたら、復讐の手伝いをするというのだ。こうしてタッグを組んだ守とリコは、由良殺しの犯人を捜して本土に向かうことになった。
登場人物・キャラクター
犬棒 守
離島・風川島の警察官で、スキンヘッドと鍛え抜いた体が特徴の青年。12年前、好奇心から本土に連れ出した幼なじみ・牧野由良が、何者かに真っ二つにされて殺される。由良の無念を晴らすために、島に住む超能力者(サイコ)を探していたところ、災原リコに出会う。リコがサイコであることを突き止め、彼女をパートナーにスカウト。共に行動するうち、リコに好意を抱くようになる。戦争でサイコを殺しまくったという祖母の教えを受けており、対サイコの基本戦術を身につけている。サイコに対する戦闘スタイルは、泥や土で迷彩を施した裸体。武器は、ふんどしに見せかけた着物帯と草履で作った即席の「石もっこ(投石器)」。この投石術は超強力で、初速は時速150キロメートル、最大射程距離は100メートルもある。
災原 リコ (さいばら りこ)
サイコキネシスを使う超能力者(サイコ)の少女。金髪とウサギ模様のアイパッチが特徴。牧野由良と容姿が似ている。サイコの始祖の血を引き、世界を牛耳る「五大家」の一つ、龍利家の娘。龍利家三代目当主・龍利露光と非能力者の間に生まれたため、忌み子として育てられる。そのせいか、サイコ特有の特徴である「環眼(リングアイ)」は、右目だけである。12年前、何者かに命を狙われるが逃げ延び、行方不明になっていた。幼く無邪気な性格で、少女漫画のような胸キュンな恋愛を望んでいる。デートを条件にパートナーとなった犬棒守に好意を抱く。
牧野 由良 (まきの ゆら)
離島・風川島に住んでいた少女。災原リコと容姿が似ている。犬棒守の幼なじみで、6歳の時に守に連れ出されて本土に向かい、何者かに殺される。体を真っ二つにされており、体の中は空洞。骨や内臓はきれいに抜き取られていた。また、左右に分かれた体の重さは、ちょうど同じグラム数であった。その特殊な殺害状況から、犯人は超能力者(サイコ)だと推察されている。
龍利 露光 (りゅうり ろこう)
世界を牛耳る「五大家」の一つ、龍利家三代目当主で、災原リコの父親。黒髪のロングヘアー、あごひげと長いなまずひげが特徴。冷酷に見えるが、意外と軽くてひょうきんな部分もある。
その他キーワード
五大家 (ごたいか)
超能力者(サイコ)の始祖である、5人の子どもの血を引く5つの一族。龍利家、有馬家、久卯(くぼう)家、未善(びぜん)家、双寅(そういん)家から成る。「五耀會」と呼ばれる五大家当主会談を、定期的に行う。超能力者(サイコ)の中でも、特別強力な超能力を有しており、超能力社会を牛耳っている。
サイコ
超能力を持つ人間、超能力者のこと。代表的な能力である「サイコキネシス(念動力)」を略した呼称。角膜に白く混濁した輪っかが浮かび上がる「環眼(リングアイ)」という眼を持つ。世界の人口の3割がサイコであり、社会の中枢を担う。日本では、サイコは本土に住み、非能力者は離島や僻地に追いやられている。サイコと非能力者は、表向きは友好関係にあり、交流も盛んである。しかし差別も根強く、サイコによる非能力者への犯罪をさばくことは、非常にむずかしい。
クレジット
- 原作
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井龍 一
書誌情報
サイコの世界 4巻 講談社〈ヤンマガKCスペシャル〉
第1巻
(2021-12-20発行、 978-4065262016)
第2巻
(2022-03-18発行、 978-4065270578)
第3巻
(2022-05-19発行、 978-4065277898)
第4巻
(2022-07-20発行、 978-4065284131)